小川洋子のレビュー一覧

  • 世にも美しい数学入門

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    この本は文学の道を進む小川洋子さんと数学の道を進む藤原正彦先生から成る対談形式の本なんですが、まず小川洋子作の「博士の愛した数式」を読んでいないと本書の内容があまり頭に入ってこないです。素晴らしい本なので本書を読む前に読んどくべきです。
    また大学で数学などを専攻している人などにとってはとてつも暇なので、数学に興味があるよーっていう文系の人などが読むべきだと思います

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    2024年09月03日
  • 妊娠カレンダー

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    現実世界を描いているはずなのに、流れている空気が違うように感じる。この本の中には音が少ない。登場人物の周りの音しか聞こえない。暑くも寒くもない。主人公の目線の先に常にフォーカスが当たり、それ以外の世界を見せつけないような印象を受けた。主人公の感覚が理解し難いものであるから、全く違う世界にいると感じたのかもしれない。

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    2024年08月24日
  • 完璧な病室

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    デビュー作含む最初期の四篇。毒気や性的な意識が強かったり内容が難しかったり。クセが強いけど最初期の作品を作者のあとがき付きで読めるのはありがたい(作品の解説とかそういう内容ではないけれど)。「揚羽蝶が壊れる時」が難しくて消化不良。

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    2024年08月19日
  • 約束された移動

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    六つの短編
    静かなおとぎばなしを読んでいるような不思議なお話したち。
    それぞれの主人公が自分の仕事に誇りを持って打ち込み、自分の役割をキチンとこなす。読んでいて清々しいです。
    「わかります、わかりますよ」と誰にでも接することができ、「うん、わかってる。無事に果たせた?」とキチンと微笑み、信じることのできる人間になりたいものです。

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    2024年07月22日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    ネタバレ

    夜明けの縁をさ迷う人々

    収録作品は以下の通りです。
    曲芸と野球、教授宅の留守番、イービーのかなわぬ望み、お探しの物件、涙売り、パラソルチョコレート、ラ・ヴェール嬢、銀山の狩猟小屋、再試合

    どの物語も、正常と異常の縁をさまよう人の物語です。曲芸、エレベーター、楽器、全集など各短編ではガジェットが異なりますが、それらに執着するがゆえにバランスを踏み外して、縁をさまよっていた人々はその執着するものの引力に引き寄せられ、崩壊します。もう一つ共通しているのは、ぬるりとしたエロティズムでしょうか?ふとした言葉で垣間見られる隠微さ。
    印象的だったのが、野球ではじまり野球で終わるという構成。野球というもの

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    2024年07月02日
  • 完璧な病室

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    ふいに小川洋子さんの本が読みたくなって手に取った。
    小川洋子さんの、残酷で美しい、繊細な文章が心地いい。
    「ダイヴィング・プール」が1番お気に入り。

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    2024年06月30日
  • からだの美

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    16篇のお話が入っていますが、シロナガスクジラのお話が好きでした。一度その大きさを体感してみたいなぁ。

    目に見える姿形の美だけでなく、その奥深くにある美しさにも目を向けることで得られる愉しさもきっとある。

    生き物の身体の細部を観察して愛でてみたくなるような、新しい視点を分けてもらいました。

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    2024年06月26日
  • 沈黙博物館

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    読み始めた瞬間、二つの結末を想像した。あるいは二つは両立するかもしれないとも。
    ひとつは、主人公の男がこの世界に取り込まれて抜け出られなくなること。
    もうひとつは博物館は完成する前に瓦解すること。ひとつは外れ、ひとつは当たった。
    殺人事件の話は夾雑物だと感じ、これがなければもう一ランク上の評価にしたかもしれない。

    /博物館専門技師である「僕」は老婆の依頼に従って村の住人の形見を集めた博物館づくりに勤しむ。そのためには死者が出たときその者を象徴する形を盗み出さねばならない。
    /中央広場で爆発事件が起こり少女は大怪我をする。左頬に星型の傷が残る。
    /連続殺人事件。どうやら主人公は容疑者になってい

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    2024年06月15日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    「亡き王女のための刺繍」、「かわいそうなこと」が好きだった。
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    「大事にしてやらなくちゃ、赤ん坊は。いくら用心したって、しすぎることはない」。公衆浴場の脱衣場ではたらく小母さんは、身なりに構わず、おまけに不愛想。けれど他の誰にも真似できない多彩な口笛で、赤ん坊には愛された――。表題作をはじめ、偏愛と孤独を友とし生きる人々を描く。一筋の歩みがもたらす奇跡と恩寵が胸を打つ、全8話。

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    2024年06月09日
  • 偶然の祝福

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    いつもそばに失踪者たちの影があったという「私」。タクラマカン砂漠に羊の買い付けに行った友人の叔父さん、歯医者に入れ歯を置いたままいなくなった隣の席の少年のおじいさん、嘔吐袋をコレクションしていた自分の伯母さん…。失踪者たちの王国は広々とした草原の続く光あふれる場所なのか。行ってみたいような心細いような気持ちになった。そばにいる犬のアポロやまだ小さな息子、失くし物を取り戻してくれたお手伝いのキリコさんの存在に救われる。

