小川洋子のレビュー一覧

  • ボタンちゃん

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    登録もれ。おかだちあきさんのやさしい絵柄と小川洋子さんの物語がうまくマッチ。子供はすぐにおおきくなり、着るものはすぐに小さくなって、いつか思い出へと変わる。

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    2021年10月04日
  • まぶた

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    まぶた。
    ひらがな3文字だと、なんか間抜けな感じ。
    目蓋。目の蓋のような役割。
    その目で見えているものも、蓋をすれば見れなくなる。
    良いものも、悪いものも。
    蓋をされた目でも、観えるものは人それぞれだろう。
    闇をただ感じるのか、虚飾の世界に埋没するのか、過去失敗したオムレツのとんとんを思い返すのか、
    未来に待ってる壁一面の本棚に囲まれた部屋を作りたい夢なんかを。
    そう、考えると、目蓋って奥が深いな。

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    2021年09月21日
  • 不時着する流星たち

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    文庫版で再読。
    そこはかとない不気味さ、そわそわしたまま終わる短編たち。
    味わい深い。
    ちょうど出勤の片道で1編読み終わるボリュームで、通勤電車の幸せなお供になりました。
    小鳥を愛する私には辛い話もありましたが。。。

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    2021年08月21日
  • 世にも美しい数学入門

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    博士の愛した数式 の背景が記載されたような内容。現実は美しい。数学は神の隠した法則を導く、と言ったような内容。博士の愛した数式含めて中学の頃に読んでいたら何か変わったかも。子供はこれを読んで何を感じたか。

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    2021年08月11日
  • 不時着する流星たち

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    パトリシア・ハイスミスや、エリザベス・テイラーのような有名な人から、一般的にはあまり知られていない(というか少なくとも私は知らない)人物、さらにはチーム(バルセロナオリンピックの米国男子バレーボールチーム)やモノを題材にした小説集。
    文章はきれいだし、物語は想像力に満ちたものであるが、私には、物語に込められているであろう作者の意図が分かりにくく、楽しんで読めたとは言えない。

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    2021年08月07日
  • 小箱

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    かつて幼稚園だった場所に暮らし、亡くなった子供たちを弔う小箱を管理する「私」と亡くした子供を想い続ける人々の交差。

    『妊娠カレンダー』や『ハウス・クリーニング の世界』に比べ、ぐっと温度が高い。『口笛の上手な白雪姫』よりももっと。子供を自分とは全く関係のない世界の存在に感じている今の私は、読み進めるほどその温度の高さに戸惑いを感じ、登場人物たちの子供に対する特別な慈しみを、ガラスケースで守ろうとしている願いを、自分は本当に心の奥底からは理解できていないのだということが苦しかった。子供を望む人、子供のいる人、子供がいた人はこの本を読んでどう感じるのだろう。

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    2021年07月18日
  • 海

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    短編は短い妄想だと、著者インタビューに書いてあり、その果てを知らない妄想には、私の想像力など全く及ばない。だから、ついつい読み耽ってしまう。

    「海」というタイトルを見て、こういう話ではないかと、なんとなく想像してみたが、かすりもしないのは、そりゃそうであって、小川さんの述べる「その世界でしか生きられない人たち」を、「そうではない人」と触れ合うことで生まれる物語は、おそらくささやかな出来事であっても、お互いにとって、大切なものになったのではないかと思ってしまう展開が素晴らしくて、「ひよこトラック」の中年のドアマンと無口な少女もそうだし、「ガイド」の僕と題名屋の老人もそう感じました。ガイドは、タ

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    2023年05月04日
  • 科学の扉をノックする

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    小川洋子(1962年~)氏は、岡山市生まれ、早大第一文学部卒の小説家。『妊娠カレンダー』で芥川賞(1991年)、『博士の愛した数式』で本屋大賞(2004年)、そのほか谷崎潤一郎賞、野間文芸賞などを受賞している。
    本書は、2008年に出版され、2011年に文庫化された。
    本書は、「子供の頃から、新聞で一番好きなのは科学の記事でした」という著者が、科学の7分野の研究者に対して行ったインタビューをまとめたものである。
    章立て及び対談相手は以下である。
    1章:宇宙を知ることは自分を知ること/国立天文台教授 渡部潤一
    2章:鉱物は大地の芸術家/鉱物科学研究所所長 堀秀道
    3章:命の源“サムシング・グレー

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    2021年06月30日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    今日は待ち時間が多いから活字読もうと本棚から取った本。昨晩開いて読んでない本だよな?と思ったら、読んだら過去にも一通り読んだものだった。

    現実と非現実、歪んだ世界なのに魂だけが透明でまるみを覚えている……そんな小川先生の世界を久しぶりに浸れて「私が好きなやつ~!」と思わず拍手。
    一枚フィルターがかかったような映像が次々と脳を刺激してくるから、すっかり湿度を忘れて冷えた鈴を触っている気分になった。

    イービーの話と最後の野球の話が好き。

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    2021年06月26日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    妄想、ホラー、人間ドラマ、官能、フェティシズム等など、様々なジャンルを持ちながらも、共通しているのは、風変わりながらも、愛すべき人たち。

