小川洋子のレビュー一覧
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小川洋子のこのシリーズは肩の力が抜けていて、ほどほど学べて、ほどほど好奇心が満たされ、そして何故だかノスタルジックな気分になる。
もしかしたら工場なんて、人間を機械の一部として組み込み、飽くなき生産性の追求に骨身を削るような世界かも知れない。でも、そんな無機質な日常に「手の温もり」とか「職人の技」といった“人間性“を見い出すところに本書の温かみがある。
取材先は、金属加工、お菓子、ボート、乳母車、ガラス加工、鉛筆。派手さはなくても、地道にものづくりに取り組み、人間にとって変わらず必要なものを作り続けている工場ばかりと著者はいう。経済の原則を考えれば、工場が存続しているのは、世の中に必要だか -
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あの工場を見てみたい!
お菓子、ボート、鉛筆など、私たちが日常で見たり使ったりしているものは、一体どこで、どのように作られているのだろう。
”ものづくり”の愛しさが綴られる工場見学エッセイ。
小川洋子さんが身近なものを製作している工場に見学に行き、その経験を綴る工場見学エッセイ本です。
「なんて面白そうなんだろう」という基準だけで選ばれた工場は、お菓子や鉛筆、ガラス加工製品、サンポカー(子供をのせる車輪のついた箱みたいなやつ。街中で小さい子が保育士さんにのせられ運ばれている。かわいい)など様々。
工場見学というのは、小学校のとき以外はバスツアー旅行なんかでしか行ったことがないですし、バスツ -
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沈黙を愛する人々が集う共同農園。そこに言葉は無く、指文字での会話が行われている。
門番小屋に幼少期から祖母と住むリリカ。ある日、リリカの歌を聞いた祖母は羊の毛刈りの時に、側でリリカが歌うように取り計らう。羊も聞き惚れる奇跡の歌手が誕生か、と思わされる展開とは真逆。町内で流れる夕方の「家路」が最初の仕事。何十年にも渡って流されるが、誰も気に留めない。沈黙の人々に寄り添うような歌声が持ち味。
祖母が亡くなったり、共同農園の人々も亡くなったり減少して行く中で、どんどん不吉な方向に向かって行く。一時、恋人ができることもあったが、やはり駄目なようだ。全体的にも静謐な中で物語を終えてしまった。重い内容に、 -
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一万円選書の5冊目。
題名の通り、異国の地で誘拐された人質たちが語る朗読会。
その内容は自分自身の人生の1ページについて。
自分の中にしまわれている過去、未来がどうあろうと決して損なわれない過去だ。
それをそっと取り出し、掌で温め、言葉の舟にのせる。
それぞれの語った内容が短編として綴られていました。
どの話もどこか不思議で、特にオチがあるわけでもありません。
でも他の人からしたらなんでもないその思い出が、きっとその人の人生にとってなくてはならない瞬間だったのだと思います。
彼らの話はしっかり届いていましたね。
私にも届きました。
私が語りたい人生の1ページは何だろうって考えさせられ