小川洋子のレビュー一覧

  • ボタンちゃん

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    小川洋子さん初の絵本。ボタンちゃんというニックネームの子の話かと思いきや、まさかボタンが主人公の話とは。女の子のブラウスから取れたボタンが、おむすびころりんよろしく部屋の中をあちこち転がっては、タンスの裏側やベッドの下で、今では使われなくなり忘れ去られたモノたちに出会っていく。ボタンちゃんってば、励ましの達人。優しいタッチの絵がいい。

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    2015年11月27日
  • 世にも美しい数学入門

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    高校の時に一度読んで、最近また読みたくなったので読んでみた。数学は大嫌いだったが、この本は楽しく読み進めていくことができた。目に見えないゼロを発見したインド人はすごいし、天才数学者の生まれる条件がまったく数学に関係無い事に驚いた。欧米人とアジア人では数学の受け入れ方が違うなど、自分の知らないことが沢山あっておもしろかった。ゲーデルが発見した「不完全性定理」、チューリングが証明した、真偽を判定できない命題であるかどうかを、チェックする方法はない という結果が一番びっくりした。論理を数学であらわすことができるんだなと感じた。目に見えない世界を数学であらわしていくんだから数学者はすごいと思った。
    高校の時に数学の先生がよく、この数式は美しいと言ってたけど、その当時は数学の美しさがよくわからなかった。この本を読み返した今ならなんとなく分かるような気がする。数学が好きだったら、もっと感動することができたのかな…。

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    2015年11月07日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    エッセイ集。2006.10~2008.9『Domani』掲載。

    美しい日本語と、的確な言葉で綴られる日常。
    読んでいると、陽だまりで休んでいるような穏やかな気持ちなれる。

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    2015年11月04日
  • 最果てアーケード(2)

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    (2015-11-03L)(2015-12-27L)(2017-02-19)(2022-02-12)

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    2022年02月12日
  • 最果てアーケード(1)

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    7月26日は幽霊の日、ということでこの本を思い出しました
    もっかい読み直そうかな
    (2015-11-03L)(2015-12-27L)(2017-02-19)(2022-02-12)

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    2019年07月26日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    2008.6~2012.3『毎日新聞』掲載のエッセイ。

    文中より
    「こんなことをやって、何になるんだろう」と、ふと無力感に襲われるようなことでも、実は本人が想像する以上の実りをもたらしている。

    この言葉に励まされた。そうであってほしい。
    そして著者のエッセイに何度も顔を覗かせていた無邪気なラブ。ラブが出てくるたびに、そっと顎から頭を撫でている気持ちになっていた。ときに抱きつき、ラブに何かを許される気持ちになっていた。
    ラブのご冥福をお祈りします。

    2016.11再読

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    2016年11月18日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    小川さんの日常を綴ったエッセイ
    とても控えめなお人柄が伺えます

    書下ろしの「ジュウシマツの芸術」がお気に入り
    鳥には興味がなかった小川さんがジュウシマツの生態に感銘を受ける件がいい
    小川さんの「芸術」に対する考え方が伺える

    ジュウシマツは求愛のために歌の練習をし本番に挑む
    練習と本番では遺伝子の発現パターンが異なるらしい

    さらに、究極の歌をうたうオスが出現する、そのオスは
    メスには求愛せず、自分の歌に聞きほれ満足する

    「求愛という目的が消え去り、ただうたうためだけの歌、つまり芸術がここに誕生する。(中略)孤独を愛し、より繊細な美を追い求め、いつしかそれを芸術にまで高めることのできる彼ら。誰に自慢するでもなく、ひっそりとその美に酔いしれる彼らに対し、尊敬の念さえ湧いてくる。」

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    2015年10月25日
  • 原稿零枚日記

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    2015年の41冊目です。

    主人公である”作家”の私の奇妙な日常を、日記風に書き綴っています。小川洋子作品に欠かせないな「奇妙な職業」を持つ人を始めとし、「奇妙な料理」、「奇妙なツアー」が出てきます。日常の中に描かれている非日常的かる不思議な世界が、現実から読み手の意識を引き離していきます。引き離された意識が自分なのか?置き去りにした無意識が自分なのか?奇妙な世界から、「あなたは何者?」と問われている気持ちになる。
    苔料理店、ツアー参加者が次々に迷子になりながらも時間通りに進んでいく現代アートの祭典見学ツアー、物語の”あらすじ”をまとめるあらすじ係という職業、楽譜めくり係、、、。この奇妙な世界に入り込むと、自分の日常の平凡さが、実は、本当の姿ではないのでは?と思ってしまいます。

