小川洋子のレビュー一覧

  • 薬指の標本

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    薬指の標本は、非常に官能的な文章だなという印象。個人的にはあまり刺さらなかったが、文章が美しいので読めてしまうという不思議体験。

    六角形の小部屋のほうが好みだった。「運命」とは何なのだろうと考えさせられる。行動の末に運命が訪れるのか、運命は決まっており行動は過程でしかないのか…。主人公がミドリさんにどこか惹かれてしまい、その結果あの部屋に辿り着くことは運命なのか。
    例えば読書をする人であれば、こういう体験はないだろうか。たまたま手に取った本が自分の現状と重なり、欲しい言葉がスッと入り込んでくる。これは運命なのだろうか、と。
    しかし、よく考えてみれば何冊も読む中でその本が刺さっただけであり、刺

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    2026年02月23日
  • 妊娠カレンダー

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    不穏な雰囲気の中でも、描かれる風景、モノのようすが精緻で美しさを感じる。読後の想像を掻き立てる3編。

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    2026年02月18日
  • 妊娠カレンダー

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    ★★★ 読めてよかった

    妊婦の妹、大学生の甥に古巣の寮を紹介する叔母など、主役ではない人々の短編集。彼らは物語の本筋に踏み込めないから、ストーリーの中で生じた出来事について、全てを説明する視座を持たないのがもどかしい。
    しかし過去の回想の描写は懐かしさを感じさせ、こちらにもセピア色の景色が見えるようだった。

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    2026年02月16日
  • 貴婦人Aの蘇生 新装版

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    文庫本の帯によるとこの作品は“硬質な文体で描かれた初期の傑作”らしい。
    硬質な文体、か。小川洋子さん作品にあまりそういうイメージは持ってなかったけど、言われてみればたしかに。無機質な感じ、乾いた感じ。

    読んでいるうちにいつの間にか、自分が“距離を保って舞台袖から結末を見守る関係者”みたいになっていたりする。

    感想書くのが難しい不思議な読後感。どこかアンバランスながら、成り立っている。小川洋子ワールドだなって感じ。

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    2026年02月16日
  • 琥珀のまたたき

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    ネタバレ

    ●どこか海外の風景が浮かぶようなファンタジーのようなおとぎ話のような不思議な世界観なんだけど、時々現実が垣間見えて息苦しくなる。
    ●三者三様のこの生活に対する違った思いがあって、特にオパールは外の世界で普通に育ってきたんだから状況もわかってただろうしそりゃ逃げ出したくなるよね。琥珀は逆に一生囚われてしまって本当に可哀想だと思った。

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    2026年02月13日
  • サイレントシンガー

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    静謐という言葉がこれほど似合う小説はない。沈黙は信仰で、歌は祈りのようである。この閉じられた静かな世界が続くことを願う。

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    2026年02月11日
  • ことり

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    切なくて暖かい物語。孤独を抱えながらも自分のやるべきことを見出して人生を歩む姿が印象的だった。もう一度読みたくなる。

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    2026年02月08日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    めちゃくちゃファンタジーなのですが、文章が読みやすく、登場人物たちのイメージが湧きやすかったです。さらに挿絵なんかもあると、もっと小説の世界観に入り込めた気もしますが。チェスのルールを知っていたら、もっと楽しめたと思います。それこそ、リトル・アリョーヒンに教えてもらえたなあと。

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    2026年02月08日
  • アンネ・フランクをたずねて

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    アンネの隠れ家生活の支援者であったミープさん宅を訪問したおり筆者がミープさんにサインをお願いしてもらった文章、
    〝…… we were no heroes, we only did our human duty, helping people who need help.〟
    「…… 私たちは英雄ではなく、助けを必要とする人々を助けるという人間としての義務を果たしただけなのです。」

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    2026年02月08日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    チェスを通して主人公リトル・アリョーヒンの生き様を感じた。生まれた時から口が開かず手術を迫られたり、また十一歳のまま成長が止まるなど、人とは違う経験を経て、どのような気持ちでチェスに向き合っていたのだろうと想像すると興味深いです。

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    2026年02月07日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    幼い子に読み聞かせた絵本「てぶくろ」がウクライナ民話であることを思い出させてくれた。いま人びとに大切なことが、、、

    『どんなに小さなてぶくろでも、求める者があれば喜んで分け合おうとする精神があり、それを文学の形で受け継いできた事実だけは、厳然として存在している。子どもの手で持てる薄い絵本の中に、尊い真理が詰まっている』

