小川洋子のレビュー一覧

  • 口笛の上手な白雪姫

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    短篇集。「亡き王女のための刺繍」「盲腸線の秘密」「口笛の上手な白雪姫」と赤ん坊の神秘性、聖性に触れる作品が多く感じられた。
    「一つの歌を分け合う」はレ・ミゼラブルをまた観たくなる言葉の紡ぎ方で作家のちからを感じた。実際に福井さんへ取材したらしい。
    「仮名の作家」はさすがの小川先生。固執、執着からの狂気が見事。途中で共感性羞恥になって読むのがつらかった。共感してはいけないのは承知。
    「かわいそうなこと」のシロナガスクジラへの視点が好き。

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    2022年12月31日
  • 科学の扉をノックする

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    73冊目『科学の扉をノックする』(小川洋子 著、2011年3月、集英社)
    作家・小川洋子が科学のスペシャリストたち7人にインタビューをし、それを纏めた一冊。
    ジャンルは天文学や鉱物学、生物学、スポーツ科学など幅広いが、いずれも専門的な内容ではないため、全くの門外漢でも問題なく読むことが出来る。
    小川洋子らしい柔らかな文章で書かれており、一つ一つのインタビューはまるで物語のようなユニークさ。
    科学に興味がなくても十分に楽しめる。

    「私は今日ほど安らかな気持で、死の話に耳を傾けたことはなかった」

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    2022年12月15日
  • 約束された移動

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    穏やかで静かに進んでいるような雰囲気なのに、不気味さや不穏も存在している。
    移動に関わる様々なプロフェッショナルたちの思考が新鮮で、深く考えされられます。

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    2022年12月01日
  • 沈黙博物館

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    形見と沈黙を軸に進んでいく謎めいた物語です。登場人物の感情表現やスリリングな展開に引き込まれながらも、どのように物語が終着するのかが予想できず、先に先に読み進めてしまう変わった魅力のある本でした。

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    2022年11月05日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    ネタバレ

    あぁ、書かなくちゃ。精進しなきゃ。
    といつも思っているんだなぁ。
    そしてあの素晴らしい小説が産まれているんだなぁ。

    表紙にも登場するわんこさんは後書きの頃のは虹の橋を渡っているらしいけれど、そこに残るぬくもりが感じられるエッセイ。

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    2022年09月28日
  • 凍りついた香り

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    ある日突然恋人は命を絶った。理由が不明なその死を受け止めきれず、恋人の生きた軌跡を辿る主人公の物語。
    恋人そっくりな弟や母親から、自分より前の恋人(元カノ的な何か)から、そして異国の街で、その記憶や記録の断片を辿って恋人の過去を構築していく。結局のところその理由は不透明なまま、でもなんとなく美しい感じで物語が終わる。
    不穏な湿度を含んだ母親とのやり取りにぞわぞわし、終盤に至ってはもはや自分が何を読んでいるのか分からなくなってくるあの感じ、読んでいると引き込まれ現実世界をちゃんと忘れることができて、結構好きだった。

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    2022年09月17日
  • 洋子さんの本棚

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    小川洋子さんって、すごい売れっ子作家さんなのに作品に出てくる人とおんなじで慎ましい人、無欲な人って印象なんだけど、よりその印象が強まった。

    親の嫌いな部分、欠点ばかり似てきてしまったなあと思っているけど、小川さんの「子どもが自分に似ちゃったなぁと思うのはたいてい欠点の方。ああ、やっぱり、みたいな」(P133)というとを読んで、親の視点から見てもそうなのか、と思った。まだ娘からの視点でしか考えられないけど世のお母さん方もそんなことを考えているのかな。

    以下共感したところ、覚えておきたいところをかいつまんで

    ✳︎子どもが巣立つ時、もう取り返しがつかないんだという後悔がくる。
    もっと日々感謝しながら大切にすべき日々だったのに、お弁当作りを面倒に思ったり

    ✳︎南桂子の銅版画の少女と「道」(フェリーニ)のジェルソミーナの視線が重なる。対象のその向こうにあるものをすーっと見通すような
    ✳︎人って理解し合えてなくても誰かが必要

    ✳︎旅は、いつかは終わらなくてはいけないものとしてそこにあると思う。永遠にどこかに向かい続けると人は疲弊していく(P123)

    ✳︎多和田葉子の「容疑者の夜行列車」と「インド夜想曲」は重なる。前へ前へ自分の魂を抱えながら先に進み、同時に後ろからひたひたと追いかけてくるものがある(p124)

    ✳︎どんなに嫌な相手でも人間である限りいつかは死にますので、そんなに無理に別れなくてもいいのではないかと思うようになりました(P232)
    →わらった

    ✳︎友人夫婦の話だけど、万一どちらか片方が目の前で倒れたら、「大丈夫?大丈夫?」って言いながらぐらぐら揺すろうねって約束してるんです
    →わらった

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    2022年08月11日
  • いつも彼らはどこかに

