小川洋子のレビュー一覧

  • やさしい訴え

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    ネタバレ

    花巻空港が出てきたので、
    主人公が逃げ込んだ別荘は
    春子谷地や安比高原あたりの別荘地やペンション街を勝手に思い浮かべて読んだ。

    でも物語を読んでいる最中は
    外国にいるような不思議な空気感に包まれる。

    チェンバロ、
    カリグラフィー、
    なんとも幻想的な湖や森。

    夫に裏切られたり、暴力を振るわれたわけだから
    本来なら暗くなりそうな内容なのに、
    その世界が癒やしてくれるような気がした。

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    2024年04月09日
  • やさしい訴え

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    ネタバレ

    『やさしい訴え』
    ラモー作曲のチェンバロの曲だ。

    『やさしい訴え』は新田氏と薫さんを静かに結びつける。瑠璃子さんがいくら新田氏と物理的に近づいたとしても。
    三人とも傷を負っていた。演奏恐怖に陥ってしまったピアニスト。婚約者を結婚直前に亡くした女性。夫の不倫で居場所をなくした女性。
    瑠璃子さんの発する嫉妬にまみれた言葉が、宙を舞う。その訴えは当たり前の感情だと思うけど、発すれば発するほど新田氏との距離が遠ざかっていくように思える。
    やはりきっぱりと瑠璃子さんは失恋した。
    瑠璃子さんに居場所は見つかるのだろうか。
    薫さんの純粋な真っ直ぐさがドロドロを消していく。
    かなわないんだな。
    瑠璃子さんが切ない。

    小川洋子さんの世界に浸って
    もの悲しい幸福感と
    透明感を味わった。

    これから
    ラモーのチェンバロ曲を聴こう。
    『やさしい訴え』

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    2024年03月24日
  • からだの美

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    小川洋子さんの優しい痛みを伴うお話が好きで、よく読むんだけど。こちらは、お友達にお勧めしてもらったエッセイ。人間の体の部位をこんなにも美しく語れるなんて、さすが小川洋子さん。その中でも、「声」についてのエッセイが良かった。ここだけ、体の部位じゃないんだもんな。考えてみると、「声」って不思議。臓器で空気を振動させて音を作り出す。その空気の震えがあなたの鼓膜を揺らす…。なんか、すごくない?(語彙力!)私の妹が沖縄三線の新人賞コンテスト?に出た時のこと。古典だから、歌詞なんて全くわからない。にもかかわらず、まったくの門外漢の私にも良い歌はわかる。声って楽器なんだな、と思った。ヨガのYouTubeも見るんだけど、繰り返し見るのは、やっぱり声が好きな人(トーンだけでなく、ブレスのタイミング大事)。今日も歌おう。

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    2024年03月24日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    左足が失くなるところはゾッとした〜。

    読んでて自然と地下室などのイメージが頭に浮かんできて、本当に物語の世界に入り込んでいた。そのくらい面白かった!

    読み終わった後、なんかどっしりず〜んとした重みみたいなものが残り、すっきりする内容ではないけど大切なことに気づかせてくれる本です。

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    2026年08月11日
  • からだの美

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    小川洋子さんの書く、何気ない物事の細部に目を凝らすようなエッセイがとても好き。今回は色々な分野のプロの方々や動物たちのからだの動きや思考についての考察で、やっぱり好きだった。高橋大輔選手のプログラムを見返したくなった。

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    2024年02月20日
  • からだの美

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    小川さんの描写はさすがに細かく、鋭い観察眼というのがよくわかる。そうなのだが、それぞれに写真が添えられていて、その写真がみんな素晴らしい。

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    2024年02月18日
  • 約束された移動

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    「移動する」物語6篇。
    それぞれ主人公の秘密をこっそり教えてくれているような感覚になる。
    秘密という言葉は尊厳という言葉に置き換えてもいいという解説も印象深い。
    そして毎回作者の人や動物の表現が緻密で驚かされる。

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    2024年02月17日
  • いつも彼らはどこかに

