小川洋子のレビュー一覧

  • 不時着する流星たち

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    実在した人からイメージして書いた短編集のようです。小川洋子さんの小説は静かで穏やかな雰囲気なので、寝る前が読書タイムの私にはぴったりです。今回も毎晩1篇ずつ(たまに2編)読みました。どの話も良かったです。1番好きなのは「若草クラブ」かな。

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    2022年03月17日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    私たちは制限のある空間を生きている。
    でも、一人ひとり心の中にこだわりがあり、それに夢中になれることを幸せだと感じる。
    その幸せが膨らみ外に飛び出そうとしているのに飛び出せない、いや、あえて封じ込めてしまう自分がいる。
    誰もが持っているであろう感情を起こしてくれる短編集でした。

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    2022年03月12日
  • 沈黙博物館

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    タイトル通り静かな話でした。でも、爆破事件や殺人事件が起きたりして、後半はドキドキしました。舞台になっている場所はどこなんでしょう?カナダ?北欧?勝手に想像してました。「沈黙の伝道師」寒がりでおしゃべりな私には、絶対なれそうもありません。

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    2022年03月05日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    霊長類学者山際寿一と作家小川洋子の対談集。山際さんは京都大学学長になる人を巻き込む言い方が出きる人だなと感じ入った。小川さんは対話する人のこれまでの経験や記憶のかけらをうまく言葉にさせる力がある人だなと思った。山際さんの人だけが持つ家族を結びつけるものを愛と叫ばせたのは、小川さんの力だなと思い、吉本の対幻想を思い起こさせた。ゴリラの子殺しの話は結局原因が自分の子供を残したい雄の欲望の発露なのか、人に生息域を狭められたことによる反動なのか結論が出ていない。なんとも陰鬱な話だがゴリラもチンパンジーも子殺しをするなら、人間の児童虐待も動物としての性なのかとも思ってしまった。さまざまな感慨を生む刺激に

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    2022年02月24日
  • 凍りついた香り

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    香りが記憶を表す、洗練されたお話。
    数学、スケート、香水瓶の棚、どれにおいても綻びのない綺麗な完璧さをもっており、ただただ美しかった。
    どうして彼が間違いを選んだのか、最後まで語られることはないが、それすらも神秘的と言わざるを得ない物語。

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    2022年02月23日
  • 余白の愛

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    あなたは、『耳鳴り』に悩まされた経験がありますか?

    少し前のことになりますが、朝起きたら左耳に『ガガガガ』、『キーン』という嫌な音が響いたことがありました。そして、家族の前へと赴いた時、左耳から音が消えてしまっていることに気付いた私。耳に水が入って抜けなくなった時のような強烈な不快感が私を襲います。すぐに耳鼻科に罹ったところ、『突発性難聴』と診断を受けました。すぐに薬を処方してもらい、治療を続けた結果、聴力は元通りに回復。大好きなクラシック音楽を再び聴ける日々が戻りました。私の場合、症状が出た当日から治療を開始したことが功を奏したと、後に医師から告げられました。聴力は一度落ちた状態が長引く

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    2022年02月16日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    ファンタジー要素が強そうだったり、
    ホラーっぽい展開だったり、
    不思議な世界観の9つの短編集。

    あり得ないような描写が
    さもリアルに描かれているように感じた。

    イービーのお話は、
    どことなく猫を抱いて象と泳ぐの世界観に似ている気がした。

    小川洋子さんの描く世界の人物は
    小さな幸せをこれでもかと抱きしめて
    大事に大事にしているイメージ

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    2022年02月14日
  • 偶然の祝福

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    久しぶりに再読

    【失踪者たちの王国】
    “さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、失踪者たちが住むという王国。誰でもたやすく足を踏み入れられるという訳でないらしい王国”
    『嘔吐袋』の話はこの話だったかと再確認。

    どこかで読んだと思っていても短編は何に入っていたか忘れがち。失踪する側は理由や事情があって、日常の延長で自覚なく失踪するものだが、失踪される側は特別な事になってしまうという事実が不思議な感触。

    【盗作】
    「あれ? この話……」となる作品。
    他の短編集にある話とリンクしているから、混乱しがち(『三月は深き紅の淵を/恩田陸』と同じ感触の掴みき

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    2022年02月12日
  • 凍りついた香り

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    死者の記憶を辿る過程で現実と空想の曖昧な境目を往来する涼子。夫の過去や死の輪郭が少しずつ明確に認識されていく一方で、その中身は何処まで行ってもぼやけたまま。予め用意された”間違い”へと突き進む彼の姿は理解はできても共感はできず、その掴みどころの無さに儚さ/畏ろしさのような物を感じた。
    ”過去は損なわれず記憶は保存される”という幸福な事実に縋り付くようにして読み終えた、静謐な語り口で紡がれる喪失と救済の物語。

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    2022年02月07日
  • まぶた

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    様々な視点からのまぶたの連想は、時として切なく影を感じながらも光に近づくような何処かそんな感覚を思わせるものがありました。

