小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ2016年、31冊目です。
動物と人間のふれあいみたいなことがモチーフかと思って読み始めました。
それは、心地よく見事に裏切られました。まさに小川ワールドという感じです。
ストーリーや文体そのものに、大きな感動や心を揺さぶるメッセージがあるわけではないのですが、自分の心の中にある様々な考えというか既存の感情の隙間に、じわっとしみ込んでくる感覚がします。
これは、私の小川洋子作品に対して共通して抱くイメージです。
この小説は、何かしらの生物が出て来る8つの短編が収められています。
「帯同馬」/「ビーバーの小枝」/「ハモニカ兎」/「目隠しされた小鷺」/「愛犬ベネディクト」/「チーター準備中」/「 -
Posted by ブクログ
動物にまつわる八篇の短編集。
動物と言っても犬や猫といった愛玩動物ではなく、馬、ビーバーの骨、兎の看板、小鷺、犬のブロンズ像、動物園のチーター、蝸牛、タツノオトシゴという最早動物ではなく物。
動物の関わり方も物語の中心を占めるものから物語自体には影響のないモチーフのようなものまで様々。
この作品でも小川洋子さん独特の世界が拡がる。
わたしが小川洋子さんの作品を読むといつも感じることは、“ひそやかな世界”ということ。
何もすることがない眠れない夜中、小さな声で囁くように誰からともなく誰にでもなく、何と言うことのないオチも何もない物語、聞いていてもいなくても構わない、ただ時間を埋めるために語られ -
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作家である「私」が創作活動の合間に起こる出来事や過去の回想を徒然なるままに綴る日記形式の物語。不思議なことが次々と起こる小川作品が凝縮したような作品。
山の中の温泉旅館のさらに奥、ひっそりと佇む苔料理専門店やただ物語のあらすじを話すだけの公民館のあらすじ教室。参加者がひとりずつ消えてしまっても集合時間を優先する現代アート展ツアー。
確かにおかしい何かが当然のように存在するので、むしろおかしいのはこちらなのではないかという錯覚さえ覚える。
さらには文体が日記であるという点と病院、母親、市役所、取材など現実のような単語が出てくるので事実と勘違いしてしまい、まるで明晰夢をみているようだった。
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Posted by ブクログ
高校の時に一度読んで、最近また読みたくなったので読んでみた。数学は大嫌いだったが、この本は楽しく読み進めていくことができた。目に見えないゼロを発見したインド人はすごいし、天才数学者の生まれる条件がまったく数学に関係無い事に驚いた。欧米人とアジア人では数学の受け入れ方が違うなど、自分の知らないことが沢山あっておもしろかった。ゲーデルが発見した「不完全性定理」、チューリングが証明した、真偽を判定できない命題であるかどうかを、チェックする方法はない という結果が一番びっくりした。論理を数学であらわすことができるんだなと感じた。目に見えない世界を数学であらわしていくんだから数学者はすごいと思った。
高 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小川さんの日常を綴ったエッセイ
とても控えめなお人柄が伺えます
書下ろしの「ジュウシマツの芸術」がお気に入り
鳥には興味がなかった小川さんがジュウシマツの生態に感銘を受ける件がいい
小川さんの「芸術」に対する考え方が伺える
ジュウシマツは求愛のために歌の練習をし本番に挑む
練習と本番では遺伝子の発現パターンが異なるらしい
さらに、究極の歌をうたうオスが出現する、そのオスは
メスには求愛せず、自分の歌に聞きほれ満足する
「求愛という目的が消え去り、ただうたうためだけの歌、つまり芸術がここに誕生する。(中略)孤独を愛し、より繊細な美を追い求め、いつしかそれを芸術にまで高めることのできる彼ら