小川洋子のレビュー一覧

  • 薬指の標本

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    2篇とも主人公の自己肯定感の低さやうっすらとした希死念慮を感じる作品でした。

    私はこれら作品から、アクシデントをきっかけに人生計画が頓挫した主人公が死に場所を求めているという共通したイメージを抱きました。

    うっすらと思い描いていた人生計画が崩れたときに、ある種の枷が外れたと開き直り、次のプランに向けてバイタリティを高めることは容易ではないと思います。そのため共感できる人も多いのではないでしょうか

    これらの作品に美しさや救いを感じるには私はまだ幼く元気すぎました。

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    2025年06月03日
  • 人質の朗読会

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    ネタバレ

    タイトルを忘れて読む、

    人質にされた人たちの間で共有し合ったストーリーの記し。

    ふつうの人たちの、ちょっと不思議な思い出話。

    こんなふうに、みんなのひとりひとりの話なんて全部聞いてられるはずがないけれど、

    聞いてて、読んでて飽きない、というか、

    もっと知りたくなってしまう不思議。

    人質になったから語られたのか、

    とにかくこの世の中はたくさんの思い出たちでいっぱいなんだろうなー。

    その多くは語られることはなく、伝えられることはなく…

    だからこそ、わたしが聞き出してみたい、と思ったりするのかな。

    もっと話して、っていいたくなるような、

    そんなストーリーが、現実の身の回りにもた

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    2025年06月02日
  • 妊娠カレンダー

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    ネタバレ

    【妊娠カレンダー】
    主人公は大学生の妹。姉夫婦と一緒に住んでいる。心が脆い姉が妊娠。
    大きな病院ではなく,近くの産院で出産するという。そこは幼い頃姉と裏から中庭に入り込んで遊んでいた古い病院。窓から覗いた器具や、3階の病室の窓辺にいる女が記憶にある。
    姉のつわりが酷くなってくると、色んな我儘を言い出す。食べるのも,家の中の匂いも。
    姉がいる時にご飯を作れないし、食べれなくなる。
    急にふっと長く続いたつわりが終わった。
    途端にいろんなものをたくさん食べるようになってしまった。
    仕事で大量に貰ったグレープフルーツを皮ごとジャムにすると,姉はパンにつけずジャムそのものもを食べてしまう。グレープフルー

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    2025年06月02日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    狭く閉じられた場所が自分の居場所であることを受け入れ、一方で目の前の8×8のチェスの盤から広がる無限のような世界で勝つためでなく美しく進もうとした主人公の軌跡。チェスの醸し出す将棋とはまた違う色合いも新鮮。

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    2025年05月30日
  • 耳に棲むもの

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    今読んでいる で登録しましたが
    この先 たぶん読まないでしょう。
    静かな狂気の短編集です。
    最初の2つの話しも うーん!
    というはなしでしたが
    飼っている小鳥を生きたまま飲み込んで自殺する話しは 相当な狂気です。
    気持ち悪ーい!
    おまけに そのお宅 沢山の鳥籠の下が
    鳥の羽やふんが 空気中を飛び交っていて
    そこでお茶を頂く
    それも気持ち悪ーい!
    この小鳥のブローチを読んで この本は諦めました。
    素敵な表紙の本でしたが。
    小川洋子さん どうしたの?
    怪談話?ゆっくりと狂っていく感じが怖い!

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    2025年05月30日
  • まぶた

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    どの物語も、清々しく美しくて、清潔感が有る。前半は、その清潔感の裏に潜む、捉えようの無い不穏な空気や、どこまで深いか分からない闇、恐怖に似た冷たい感覚が際立って押し寄せてくる様な物語。
    後半は逆に、その清潔感を使い古されたモノや老いた人間の中にも写し込み、決して新品や綺麗で皺一つないものからは醸し出せない奥行きを表現していて、温かみを感じる物語だった。

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    2025年05月30日
  • 人質の朗読会

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    いわた書店の一万円選書で選んでいただいた本。

    他人にとっては取るに足らないことでも、本人にとっては印象深い特別なできごとが誰にでもひとつくらいあるのではないか。

    未来ではなく、過去に目を向けるとき、自分は何を思い出すのだろう。

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    2025年05月10日
  • まぶた

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    死にたい夜のお供に、小川洋子さんの作品は
    最適解な気がする。

    パラレルワールドのようなファンタジーに浸かり、
    純粋な人々の揺らぎに身を任せる心地よさ。
    いつしか自身の心も落ち着いている。

    個人的に、村上春樹先生のファンタジー感と似てる気がするんだが。
    この発言は各方面のファンからぼこぼこにされそうだけど。

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    2025年04月27日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    短編9つ。こういうグロテスクで美しい物語は夜に静かな部屋で読みたい。

    身体的にアンバランスな登場人物が多い印象。
    そして皆素直でまっすぐなことがまたパラレルへと誘われる。(現実だとどこか性格や認知が歪んでしまいそう)

    星新一のショートショートや、
    村上春樹のファンタジーを混ぜて
    グロを3滴、淡々綴った、みたいな印象。

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    2025年04月26日
  • 琥珀のまたたき

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    世間から隔絶された世界に生きる家族の物語は想像を絶するものだったが、そこに出てくる宝石や羽などのモチーフがその世界の壮絶さと乖離しており、美しいイメージさえ受けた。この兄弟の生活がどのようなことを象徴しているのかをもう少し考えたい。

