小川洋子のレビュー一覧
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3.2
妊娠に対して、周りが着いていけないという感じだろうか…?
妹の行動、分からなくもない。共感はできないし、自分ではそういう行動をしないと思うけど、理解できる。分かる。
当たり前のことかもしれないけど、妊娠は素晴らしいものだと思う。
できるだけ、多くの人に祝福されて生まれて欲しいと思う。不幸になれとは思わない。
だけど、必ず祝福の言葉を紡がないといけない空気はなんとなく苦手。
新しい生命の誕生に、感動と不思議がごちゃまぜになって、祝福よりもなんとも言えない気持ちが勝る気持ちも分かります。
2つ目は読んでいて、ゾクゾクと恐ろしかった…
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Posted by ブクログ
3つのお話が入った短編集。さり気なく、それでいて印象的に登場する"食べ物"が3作品の共通点。タイトルにもなっている『妊娠カレンダー』が個人的には一番胸の奥にスッと入って来た。
もともと精神疾患を患っている上に、妊娠によってメンタルや体調の不良で周囲に当たり散らす姉に対し、徹底して優しい妹。理不尽に行動を制限されても、不満を抱えることもなくさらっと受け流せるし、その状況の中に楽しみを見つけられるくらい心が凪いでいる。
妊娠や出産をする予定がなく興味もない自分と重なる部分を感じた。荒ぶる感情や理不尽、変化を前にして心が凪いでいられるのは「興味がないから」だと気付かされた。今後の生活に赤ちゃんが加わることに不安や嫌悪感も抱いていない、かといって楽しみでもない。その時その時の状況に適応していくだけのこと。
ただ、それとして正体不明の違和感や心にうまくハマらない何かがまったくのゼロというわけでもないのが人間で、自身の中にほんの一欠片あるそれと向き合わず見ないふりすることで、行動として現れてしまった無意識的に行う無意味の抵抗。 -
Posted by ブクログ
冒頭の、たまたま街中や喫茶店などで断片的に聞き取れた単語で、一体なんの話をしているんだろう?と想像を巡らせるのが共感すると共に例が著者独特で面白い。
「……うん、例の集会……とてつもない胆石……告白されたわ」
他、ジョギングの習慣、ミュージカルにハマっている話、芥川賞受賞の話、などが特に面白かった。
幸福な彼らp21
週に3日、近所の公園を十周
世の中の事情p26
夜のジョギング
骨抜きのジョギングp194
走ってる最中の頭の中は歌謡曲
もう一つの人生p59
映画「ラ・ラ・ランド」
大人になることp63
ミュージカル「ビリー・エリオット」
死者と聴くバッハp65
「ゴルトベルク変奏曲」
二次会へp151
芥川賞授賞式と二次会 -
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久しぶりに読む小川作品。
小川さんと言えば、静謐なのにどこか落ち着かない、そわそわした気持ちにさせられるような話が多いのだが、この作品は全体的には穏やかで温かい話だった。
勿論そんな中にも時折小川さんらしさが顔を出すのだが、最終的には優しく収まったように思える。
帝国劇場を舞台に、客、劇場関係者、劇場を外から見つめる人など様々なドラマを描く。
盲目の父が生前『屋根の上のヴァイオリン弾き』を観劇した理由とは
劇場の中にいるのにいない少年
チケットを譲ってもらえた人、買えなかった少女、買ったのに劇場に辿り着けなかった人
幕内係の役者たちを見守る姿
好運の椅子とその担当さん
付き人、通訳、楽屋係の三人が所属しているサークル
観劇中に産気づいた母とその時生まれた子供の現在
帝国劇場最後の日を迎えるまでの様々な人々の様子
小川さんの短編集には珍しく、各章同士のリンクもあった。あの人のあの行動はそうだったのかとか、あの人のその後はこうなるのかとか。
帝国劇場という異世界、現実とは違う舞台の中で生きる人、働く人、ひとときの夢を見る人、こうしたたくさんの人たちに愛された劇場だったのだということを再確認できた一冊。 -
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劇場で、舞台を創り上げる。私自身もダンスの舞台に立ったり、スタッフとして運営面に携わることもあり、公演は舞台上の主役、脇役のみならず、照明、アナウンス、案内係、受付、舞台監督、そして観客…と関わる人全てが一体となって創り上げる物だと感じていた。この作品は、舞台上の人以外にフォーカスした短編集で、なかでも、観に来てくださった方々のエピソードに心打たれた。小川洋子さんの語りが心地よいのか不思議と何度か寝落ちしながら読んだ。黒子が黒子に徹し切って自らが主役の人生を生きている様が良く。読みながら、何度か村山由佳さんのprizeを対比し思い出してしまった
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小川洋子さんの物語はいつも、御伽噺を読んでいるような気持ちになる。昔昔あるところに、そんな語り口が思い浮かぶ。
いつも思うのは、小川さんの作品では人と人は常に対等だなということ。たしかに子供は親に従うしかないことは多いけど、彼らにも主張することは主張する権利はある。その上で否定されることもある。すごく羨ましい。
色んな話の中で言葉をあまり発しない人物が描かれるけど、彼らは決して悲壮感はもっていなくて、周りの人もそれは1つの個性だと自然に受け入れる。言葉を急かさない。わたしも言葉を急かさない人になりたい。どうしても不安になってしまう。
自分で描いたキャラクターを小川さん自身が、迷惑な人とわらうのがとても良かった。 -
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小川洋子さんの最新作である『劇場という名の星座』の前に上梓された『掌に眠る舞台』が今回の一冊となる。
両作品とも劇場に纏わる人たちを綴った物語だ。
今回の『掌に眠る舞台』も相変わらず静謐で美しい描写ながら、どこか不穏な雰囲気が漂いながら、人間の孤独が描かれている8編からなる短編集だ。
この一冊に綴られた小川洋子さんの不思議な世界は、少々ホラー的恐怖感が潜んでいた。
表題に記されている「舞台」は、劇場の舞台のみならず、日常のある日の場面をも含んでいた。
物語の特徴として、物語の終わり方が共通していた。
ジ・エンドといった完結の仕方ではなく、その後の余韻を残して物語は終わる。
主人公のその後は読者の想像にお任せしますよと、作者の小川さんからバトンを渡されるような感じなのだ。
読者のその後の展開が、舞台の第二幕となる。 -
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読み終わって一番残念に思ったのは、自分が一度もチェスをやったことがないことだった。いくつかの種類の駒があり、それぞれに個性的な役割があり、王様を中心に周りを固めて守り、相手に攻め入る。そういうことでは将棋と似ているんだろうとは思うが、チェスの駒とテーブルの上で繰り広げられる様々なドラマを感じることができるのは、チェスの試合ならではだろう。
タイトルの猫と象はチェスの試合で重要な役割を果たしていくが、からくり人形と合わさってチェスを進めていく姿をイメージするのも難しい気がするけど、一番大事なのはチェスの棋譜から描き出される差し手の人生、歴史、感情、優越、落胆、緊張といったことだった。それを知るためにはやはりチェスを指してみないことには始まらない気がする。
リトルアリョーヒンとなった少年の成長が前半、チェスに関わってきた人たちの人生と老いが後半。物語は淡々と静かに、それでいて色々な驚きや喜び、悲しみを見せながら進んでいった。小さなチェスプレーヤーの活躍は面白かったが、やはりチェスを知らないと本当のところはわからないと思った。チェス博物館に行ってビショップの奇跡の展示を見たとしても同じ気持ちになるだろう。