    たとえ、風変わりすぎて、周りから疎んじられたり、存在すら意識されなくても、たった一人の愛があるだけで、その人の生き様が報われたかのように思われたことには、読んでいて共感を覚えたが、哀愁も感じた。永久という言葉は、一見、素敵に思えるが、あくまで捉え方次第であるし、私だったら、相手の心の中ではなくて、せめて自分の心で報われたという実感が欲しい。まあ、たった一人の愛に出会えただけで、充分だと思えるのもありますがね。そのたった一人が、実はすごく難しい。

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    2021年06月14日
  • 沈黙博物館

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    博物館技師として長閑な村を訪れた僕。
    荷物は兄から譲り受けたお古の顕微鏡と
    何度も読み返しているアンネの日記。
    依頼主である老婆の面接を受けるのだが
    そこは、形見の品々を展示する博物館だった・・・

    後半に入ってから、物語の様相が変化してくる。
    そういえば・・・
    という空気は最初の頃から感じていた。
    雰囲気に馴染んでスルーしておりました。
    色んなところに違和感という形で存在してました。
    最初の段階で僕が語っている博物館技師の仕事。
    なるほど・・・沈黙を守る博物館・・

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    2021年05月10日
  • 凍りついた香り

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    弘之が自殺して、彼女の涼子がなぜそうなったかを探す話。
    静かなんだけど、どこか息苦しさが隠れてる感じがする。

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    2021年05月03日
  • 沈黙博物館

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    どこか遠い小さな村にある沈黙博物館。そこには人が生きた形見を展示してあるという。不思議な博物館の誕生にまつわる寓話である。私の愛する人が死んだとき、その形見が人知れずその博物館に展示してあったらうれしいだろうか、嫌だろうか。もし私が死んだとき、その形見が人知れず展示してあったら、私はそれを望むだろうか、それとも望まないだろうか。

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    2021年04月22日
  • まぶた

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    8つの作品が収録された短篇集で、幻想的で奇妙な出来事を交えながらも、人間という愛らしい存在を感じられたのが、印象的でした。

    また、奇妙な出来事を体験した後で、自らの人生を見つめ直すような展開が多いことに、人生とは、何をきっかけにして突然変わるか、分からないものだなとも思えました。しかし、不自然さは感じずに共感できたのは、小川さんの、上品でいて飾らない文体にあるのかもしれません。

    こういった上品な奇妙さと、私の人生観には、精神的な距離を隔てているのを感じ、逆に、読んでいて気楽な心地良さがあって、何となく旅行時に持って行きたい本だなと思いました。

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    2021年03月26日
  • 言葉の誕生を科学する

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    鳥やクジラに見られるような、求愛の時に行われる歌のような声から言語が始まったという仮設は面白と思うし、納得感がある。
    しかし、それなりに長い対談の中で刺激的な話題が他にはあまりなかったのが残念。
    対談というのもは基本的にしゃべったままを記録するものなので、あまり内容が詰まったものにはなりにくいのかな。

    発声というのは本質的には呼吸を制御することであるというのは目から鱗が落ちる思いだった。鳥のように上空を飛んだり、クジラのように海に深く潜ったりするためには、意図的に呼吸を制御する必要があり、その副産物として多彩な歌を歌うことができる。他の動物は無意識的な呼吸のみを行っているのだろう。人間は呼吸

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    2021年01月23日
  • 不時着する流星たち

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    美しくて、そしてゾワゾワとくる、まさに小川洋子さんワールドでした。
    例えるなら、大人のための童話かな。

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    2021年01月20日
  • 余白の愛

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    冬生まれが冬に読みたい物語。誰もまだ踏んでいない真っ白な雪原は、いつだって静かだ。そこに足跡をつけるかなしみとよろこびを知っている。

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    2020年12月30日
  • 小箱

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    子どもたちがいなくなった世界で、彼らの遺品の入った小箱を管理しながら暮らしている女性を描いた野間文芸賞受賞作。

    語られない何らかの理由で、子どもたちが次々に亡くなった世界には、当然希望も未来もない。滅び行くそのなかで、親たちは廃園となった幼稚園を訪れて、管理されている小箱を開けて子どもの成長を夢想する。なんとも悲しく、やりきれない。
    たとえばこの作品を手に取ったのが昨年であったなら、死者たちと寄り添って暮らす人たちの静謐な世界を、情緒的で美しいものとして受け入れたかもしれない。でも、世の中はコロナ禍、息が詰まるような現実に加え、今年近しい人の死に立ち会った私にとって、この作品は重すぎる。

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    2020年12月17日
  • 小箱

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    小川さんらしいとても不思議な世界が描かれていました。
    好き嫌いはあると思います。私は傍から眺めるのは良いけれど、その世界では暮らせないと思いました。

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    2020年12月09日
  • 妖精が舞い下りる夜

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    あの「博士の愛した数式」を書いた作者の駆け出しのころのエッセイ。
    どんな風に言葉を紡いて小説を書くのだろうと思って読んでみました。
    真摯に言葉に向き合うひたむきな姿勢と、書くことが好きという想いが伝わってきた。
    印象に残ったのは「小説は言葉によってしか表現できないものだが、それだけですべてを表現しつくしてしまうことも、またできない。言葉が持っている目に見えない模様を見せたい」。そう、小説って言葉で表されているもの以上にその裏に感じる情景や思いや手触りといった諸々のものを感じさせる。私は一読者としてそれらを感じられる読書が好き。
    あと印象的だったのは、出産した時に感じた哀しさの話。産声に切ない哀

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    2020年12月08日