小川洋子のレビュー一覧
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タイトル通り、小川さんが心打たれた本、思い出に残る本について書いたエッセイ集。
たまに犬や家族、仕事の話など。
それぞれの本や出来事に対する考察も興味深いけれど、一番心に響くのは書くこと、表現することについての苦しみと喜びについてである。
そして物書きとして小川さんが励まされる思想というものはどれも深い。
元の文章も良いのだろうけれど、それを咀嚼し自分の養分としているところが、小川洋子の世界観を保ったまま上質な文章を書き続けられる秘訣なのかと感じた。
書くことに限らず、あらゆる活動は最終的に死に至る人間の運命と照らし合わせるとあまりに空虚で無力感を覚えさせるものだ。
だけどいつか自分の痕跡 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごーく官能的な話。老人のいいなりになる女の子。AVや成年誌の見本みたいな設定。それだけにエロスの本質でもあるし、登場人物の性欲がむきだしにされてても、小川洋子のやさしい文体のせいでまったく下品ではない。
どうしてここまでエロチックな話が書けるのだろう、とかんがえると、小川洋子の作品にまつわる一つのフェチを思いつく。あの、「被・支配欲」とでも言うようなフェチズムです。強い存在の下に置かれその存在にひれ伏すことで得られる満足。
しかしこれは自傷感のある、なんとなく悲しい性癖だと思う。小川洋子自体がそうじゃなくても、彼女の作品のヒロインたちはみんなどこか可哀想。ホテル・アイリスのマリはその痛々しい -
Posted by ブクログ
楽しい!小川洋子のように、言葉遣いに意識的で異分野異文化に好奇心をもつ作者だからこその「科学者に聞く言葉の起源」。
共著者の岡谷氏は、鳥(ジュウシマツ)やハダカデバネズミを使って研究している。オスメスの求愛や集団内の社会的なコミュニケーション手段としての言語が出発点。
本書の指摘で特に面白くヘェ〜と唸ったのは2点。
一つは、言葉が時間を生み出したということ。もう一つは、コミュニケーションが持つ"つながること"そのものの魅力。
私はそれを、「言葉の持つ再生機能が『今、ここ』ではない時間と空間を可能にした、その装置の名は『物語』と読んだ。そしてそれが死という時間の流れが止まって -
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Posted by ブクログ
とてもユニークな作品だ。現実か、夢か、はたまた妄想か。苔料理とか、運動会あらしとか、あらすじ係とか、聞きなれない言葉が出てくる。ありそうで、ありえない、あったら面白そうだなと、感心する。著者の小川洋子さん、顔はテレビの週刊ブックレビューで見たことある。どこにでもいるおばさんというと失礼かもしれない。でも、自分の身の回りにもいるよな、こんな人。同姓同名の知り合いがいることから、何となく興味を持って読み始めた。いつの間にか、新作が出ると、買ってしまう。文体は美しく洗練されていて、ついつい読み込んでしまう。この作品も、確か週刊ブックレビューで紹介していた。ウィットに富んで、本当に楽しい作品だ。
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Posted by ブクログ
数年前の年の暮れ、運転中にFM放送で小川洋子さんのブックレビューを聞いていたことがある。川上弘美さんのエッセイで炬燵の中で原稿を書き始めるのだが、1枚も書けないという記述に「とても共感します」と話されていた。
そんな雰囲気を予想していたのだが、安閑、のんびりした話では全くなかった。主人公の作家は小川さんとは違う作家だろうな。小川さんの処に市役所から生活改善指導の職員(?)が来るわけないもの。
奔放で不気味な幻想を読んでいると、聞いちゃいけない話を聞かされたような共犯意識とでも云うのだろうか、冷や冷やする感触を味わう。さほど厚くない本がなかなか読み進まない。
子供や赤ん坊、乳房や母乳に対する執