小川洋子のレビュー一覧

  • 完璧な病室

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    目に見えないものを見て
    外から見えようがない物を抱えて生きていく
    抱きしめられて、包まれないと慰められないのかしら

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    2024年04月20日
  • 沈黙博物館

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    形見を収蔵する博物館で、それぞれの人生を象徴するものの文脈を紡ぐ物語。事件の犯人が誰なのか、途中の展開の仕方が絶妙でスリリングだった

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    2024年04月18日
  • いつも彼らはどこかに

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    ネタバレ

    小川洋子さんによる動物がテーマの短編集。2013年発行ですからちょい前のものです。

    ・・・
    作りとしては短編集となっています。相変わらず不思議な物語を綴ります。

    タイトルに動物が絡みますが、物語は時として重層的に進みます。

    あらすじを書こうと思ったのですが、上記の重層性の関係で説明しきれんと思い、このようにバッサリやりました。

    帯同馬・・・タイトルは『フランスの凱旋門賞で優勝が期待されるディープ・インパクト。慣れない土地への移動のストレスを緩和するためにピカレスクコートが帯同場として出国した。』という点より。主人公は(おそらく)大阪モノレール間のみ移動できる電車恐怖症の女性(職業;実演販売)。

    ビーバーの小枝・・・主人公はとある作家。タイトルは、彼の翻訳を担当した外国人が翻訳の際にさすったという、ビーバーが表皮をキレイに食った小枝より。

    ハモニカ兎・・・主人公は、とある村の朝食屋の主人の話。タイトルは、この男の村で開催されるオリンピック競技の開催までの日めくりのボードより。ここにかつてハモニカ兎という特産兎がいたという話から、この動物が日めくりボードになっている。

    目隠しされた小鷺・・・主人公はとある私立美術館の受付係。タイトルは、ここに訪れるうらびれた修理屋で何をやってもダメそうな「アルルの女」が機敏に助けた動物から。

    愛犬ベネディクト・・・主人公は若い男の子(大学生くらい?)。タイトルは彼の妹が可愛がる陶製の犬の名前より。

    チーター準備中・・・主人公は動物園の受付で働く女。タイトルは、彼女の失ったhがチーターcheetahに含まれていており、また彼女が好きなのは展示の主人のいなくなった「展示中」の檻とその看板だったことから。共有されない「喪失」の悲しみが痛い作品。

    断食蝸牛・・・主人公はとある断食施設に身を寄せている女性。タイトルは、彼女が足しげく訪れた近くの水車小屋、そこで買われている蝸牛と、彼女が入っていた施設の目的から。

    竜の子幼稚園・・・主人公は身代わり旅行人のおんな。タイトルは、若くしてなくなった弟が通っていた幼稚園から。

    ・・・
    今回も、美しくも静謐に満ちた表現の花園にうっとりしたのですが、読中ひらめきました。小川氏の表現は、ナチュラル・メイク的表現だな、と。

    通常描写というのは隠喩であれ直喩であれ、手を変え品を変え、時に複数の角度から物事を表すと思います(違うって!?)。

    でも小川さんの表現はこんな厚化粧ではないのです。もっとシンプルで美しい。あ、でも薄化粧というわけではないのです。
    そこにはきっと計算と試行があり、一番質の良い表現が意図をもって配置されているのだろう。そして表現は適切に間引かれ、ミステリアスな雰囲気をまとうのだろう。

    ああ、これって、(薄化粧でなくて)ナチュラル・メイクじゃないのか、と。という一人合点でした笑

    ・・・
    表現が適度に間引かれているせいか、最初の「帯同馬」以外、舞台がどこであるか分かりません。

    特に幻想度が強いのが、最後の「竜の子幼稚園」でしょうか。身代わり旅行人なんて聞いたことが有りません笑 でもあったら素敵だなあとも思いました。最後に死んだ弟と再会するかのような出会いも幻想度を高めていたと思います。

    また、学校に通わなくなった妹がドールハウス世界に没入する「愛犬ベネディクト」もちょっとした狂気を感じます。妹の没入に祖父も陰に陽にサポートし始める点です。

    ・・・
    ということで二週間ぶりの小川氏の作品でした。

    今回も美しい静謐感に満ちた表現を頂きました。決して起伏が激しい展開ではありませんが、このワードチョイスあってのこの展開だと思っています。

    ことばを楽しみたい方にはお勧めできる作品です。

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    2024年04月18日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    奇妙で微笑ましくも少し怖い9つの短編。

