小川洋子のレビュー一覧

  • 余白の愛

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    ネタバレ

    耳を患ったわたしは、座談会に出た際の速記者Yの指に惹かれる。何度か会ううちに、自分の語る話を速記してもらうことにする。
    しばらくして、Yが所属する速記の会を訪ねたわたしは、そこに事務所はなく、その代わり、その場所にあった家具屋の中にYが語った話の片鱗を見る。
    Yとは一体誰だったのか、耳の不調と離婚による精神的な凹みが生み出した幻想だったのか。

    全体を通して幻想的な雰囲気が漂う物語。

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    2022年11月30日
  • 約束された移動

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    小説の中でだけ展開される優しい世界。
    ファンタジーといえばそうなんだろうけど、読んでいるときはそう感じさせない。けれど本を閉じるとその感覚は失われる。ま、小説なんだから当然なんだけど、それにしても上手いよね。

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    2022年11月26日
  • 小箱

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    幼い子どものいない世界。
    主人公は年齢不詳だが、きっとものすごく若くはないのだろう…今は廃墟のように古びた幼稚園に住んでいる。
    すべてが幼い子どものために作られた、部屋も食事も園庭もプールも講堂も、小さな作りのこの建物に。
    きっと何十年も前からこの街から子どもたちは消えてしまったのだろう。
    どうしてこの街の全ての子どもたちが死んでしまったのかはわからない。
    ただ死んでしまった子どもたちへ、街全体が哀悼からくる切なさと、亡き子どもたちへの想いを抱き続けることへの静謐な幸福感…それらが感じられる、舞台は確かに日本と感じられるのに不思議な…安らかな感覚になれる世界。

    亡き子どもたちの遺骨と遺髪でで

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    2022年11月21日
  • 科学の扉をノックする

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    小川洋子さんが様々な科学者にインタビューする本です。

    科学では、知れば知るほどわからないことがたくさんあること。
    宇宙、鉱物、遺伝子、生物、、、まったく異なる分野なのに、なにか共通するものがあり、人間社会に通ずる話が見えてきます。そこを小説家が絶妙に料理してくれるので、小説に膨らむ妄想を楽しみつつ、それぞれの分野の最先端を理解することができます。

    科学の初心者におすすめの本

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    2022年11月05日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    邦語訳も素晴らしいのかも知れませんが、15歳のアンネのイキイキとした表現、時にドキッとする文学表現は正に名作です!

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    2022年10月31日
  • 原稿零枚日記

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    エッセイかと思って読み始めたのですが、苔料理が出てきたあたりから、あ、違うかも、と気付いた次第。果たしてこれは全くのフィクションなのか、それとも実は・・・。曖昧な境界線に立たされる読者の心を見事に翻弄しますね。なかなか書き進まないある女性作家の日常なのですが、白昼夢の中で迷わされ、独特の濃密で不穏な世界の底に沈んでいくような不思議な感覚を覚えました。様々な「荒らし」を行う彼女の隠された背景に、ぞくっとした震えを感じるのに、もっと覗いていたいという欲求にかられる空気は小川さんならではという感じです。

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    2022年10月27日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    なんとなく読んだような気になってたアンネの日記、本書を読んでその奥深さに感じ入りました。全く狭い視野で捉えていたことに茫然。思春期の少女のみずみずしい感性溢れる日々をつづった文章そのものです。性の目覚めと初恋の場面も素晴らしく、赤ちゃんが生まれるところについてのジャクリーヌの発言には驚かされます。思春期に遡って読むことはもうできないので、これから先もう一度じっくり味わいたいです。小川洋子さんが語る言葉は、それほどの強い魅力を与えてくれました。

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    2022年10月25日
  • 約束された移動

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    繊細でちぐはぐで欠損があり美しい小川洋子の物語を共有するには言葉を紡ぐしかないのだなあと強く感じる1冊。これをどうやって映像化する?

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    2022年10月14日
  • 最果てアーケード

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    ネタバレ

    小川洋子さんらしいこざっぱりした悲しみ?哀愁?ただよう短編集です
    どこかにある小さな小さなアーケードを舞台に主人公の『私』と様々な人のやりとりが描かれてます

    私が遺髪レース屋さんに頼んだのはアーケードの過去から飛び出していく自分とのお別れの為だったのかな…と思いました

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    2022年10月02日
  • 言葉の誕生を科学する

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    第1部 言葉はいかにして誕生したのか?
    第2部 言葉は何を伝えるか?
    第3部 心はどのように生まれるのか? 
    「はじめに」小川洋子さんが文鳥を飼うことになったキッカケの話から、岡ノ谷一夫先生が「言葉の起源をもとめて」に繋がって本編に進む流れの段階で既にワクワクが止まらない。それにしても、おふたりのやり取りする単語とそれから連想ゲーム的に発展するテーマの多彩なこと!見た目だけで敬遠していたハダカデバネズミにも断然興味が湧いてきた。

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    2022年09月27日
  • 世にも美しい数学入門

