小川洋子のレビュー一覧

  • 薬指の標本

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    2つの作品が収録されている。共通して出てくるのは、"案内板を出したり宣伝をしなくとも、その場所を必要とする人々は導かれるようにそこを訪れることができる"という空間。日常のなかにひっそりと存在し、必要としてくれる人を待ち続けるという慎ましさが小川洋子さんならではの感じ。

    「薬指の標本」はとくにディープでフェティッシュな感じ。

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    2025年07月26日
  • 最果てアーケード(1)

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    ネタバレ

    最果てアーケード(1)

    とある街の古いアーケード商店街。中古レース屋、剥製用の義眼屋、紙屋・・・こだわりの品をそろえた商店が入っているアーケード。
    そのアーケードの大家の女の子と店子、お客の物語の短編集です。徐々に大家さんの過去や明らかになっていくのですが、それはネタばらしになるので読んでみて下さい。
    原作が小川洋子氏ということで手に取りました。物語は小川さんなのですが、どうもしっくりこない。気づいたのは、竹蔵は小説を文体やリズムで好き嫌いの判断をしているようだということ。小川さんの独特の文体ではないのが違和感の正体かな?
    いづれにしても、登場人物や各エピソードの内容ほど全体的に面白く感じな

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    2025年07月25日
  • 妊娠カレンダー

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    密に関わっている他者ではなく、自分からは遠い存在の他者を通して、自分というものを映し出す。そんな作家性を感じた作品たちだった。

    台詞回しが独特で、描写は身体的なものが多いので、なんとなくなじめなさがある。

    自分の心に秘めておく分にはちゃんとした背景のある悪意も、それを言葉にしたり公にしたら、途端にとてつもなく悪いことのように感じるかも。
    他に選ぶ道がないと思っている時、自分の中に潜む黒い気持ちなんて誰かに言おうと思わないよなあ。

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    2025年07月17日
  • 薬指の標本

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    この人の小説は常に、ひんやりした闇の中に、じっとり湿った生温かさみたいなものを感じる。決して派手でも明るくもない地下室みたい。
    そして、本人に自覚があるかどうかは別として、元来ヒトってみんなそうだよなと思う。

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    2025年07月15日
  • 凍りついた香り

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    母と子の少し歪んだ関係って、どこにでもあるよね。
    母ってどうしてもどこか気持ち悪さを孕んだ存在だと思う。
    小川洋子さんの紡ぐ文章は、どこかひんやりとしていて、静かで、落ち着く。情が熱すぎず、それがとても心地いい。と、どの作品を読んでも感じます。
    心が疲れた時によく効きます。

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    2025年07月02日
  • 人質の朗読会

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    はじめの一文から小川洋子ワールド全開だった。
    "そのニュースは地球の裏側にある、一度聞いただけではとても発音できそうにない込み入った名前の村からもたらされた。"

    8人の人質と、1人の特殊部隊通信班隊員によって語られた9つの物語。他人からするとなんてことのない、人生のほんの一部の光景。それが当人にとっては色褪せることのない特別な記憶だったりする。
    「冬眠中のヤマネ」がよかった。

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    2025年06月29日
  • 約束された移動

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    短編集。大袈裟な職業ではないがそれぞれがその職務と意義を大切にしている。
    他の人から見たら異色に感じられる行動も見られるがそんなことにはお構い無しの強い意志、というよりそうするべきだという思い込みを持つ人は小川先生の作品によく登場する。

    「巨人の接待」が好き。きっちり仕事してくれる人に心を許してくれるというのが、読んでいて気持ちが良い。

    解説の藤野可織先生の言葉が的確で、深く頷きながら読んだ。

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    2025年06月24日
  • 遠慮深いうたた寝

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    かわいい表紙に惹かれて購入しました。
    一つ一つが短いので、寝る前の少しの読書時間にちょうど良かったです。

    小川洋子さんの作品は、ほとんど読んだことがないのですが、このエッセイで阪神ファンだったり推しがいたり、私が勝手に今まで小川さんに持っていたイメージと違う一面がたくさん知れて、面白かったです。

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    2025年06月20日
  • 約束された移動

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    どこか不穏な感じや不安定な感じを漂わせながらも、一定の品格や清々しさを決して失わない表現は、いつもと変わらずそこに感じられる。
    その上で1つの事を粛々と全うする様や、移動という表現でもたらされる人生の流れや事柄。そしてそこで生まれる自分でしか分からない、素晴らしい感覚。それを誰にも伝えたり表現する事なく噛みしめる行為。
    読むうちに、私もその中に織り混ざって、なんだか穏やかに心地いい気分になる。

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    2025年06月12日
  • 薬指の標本

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    2編共、どうしようもなく閉ざされた感覚、よるべなさ、あたたかい感情とさみしさが共通している。

    読み終えるとずうんと気分が落ちてしまうから、夜に読むのは要注意だなと思った(私の場合)。

    小川洋子作品は、脇役たちのほうがあたたかい不思議。

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    2025年06月11日
  • ブラフマンの埋葬