    外国でのストーリーも幾つかあり、海外に夢を置く自身にとって一期一会の旅の中での出来事に、日常離れしたまた違ったワクワクもありました。

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    2022年01月29日
  • 洋子さんの本棚

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    ネタバレ

    作家が好きな本について話すというのが好きだし、すごく気になる本も何冊も出てきたけれど、そんなことより何より母と娘の関係や子育てのはなしが印象的。

    「死なないと手渡してあげられないものがある。死ぬことで、遺された人たちは新たな地平に行くことができる。だとすれば、自分にも生きて死ぬ意味がある。」

    「息子の可愛らしさの記憶なら、私も五つくらい保存があって、それをつらいことがあると繰り返し思い出して、またしまっておけば、いつでも再生可能。だから百個も、二百個も要らないんですね。五つでも多いくらい、三つぐらいあれば十分(笑)。」

    「きっと、うちの両親だって、何かすごく馬鹿げた、本人が忘れているよう

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    2022年01月23日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    デパート屋上から降りられない象が可哀そうで、少年は11歳で成長を止めた。マスター死後、絡繰人形を使い盤下でチェスを指す。彼は盤下の詩人「リトル・アリョーヒン」と呼ばれた。印象深い作品。

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    2025年10月26日
  • 凍りついた香り

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    ★3.5、が相も変わらず全く覚えていない再読のおまけで★4。
    本作が発表された年を考えると、この作家の志向は既にこの時点でしっかり確立されていて、この空気を良しとするか否かで読者を選別しているようにも思われまする。
    この観点で小川洋子という独自性は唯一無二なんだろうと。

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    2021年12月30日
  • 不時着する流星たち

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    実在する人物や事実から着想を得た短編集。
    その周りに、光の当たらない薄暗がりに、
    いたかもしれない人たちの密やかな話。

    穏やかな筆致で歪な世界を描き出し、
    切ない幸せと残酷な喪失に心を乱される、
    The 小川ワールドの真髄という感じだし、
    世界が1冊に10個もあるうえに、
    事実が絡んでるから、
    もしやこれは本当のことかも、
    案外自分のそばにあるかも、なんて思ってしまう。
    ファン大歓喜の作品なのでは。

    今作でも、ちょっと変わったこだわり、
    もしくは執着を礎にして構築された
    自分だけの世界を持っている人達が描かれている。
    そのこだわりが行動に制約をうんだり、
    世間とのズレをうんだりして、
    どこ

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    2021年12月04日
  • 原稿零枚日記

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    最初は小川洋子さん自身の日記なのかと思いながら読みました。途中で違うって気が付きました。タイトルから想像していたより哀しい話でした。いや、作家さんにとっては、このタイトルはとても哀しいのかな。私の夫に本のタイトルを見せたら、「一冊分の原稿が書けてるじゃん」と言われてしまいました。運動会や赤ちゃんのお相撲や新生児室に行く話は何だか本当にありそうだなあ。って感じました。

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    2021年12月03日
  • アンネ・フランクの記憶

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    「アンネの日記」を教条的な読み物として捉えず、「友の日記」として寄り添い、その瑞々しい言葉と記憶を自らの胸に刻んだ時はじめて、あの時代に起きた夥しい死が、真に心に迫ってくる。

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    2021年11月14日
  • 余白の愛

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    静かな静かな物語。
    記憶が現実を癒していく美しい小説でした。
    耳と指が異世界へのコネクトとなる幻想的な話で、余白がなくなった愛が主人公を前に進ませたんだなと感じた。

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    2021年11月06日
  • 余白の愛

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    本屋B&Bの文庫本葉書をきっかけに読んだ。物語もだけど、言葉の紡ぎ方や表現も静かで繊細で緻密。自分の感覚も研ぎ澄まされていくような気持ちになる。全体を幻想的に写しているフィルターは、汚くて不都合なものを隠しているようだった。もう一回読んで、それがなんなのか確かめなければいけない。個人的に純喫茶との相性がいい小説(実証済)。
    やさしさってなんだろう。タイトルも含めて、読んだ人と意見交換したい。

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    2021年10月30日
  • まぶた

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    3.5
    博士の愛した数式の小川さんってこんな感じの作風なのか。。
    少し世間ずれした不思議な人たちのお話たち。
    でもどの人たちもありありと想像できる
    なぞの野菜売りのおばさんの話印象的だなぁ

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    2021年10月27日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    9の短編、どれも良かったです。「世にも奇妙な物語」に出来そうな感じ。私は特に「涙売り」と「教授宅の留守番」が好きです。特に「涙売り」は愛する人の役に立てれば自分が痛い思いをしたって幸せなんだってことを短い話の中でも、すごく感じました。「涙売り」の彼女は実際にいたら変な人だけど、それぐらい人を愛することができたら素敵でしょうね。

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    2021年10月13日