    狭い。小さい。無くなる。
    待ってましたと言わんばかりの小川ワールド。

    野球や甲子園の描写が魅力的。
    生き生きとした人や風景と匂いが伝わる。

    「夜明けの縁」とは何か。
    しばらく思いにふける。

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    2024年04月12日
  • やさしい訴え

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    ネタバレ

    花巻空港が出てきたので、
    主人公が逃げ込んだ別荘は
    春子谷地や安比高原あたりの別荘地やペンション街を勝手に思い浮かべて読んだ。

    でも物語を読んでいる最中は
    外国にいるような不思議な空気感に包まれる。

    チェンバロ、
    カリグラフィー、
    なんとも幻想的な湖や森。

    夫に裏切られたり、暴力を振るわれたわけだから
    本来なら暗くなりそうな内容なのに、
    その世界が癒やしてくれるような気がした。

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    2024年04月09日
  • やさしい訴え

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    ネタバレ

    『やさしい訴え』
    ラモー作曲のチェンバロの曲だ。

    『やさしい訴え』は新田氏と薫さんを静かに結びつける。瑠璃子さんがいくら新田氏と物理的に近づいたとしても。
    三人とも傷を負っていた。演奏恐怖に陥ってしまったピアニスト。婚約者を結婚直前に亡くした女性。夫の不倫で居場所をなくした女性。
    瑠璃子さんの発する嫉妬にまみれた言葉が、宙を舞う。その訴えは当たり前の感情だと思うけど、発すれば発するほど新田氏との距離が遠ざかっていくように思える。
    やはりきっぱりと瑠璃子さんは失恋した。
    瑠璃子さんに居場所は見つかるのだろうか。
    薫さんの純粋な真っ直ぐさがドロドロを消していく。
    かなわないんだな。
    瑠璃子さんが切ない。

    小川洋子さんの世界に浸って
    もの悲しい幸福感と
    透明感を味わった。

    これから
    ラモーのチェンバロ曲を聴こう。
    『やさしい訴え』

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    2024年03月24日
  • からだの美

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    小川洋子さんの優しい痛みを伴うお話が好きで、よく読むんだけど。こちらは、お友達にお勧めしてもらったエッセイ。人間の体の部位をこんなにも美しく語れるなんて、さすが小川洋子さん。その中でも、「声」についてのエッセイが良かった。ここだけ、体の部位じゃないんだもんな。考えてみると、「声」って不思議。臓器で空気を振動させて音を作り出す。その空気の震えがあなたの鼓膜を揺らす…。なんか、すごくない?(語彙力!)私の妹が沖縄三線の新人賞コンテスト?に出た時のこと。古典だから、歌詞なんて全くわからない。にもかかわらず、まったくの門外漢の私にも良い歌はわかる。声って楽器なんだな、と思った。ヨガのYouTubeも見るんだけど、繰り返し見るのは、やっぱり声が好きな人(トーンだけでなく、ブレスのタイミング大事)。今日も歌おう。

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    2024年03月24日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    左足が失くなるところはゾッとした〜。

    読んでて自然と地下室などのイメージが頭に浮かんできて、本当に物語の世界に入り込んでいた。そのくらい面白かった!

    読み終わった後、なんかどっしりず〜んとした重みみたいなものが残り、すっきりする内容ではないけど大切なことに気づかせてくれる本です。

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    2026年08月11日
  • からだの美

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    小川洋子さんの書く、何気ない物事の細部に目を凝らすようなエッセイがとても好き。今回は色々な分野のプロの方々や動物たちのからだの動きや思考についての考察で、やっぱり好きだった。高橋大輔選手のプログラムを見返したくなった。

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    2024年02月20日
  • からだの美

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    小川さんの描写はさすがに細かく、鋭い観察眼というのがよくわかる。そうなのだが、それぞれに写真が添えられていて、その写真がみんな素晴らしい。

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    2024年02月18日
  • 約束された移動

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    「移動する」物語6篇。
    それぞれ主人公の秘密をこっそり教えてくれているような感覚になる。
    秘密という言葉は尊厳という言葉に置き換えてもいいという解説も印象深い。
    そして毎回作者の人や動物の表現が緻密で驚かされる。

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    2024年02月17日
  • いつも彼らはどこかに

