小川洋子のレビュー一覧

  • やさしい訴え

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    描写がいちいち悲しくて泣きそうになる感じ、これが私にとっての小川洋子かも。冷静に考えると瑠璃子は突然やってきて新田を手に入れたり顔で振る舞う、不幸な割に図々しい関わりたくないタイプの人で共感はできなかった。夫婦関係の悪化のせいで壊れてしまったのかな。愛する薫との北海道行きを辞めた新田の心の内も知りたくなる。瑠璃子視点でしか描かれない寡黙な新田氏、いまいち掴めなかった。楽器職人って、指先と視線が色気あるんだろうな。 ひとまず私もグラスホッパーの奥さんに胸の中で慰められたいよーと思った。

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    2026年03月15日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    温かな眼で日常を掬い取り、物語の向こう側を描く、大好評エッセイ集『遠慮深いうたた寝』第二弾。
    前作で装丁が素敵すぎて大優勝だったのだけれど、今回も同じでとても良い。陶器のようなつるっとした感じで珍しい。小川洋子さんの静かで穏やかなまなざしが透けて見えてくるエッセイで、読んでいるとこちらの心も落ち着く。子供や動物など小さきものへの優しい目にほっとするな。ハプニングがあって演劇の前に人助けをした筆者のエピソードがとても印象に残っている。こういう優しい人だけで世界が構成されていたら戦争なんて起こらないのだろう。物語を作る側の苦労はとても計り知れないけれど、これほどの有名な作家さんでも本当にもがきなが

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    2026年03月14日
  • 薬指の標本

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    ふと目にとまって、寝不足のはずなのに、寝る前に。
    不思議な読後感のある作家だ。

    <本人の意思や努力によって運命を切り開けると信じている人もいるかもしれません、けれど、意思や努力が既に運命なのだと、わたしは感じます>

    印象に残った一節。

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    2026年03月12日
  • ことり

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    物語としては大きな出来事があったり、事件が起こったりということはなく、とても静かな物語なのですが、「小鳥の小父さん」と呼ばれた人の生涯が小鳥とともに描かれていて、小川洋子さんの手にかかればとてもささやかな日常の一つ一つが本当に鮮やかに美しいものだと感じさせてくれるので、一文も読み落としたくなくてかなりゆっくりと読み込みました。
    切なく、少し哀しい物語ですが、人の温かさや優しさが心に染みるとてもいい作品に出合えました。

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    2026年03月04日
  • ことり

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    社会とのつながりに疎い人間が急に社会と繋がった時に、それが想いのほか刺激的だった時に取る行動に私は、ちょっと気持ち悪いなと感じてしまいました。また、周りの人たちの身勝手さと言うか思いやりのなさに、社会、人間の狂気を感じました。
    だからこそ小父さんは鳥と過ごしたのかなぁ思うと、終わり方は良かったと思います。

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    2026年03月03日
  • ミーナの行進

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    最初から期間が定められた中での物語。

    突飛な出来事があるわけではないけど、少し不思議な環境であり、わずかな不穏さも漂っている。この独特の雰囲気が物語を読ませてくる感じ。

    ポチ子にみまもられ、見守る物語だった‥

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    2026年03月02日
  • ことり

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    小鳥が人生の全てだった兄と、その弟で主人公である「小鳥の小父さん」の一生を描いた物語。
    私は、お兄さんが亡くなってから、小父さんの本当の人生が始まった気がした。兄との記憶を辿りつつ、自分自身の拠り所を見つけようとする姿を見て、小父さんが平穏に生きられるようにと、祈りながら読み進めた。
    小父さんの最期は、きっと幸せだったんじゃないかと思う。

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    2026年03月01日
  • サイレントシンガー

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    小川洋子氏の小説は
    なんでこんなに静かで美しいんだろう

    特別ななにかではなく
    たとえば海辺で見つけるシーグラスのような
    ふと気づく美しさのような

    静かな森の静かな人々は
    ファンタジーのようなのだが

    自動車で出かけたり
    CMの歌入れなどの仕事があったりと
    現代的な現実的なものもあり
    不思議と隣り合わせなのだ

    どこか知らない世界のようでいて
    この世界だし
    知らない人々のようで
    私達のようでもある

    この不思議な小川洋子の世界が私は好きなので
    映像化はしなくていいです

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    2026年02月25日
  • からだの美

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    小川洋子さんの美しいと思うもの
    スポーツ選手のパーツから動物、カタツムリの殻にまで
    とりわけ「ハダカデバネズミの皮膚」には驚かされる
    「ハダカデバネズミが、小説の中で自分が作り出した動物だったらよかったのに」には笑った
    なんて「作家」!
    矜持なき美はないのだと、
    誰よりも美しい文章を紡ぐ作家の目が言っていた

