小川洋子のレビュー一覧
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小川洋子さん初の絵本は、小説で時折見られる、妖しくも甘美な毒は無く、お子さんと親御さんに送る、やさしい物語でした。
ただ、それでも、日の当たらなくなったものたちへの温かい眼差しには、絵本でも、やはり小川さんは小川さんだなと感じられました。
それは、幼い頃のお子さんの成長を助けたが、やがてお役御免となり、記憶の片隅に取り残された物たちへの眼差しを、ボタンちゃんの素敵な励ましを通して、私たちに見せてくれます。
確かに、実際に使われていた間は、幼いお子さんにはまだ自意識が目覚めていないから、やむを得ない部分もあるのだが(思い出せないだけで実際嬉しかったんだろうな)、大きくなってから実は、こんな -
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霊長類学者山際寿一と作家小川洋子の対談集。山際さんは京都大学学長になる人を巻き込む言い方が出きる人だなと感じ入った。小川さんは対話する人のこれまでの経験や記憶のかけらをうまく言葉にさせる力がある人だなと思った。山際さんの人だけが持つ家族を結びつけるものを愛と叫ばせたのは、小川さんの力だなと思い、吉本の対幻想を思い起こさせた。ゴリラの子殺しの話は結局原因が自分の子供を残したい雄の欲望の発露なのか、人に生息域を狭められたことによる反動なのか結論が出ていない。なんとも陰鬱な話だがゴリラもチンパンジーも子殺しをするなら、人間の児童虐待も動物としての性なのかとも思ってしまった。さまざまな感慨を生む刺激に
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久しぶりに再読
【失踪者たちの王国】
“さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、失踪者たちが住むという王国。誰でもたやすく足を踏み入れられるという訳でないらしい王国”
『嘔吐袋』の話はこの話だったかと再確認。
どこかで読んだと思っていても短編は何に入っていたか忘れがち。失踪する側は理由や事情があって、日常の延長で自覚なく失踪するものだが、失踪される側は特別な事になってしまうという事実が不思議な感触。
【盗作】
「あれ? この話……」となる作品。
他の短編集にある話とリンクしているから、混乱しがち(『三月は深き紅の淵を/恩田陸』と同じ感触の掴みき -
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ネタバレ作家が好きな本について話すというのが好きだし、すごく気になる本も何冊も出てきたけれど、そんなことより何より母と娘の関係や子育てのはなしが印象的。
「死なないと手渡してあげられないものがある。死ぬことで、遺された人たちは新たな地平に行くことができる。だとすれば、自分にも生きて死ぬ意味がある。」
「息子の可愛らしさの記憶なら、私も五つくらい保存があって、それをつらいことがあると繰り返し思い出して、またしまっておけば、いつでも再生可能。だから百個も、二百個も要らないんですね。五つでも多いくらい、三つぐらいあれば十分(笑)。」
「きっと、うちの両親だって、何かすごく馬鹿げた、本人が忘れているよう -
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実在する人物や事実から着想を得た短編集。
その周りに、光の当たらない薄暗がりに、
いたかもしれない人たちの密やかな話。
穏やかな筆致で歪な世界を描き出し、
切ない幸せと残酷な喪失に心を乱される、
The 小川ワールドの真髄という感じだし、
世界が1冊に10個もあるうえに、
事実が絡んでるから、
もしやこれは本当のことかも、
案外自分のそばにあるかも、なんて思ってしまう。
ファン大歓喜の作品なのでは。
今作でも、ちょっと変わったこだわり、
もしくは執着を礎にして構築された
自分だけの世界を持っている人達が描かれている。
そのこだわりが行動に制約をうんだり、
世間とのズレをうんだりして、
どこ