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Posted by ブクログ
調香師の卵であった恋人の弘之が、“記憶の泉”と名付けられた香水を残して突然亡くなる。
一緒に暮らしていたフリーライターの涼子は、どうしても彼の自殺の理由が知りたくて、幻影を追い求めるように彼の過去を辿っていく。
淡々として美しく、上品な雰囲気で、外国の映画を観ているようだった。
スケート、数学、物事を分類する能力など、静かな物語の中に隠された彼の秘密を知るたびにどきどきしてしまう。
プラハでの不思議な体験はまるでファンタジーのようで、街の風景が頭の中で映像のように映し出され、いつまでも浸っていたくなった。
優しいため息をついてしまいたくなるような、みごとな結末だった。
Posted by ブクログ
小川洋子の書く文章がやっぱり好きだ、の再認識
涼子がルーキーに初めて会った時に感じた、彼がいる世界といない世界の落差をもし前から伝えていれば彼は生きてくれたんじゃないだろうか
正解不正確を求め続けられてきた彼が、そんなもの関係なく存在してくれていることを伝えられていたら
涼子の視点なのだから多少なりとも彼女に都合の良い脚色があるのだろうと考えても彼はしっかり彼女を愛していたと思うし、だからこそ身体だけでなく言葉もかけて欲しかったのだと考える
終盤で涼子があの頃のルーキーと会話を交わす場面がとても心苦しい
涼子がいつかまたあの香水瓶の蓋を開けられる日が来て欲しいと願ってしまう
Posted by ブクログ
涼子の恋人、香水の調香師弘之が自殺した。なぜ?彼の全く知らなかった一面が次々と明らかになっていく。涼子は弘之の面影を求めて迷宮の街プラハへ。
弘之の過去と涼子の今が重なり、弘之が残した『匂いのイメージの言葉』と出会う。
弘之の死の原因は解らない、ただ生きにくい人だったことはわかる。
涼子は弘之の過去を訪ねることで、救われたのだろうか。
臭覚で感じる香りを言葉で表現する。それを読者が香りとして感じるには、言葉が示す香りをイメージできなければならない。言葉から臭覚を呼び起こそうとし、知ってる何かに当てはめようとする。
言葉で五感を刺激し、言葉で静寂を感じる小川洋子さんの世界、好きだなぁ。
Posted by ブクログ
たまにはこの様な物語もいいではないか。
ある日突然恋人を失い、その生きていた証を訪ねていく物語。
生前の彼のことを、実は何も知らなかった自分に少なからずショックを受けながらも、彼の弟と共に軌跡を追い彼の実家で過ごす。そして異国の地へ向かい、そこで出会うガイドと共に。
彼が存在していた記憶を思い出し、考え、それにどっぷり浸かりながら、いない事実を受け入れていく様がよく書かれていて、ページをめくる手がとまらなかった。
少しは楽になれただろうか?時間が解決とは良い言葉だが、どっぷり浸って溺れながら、でもゆっくり浮かんで生きていくのも悪くないと思った。
無性に好きな人に会いたくなった。
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