小川洋子のレビュー一覧

  • 心と響き合う読書案内

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    FMラジオ番組『Panasonic Melodious Library』で、著者が1年間にわたって紹介してきた文学作品の解説をまとめた本です。

    やさしい言葉で作品の魅力が語られていて、つい手を伸ばしたくなります。『万葉集』のような古典から、ロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』のような児童文学まで、ヴァラエティにも富んでいますが、いわゆる「名作」に偏りすぎのような気がしないではありません。もう少し、語り手である小川洋子本人のことが見えてくるような、個性的なセレクションを期待していたので、ちょっともの足りない印象もあります。

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    2014年06月28日
  • 博士の本棚

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    エッセイを読むのが面白い理由は、小説が生まれるきっかけとなったと思われる出来事がちりばめられているところだ。クラフト・エヴィング商會、フランス人翻訳家、青年Jなどなど、これらはあの本のあのお話に関係するのでは?と一人でいろいろと推測するのは、ファンにとってひそかな楽しみだろう。

    どのエッセイを読んでも、小川さんの優しさが溢れているように思う。

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    2014年06月27日
  • アンネ・フランクの記憶

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    ノンフィクションそのものとしては、はっきり言って凡庸であると思ってしまった。ノンフィクション、事実を語るときの小川洋子の文章はほんとうに、固有性みたいなものが存在しないように感じてしまう。フィクションと同じ方向に物事を動かすノンフィクションもあり、フィクションとは全く違った方向に同じくらいの力で物事を動かすノンフィクションもあるとおもう。しかし、小川洋子の書くフィクションの力を思うと、これはかんだか、勢いというものがないのだと。

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    2014年06月11日
  • 刺繍する少女

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    一つ一つ、余韻の残る短編の集まった短編集。幻想的だったり、哀しかったり、官能的だったり…ふけや汗、病、傷などの、美しくはない生の痕跡が、目を逸らされることなく細かく描写されることで、独特の残酷性が生まれ、それが官能性につながっていく。

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    2014年04月16日
  • 言葉の誕生を科学する

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    歌をうたう種、不協和音についての考えかたがおもしろかった。

    68「音楽や動物の歌のような、特定の意味のないところでこそ形式が複雑化して文法は進化てきるということですね」

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    2014年04月13日
  • 沈黙博物館

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    ネタバレ

    「博士の愛した数式」を読み、小川洋子さんの他の作品を読みたい!と思い、作品のタイトルに惹かれ手にした一冊。
    全体を通して、冬の静けさと薄灰色の重たい雪、というイメージ。

    正直、読後感はすっきりしなかった。
    (恐らく)自己表現のためにと、そんな勝手な理由で殺された挙句、形見として乳首飾られたくなんかないよ!って思ってしまったから仕方ない。

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    2014年03月12日
  • 世にも美しい数学入門

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    久しぶりに数学に触れた気がする。
    大学時代、塾講師をやっていて、次元は低いけど数学の美しさを少しは感じていたつもりなので、そのことをわかりやすく説いてくれる本書はとても共感を持って読むことができた。
    醜い公式は消え去るということや、πの美しさなど、この人は本当に数学が好きなんだなと感じる記述を読むと、もっとどっぷり数学の世界にはまり込みたいと思えた。

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    2014年02月03日
  • 沈黙博物館

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    密やかな結晶を読んだときと同じ。
    意味はわからないけど何か強く引き付けられて、意味はわからないのに息を詰めて一気に読んだ。
    市川春子の漫画に少し似ている。
    小川洋子の作品は国を感じさせないところがある。

    落ちている髪の毛を不快に思うのは、そこに有機物から無機物への変容を見るから。
    その人間が生きていたと言う証拠である物体(形見)は、髪の毛と同じく生前は有機物であり死後は無機物であった。その無機物に新たな役目、展示品としての役目を与えることで、有機物へと再転換させる。
    形見とは、卵細工と同じなのかもしれないと思った。

    修道院の中の描写が素晴らしく美しい。あのシーンだけでも、読んでよかったと思

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    2014年01月17日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    へえ~こういう人だったのか。意外!
    お母さんだったり、野球が好きだったり、思いのほか普通。
    あ!博士の愛した数式の設定そのままか。そうかそうか。

