小川洋子のレビュー一覧
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アンネ・フランクへの旅、の数篇は、実際に現地へ赴き、目にしたもの感じたものを実直に描かれており心に響いた。
同じユダヤ人でも、列車に乗せられ殺された者もいれば助かった者もいる。
生き延びた人達は本来有難く、喜ぶはずだが、なぜ自分は生き残ったのか、と疑問を抱き、自身が獲得した 生 を後悔し憎むようになる。生きながらも自分自身を責めている。これは辛い。
これが戦争、ひいては虐殺の後遺症ではないか。
人間らしい感情、価値観を混乱させ、後々の人生にも甚大な悪影響を及ぼす。
甲子園球場や列車など、沢山の席がある場所で、混乱せず皆自分の席に座れるのは、「数字」があるからだ。
→この考え方は斬新だ。 そ -
Posted by ブクログ
ネタバレ夜明けの縁をさ迷う人々
収録作品は以下の通りです。
曲芸と野球、教授宅の留守番、イービーのかなわぬ望み、お探しの物件、涙売り、パラソルチョコレート、ラ・ヴェール嬢、銀山の狩猟小屋、再試合
どの物語も、正常と異常の縁をさまよう人の物語です。曲芸、エレベーター、楽器、全集など各短編ではガジェットが異なりますが、それらに執着するがゆえにバランスを踏み外して、縁をさまよっていた人々はその執着するものの引力に引き寄せられ、崩壊します。もう一つ共通しているのは、ぬるりとしたエロティズムでしょうか?ふとした言葉で垣間見られる隠微さ。
印象的だったのが、野球ではじまり野球で終わるという構成。野球というもの -
Posted by ブクログ
読み始めた瞬間、二つの結末を想像した。あるいは二つは両立するかもしれないとも。
ひとつは、主人公の男がこの世界に取り込まれて抜け出られなくなること。
もうひとつは博物館は完成する前に瓦解すること。ひとつは外れ、ひとつは当たった。
殺人事件の話は夾雑物だと感じ、これがなければもう一ランク上の評価にしたかもしれない。
/博物館専門技師である「僕」は老婆の依頼に従って村の住人の形見を集めた博物館づくりに勤しむ。そのためには死者が出たときその者を象徴する形を盗み出さねばならない。
/中央広場で爆発事件が起こり少女は大怪我をする。左頬に星型の傷が残る。
/連続殺人事件。どうやら主人公は容疑者になってい