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    2025年04月24日
  • 偶然の祝福

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    相変わらず天才。
    頭で構成云々して生み出せる代物じゃない。
    途中で連作と気づく。

    「本当に言葉の感触が、舌から伝わってくるのです。」の表現に唸る。

    必然かもしれない不思議な出会い、
    抗えない流れと抱える続ける空虚•やるせなさ、
    ひと匙のサイコ、って感じの話。
    それを品の良さで包括している。
    この包括が職人芸なんよな。

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    2025年04月23日
  • 妊娠カレンダー

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    短編3篇。結構昔の芥川賞作品ですね。ラランドニシダが、本がボロボロになるまで読んだというので、興味を持ちました。
    自分は小川さんの作品は「博士の愛した数式」以降しか読んでいないのですが、いつも優しく、ふわふわとして、不思議なイノセンスを感じる、エンタメとも純文学とも言えないイメージを持っているのですが、本作品は、かなり純文学よりかなといった印象でした。
    それぞれの主人公たちは、社会性もあり、周囲ともうまくやっているはずなのに、孤独感がつきまとっている。
    表題作品の最後、「破壊された」という言葉が気になって仕方がない。

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    2025年04月19日
  • 海

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    全体的に死の気配がなんとなくするのが好きです。強烈じゃないところがまた。ちょっと不思議でやさしくてうつくしくて切ないお話が多かった。あとエロス。とくに好きなお話は「ガイド」「ひよこトラック」「缶入りドロップ」です。自分の思い出に題名をつけてもらうのはわたしもやってもらいたいと思いました。

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    2025年04月13日
  • 耳に棲むもの

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    不思議な感覚の中で読み進めた。
    補聴器のセールスマンだった父の骨壷から出てきた4つの耳の骨。カルテット。
    「骨壷のカルテット」が特に好き。
    『耳の中に棲む私の最初の友達は涙を音符にして、とても親密な演奏をしてくれるのです』

    装丁も挿絵もかわいく品があり素敵。

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    2025年04月13日
  • 琥珀のまたたき

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    異様な状況なのに、どこか温かみのある不思議な雰囲気。本の中に確かに彼らの生活があって、壁の中のママ、オパール、琥珀、瑪瑙の密やかな生活をそっと静かに覗きたくて本を開いていた。
    家族の絆というと安い表現だけど、家族だから成せた温かい日々だと思う。家族って不思議。
    ママが”図鑑のモデル”でいるために、毎月スターに扮するシーンが印象的。たった数時間、ほんの一瞬の高揚感で1ヶ月じっと個性を押し殺して生活するなんて、私にはできない。家族を守りたいという母親の底深い執念を感じた。それとも父親からの愛を忘れられずに図鑑のモデルを演じ続けていたのかな。
    後半ちょっと読みつかれちゃったので、星3

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    2025年04月12日
  • 薬指の標本

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    ネタバレ

    「薬指の標本」
    脆く儚く、少しダークな雰囲気の作品。あとがきにもあったように、「体の消滅」ということが描かれていて、多分弟子丸さんに体をも委ねたいほど好意を抱いたっていう比喩だったのかな。最終的に標本室行っちゃうくらいだし…

    「六角形の小部屋」
    語り小部屋が実在したらいいのになー、と思った。こちらも少しダークで不思議な世界観だったな。美智男に抱きたかった感情が語り小部屋やミドリさん、ユズルさんに向かったんじゃないかという考察を見てすごく腑に落ちた。

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    2025年04月07日
  • 耳に棲むもの

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    奇妙でダーク、なのに何故か神秘的にも感じれる言葉
    不気味な描写なのに何故か心を掴まれる
    はまってはいけない沼にひきずりこまれるような

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    2025年03月31日
  • 薬指の標本

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    薬指の標本というタイトルだけで、薄気味悪い、もしかして猟奇的か、小川洋子作品だし、さてさてと読み進めるうちに、どこか自分にもこんな気持ちがあるのかも、と思わせられたら、作者の術中にハマってしまったことになる。
    短編2作めの六角形の小部屋にしても同じ感じで、カタリコベヤって何なんだよ、そうかそういう漢字なのか、だから部屋の中で一人で語るのか、そんなやつはいるのか、と思いながら自分なら今日は何を話すのだろうと考える。
    薄い文庫本に2篇の短編小説が含まれている、という体裁から奥が広くなっているような場所にいる感じすらした。広い場所と感じたのは自分で感じた空想なのか、ほらまた一歩ずつ作者の世界に引き込

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    2025年03月31日
  • 妊娠カレンダー

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    だいぶ昔に読んだ本です。確か、芥川賞をとった作品だったかな。妊娠している姉に、悪阻に良いからと、防腐剤が母子に悪影響を及ぼす可能性があるグレープフルーツを搾って飲ませてた話だったと記憶しています。読後感がゾッとしすぎていて、そういうのが好きな人には良いかも知れません。

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    2025年03月30日
  • 耳に棲むもの

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    父の4つの耳の骨から、父の辿った人生を垣間見る。不気味でありながら、カルテット(4つの骨がぶつかり合ってこだました)の美しい音の調べが漂ってくる。最後の編は父の生い立ちのようで、それが各編の父の足跡に繋がっている。父が関わった人達はまるで内耳のなかでひっそり生きてきた、そんな感じの人達だ。

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    2025年03月30日