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    2015年09月16日
  • 偶然の祝福

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    基本的に人間は信じていない私ではあるが、それでも人生のどこかで誰かに助けられた場面があったことは認めざるを得ない。いかに人間嫌いな私でも、たった一人で生きてきたわけではない。普通の人は助けてくれる人というのは家族であったり恋人や友達であったりするのかもしれない。だが極端に知り合いの少ない私は、いざというとき力になってくれたのは、赤の他人であることが多かった。通りすがりの優しいおばちゃんや、名前も告げずに去っていったサラリーマン。よくぞあの時あのタイミングで、と奇跡を信じたくなるほどありがたい助けもあった。
     たぶん、世の中はそいういうふうにできているのだ。不幸と幸福のバランスがとれるように、なんらかの物理的作用が働くに違いない。
     だから、用事が終わった後煙のように消えてしまってもちっとも不思議ではない。たとえそれが恋人であっても。役目を終えて舞台から降りただけなのだから。

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    2022年09月27日
  • 世にも美しい数学入門

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    「博士の愛した数式」の小川洋子さんと、数学者の藤原正彦さんの対談集

    この本のすごいところは、入門として得られる知識について、地理的背景のほか、特に有名な人物や各種の定理・予想などの幅の広さにもあると思います。
    有名なフェルマー予想(サイモンシンのフェルマーの最終定理が詳しい)の他に、ゴールドバッハの予想(6以上の偶数はすべて2つの素数の和で表せる)という問題にも触れられていて、そこから、ゲーデルの不完全性定理(正しいとも正しくないとも判定できない命題が存在するということを証明)を提示し、 コンピュータの父であるチューリングによる、ある命題が真偽を判定できない命題であるかどうかをあらかじめチェックする統一的な方法がが無いということを証明という流れ等は、これだけで本になりそうなことをすっきりと紹介してくれています。

    この本を手に取った理由としては、「美しい数学」という言葉について、どういうことなのか?というシンプルな疑問から。本文では、最初に醜い例が示されており、「美しい」数式といわれるものの例が少しずつ順を追って示してくれています。

    醜い定理の例
    各桁の3乗を足すと本に戻るような1より大きな数は、何桁であろうと、153, 370, 371,407以外に無い。
    153 = 1*1*1 + 5*5*5 + 3*3*3

    もうひとつの醜い例として、藤原先生の見つけた定理。
    1729 を各桁を全部足して、その数値に逆転したものをかけると同じ数値になるというもの。これが全部で3つしかないという。
    1+7+2+9 = 19
    19*91 = 1729

    美しい定理としては、奇数の和が上げられていて、 1= 1*1, 1+3=4 = 2*2, 1+3+5 = 9 = 3*3,,,, 1+3+...+(2n-1) = n*n

    これをみると、「美しい」といわれるものは、シンプルな表記にまとめられるというのもあるのかもしれないなと。そして、「美しいものほど、なぜか有用性が高い」という言葉もあったので、数を表すための、式の普遍性や汎用性、シンプルな表記、そして有用性が高いということが「美しい」という言葉の使われかたなのかなという認識を持った。 

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    2015年08月18日
  • やさしい訴え

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    林の中にいるようで涼しくなれる物語。
    静かな気持ちになれる。
    ただ主人公が女くさくて、イマイチ好きになれないかも。ただ引き際は潔い。

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    2015年08月13日
  • アンネ・フランクの記憶

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    アンネ・フランクを辿る旅に出ることは、すなわち、過去の戦争と向き合うこと。
    小説家を志すきっかけとなったのがアンネ・フランクの日記だったという小川洋子さんが、アンネゆかりの地を訪ね歩いたときのエッセイだが、とても重い旅だったのではないだろうか。

    私の場合、ゴールデンウィークにアンネ・フランクの家を訪れたことから、もう一度アンネについて知りたいと思い、アンネの日記を再読し、小川洋子さんのこのエッセイを読み、そして映画「シンドラーのリスト」を観た。その結果、アウシュビッツには行っていないものの、あまりの悲惨さ残酷さに直面し、かなりの疲労感を感じてしまった。

    小川洋子さんも、旅立つ前にある程度予想はついておられたとは思うが、それよりも自分の原点となるアンネに会うために出かけられたのは、とても真面目な方だな、と思った。

    アンネもすごく喜んでいるのではないだろうか。

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    2015年05月24日
  • 科学の扉をノックする

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    「博士の愛した数式」などの作品で有名な作家、小川洋子氏が、それぞれ分野の違う7人の科学者たちを訪ねるという内容。

    文系の人が書いた自然科学の本ということで、科学本としては読みやすい部類に入る。
    ただ専門用語や若干複雑な説明も書いてあるため、理数系はからっきしだめという人には、ちょっと辛い部分があるかも。

    ただこの本の魅力は、単に科学に対する見識を深められるというところにあるのではない。
    そうではなく、小川洋子氏の科学への純粋な興味と、作家ならではの独創的な解釈。
    そういった単なる知識ではないところにこそ、この本の面白さがあると思う。
    だからこの本を読むときは科学の知識を理解する、理解しようとする必要はまったくない。
    身構えずに純粋、もっと言えば無心な気持ちになって読むのが良い。

