小川洋子のレビュー一覧

  • 世にも美しい数学入門

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    小川洋子と数学者の藤原正彦。
    数学はどこに行っても普遍で完全な世界。定式の発見はセンス。豊かな所で生まれ育ち、感性がある人に神様がそっと教えてくれる。江戸期の日本に立派な数学者がいてびっくり。この本を読んで、芸術ともいえる数学を感じることができた。

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    2015年02月28日
  • 刺繍する少女

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    時々チラっと見える凶器がまた悲しくもなる
    そんな物語が多数でした。

    たんたんと語られる、なんでもないような雰囲気が大好きです。

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    2015年02月15日
  • 世にも美しい数学入門

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    数学は美学。美学は世の中の役には立たない。数学もしかり。であるが故に純粋。
    美学者迷亭を思い出した。『吾輩は猫である』の世界。

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    2015年02月11日
  • アンネ・フランクの記憶

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    小川洋子さんは少女時代に「純粋な文学として」アンネの日記と出会い、自らも物を書く喜びに目覚め、そのことが作家になるきっかけにとなった。
    そのことをアンネの日記の翻訳者で本書の解説を務めている深町氏はアンネ〜との最も幸福な出会い方だと述べています。

    アンネの親友だったジャクリーンさん、擁護者だったミープさんと会うくだりは特に印象的です。
    ちょっとどうかと思う質問もありますが……。

    一作家のエッセイとして色々な感想が素直に書かれていて、読みやすかったです。
    ホロコーストの善悪をどうこういう本ではありませんが、あらためてナチによるユダヤ人迫害や収容所での扱いは人間の尊厳を根こそぎ奪うものだった

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    2015年02月03日
  • 刺繍する少女

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    読み終わって最後のページを見たら、初版は1999年・・・もう15年も前の短編集なのですね。
    小川洋子ワールド全開の短編集で、全く古さを感じない・・・と言っても15年しか経ってないか。
    どれも日常のちょっとした心の隙間に、現れそうなお話。
    怖いけれど、なんかわかるなあ~って感じ。

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    2014年11月20日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    カラーひよことコーヒー豆の感想で信頼する読友のはこちゃんさんが小川さんを腐したことを実は根にもっていたのだが(笑)… ひょんなことから続けてエッセイを読むことになってその腐す理由がわかるような気がしてきた。
    居丈高な態度は大嫌いなのだが謙遜、それもひとつの分野で地位を確立している人においての過度の謙遜はやはり鼻に付くものなのだ。
    例えばお土産で「つまらない物ですが…」と言うよりも「美味しかったんで是非とも食べていただきたくて…」と言われたほうが自分のことを思ってくれてる度は格段に高く嬉しさも倍増する、そういう事でないか?
    でもね、巨大化する心配事などを読むとやっぱり小川さんはいい人なのよ…あ、

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    2014年11月10日
  • 科学の扉をノックする

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    ネタバレ

    作家の小川洋子氏が、専門知識をもった科学者たちへのインタビューを通して、科学の面白さを追求するもの。

    宇宙や遺伝子、素粒子、遺体科学の話しなどについて、素人目線で専門家に質問してくれているのが嬉しい。

    作者は、いかにこの本が作者のわがままに満ちあふれているか、と謝っているが、人の物事の興味というのは主観であってわがままであることは当然のことで、そういう意味では逆にそのことがこの本の面白さを表しているのだと思う。

    STAP細胞のことなどで、もし科学への興味を失う子供達いるのなら、この本はいい後押しとなることだろう。

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    2014年08月23日
  • 言葉の誕生を科学する

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    小説家の小川洋子と、岡ノ谷一夫教授の対談形式で、一気に読めました。
    ジュウシマツやハダカネズミの歌の観察も面白く、歌や言葉を獲得した人間の不思議を思いました。
    言葉ができたことにより、時間や死を認識し、神を生み出し、物語を紡ぎ出す…、当たり前だと思ってたことにスポットライトが当たり、正に目から鱗が落ちる思いでした。

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    2014年07月05日
  • 妖精が舞い下りる夜

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    30歳前後のときに書かれたエッセイ集。
    『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞し、子供が生まれて数年という期間。

    自省的な文章であり、書くことがいかに小川さんにとって大切でかけがえのないものなのかがひしひしと伝わってくる。
    早稲田に通いながら小説を書き始めた頃の思い出が印象深い。
    決して芽が出ない作家志望者が大勢いる中で、ずば抜けた才能を持っている人ではあるけれど、ひたむきに書き続けることが一番大切だと感じられた。

    後半に出てくる熱狂的な阪神ファンならではのエピソードも面白い。
    阪神の勝利と読売の敗北を何よりののぞみとしながら、暗黒時代の阪神の戦いに一喜一憂する健気さであるよ。

    作家としてだけ

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    2014年06月24日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    毎日新聞で連載されていた「楽あれば苦あり」(2008年〜2012年)をまとめたもの。

    ひらがなの「る」と友達になれる言語感覚を持つ姪っ子。
    かぎ編みの説明書の前衛小説のような一文にさ迷う。
    本棚で隣り合わせになった本たち。
    一人の散歩、ラブとの散歩。

    「私が目指すのは、機嫌よく黙っていることである。」
    これは、わたしにとっても理想の生き方かも。




    くまのプーさん、若草物語、ごんぎつね…など読み返したくなる。

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    2014年05月21日
  • アンネ・フランクの記憶

