小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
異様な状況なのに、どこか温かみのある不思議な雰囲気。本の中に確かに彼らの生活があって、壁の中のママ、オパール、琥珀、瑪瑙の密やかな生活をそっと静かに覗きたくて本を開いていた。
家族の絆というと安い表現だけど、家族だから成せた温かい日々だと思う。家族って不思議。
ママが”図鑑のモデル”でいるために、毎月スターに扮するシーンが印象的。たった数時間、ほんの一瞬の高揚感で1ヶ月じっと個性を押し殺して生活するなんて、私にはできない。家族を守りたいという母親の底深い執念を感じた。それとも父親からの愛を忘れられずに図鑑のモデルを演じ続けていたのかな。
後半ちょっと読みつかれちゃったので、星3 -
Posted by ブクログ
薬指の標本というタイトルだけで、薄気味悪い、もしかして猟奇的か、小川洋子作品だし、さてさてと読み進めるうちに、どこか自分にもこんな気持ちがあるのかも、と思わせられたら、作者の術中にハマってしまったことになる。
短編2作めの六角形の小部屋にしても同じ感じで、カタリコベヤって何なんだよ、そうかそういう漢字なのか、だから部屋の中で一人で語るのか、そんなやつはいるのか、と思いながら自分なら今日は何を話すのだろうと考える。
薄い文庫本に2篇の短編小説が含まれている、という体裁から奥が広くなっているような場所にいる感じすらした。広い場所と感じたのは自分で感じた空想なのか、ほらまた一歩ずつ作者の世界に引き込 -
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ネタバレ少年
リトル・アリョーヒン。チェスプレーヤー。
祖母
祖父
弟
インディラ
象。三十七年間、デパートの屋上で子供たちに愛嬌を振りまきながら一生を終えた。
ミイラ
ボックス・ベッドの壁と壁に挟まって出られなくなった少女。
マスター
バスの中に住む男。
ポーン
マスターが飼っている猫。
アレクサンドル・アリョーヒン
伝記上のプレーヤー。ロシアのグランドマスター。
事務局長
パトロンの令嬢
ミイラ
広い額に尖った顎、黒々とした瞳とカールした睫毛、潤んだ唇、真珠色の肌、耳の脇で二つに結ばれた真っ直ぐな髪。パシフィックホテル専属の手品師の娘。
総婦長
キャリーバッグ老人
老婦