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    「彼ら」とは動物。
    8篇とも人の傍に寄り添い重要な役割をする。
    静かで温かい。
    中年女性が主人公の「帯同馬」と「竜の子幼稚園」が特に良い。
    自然と小川洋子本人が主人公のように想像してしまい不思議な感覚になる。

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    2024年02月17日
  • 最果てアーケード

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    特殊で個性的な店が集まる世界で一番小さなアーケード。
    配達係の女の子の視点でアーケードの出来事が語られる。
    お客さんも個性的で面白く引き込まれる。
    微笑ましさと物哀しさが同居した著者ならではの世界を堪能する。

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    2024年02月17日
  • いつも彼らはどこかに

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    短編集。人間らしいというか、人間も一つのただの生き物として生々しく描かれるお話と、
    一つの生き物としてとにかく美しくこの世のものでは無いくらい神秘的に描かれるお話もあり、
    それらが小さな箱にぎゅっと詰まっている、感覚。
    この感覚何かに似てると思いながら、なかなか思い出せなかった。とにかく繊細に微細に作り込まれたすぐに壊れてしまうような美しい芸術品のような、
    それぞれの個性が際立つ小さなチョコレートとか、クッキーと、そんなお菓子たちが詰まってる箱をゆっくり味わっているような感覚かも、と、一つ一つをいただきながらたどり着いた。

    この手の短編は一つ一つがとにかく心に残りながら読み進めるのに、あまりに素晴らしい表現力で、脳に描きすぎて、じんわり自分のものになり
    どんな話だったっけ?と具体的なところは忘れてしまうから、一つ一つに感想を残しておいた方がいいのだろうか。

    江國香織さんの解説。
    これも一つの魅力でこの本を手に取ったのだけど、

    小川さんの短編集は
    一つ一つが全く違う世界観であるが、
    一つ一つが磨きあげられている、
    確かな質量がある、という一文を見て、
    これが答えだと思ってしまった。
    余韻が、とかそういうことではなく、
    それもそうなんだけど、それ以上のもの。
    たしかにそこにある。という感覚になる小川さんの小説は本当に素晴らしいです。

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    2024年02月15日
  • アンネ・フランクの記憶

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    アンネを作家を通して知るには最適な本 マララの本を読んだ後、次に浮かんだのはアンネ。戦争によりどのような人生を生きたのか、彼女の日記を本としてその存在を知ることが出来る唯一の人。そしてその本に魅了された作者がアンネが生きて生活していた現地を訪れた一連の旅行記。実際、オランダやドイツに一緒に行っているかのように読み進めることが出来る。きっと現地のその空気感を体感したら、言葉にすることはおろか、目を背けたくなってしまうような現場まで足を運んでいる(アウシュビッツ)のはすごい。

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    2026年03月14日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    小川洋子さんの拠り所のような本である「アンネの日記」
    「アンネの日記」はまだ人生で完読してないので、こちらを読んでみた。アンネが日記を書くことを通して自分を客観的に捉えていたり、過酷な状況下でもユーモアを交えて文章を書いている早熟さを感じた。

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    2024年02月12日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    何とも表し難い読後感であった。収録作はどれも、日常ありそうな風景の中に一抹のファンタジー要素を含んでおり、不穏な気配を漂わせている。
    普段小川洋子さんの作品にはしっとりとして柔らかな静けさを感じるのだが、本書ではそれがあまり感じられず、ストーリーの運びは紛れもなく小川洋子作品であると思えるのだがどこかにずっと違和感があり馴染めずにいた。
    最後の「再試合」を読み終わった今は、私も同様に日常にありそうでなさそうなことが起こり引き伸ばされた世界で小川洋子を読んでいるのではないかという気持ちになっている。

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    2024年02月03日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    小川洋子さんの綺麗な文章で世界的有名なアンネの日記について文学的な視点から説明していて非常にためになる解説本であった。

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    2024年02月02日
  • 貴婦人Aの蘇生 新装版

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    ネタバレ

    小川洋子の文章は、基本的にクールに硬質に淡々と続く(解説 藤森照信)