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    2024年06月02日
  • 完璧な病室

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    どこまでも綺麗で残酷な短編四篇。
    幸福からは程遠い内容なんだけど綺麗だなぁって思いながら読んで…たら唐突なホラーにビビる。

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    2024年05月21日
  • 科学の扉をノックする

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    小川洋子らしい目線で
    科学的な題材と向き合ったエッセイ。
    7つのテーマが収録されている。

    科学の説明というよりは
    科学的題材と向き合う研究者の人柄や
    ストーリーに主眼が置かれている。

    家庭の医学が好きだった子供時代など
    小川洋子作品の表現でみたシーンも出てきた。

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    2024年05月13日
  • いつも彼らはどこかに

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    気に入った2編

    - ビーバーの小枝
    緩やかに繋がり関係し合ういのち。
    一生懸命に手元の小枝を食んで、残るのはその痕跡だけ

    - チーター準備中
    特別なコトはなくて、誰もがかけがえのない特別

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    2024年05月05日
  • ブラフマンの埋葬

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    この小さなブラフマンと呼ばれる生き物は結局何だったのか記されていない。穏やかに進む前半から徐々に不穏さを感じていき…。
    小川さんの筆力があってこその作品で、おそらくこういった一見何も起こらない物語を描くことがとても難しいのではないだろうか。
    温かな春から、急な春の嵐に巻き込まれたような、そしてまた静寂がおとずれる、浮遊感のある作品だった。

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    2024年05月05日
  • 不時着する流星たち

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    モチーフになった人たちを詳しく知らないからか、そこまで入ってこず。とりあえず、その人たちのことからでしょうか。

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    2024年04月29日
  • 完璧な病室

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    同僚が貸してくれた本です。
    これは小川洋子さんの初期の頃の以下4作品を収めたもの。

    「完璧な病室」
    「揚羽蝶が壊れるとき」
    「冷めない紅茶」
    「ダイヴィング・プール」

    なんとも独特な世界でした、どの4作品も。小川洋子さんは、グロテスクな事象や残酷な心理描写などを、なんとも精巧で均等で美しい文章で表現するなーと思いました。本書の中でもあったような表現をお借りすると、つるりと冷たい陶磁器の美術品のような印象を受けました。

    一番好きだったのは「冷めない紅茶」かな・・・。登場人物の関係性を含め、すごく曖昧で不思議な世界で、え、これはどういうことだろ、どうもこうもないのだろうか、と一瞬一生懸命考え

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    2024年03月25日
  • 余白の愛

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    耳についての感覚とか、文学的だけど理解できる感じもあって、個性ある作品だと思った。
    文学らしい描写だけじゃなくて、静かなトーンで進んでいく話もよかった。

    けどわたしには少し文学らしさが強すぎて、若干物語としては不自然さも感じたかな、、

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    2024年03月23日
  • からだの美

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    体に関する(特にスポーツに基づいて)気付きを書いている☺️言葉が巧みで、想いを細かい描写で表現できることはスゴい。 将棋の話が心に残る

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    2024年03月22日
  • ブラフマンの埋葬

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    ネタバレ

    小川洋子さんらしい、優しく流れるような文章が素敵な作品でした。丁寧に描写されるブラフマンの一挙手一投足が可愛らしく、ずっと幸せに暮らして欲しいと願って止みませんでした。

    芸術家が芸術をひねり出すために、献身的に、ときには透明人間のように人に尽くす主人公。唯一心を惹かれた女性の目線の先には、別の想い人。
    慢性的な酸素不足のような主人公の日常において、ブラフマンは真っ直ぐに彼のことを慕い、彼の心を癒したのだと思います。ブラフマンにとっては、主人公が世界の全部だったのでしょう。

    ブラフマンを最後まで、心ある誰かに愛された命だということを認めようとしなかった娘さん。対照的に、最初は動物アレルギーだ

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    2024年03月14日
  • 最果てアーケード

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    【なぜだかわからんがずっと鞄に入れておきたい本】

    なんだかわからない
    特別感動したわけでもない
    大好きな本になりました!てわけでもない。

    可笑しさとかさみしさとか嬉しさとか
    いろんなものがしっくりきて心が落ち着く。
    現実とひと続きの中にアーケードがあって
    でも絶対に存在しない感もある。

    どんなに悲しくたって本はどっかへ行ったりしないから
    そっと鞄の中身のレギュラーになったっていいじゃない。
    いつだって自分が求めればそこにいてくれる安心感を本に求めたっていいじゃない。

    読み終わって次の日とか次の次の日とか
    すぐじゃないいつか
    急にアーケードのことを思い出して泣きそう

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    2024年03月13日