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    2013年10月28日
  • 原稿零枚日記

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    内田百閒の「サラサーテの盤」と同じように、二重写しの写真のごとくこの現実世界から少しブレた世界で、著者を思わせる女性作家の書く日記。不思議で孤独で幻想的なお話で、失われていくものに対する哀惜の念のようなものや、(再)生への憧憬のようなものを強く感じた。

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    2013年10月10日
  • 原稿零枚日記

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    なんかしみじみと通じるな~と思うところと、そうでもないところとがあったが、全編通じて流れる静かな不可思議さはたいへん心地よかった。

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    2013年10月10日
  • 沈黙博物館

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    タイトル借りした本。静かで薄暗い作品。形見を集めた博物館とは…小川洋子の脳内は一体どうなっているのだろう。これを読んでいる最中、村上春樹の『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』とダブった。冬になると死ぬ獣。僕と助手の女の子。抜け出せない世界。2011/397

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    2013年10月07日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    日常にそっと暖かみをくれる、そんなエッセイ。悪口も言ったりするようなことも書いてありましたが、悪ぶってもそんなの可愛いものです。著者のふんわりしたあったかいイメージは変わりません。微笑ましいだけではなく新しい視点を与えてくれるのは、やはり人生の先輩。思わずうなってしまうお話もあり、味わい深いエッセイでした。

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    2013年10月05日
  • 科学の扉をノックする

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    野球好きなんで第7章はひとまず置くとして、第6章が秀逸。
    作家の小説世界と見事にクロスしていて、かつ内容も凄く興味を抱かせる。
    他は興味があるので覗いてみました、といった印象かな。
    対談(インタビュー)集になると、この作家特有の研ぎ澄まされた静謐感が失われていると感じるのは気のせいかな?

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    2013年09月22日
  • 刺繍する少女

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    ネタバレ

    ちょっと怖い内容。それでも美しい。
    - 森の奥で燃えもの
    - キリンの解剖
    - ハウス・クリーニングの世界
    この三話が特に気に入っている

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    2013年09月21日
  • 妖精が舞い下りる夜

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    少し前に読んだので、内容をあまり覚えていないが、駆け出しの頃から誠実な人間関係と仕事を続けてきて、華やかな文壇の世界にはあまり興味のなさそうな普通さのある小川さんの人間性に改めて惹かれた。失礼かもしれないが、個性的な作風とのギャップが素敵。また、編集者さんかだれかに、小川さんの作品はラヴェルに似てる、と言われたと書いてあり、わかる!と思った。ころころと変化する旋律の絡み合い、楽器の入れ替わり、それでいて哀しかったり、風変りな主題が出てきたり。んーほんとだ。

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    2013年07月13日
  • 博士の本棚

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    自分が読んだ本を、ひとはどう読んだのだろう、と知るのは楽しい。自分が読んだことのない本を、こんな風に読めるものがあるよ、と教えてもらうのも楽しい。
    物語を静かに愛している文章が、本を読む幸せを耳打ちしてくれる。

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    2013年05月07日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    洗練された文体。校閲者に関する章はうっとりと読みました。

    紹介されているたくさんの書籍の中には新刊も多く、読まなきゃいけない本もたくさんあるんだろうな~などと楽しく邪推しつつ。

    ラブラドールのラブくんとの暮らしと、散歩について、たくさんシェアさせていただいた。生や死やあれこれに付き合う勇気がなくて、動物を飼ったことはないけれど、いつか、と思わせてくれる。

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    2013年04月20日
  • アンネ・フランクの記憶

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    アンネの家を観光する機会ができたので、そのために読んだ一冊。アンネについての本は昔読んだきりだったので、それを思い出すきっかけになった。また本書にも登場するアンネを支えていた人たちのインタビューが実際にアンネの家でも流れていたので、その簡単な予習のためにもアンネ関連の国へ観光する場合は飛行機の中に持ち込むことをおすすめしたい一冊。

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    2013年03月22日
  • 心と響き合う読書案内

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    読書幅が広くて、できれば見習いたいと思う。

    読んだことのある本、だいたい実家にある本で実家に帰りたくなった。
    とりあえず手元にある「風の歌を聴け」を読み返そうかな。

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    2013年03月01日