    その小川洋子の文章が素敵。

    結末は「博士の愛した数式」とか「ことり」とか読んでいるとそうなるなーと思うけれど、どの作品も悲しみよりも優しさが残る感じが好き。

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    2024年01月31日
  • 余白の愛

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    分からないことをそのままにして神聖に保つよう努めてるみたいな、そういう雰囲気のお話 リトルアーリョヒンくらい好き

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    2024年01月21日
  • 最果てアーケード

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    アーケード街大家の父親を亡くしたわたしが、お店を訪れるお客様と織り成す小さな物語。
    どこかもの悲しい雰囲気のなかに灯る小さな光、お店それぞれの味わいがありました。

    小川洋子さんの作品に漂う雰囲気は本当に独特。
    穏やかで静謐な世界観。

    レース屋、義眼屋、ドアノブ店、勲章店など、
    「一体こんなもの、誰が買うの?」
    という品を扱う店ばかりが集まってるアーケード。
    買いに来る人は少ないけど必要とする人がいて、そんな人のためにお店がある。

    お気に入りは、
    *衣装係さん
    *百貨辞典少女
    *紙店シスター

    小川さんの作品は、個人的にやっぱり静かな環境でゆったり落ち着いて読みたい。
    小川さんの文章表現がとても好き。
    やっぱり良いなぁ。

    アーケードの突き当たりの中庭で愛犬ベベと過ごす時間が愛おしい。
    店主だけじゃなく、配達屋さんの思いも胸に響くものがありました。
    小川ワールド堪能しました。

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    2024年01月06日
  • 琥珀のまたたき

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    著者ならではの閉ざされた空間の話。
    不気味さと美しさが同居する不思議な世界。
    壁の中で閉ざされたまま生きるか、未知の世界へ飛び出すのか。
    兄弟とママの幸せの形って何だろうと考えながら読み進める。
    散髪の場面、兄弟3人の容姿の描写に少し驚く。

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    2024年01月01日
  • 最果てアーケード

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    『寡黙な死骸 みだらな弔い』以来に読む小川さんの短編集。
    レース、使用済みのはがき、勲章、義眼等一見役に立たなそうな品物を扱う店が連なるアーケードと、そこに住む住人達と買い物客のエピソードを一つずつ丁寧に拾い上げた連作は寂しく、ときに静かな狂気を孕んで紡がれている。
    どのお話も死や別れを絡むせいか、全体的な雰囲気が物悲しい。しかし、この連作の語り部である「私」はアーケードの大家の娘としてそこまで悲観的ではない。アーケードの配達係としてアルバイトをする彼女と、彼女の助手である犬のベベがかわいらしいエッセンスを仄暗い小説に加えている。
    個人的なお気に入りは最初の「衣装係さん」と「遺髪レース」だった。

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    2023年12月21日
  • まぶた

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    目次
    ・飛行機で眠るのは難しい
    ・中国野菜の育て方
    ・まぶた
    ・お料理教室
    ・匂いの収集
    ・バックストローク
    ・詩人の卵巣
    ・リンデンバウム通りの双子

    小川洋子の小説の体温は低い。
    それはひんやりと湿ったものだったり、かさかさに乾いたものだったりするが、決して温かくはない。
    たとえひとの命を救ったとしても。

    そこに「ない」ものを書くのも上手い。
    「ありえない」と言うほど強い「無」ではなく、気づくとそこには「ない」」ものの持つ気配。

    この絶妙な塩梅が、心地よかったり不気味だったりと、作品に彩りを与える。

    ストーリーを味わう作品集ではないと思うので、具体的なことを書いても意味わからんことになるだろう。
    ただ、これらの作品は、現実だとか事実だとかのしがらみとは無縁なところで味わえばよいのだ。

    私にとって小川洋子は、エンタメ小説から純文学への橋渡しをしてくれた作家の一人。
    未だ純文学はちょっと苦手意識があるけれど、小川洋子を読んだら、また次の純文学を手に取ろうと思えてくる。

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    2023年12月20日