小川洋子のレビュー一覧
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ネタバレ最果てアーケード(1)
とある街の古いアーケード商店街。中古レース屋、剥製用の義眼屋、紙屋・・・こだわりの品をそろえた商店が入っているアーケード。
そのアーケードの大家の女の子と店子、お客の物語の短編集です。徐々に大家さんの過去や明らかになっていくのですが、それはネタばらしになるので読んでみて下さい。
原作が小川洋子氏ということで手に取りました。物語は小川さんなのですが、どうもしっくりこない。気づいたのは、竹蔵は小説を文体やリズムで好き嫌いの判断をしているようだということ。小川さんの独特の文体ではないのが違和感の正体かな?
いづれにしても、登場人物や各エピソードの内容ほど全体的に面白く感じな -
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過去に読んできた小説の中にも類を見ない、ショッキングな物語だった。急激に事件が起きるでもなく、少しずつ良くない方に傾いていって、最後には何も無くなるような。救いのない終わり方だと感じた。
隠し部屋の生活から『アンネの日記』や『ある奴隷少女に起こった出来事』が想起されたが、それらは隠し部屋で生活する当事者であることに対し、本作は匿う側の目線であるという違いが楽しめた。
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その島では多くのものが徐々に消滅していき、一緒に人々の心も衰弱していった。
鳥、香水、ラムネ、左足。記憶狩りによって、静かに消滅が進んでいく島で、わたしは小説家として言葉を紡いでいた。少しず -
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ネタバレタイトルを忘れて読む、
人質にされた人たちの間で共有し合ったストーリーの記し。
ふつうの人たちの、ちょっと不思議な思い出話。
こんなふうに、みんなのひとりひとりの話なんて全部聞いてられるはずがないけれど、
聞いてて、読んでて飽きない、というか、
もっと知りたくなってしまう不思議。
人質になったから語られたのか、
とにかくこの世の中はたくさんの思い出たちでいっぱいなんだろうなー。
その多くは語られることはなく、伝えられることはなく…
だからこそ、わたしが聞き出してみたい、と思ったりするのかな。
もっと話して、っていいたくなるような、
そんなストーリーが、現実の身の回りにもた -
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ネタバレ【妊娠カレンダー】
主人公は大学生の妹。姉夫婦と一緒に住んでいる。心が脆い姉が妊娠。
大きな病院ではなく,近くの産院で出産するという。そこは幼い頃姉と裏から中庭に入り込んで遊んでいた古い病院。窓から覗いた器具や、3階の病室の窓辺にいる女が記憶にある。
姉のつわりが酷くなってくると、色んな我儘を言い出す。食べるのも,家の中の匂いも。
姉がいる時にご飯を作れないし、食べれなくなる。
急にふっと長く続いたつわりが終わった。
途端にいろんなものをたくさん食べるようになってしまった。
仕事で大量に貰ったグレープフルーツを皮ごとジャムにすると,姉はパンにつけずジャムそのものもを食べてしまう。グレープフルー