小川洋子のレビュー一覧

  • 約束された移動

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    短編集。大袈裟な職業ではないがそれぞれがその職務と意義を大切にしている。
    他の人から見たら異色に感じられる行動も見られるがそんなことにはお構い無しの強い意志、というよりそうするべきだという思い込みを持つ人は小川先生の作品によく登場する。

    「巨人の接待」が好き。きっちり仕事してくれる人に心を許してくれるというのが、読んでいて気持ちが良い。

    解説の藤野可織先生の言葉が的確で、深く頷きながら読んだ。

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    2025年06月24日
  • 遠慮深いうたた寝

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    かわいい表紙に惹かれて購入しました。
    一つ一つが短いので、寝る前の少しの読書時間にちょうど良かったです。

    小川洋子さんの作品は、ほとんど読んだことがないのですが、このエッセイで阪神ファンだったり推しがいたり、私が勝手に今まで小川さんに持っていたイメージと違う一面がたくさん知れて、面白かったです。

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    2025年06月20日
  • 約束された移動

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    どこか不穏な感じや不安定な感じを漂わせながらも、一定の品格や清々しさを決して失わない表現は、いつもと変わらずそこに感じられる。
    その上で1つの事を粛々と全うする様や、移動という表現でもたらされる人生の流れや事柄。そしてそこで生まれる自分でしか分からない、素晴らしい感覚。それを誰にも伝えたり表現する事なく噛みしめる行為。
    読むうちに、私もその中に織り混ざって、なんだか穏やかに心地いい気分になる。

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    2025年06月12日
  • ブラフマンの埋葬

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    ネタバレ

    懐いていただけに最後がさみしいです。世界観はあまりわからなかったですが、ブラフマンが可愛い。どんな姿をしているのか想像するのもちょっと楽しいです。

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    2025年06月08日
  • 耳に棲むもの

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    骨壺 鳥の死骸 心中 座敷牢 遺体 犬の死骸 溺死…
    数えきれないほどのマイナスワード。
    狂気に満ちた話がつながっていく。
    補聴器の耳の中では外界では聞こえない音が静かに聞こえてくるのかもしれない。
    マイナスワードの傍ら、星 収穫祭 カルテット 小鳥のさえずり プラスワードが安堵させてくれる。

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    2025年06月08日
  • 耳に棲むもの

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    今読んでいる で登録しましたが
    この先 たぶん読まないでしょう。
    静かな狂気の短編集です。
    最初の2つの話しも うーん!
    というはなしでしたが
    飼っている小鳥を生きたまま飲み込んで自殺する話しは 相当な狂気です。
    気持ち悪ーい!
    おまけに そのお宅 沢山の鳥籠の下が
    鳥の羽やふんが 空気中を飛び交っていて
    そこでお茶を頂く
    それも気持ち悪ーい!
    この小鳥のブローチを読んで この本は諦めました。
    素敵な表紙の本でしたが。
    小川洋子さん どうしたの?
    怪談話?ゆっくりと狂っていく感じが怖い!

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    2025年05月30日
  • まぶた

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    死にたい夜のお供に、小川洋子さんの作品は
    最適解な気がする。

    パラレルワールドのようなファンタジーに浸かり、
    純粋な人々の揺らぎに身を任せる心地よさ。
    いつしか自身の心も落ち着いている。

    個人的に、村上春樹先生のファンタジー感と似てる気がするんだが。
    この発言は各方面のファンからぼこぼこにされそうだけど。

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    2025年04月27日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    短編9つ。こういうグロテスクで美しい物語は夜に静かな部屋で読みたい。

    身体的にアンバランスな登場人物が多い印象。
    そして皆素直でまっすぐなことがまたパラレルへと誘われる。(現実だとどこか性格や認知が歪んでしまいそう)

    星新一のショートショートや、
    村上春樹のファンタジーを混ぜて
    グロを3滴、淡々綴った、みたいな印象。

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    2025年04月26日
  • 琥珀のまたたき

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    世間から隔絶された世界に生きる家族の物語は想像を絶するものだったが、そこに出てくる宝石や羽などのモチーフがその世界の壮絶さと乖離しており、美しいイメージさえ受けた。この兄弟の生活がどのようなことを象徴しているのかをもう少し考えたい。

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    2025年04月24日
  • 偶然の祝福

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    相変わらず天才。
    頭で構成云々して生み出せる代物じゃない。
    途中で連作と気づく。

    「本当に言葉の感触が、舌から伝わってくるのです。」の表現に唸る。

    必然かもしれない不思議な出会い、
    抗えない流れと抱える続ける空虚•やるせなさ、
    ひと匙のサイコ、って感じの話。
    それを品の良さで包括している。
    この包括が職人芸なんよな。

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    2025年04月23日
  • 耳に棲むもの

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    不思議な感覚の中で読み進めた。
    補聴器のセールスマンだった父の骨壷から出てきた4つの耳の骨。カルテット。
    「骨壷のカルテット」が特に好き。
    『耳の中に棲む私の最初の友達は涙を音符にして、とても親密な演奏をしてくれるのです』