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    高校生のとき、英語の教科書に『アンネの日記』の1節が載っていた。
    確かペーターとのやりとり、彼への恋心について書かれた部分。
    ちょうど『アンネの日記』の完全版が文庫化されていて、それを読んでみようという気になった。
    彼女が本当はどんな女の子だったのか興味がわいたから。

    うまく言えないけど、高校生の私は『アンネの日記』を読んで、何か救われた気持ちがした。
    思春期に感じていた葛藤を自分以外にも同じように感じていた人がいて、それを言葉に残してくれた。それが何だかものすごいことだと思った。
    実際に身近にいたら、多分友達になることはないタイプの子だ。きっとお互い話しかけることもないだろう。
    それが分か

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    2014年04月21日
  • 世にも美しい数学入門

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    博士の愛した数式も面白かったけど、同作者と実際の数学者との対談もなかなかだった。高校時代、数学にさんざん泣かされた身としては、ここで書かれたように、実験的感覚で学問と向き合うことが出来ればどんなに良かったことか、って思うことしきり。でも『小学生時代から先生より数学が出来て』みたいな発言を見て、やっぱり才能による部分が大きいんだな、って諦観みたいな気分も覚えたり。自分的には、美しい公式を見て、『うわ~、すっげー』って思うくらいがちょうど良い感じです。

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    2014年04月15日
  • 博士の本棚

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    タイトル通り、小川さんが心打たれた本、思い出に残る本について書いたエッセイ集。
    たまに犬や家族、仕事の話など。

    それぞれの本や出来事に対する考察も興味深いけれど、一番心に響くのは書くこと、表現することについての苦しみと喜びについてである。
    そして物書きとして小川さんが励まされる思想というものはどれも深い。
    元の文章も良いのだろうけれど、それを咀嚼し自分の養分としているところが、小川洋子の世界観を保ったまま上質な文章を書き続けられる秘訣なのかと感じた。

    書くことに限らず、あらゆる活動は最終的に死に至る人間の運命と照らし合わせるとあまりに空虚で無力感を覚えさせるものだ。
    だけどいつか自分の痕跡

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    2014年03月13日
  • ホテル・アイリス

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    ネタバレ

    すごーく官能的な話。老人のいいなりになる女の子。AVや成年誌の見本みたいな設定。それだけにエロスの本質でもあるし、登場人物の性欲がむきだしにされてても、小川洋子のやさしい文体のせいでまったく下品ではない。
    どうしてここまでエロチックな話が書けるのだろう、とかんがえると、小川洋子の作品にまつわる一つのフェチを思いつく。あの、「被・支配欲」とでも言うようなフェチズムです。強い存在の下に置かれその存在にひれ伏すことで得られる満足。
    しかしこれは自傷感のある、なんとなく悲しい性癖だと思う。小川洋子自体がそうじゃなくても、彼女の作品のヒロインたちはみんなどこか可哀想。ホテル・アイリスのマリはその痛々しい

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    2014年03月06日
  • 原稿零枚日記

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    小川さんの世界観はやはり好きです。
    静謐な感じがクセになります。原稿が書けないという状況。書こうとするけど違う方にいってしまい結局書けない。
    なんかふわふわしたような気持ちでした。
    いつもは登場人物の名前を出さないのに、最後にヨーコという名前がきたのは驚きました。

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    2014年03月02日
  • 刺繍する少女

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    どれもが冷たい美しさを持っている。現実を丹念に見つめていたら、幻想世界に迷い込んでしまったような。図鑑が一番好き。

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    2014年02月11日
  • 偶然の祝福

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    一人の若い女性小説家を主人公にした連作短編。
    左手を挙げたまま降ろせなくなった水泳選手とか小川さんらしい不思議な状況が出てくるものの、主人公が小説家ということで、なんとなく自叙伝的な物語のような気がしながら読んだのですが、どうも違うようです。
    独特の雰囲気があります。
    現実と虚構の境目のあいまいさとか、全体を流れる暗い喪失感だとか、いかにも「物語」なのです。ただ、それを通して小川さんが語ろうとしている何かが掴めないのですが、もともと掴む必要もないのかもしれません。

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    2016年05月29日
  • ホテル・アイリス

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    小川洋子の作品は割と共通して、どこか陰鬱で気だるげで色気が漂っていて、そして家族像が少なからず全うじゃない。
    この話には、様々なコンプレックスや劣等感等が入り交じっていて、それを癒す為に衰えた老いた体の老人にいたぶられる。
    読んでいて痛々しいのだけど、きれいな文章と儚い空気に飲み込まれる。

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    2014年01月27日
  • 科学の扉をノックする

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    完全文系人間にとって、未知の世界。入門書といえど書いてある内容は難しく、わからなかった。しかし小川さんによる感想、解説が興味深く、登場する学者さん達に敬意を払わずにいられなかった。好奇心をもつこと、想像力をもつこと、命について考えること。あらゆる学問の原点は同じなんだと。文系・理系で二分化せずに、知的好奇心を培っていきたいと思わせてくれるような1冊。

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    2014年01月09日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    静かで、淡々としているのに、読んでいて口角が上がっているのがわかる。ちょっとおどおどした感じ、腰の低い感じ、視線が身近なところを眺めているのかと思いきや、ふっと遥か遠くに移ったりする感じ。小説につながっていて、物語の生まれる下地を見せてもらうような、温かい気持ちになる。

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    2014年01月02日