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    「彼ら」とは動物。
    8篇とも人の傍に寄り添い重要な役割をする。
    静かで温かい。
    中年女性が主人公の「帯同馬」と「竜の子幼稚園」が特に良い。
    自然と小川洋子本人が主人公のように想像してしまい不思議な感覚になる。

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    2024年02月17日
  • 最果てアーケード

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    特殊で個性的な店が集まる世界で一番小さなアーケード。
    配達係の女の子の視点でアーケードの出来事が語られる。
    お客さんも個性的で面白く引き込まれる。
    微笑ましさと物哀しさが同居した著者ならではの世界を堪能する。

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    2024年02月17日
  • いつも彼らはどこかに

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    短編集。人間らしいというか、人間も一つのただの生き物として生々しく描かれるお話と、
    一つの生き物としてとにかく美しくこの世のものでは無いくらい神秘的に描かれるお話もあり、
    それらが小さな箱にぎゅっと詰まっている、感覚。
    この感覚何かに似てると思いながら、なかなか思い出せなかった。とにかく繊細に微細に作り込まれたすぐに壊れてしまうような美しい芸術品のような、
    それぞれの個性が際立つ小さなチョコレートとか、クッキーと、そんなお菓子たちが詰まってる箱をゆっくり味わっているような感覚かも、と、一つ一つをいただきながらたどり着いた。

    この手の短編は一つ一つがとにかく心に残りながら読み進めるのに、あまりに素晴らしい表現力で、脳に描きすぎて、じんわり自分のものになり
    どんな話だったっけ?と具体的なところは忘れてしまうから、一つ一つに感想を残しておいた方がいいのだろうか。

    江國香織さんの解説。
    これも一つの魅力でこの本を手に取ったのだけど、

    小川さんの短編集は
    一つ一つが全く違う世界観であるが、
    一つ一つが磨きあげられている、
    確かな質量がある、という一文を見て、
    これが答えだと思ってしまった。
    余韻が、とかそういうことではなく、
    それもそうなんだけど、それ以上のもの。
    たしかにそこにある。という感覚になる小川さんの小説は本当に素晴らしいです。

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    2024年02月15日
  • アンネ・フランクの記憶

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    アンネを作家を通して知るには最適な本 マララの本を読んだ後、次に浮かんだのはアンネ。戦争によりどのような人生を生きたのか、彼女の日記を本としてその存在を知ることが出来る唯一の人。そしてその本に魅了された作者がアンネが生きて生活していた現地を訪れた一連の旅行記。実際、オランダやドイツに一緒に行っているかのように読み進めることが出来る。きっと現地のその空気感を体感したら、言葉にすることはおろか、目を背けたくなってしまうような現場まで足を運んでいる(アウシュビッツ)のはすごい。

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    2026年03月14日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    小川洋子さんの拠り所のような本である「アンネの日記」
    「アンネの日記」はまだ人生で完読してないので、こちらを読んでみた。アンネが日記を書くことを通して自分を客観的に捉えていたり、過酷な状況下でもユーモアを交えて文章を書いている早熟さを感じた。

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    2024年02月12日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    何とも表し難い読後感であった。収録作はどれも、日常ありそうな風景の中に一抹のファンタジー要素を含んでおり、不穏な気配を漂わせている。
    普段小川洋子さんの作品にはしっとりとして柔らかな静けさを感じるのだが、本書ではそれがあまり感じられず、ストーリーの運びは紛れもなく小川洋子作品であると思えるのだがどこかにずっと違和感があり馴染めずにいた。
    最後の「再試合」を読み終わった今は、私も同様に日常にありそうでなさそうなことが起こり引き伸ばされた世界で小川洋子を読んでいるのではないかという気持ちになっている。

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    2024年02月03日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    小川洋子さんの綺麗な文章で世界的有名なアンネの日記について文学的な視点から説明していて非常にためになる解説本であった。

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    2024年02月02日
  • 貴婦人Aの蘇生 新装版

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    ネタバレ

    小川洋子の文章は、基本的にクールに硬質に淡々と続く(解説 藤森照信)

    その小川洋子の文章が素敵。

    結末は「博士の愛した数式」とか「ことり」とか読んでいるとそうなるなーと思うけれど、どの作品も悲しみよりも優しさが残る感じが好き。

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    2024年01月31日
  • 余白の愛

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    分からないことをそのままにして神聖に保つよう努めてるみたいな、そういう雰囲気のお話 リトルアーリョヒンくらい好き

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    2024年01月21日