    ところで、素人目線で科学を見るとどうなるか。
    そこには未知の世界に対する純粋な驚きがあるわけだけれども、その感情を文章としてわかりやすく表現できる著者の穏やかでいながら鋭い洞察のこもった筆致にも、とても感銘を受けた。

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    2015年05月20日
  • 刺繍する少女

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    着想は桐野夏生そっくりなんだけど、仕上がりは全くの別物( ´ ▽ ` )ノ。
    いつものように、ほのかな死の予兆を描いたものが多い( ´ ▽ ` )ノ。
    ゼンマイの話は、もろ死後の世界の物語で、マシスンの「奇跡の輝き」みたいだった( ´ ▽ ` )ノ。
    ケーキのかけらとアリアは合わせると、「サンセット大通り」みたいだね( ´ ▽ ` )ノ。
    これぞ小川洋子、という短編集で、まだ彼女の世界に触れたことのない人にぜひ勧めたい一冊( ´ ▽ ` )ノ。
    2015.4.14

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    2015年04月14日
  • 沈黙博物館

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    ネタバレ

    最後が安部公房の砂の女のように主人公が囚われる
    庭師が怖かった

    文章は美しかった
    小川さんの話の中で怖くなった話だった

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    2015年03月29日
  • 博士の愛した数式

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    主人公は、「あけぼの家政婦紹介組合」から「博士」のもとに派遣された家政婦の「私」。博士は、交通事故で脳に障碍を負ってしまい、80分しか記憶を保つことができないという症状をもった、もと数学者です。「博士」は、「私」に10歳の息子がいることを知り、その息子に「ルート」という名前をあたえます。

    数字の不思議を通じて、「私」と「ルート」はしだいに「博士」と心を通いあわせます。ある日「私」は、阪神タイガースファンの「博士」のために、いっしょに野球観戦に出かけることを提案します。その夜、家に帰った「博士」が熱を出し、その看病のために「私」は「博士」の家にとどまります。ところが、そのことが「私」の雇い主である「博士」の義姉に見とがめられ、「私」は「博士」の家政婦の仕事からはずされてしまいます。さらにその後、以前と同様に「博士」の家に「ルート」が遊びに行ったことを、「博士」の義姉は厳しく責めます。おたがいの口論が激しくなってとき、「博士」はそっとオイラーの公式を示します。相容れないはずの三つの数字を一つに結びつけるその公式によって、「私」と義姉の争いは収まりますが、そのことは、「私」同様、義姉も数字の不思議を通じて「博士」と強く心を結ばれていることを示していました。その後、ふたたび「博士」の家政婦にもどった「私」は、若いころの「博士」のノートのうちに、「博士」と義姉の関係を示すことばを見いだします。

    しかし、ふたたび以前の状態にもどった「私」と「ルート」、「博士」の関係は、長くは続きませんでした。80分間はもつはずだった「博士」の記憶が、しだいに短くなってきたのです。「博士」は専門の医療施設に入ります。やがて「博士」のもとを訪れた「私」と「ルート」を、「博士」ははじめて会ったときとおなじように出迎えます。

    ハッピー・エンドではないのですが、「私」と「ルート」、「博士」の間に通いあう静かな優しさが印象的で、物語全体の印象はけっして暗いものにはなっていません。むしろ、不思議な暖かさにつつまれた印象を受ける物語です。

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    2026年10月09日
  • 世にも美しい数学入門

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    小川洋子と数学者の藤原正彦。
    数学はどこに行っても普遍で完全な世界。定式の発見はセンス。豊かな所で生まれ育ち、感性がある人に神様がそっと教えてくれる。江戸期の日本に立派な数学者がいてびっくり。この本を読んで、芸術ともいえる数学を感じることができた。

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    2015年02月28日
  • 刺繍する少女

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    時々チラっと見える凶器がまた悲しくもなる
    そんな物語が多数でした。

    たんたんと語られる、なんでもないような雰囲気が大好きです。

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    2015年02月15日
  • 世にも美しい数学入門

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    数学は美学。美学は世の中の役には立たない。数学もしかり。であるが故に純粋。
    美学者迷亭を思い出した。『吾輩は猫である』の世界。

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    2015年02月11日
  • アンネ・フランクの記憶

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    小川洋子さんは少女時代に「純粋な文学として」アンネの日記と出会い、自らも物を書く喜びに目覚め、そのことが作家になるきっかけにとなった。
    そのことをアンネの日記の翻訳者で本書の解説を務めている深町氏はアンネ〜との最も幸福な出会い方だと述べています。

    アンネの親友だったジャクリーンさん、擁護者だったミープさんと会うくだりは特に印象的です。
    ちょっとどうかと思う質問もありますが……。

    一作家のエッセイとして色々な感想が素直に書かれていて、読みやすかったです。
    ホロコーストの善悪をどうこういう本ではありませんが、あらためてナチによるユダヤ人迫害や収容所での扱いは人間の尊厳を根こそぎ奪うものだったと実感しました。

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    2015年02月03日