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    2026年02月25日
  • 妊娠カレンダー

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    不穏な雰囲気の中でも、描かれる風景、モノのようすが精緻で美しさを感じる。読後の想像を掻き立てる3編。

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    2026年02月18日
  • 妊娠カレンダー

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    ★★★ 読めてよかった

    妊婦の妹、大学生の甥に古巣の寮を紹介する叔母など、主役ではない人々の短編集。彼らは物語の本筋に踏み込めないから、ストーリーの中で生じた出来事について、全てを説明する視座を持たないのがもどかしい。
    しかし過去の回想の描写は懐かしさを感じさせ、こちらにもセピア色の景色が見えるようだった。

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    2026年02月16日
  • 貴婦人Aの蘇生 新装版

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    文庫本の帯によるとこの作品は“硬質な文体で描かれた初期の傑作”らしい。
    硬質な文体、か。小川洋子さん作品にあまりそういうイメージは持ってなかったけど、言われてみればたしかに。無機質な感じ、乾いた感じ。

    読んでいるうちにいつの間にか、自分が“距離を保って舞台袖から結末を見守る関係者”みたいになっていたりする。

    感想書くのが難しい不思議な読後感。どこかアンバランスながら、成り立っている。小川洋子ワールドだなって感じ。

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    2026年02月16日
  • 琥珀のまたたき

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    ネタバレ

    ●どこか海外の風景が浮かぶようなファンタジーのようなおとぎ話のような不思議な世界観なんだけど、時々現実が垣間見えて息苦しくなる。
    ●三者三様のこの生活に対する違った思いがあって、特にオパールは外の世界で普通に育ってきたんだから状況もわかってただろうしそりゃ逃げ出したくなるよね。琥珀は逆に一生囚われてしまって本当に可哀想だと思った。

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    2026年02月13日
  • サイレントシンガー

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    静謐という言葉がこれほど似合う小説はない。沈黙は信仰で、歌は祈りのようである。この閉じられた静かな世界が続くことを願う。

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    2026年02月11日
  • ことり

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    切なくて暖かい物語。孤独を抱えながらも自分のやるべきことを見出して人生を歩む姿が印象的だった。もう一度読みたくなる。

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    2026年02月08日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    めちゃくちゃファンタジーなのですが、文章が読みやすく、登場人物たちのイメージが湧きやすかったです。さらに挿絵なんかもあると、もっと小説の世界観に入り込めた気もしますが。チェスのルールを知っていたら、もっと楽しめたと思います。それこそ、リトル・アリョーヒンに教えてもらえたなあと。

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    2026年02月08日
  • アンネ・フランクをたずねて

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    アンネの隠れ家生活の支援者であったミープさん宅を訪問したおり筆者がミープさんにサインをお願いしてもらった文章、
    〝…… we were no heroes, we only did our human duty, helping people who need help.〟
    「…… 私たちは英雄ではなく、助けを必要とする人々を助けるという人間としての義務を果たしただけなのです。」

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    2026年02月08日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    チェスを通して主人公リトル・アリョーヒンの生き様を感じた。生まれた時から口が開かず手術を迫られたり、また十一歳のまま成長が止まるなど、人とは違う経験を経て、どのような気持ちでチェスに向き合っていたのだろうと想像すると興味深いです。

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    2026年02月07日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    幼い子に読み聞かせた絵本「てぶくろ」がウクライナ民話であることを思い出させてくれた。いま人びとに大切なことが、、、

    『どんなに小さなてぶくろでも、求める者があれば喜んで分け合おうとする精神があり、それを文学の形で受け継いできた事実だけは、厳然として存在している。子どもの手で持てる薄い絵本の中に、尊い真理が詰まっている』

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    2026年02月06日
  • 妊娠カレンダー

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    妊娠カレンダー

    小川洋子さんの端正で美しい文体にひれ伏してしまう。姉の、妊娠によって心も体も本来の様子から変わっていく姿を妹の視点から語られている。冷めたような、しかし愛着と嫌な感情のどちらもがジャムのように煮えて渦巻いているような、妹の複雑な感情が描かれる。複雑な感情を、複雑な感情のままで主観的に見せられる。愛による生命の誕生の過程という尊く美しく描かれがちな妊娠と妊婦の、暴力性とグロテスクさが垣間見える。

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    2026年02月03日