口笛の上手な白雪姫

口笛の上手な白雪姫

小説・文芸
575円 (税込)

2pt

「大事にしてやらなくちゃ、赤ん坊は。いくら用心したって、しすぎることはない」。公衆浴場の脱衣場ではたらく小母さんは、身なりに構わず、おまけに不愛想。けれど他の誰にも真似できない多彩な口笛で、赤ん坊には愛された――。表題作をはじめ、偏愛と孤独を友とし生きる人々を描く。一筋の歩みがもたらす奇跡と恩寵が胸を打つ、全8話。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    幻冬舎
  • 掲載誌・レーベル
    :
    幻冬舎文庫
  • タイトル
    :
    口笛の上手な白雪姫
  • タイトルID
    :
    828373
  • 電子版発売日
    :
    2020年08月06日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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口笛の上手な白雪姫 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    冒頭、黒電話の描写で一気に引き込まれた。ほんとうに美しい文章。一つ一つの物語を、言葉を、時間をかけて味わいたいと思いつつ、ページを捲る手が止まらなかった。何度でも読み返したい。全部の話が好きだと言える短編集に出会えて嬉しい。読み終わった後この本を抱き締めたくなった。

    「
     形容しがたい丸み、暗号めいたダイヤル、耳にフィットするよう計算された受話器のカーブ、可愛らしげにクルクルとカールするコード。そうした何もかもがどこかしらおもちゃめいていたが、僕は最初からそれが、ただものでないことにちゃんと気づいていた。
     とにかくその黒色は特別だった。一点の濁りもなく、濃密で、圧倒的で、気高くさえあった。両手に載るほどの大きさなのに、何を企んでいるのか分からないふてぶてしさと思慮深さを併せ持っていた。そこに一つの黒い塊があるだけで、階段裏の薄暗さが奥行きを増すようだった。
    」

    黒電話一つでここまで書ける小川洋子さんすごい。著者の作品は『博士の愛した数式』以来でしたがまた再読しようと思ったし、他の作品も読みたいと思いました。

    0
    2026年01月15日

    Posted by ブクログ

    8つの短編の中で『亡き王女のための刺繍』は小川洋子さんならではの妖しい毒っ気が美しかった。『かわいそうなこと』も良かったなあ。敏感なアンテナを大人になっても持ち続けている作者は日々の中で辛くなることはないのだろうかと心配になると同時に羨ましい。
    でも、一番好きだったのは『一つの歌を分け合う』。同じ時代を生きる人たちは大縄跳びみたいに次々この世を抜けていく。だけどそれはおしまいじゃなくて、帰れる、焦がれた人たちに合流できるという優しい気持ちで越えられる一線。レミゼラブルから受け取れるうちのそんなひとつを、たった二十数ページで表せられるのがすごい。

    0
    2025年05月17日

    Posted by ブクログ

    表題にもなっている「口笛の上手な白雪姫」は、公衆浴場の片隅で、入浴中のおかあさんから赤ちゃんを預かって子守りをするだけのために存在しているおばあさんのおはなし。
    「ただひたすら赤ん坊のためだけに我が身を捧げている」というシンプルながらもそれを全身全霊で成し遂げるおばあさんの潔さと尊さに心を打たれる。

    小川洋子の小説はいつもそう。
    たったひとつの大事なことを狂信的なまでに守り抜く高潔さがとても美しい。すごくいいよね。

    0
    2024年10月16日

    Posted by ブクログ

    8作の短篇集。小川先生は短篇の名手ですね。
    ここの8作はそのどれもが、自分の世界を偏愛する孤独な主人公たちだ。表題作も好きだけど、「亡き王女のための刺繍」「仮名の作家」がお気に入り。「仮名の作家」は怖いなぁ。

