小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
そんなに熱心なタイガースファンだったとは!笑
いかに小川さんが繊細に大事に言葉に触れ、言葉を扱い、組み上げて小説を作っているかがよくよく伝わってくるエッセイ。
ですが、小説家としての小川さんの文書(前半多め)よりも、後半の母親として子供と歩いたり、ワープロを取り合ったりする小川さんや、タイガースの勝敗に一喜一憂したり、佐野元春のライブで幸せいっぱいな小川さんの話の方が、なんだか「可愛らしい人なんだなぁ」と思って、楽しんで読んだ。
相撲についてとか、野球についてとか詳しくわからないんだけれど、小川さんがその人の「物体」としての美しさ(筋肉のしなやかさや、表情の表れ方)を見ているようで、だから -
Posted by ブクログ
デビュー間もない頃から小川洋子が書き綴ってきたエッセイをまとめた一冊。
芥川賞作家、ひとりの女性、妻、そして母親、
そんな色んな顔を持っていることが不思議なほど、
本書に収められているエッセイから浮かび上がってくる彼女の姿は、
ある種の「一貫性」に溢れている。
しかし彼女のもつこの「一貫性」は、
鋼鉄のようにがちがちに硬いものではなく、
ゆたかにしなる若い竹のような、そんな柔軟さにあふれたものだ。
作家であること、家庭をもつ女性であることなど、
一定の何かの形に捕らわれたりせず、
彼女はあくまでも「小川洋子」というひとりの人間として、
日々の小さな発見や幼い頃の記憶に自由に思いを馳せ、文章 -
Posted by ブクログ
10 代のころ「アンネの日記」がきっかけで作家を志した小川洋子さんが、アンネゆかりの地を訪ねる旅日誌。最近「アンネの日記」を再読したばかりで興味を持っていたのと、小川さんのアンネへの思い入れの強さからくる筆の勢いにひっぱられて、表紙を開いてから最後まで一気に読み上げた。小川さんが移動中の電車の中や訪問先で子どもを見かけるたびに 「この子が隠れ家に住んだり収容所に送られたりすることがありませんように」 と祈りのことばを書き付けているのは、感傷的すぎてひとりの作家の表現としては抑制が効いていないと思うが、彼女がアンネを心の友にして思春期を過ごし、いま (旅行当時) アンネの母の年齢に達したひとりの