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    2026年02月06日
  • 妊娠カレンダー

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    妊娠カレンダー

    小川洋子さんの端正で美しい文体にひれ伏してしまう。姉の、妊娠によって心も体も本来の様子から変わっていく姿を妹の視点から語られている。冷めたような、しかし愛着と嫌な感情のどちらもがジャムのように煮えて渦巻いているような、妹の複雑な感情が描かれる。複雑な感情を、複雑な感情のままで主観的に見せられる。愛による生命の誕生の過程という尊く美しく描かれがちな妊娠と妊婦の、暴力性とグロテスクさが垣間見える。

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    2026年02月03日
  • 不時着する流星たち

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    ネタバレ

    実在の人物や物事に着想を得て書かれた短編集。
    最初は面白いコンセプトだなと思ったんだけど、読み進めていくにつれて狂気を感じた。

    「第八話 若草クラブ」「第九話 さあ、いい子だ、おいで」あたりがそのピーク。怖い。小川さん作品は時々こういう訳わからない話があるから面白いんだけど、でも好みではない。

    そもそも"世界最長のホットドッグ"をモデルに書かれた短編(第九話)って何???って意味わからなすぎて怖くなっちゃった。そういうモデルから着想を得て創作できるって単純にすごいと思った。

    全体的に掴みきれなくてよくわからなかったかも。最後の「第十話 十三人きょうだい」はいい感じ。

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    2026年02月02日
  • いつも彼らはどこかに

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    何かがそばにいるだけで、自分が存在しているような、、、
    実際に存在していないものが実在してそこにいるかのような、、、

    祖み終えたときは、不思議な話の中に取り込まれていくような感覚だった。

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    2026年02月02日
  • サイレントシンガー

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    内気な人々が集まって暮らす「アカシアの野辺」で雑用係のおばあさんの孫であるリリカは、その沈黙の里で歌を紡いでゆく・・・
    内気な人たちが、自発的にコミュニティを形成するのかなという違和感はあったものの、優しい語り口で、童話のようなファンタジーのような小川さんの世界観はとても心地いいです。
    リリカには、この物語をうまく成立させなくてもいいから、料金係さんと幸せになってほしかったなぁという思いが残ります。
    ドボルザーク「家路」、小学生のころ下校時に放送されていました。

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    2026年02月01日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    密かな結晶を読んで

    まず結論から言うと正直私にはハマらなかった。なのでなぜハマらなかったのかを考察していきたいと思う。
    これは私の悪い癖なのだが、ミステリーを読むことが多いので’伏線のようなもの’を探してしまうきらいがある。
    特に伏線レーダーに引っかかった点は、左足が消滅しても普通に歩ける秘密警察(→秘密警察は消滅の影響を受けない側の人間という伏線では?)、遺伝子で記憶を失わない人間を判断できるという内容(→みんなで記憶を失わない方向に行くのか?母が記憶保持者だった主人公はなんらかして記憶を取り戻すのか?)、なぜR氏はR氏という呼び名なのか(名前消失したの?)など、、、

    何が評価されている

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    2026年02月01日
  • ことり

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    小川洋子さんの独特の世界観が描かれている素敵な作品でした
    世俗的なものに影響されることなく、強く何かを求めることもせず(本当は求めているのかも知れないけれどそこには常に諦めのようなものが感じられる)人生を歩んでいる姿は私に安心感を与えてくれます
    時々小父さんが見せる大胆な行動には少しドキドキしました

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    2026年01月29日
  • ことり

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    最初は今の自分には合わない本だな〜と思ってたけど、途中から夢中で読んでいました。
    純粋すぎるが故に自分を守ることが苦手で、他人から誤解されたり、傷ついてしまったり。
    そんな人にも優しい社会であってほしいなと、いう気持ちになりました。

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    2026年01月21日
  • 約束された移動

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    「巨人の接待」がよかった。巨人はバルカン半島の地域語しか話せず私が通訳することに。物静かな巨人と私との心の共鳴が心地よい。
    よく行く西湖の野鳥の森公園を思い浮かべて読んだ。

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    2026年01月20日
  • 妊娠カレンダー

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    薄らとした不快感のまとわりつく作品だった。村田沙耶香に近いものを感じたが、村田沙耶香はもっと乾いている。潰れた果実を眺めているような感覚になる三作、文章はきれい。

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    2026年01月12日