    0
    2023年01月16日

    Posted by ブクログ

    奇妙なタイトルだけで、小川洋子さんの世界を想像してしまう。
    とは云え、凡人の想像を遥かに超える世界が繰り広げられるのが常だ。
    この一冊の短編8話も不思議な世界に誘われ、読書後には独特の余韻を楽しむことができた。
    中でもお気に入りの一編を紹介。
    ⚫︎口笛の上手な白雪姫
    公衆浴場の目立たない場所に、「小母さん」はひっそりと存在しながら浴場に同化していた。
    入浴中の母親に代わって乳児を預かり、最新の注意力をもってあやし続ける。
    その「小母さん」が、乳児だけに聴こえる音量の口笛を吹くと、乳児たちは口笛とその腕にすっかり身を委ねる。
    がしかし、乳児の成長とともにいとも簡単に離れていってしまい、「小母さん」の存在は忘れ去られてしまう。
    浴場の壁には深い森の絵が描かれていて、どうやらその世界を「小母さん」は知っているらしいのだ。

    私は8話中最短の短編だった「口笛の上手な白雪姫」に魅入られた。
    この「小母さん」と乳児の関係は、「善」だけが存在している。
    しかし乳児の成長と共に純粋な「善」は影を潜めて行く。
    そんな侘しさと悲しさが、繊細な雰囲気で綴られていた。
    小川洋子さんの世界はちょっと複雑で物悲しさが伴うのだが、読書後には清涼感ももたらしてくれるのが不思議なのだ。
    まあ、お話自体が不思議な世界を醸しているので、不思議な感覚を覚えるのは当然なのかもしれない。
    この一冊も小川ワールドを十二分に味わえた。

    0
    2026年09月23日

    Posted by ブクログ

    「かわいそうなもの」と「仮名の作家」が狂おしいほど好き。
    混沌とした静かな世界のなかで、ほんのりとした切なさがとても好きです。ほの暗い雰囲気で普通はないようなことが起こっていても、どこかに妙な現実味があって…
    何度でも読み返したい

    0
    2025年08月23日

    Posted by ブクログ

    みんな少しずつ偏っていてそれはある意味孤独なんだけど、寂しさよりも静かな強さ、したたかな美しさを感じる短編集。

    物語たちそのものもとても素敵。特にそれぞれの余韻たっぷりな終わり方がいい。
    ただ何より、心情や状況の描写、比喩のひとつひとつがときめく程美しくてたまらなかった。

    「亡き王女のための刺繍」と「一つの歌を分け合う」が特に好き。でも選べないくらいどれも良かった。

    色々な方が小川洋子さんの文章はうつくしいと言っている意味が、読み始めてすぐに理解出来た。
    淀みなく流れるようで、でも確実にひとつひとつがきらめいていて虜になってしまう。

    博士の愛した数式をかなり昔に読んだはずだけど、それ以外の著作にまだ触れたことがなかったから、
    これから沢山小川洋子さんの言葉を浴びることができると思うと楽しみです。

    0
    2025年05月16日

    Posted by ブクログ

    他者の視線を気にせず、思うままに振る舞うのは簡単じゃない。何かに強いこだわりを持っているならなおさら。私はそう思うのだけれど、ここで描かれる人物たちは、偏執的な自分を良しとし、ありのままの姿で何をも恐れず突き進みます。そのエネルギーは、いったいどこから湧いてくるのでしょう…
    8つの短編、どれも面白かったですが、表題作が一番心に残りました。舞台となっている銭湯の壁画の森に、私も迷いこみたいです。そして小母さんのように、幼い命に対して、私に何かできることはあるのかしら…と考えてしまいます。何かできる人でありたい。

    0
    2025年04月12日

    Posted by ブクログ

    久しぶりに読んだ小川洋子さんの著書。
    8つの短編。

    それぞれの物語の主人公たちは、ひっそりと偏った内面の世界を持ち、他と分かち合うことは決してない。その孤独は不幸というよりも、本人にしか見えない調和を守るためにある。

    0
    2025年01月29日

    Posted by ブクログ

    幼少期の自分が救われるような心温まる短編集。そこに存在することや言葉ではない部分で「大丈夫だよ」を伝えてくれる存在。そういうものが人生には必要。

    0
    2025年01月13日

口笛の上手な白雪姫 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    幻冬舎
  • 掲載誌・レーベル
    :
    幻冬舎文庫
  • タイトル
    :
    口笛の上手な白雪姫
  • タイトルID
    :
    828373
  • 電子版発売日
    :
    2020年08月06日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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