    装丁も挿絵もかわいく品があり素敵。

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    2025年04月13日
  • 琥珀のまたたき

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    異様な状況なのに、どこか温かみのある不思議な雰囲気。本の中に確かに彼らの生活があって、壁の中のママ、オパール、琥珀、瑪瑙の密やかな生活をそっと静かに覗きたくて本を開いていた。
    家族の絆というと安い表現だけど、家族だから成せた温かい日々だと思う。家族って不思議。
    ママが”図鑑のモデル”でいるために、毎月スターに扮するシーンが印象的。たった数時間、ほんの一瞬の高揚感で1ヶ月じっと個性を押し殺して生活するなんて、私にはできない。家族を守りたいという母親の底深い執念を感じた。それとも父親からの愛を忘れられずに図鑑のモデルを演じ続けていたのかな。
    後半ちょっと読みつかれちゃったので、星3

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    2025年04月12日
  • 耳に棲むもの

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    奇妙でダーク、なのに何故か神秘的にも感じれる言葉
    不気味な描写なのに何故か心を掴まれる
    はまってはいけない沼にひきずりこまれるような

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    2025年03月31日
  • 耳に棲むもの

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    父の4つの耳の骨から、父の辿った人生を垣間見る。不気味でありながら、カルテット(4つの骨がぶつかり合ってこだました)の美しい音の調べが漂ってくる。最後の編は父の生い立ちのようで、それが各編の父の足跡に繋がっている。父が関わった人達はまるで内耳のなかでひっそり生きてきた、そんな感じの人達だ。

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    2025年03月30日
  • 耳に棲むもの

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    ちょっと難しかったかも。

    小川洋子さんは昔から大好きで、期待していたのもある。

    物語の展開ではなくて、場面をいかに読者と距離を近くするかに焦点をあてたかのような
    こと細かい背景の描写と動きが特徴的に感じた。

    とはいえあまり起承転結って感じじゃないから、夢遊病とか白昼夢みたいな、ふわふわした感覚で逆に読書の新体験だった。

    読み終わった後は、幼少期の強烈な、謎の記憶が1つ増えた感覚。

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    2025年03月30日
  • 最果てアーケード

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    先日読んだ博士の愛した数式が面白かったので、同じ著者さんの本を買ってみました。

    街の中にひっそりとあるアーケード内にまつわる短編。
    コンビニたそがれ堂や、あずかりやさんみたいな、短編が繋がってる話すっごく好きなんだよなあ。こういうお話の書き方って名前あるんだろうか。

    相変わらず文章がとても綺麗で頭にスッと入ってくる。瞬時に情景が浮かぶような小説を読むと心の底から没頭できて良い時間を過ごせたなあと感じます。
    悲しかったり、少し怖かったり、心温まるような、アーケード内の人にまつわるお話が「私」の目線で淡々と書かれている。
    いまいちグッと感じなかったのはあまりにも「私」が淡々としていたからかもしれない。
    私の読解力では「私」が今何歳なのか分からなかったよーん。アーケードと共に長い時間を過ごしてきたのだなあ。途中、もう亡くなってるのかと思ったけどノブさんと普通に話してたし。
    不思議なお話でした。

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    2025年02月25日
  • 余白の愛

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    ネタバレ

    Yとヒロが積極的に主人公に構ってくれるのだが、Yの存在は幻覚だったとして、ヒロはそんな幻覚が見えることも含めて叔母に付き合ってあげていたのかと読後に改めて思うと、凄い子だ。
    Yの指への惹かれようが、性的ともいえる魅力を感じる。そして自身の突発性難聴となった耳に聞こえてくる幻聴のバイオリン。それも魅力的な指により速記という形で絡め取られて、抱擁されたような心地。
    帯に記憶と現実が溶け合うとあるが、物としては指と耳が溶け合い、Yと主人公が溶け合う。


    人間は小さな声で話しているといくらか優しい気分になれるものだということを、私は病気になってから発見した。小さな声は柔らかくて肌触りのいいベールになって、その人を包むのだ。

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    2025年02月23日
  • 完璧な病室

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    昔外国人と話せる英会話アプリをやっていて、そこでダイヴィングプールを勧められたことがあり、ずっと気になっていた。あの外国人、センスが良いな……。
    どの短編もずっと暗くて陰鬱で神経質な感じだった。どれも読んでいると心がヒリついて落ち着かない。ぱちぱち続く静電気に顔を歪ませながら読み続けるみたいな、不思議な痛さのある読書体験だった。でも不愉快だったわけではない。10代の時に感じていた、かさぶたを剥がす気持ちよさみたいなもの、いちいち色んなことに積極的に傷ついてみたり不愉快に感じてみたり、そういう心って大人になると健やかな生活を妨げるから意識的に忘れていくもののような気がするけど、それを久しぶりに思い出させられた感じがする。

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    2025年02月06日
  • 琥珀のまたたき

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    静かで美しい文章がひたすらに続く。静かに静かに物語が進んでいく。とくに大きな展開はなく進んでいくため途中で気が狂いそうな感覚に陥った。
    この閉鎖的な世界の中でも子どもたちは楽しみを見つけて、でも確実に月日は流れ年齢を重ね成長している。少しずつ綻びを見せはじめる生活、気づいても気づかないふりをする。残酷だけど美しい物語。

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    2025年02月01日
  • ブラフマンの埋葬

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    謎の生き物とのひと夏の暮らし。匂ってくるような自然。生と死を象徴するもの。石棺、古い家族写真、ブラフマン、肌の温もり。予感なく失う命。
    2025.1.25

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    2025年01月25日