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    博士の愛した数式を書いた作者の短編集
    どこか欠落しつつ、どこかにひっそりと他人の人生の通行人程度にしかならないような人たちの愛らしいこだわりや考え方を、何か別の事象や出てくる生き物に重ねて描く。
    一番好きな作品はビーバーの小枝
    ビーバーの勤労と物書き、翻訳家との心の交流がとても丁寧に描かれている

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    2022年07月30日
  • ボタンちゃん

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    やさしくやわらかな雰囲気でした。子供が成長がはやすぎて色々なモノを捨てたし買いました。捨てずに残すととんでもない量になるんですよね。

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    2022年07月02日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    ・曲芸と野球
    ・教授宅の留守番
    小川さんにしては珍しいタイプのホラーだと思った!
    ・イービーのかなわぬ望み
    E B(elevator boy)の話
    どうしてこんなストーリーが思い浮かぶんだ‥
    ・お探しの物件
    ・涙売り
    ・パラソルチョコレート
    わたしの裏側を生きるのはどんな人かな
    ・ラ・ヴェール嬢
    ・銀山の狩猟小屋
    ・再試合
    レフトの君のお話

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    2022年06月16日
  • やさしい訴え

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    主人公の女性はあまり男運?はない人なのかも。
    旦那さんも、出会った男性とも上手くはいかず。時にはとても冷静で急に大胆な自分勝手な行動に出たりと生々しい。彼女は自立に向けて新しい場所で自身の人生をこれから始めるところで終わる。
    そんな人生を小川洋子さんが書かれている事で繊細な世界観になっている。生きるって綺麗事ではないけれどもそれでも希望を持ってその先にすすむ。
    人は失敗したり、駄目だったりしても終わりではないと思える本。

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    2022年05月07日
  • 余白の愛

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    静かで、汚されない世界。
    記憶と現実に主人公も読者も迷い込んでしまう。
    読み終えてからの本のタイトルにまた感心してしまう。
    この不思議で虜になってしまう世界をどんな言葉で感想を書けば良いのか分からない。

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    2022年04月25日
  • ホテル・アイリス

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    何か異国情緒漂う作品で、読んで思い浮かべる風景は、全て紗がかかっているような感じがしました。文庫本の後ろに載っていた4行の作品紹介では、老人と少女の純愛、と書いてあったが、果たしてこれは愛なのかどうなのか…少女が自分の性癖に目覚め、求め合う2人がたまたま老人の少女だった、としか私には読み取れず。文庫本にも解説が載っていなくて残念だったので、解説がほしいなぁと思いました。映画も観てみたいです。

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    2022年03月20日
  • まぶた

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    不思議な本だった
    現実では有り得ないことなのに、読んでいるのは日常の1場面ですごい不思議な感じになった。
    【バックストローク】って国語の教科書に載ってるのかな?
    この話が個人的には1番好き

    こちらの1冊を教えてくださったブクトモ様に感謝☆

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    2022年02月28日
  • 凍りついた香り

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    小川氏の作品にしては輪郭がはっきりしていた様に感じた。
    しかし透明感のあるゼリーにコクのあるバターを包んでる感じはしっかりある。

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    2022年02月23日
  • ホテル・アイリス

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    究極の愛なのか、狂気の愛なのか。
    小川洋子の新たな境地がここに始まる。
    私の個人的な意見としては、究極のマゾヒズムと、どこか日本っぽくない文章の甘美さ、官能小説の
    ような荒々しいエロスじゃなく、芸術に満ち溢れたエロス。すべてが詰まっています。
    映画化されたみたいなので、ぜひ見に行きたいです。

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    2022年02月18日
  • 世にも美しい数学入門

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    数学の偉大な部分や美しさ、それらについて、藤原正彦先生と小川洋子さんの対談が描かれています。
    数学が嫌いになりそうな人に読んでほしい一冊です。

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    2022年02月14日
  • ボタンちゃん

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    なんとなく、いつも冬になると読みたくなる絵本。

    たぶん、コートに付いてるボタンちゃん…ってことで冬を連想するのかなぁ⁇

    ボタンちゃんのなかよしは、ボタンホールちゃん
    ふたりは、いつもいっしょ。
    ボタンちゃんが ころがった先に 見つけたもの。
    そこには、忘れられた 思い出のものたち。

    ガラガラ よだれかけ ホッキョクグマ

    すべて思い出の箱へ。

    こどもの成長ってほんとうに早い‼︎

    あの頃を忘れないで…。

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    2022年02月10日
  • 偶然の祝福

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    穏やかな語り口なのに、どこかぞくっとさせる不穏さをはらんでいて、癖になります。
    どの物語も短く読みやすいので、通勤時間や待ち合わせの間などにさくっと読むことができます。

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    2021年12月27日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    山極さんと小川洋子の対談、まるでNHKのスイッチインタビューのようだが、ゴリラに生きることの根本を見つつ我々の存在そのものを問い直す、洞察に満ちた対談。

    タイトルが素晴らしい

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    2021年11月16日