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    ネタバレ

    懐いていただけに最後がさみしいです。世界観はあまりわからなかったですが、ブラフマンが可愛い。どんな姿をしているのか想像するのもちょっと楽しいです。

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    2025年06月08日
  • 耳に棲むもの

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    骨壺 鳥の死骸 心中 座敷牢 遺体 犬の死骸 溺死…
    数えきれないほどのマイナスワード。
    狂気に満ちた話がつながっていく。
    補聴器の耳の中では外界では聞こえない音が静かに聞こえてくるのかもしれない。
    マイナスワードの傍ら、星 収穫祭 カルテット 小鳥のさえずり プラスワードが安堵させてくれる。

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    2025年06月08日
  • 妊娠カレンダー

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    ネタバレ

    【妊娠カレンダー】
    主人公は大学生の妹。姉夫婦と一緒に住んでいる。心が脆い姉が妊娠。
    大きな病院ではなく,近くの産院で出産するという。そこは幼い頃姉と裏から中庭に入り込んで遊んでいた古い病院。窓から覗いた器具や、3階の病室の窓辺にいる女が記憶にある。
    姉のつわりが酷くなってくると、色んな我儘を言い出す。食べるのも,家の中の匂いも。
    姉がいる時にご飯を作れないし、食べれなくなる。
    急にふっと長く続いたつわりが終わった。
    途端にいろんなものをたくさん食べるようになってしまった。
    仕事で大量に貰ったグレープフルーツを皮ごとジャムにすると,姉はパンにつけずジャムそのものもを食べてしまう。グレープフルー

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    2025年06月02日
  • 耳に棲むもの

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    今読んでいる で登録しましたが
    この先 たぶん読まないでしょう。
    静かな狂気の短編集です。
    最初の2つの話しも うーん!
    というはなしでしたが
    飼っている小鳥を生きたまま飲み込んで自殺する話しは 相当な狂気です。
    気持ち悪ーい!
    おまけに そのお宅 沢山の鳥籠の下が
    鳥の羽やふんが 空気中を飛び交っていて
    そこでお茶を頂く
    それも気持ち悪ーい!
    この小鳥のブローチを読んで この本は諦めました。
    素敵な表紙の本でしたが。
    小川洋子さん どうしたの?
    怪談話?ゆっくりと狂っていく感じが怖い!

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    2025年05月30日
  • まぶた

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    死にたい夜のお供に、小川洋子さんの作品は
    最適解な気がする。

    パラレルワールドのようなファンタジーに浸かり、
    純粋な人々の揺らぎに身を任せる心地よさ。
    いつしか自身の心も落ち着いている。

    個人的に、村上春樹先生のファンタジー感と似てる気がするんだが。
    この発言は各方面のファンからぼこぼこにされそうだけど。

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    2025年04月27日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    短編9つ。こういうグロテスクで美しい物語は夜に静かな部屋で読みたい。

    身体的にアンバランスな登場人物が多い印象。
    そして皆素直でまっすぐなことがまたパラレルへと誘われる。(現実だとどこか性格や認知が歪んでしまいそう)

    星新一のショートショートや、
    村上春樹のファンタジーを混ぜて
    グロを3滴、淡々綴った、みたいな印象。

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    2025年04月26日
  • 琥珀のまたたき

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    世間から隔絶された世界に生きる家族の物語は想像を絶するものだったが、そこに出てくる宝石や羽などのモチーフがその世界の壮絶さと乖離しており、美しいイメージさえ受けた。この兄弟の生活がどのようなことを象徴しているのかをもう少し考えたい。

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    2025年04月24日
  • 偶然の祝福

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    相変わらず天才。
    頭で構成云々して生み出せる代物じゃない。
    途中で連作と気づく。

    「本当に言葉の感触が、舌から伝わってくるのです。」の表現に唸る。

    必然かもしれない不思議な出会い、
    抗えない流れと抱える続ける空虚•やるせなさ、
    ひと匙のサイコ、って感じの話。
    それを品の良さで包括している。
    この包括が職人芸なんよな。

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    2025年04月23日
  • 海

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    全体的に死の気配がなんとなくするのが好きです。強烈じゃないところがまた。ちょっと不思議でやさしくてうつくしくて切ないお話が多かった。あとエロス。とくに好きなお話は「ガイド」「ひよこトラック」「缶入りドロップ」です。自分の思い出に題名をつけてもらうのはわたしもやってもらいたいと思いました。

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    2025年04月13日
  • 耳に棲むもの

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    不思議な感覚の中で読み進めた。
    補聴器のセールスマンだった父の骨壷から出てきた4つの耳の骨。カルテット。
    「骨壷のカルテット」が特に好き。
    『耳の中に棲む私の最初の友達は涙を音符にして、とても親密な演奏をしてくれるのです』

    装丁も挿絵もかわいく品があり素敵。

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    2025年04月13日