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    藤原正彦(1943年~)氏は、東大理学部数学科卒、東大大学院理学系研究科修士課程修了の数学者、エッセイスト。お茶の水女子大学名誉教授。新田次郎と藤原てい夫妻の次男。『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。「論理より情緒」、「英語より国語」、「民主主義より武士道」という氏の自説を説いた『国家の品格』(2005年)は、200万部を超えるベストセラーとなった。
    小川洋子(1962年~)氏は、早大第一文学部卒の小説家。『妊娠カレンダー』の芥川賞ほか、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞、菊池寛賞、紫綬褒章等を受賞・受章。また、記憶が80分しかもたない数学博士と家政婦の母子との交流を描いた『博士

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    2022年09月08日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    雑誌『Domani』に連載されたエッセイを集めてできた本。小川洋子さんの日常からの様々な所感が主に若い女性に向けて肩肘張らずに綴られている。2009年発行、当時の出来事に思いを馳せるのも面白い。民主党政権誕生、2006年はトリノオリンピックで荒川静香が金メダル。エッセイにも名前が出てくる高橋大輔が2022年現在、まだ現役続行してるとはこのとき誰が想像していただろうか。

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    2022年09月07日
  • 琥珀のまたたき

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    この人の空想の世界は小さな世界で広がって、どんどん広がる。今回もそんな感じで、母親に家に監禁されて生活している姉オパール・弟琥珀・弟瑪瑙の生活とその山の中の別荘だった家で過ごす図鑑を基にした空想の遊び。
    オリンピックごっこや事情ごっこなど、楽しそうな遊びが繰り広げられる。この作家の子供の時の遊びは頭の中でこのように繰り広げられたのではないかと思われるような遊び。そしてオパール、琥珀、瑪瑙それぞれが編み出した独自の遊び。琥珀は図鑑の下の空白に亡くなった妹を1つの糸くずのようなものから次々と活き活きと動くように描く。それが老後の琥珀に繋がるのが文の合間に現在として挟まれて話が進む。終わりがどのよう

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    2022年08月28日
  • 言葉の誕生を科学する

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    小説家・小川洋子さんと、動物行動学者の岡ノ谷一夫さんが言葉の誕生について語る対話本。

    岡ノ谷一夫さんは鳥の歌の構造などから、人間の言語の起源について考える研究などで知られる方で、この本にも動物の行動などからたてた言葉やコミュニケーションの誕生についての仮説が数多く載っており興味深かったです。
    特に、ひな鳥が餌をねだる声は餌をくれないと天敵を呼ぶと脅迫しているという「脅迫仮説」は今まで考えたこともなかったので驚きました。少し調べてみたら、鳥の鮮やかな色の卵も抱卵を促すための脅迫という説もあるそうで、よく出来ているものだなあと……。人間の子どももずいぶん大きな声で泣いたりしますが、起源としては鳥

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    2022年08月26日
  • 世にも美しい数学入門

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    学校でこんなふうに教えてほしかった!
    数学はただの計算式でなく、美しさを追求する学問なんですね。おもしろい!
    中田あっちゃんの数学の動画を見ていたので、ラマヌジャンやオイラー、フェルマーの名前が出てきたときは「あー知ってる!」と嬉しくなりました♪

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    2022年08月22日
  • 博士の愛した数式

    購入済み

    優しい気持ちになれる本

    胸にジーンとあたたかいものが込み上げる、そんな素敵な本でした。
    また読み返したいなと思います。

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    2022年08月11日
  • 洋子さんの本棚

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    2人の洋子さんが、少女時代から各年代ごとの愛読書を持ち寄って語りつくす。これが殆ど未読の本ばかりなんだ。読んだことのある本なら、そこで語られることに反応できるけど、知らない本はそうもいかない。もちろん「今度読んでみますか」ってこともあるけど、読書案内のための対談ではないのでそれも苦しいところ。

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    2022年08月09日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    読むといつもふふっとなる。
    悲しくなると何故涙がでるのかという話で小川洋子さんってすごく精神的に純粋だなぁということと
    子供の頃の感覚を失わないまま大人になった人なのかなと思った。読んでいるととても落ち着く。

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    2022年08月04日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    人間個人の、存在としての痛々しさに苦しくなりながら読む。

    身の回りの出来事や、自分の意識や認知の段階ではやり過ごしていることを豊かに発酵させて、あるいはジャムを作るように煮詰めて書かれているようだ。

    痛い。ほんとは生きててずっと痛い。傷が痛む

    ただ、それを注視していてもどうにもならないし、日々やらなくちゃらいけないことは積もっていくので傷に向き合っている時間はない。

    ところが小川洋子の本を開くと、放置してきた傷がいかに深いか、どれほど化膿が悪化しているか、あるいは多少は癒えているか、などを思い起こさせる。

    具体的な被害、加害の話ではないのに。

    私はこんなに傷ついていたんだなあ、難し

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    2022年08月02日
  • 凍りついた香り

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    たまにはこの様な物語もいいではないか。

    ある日突然恋人を失い、その生きていた証を訪ねていく物語。
    生前の彼のことを、実は何も知らなかった自分に少なからずショックを受けながらも、彼の弟と共に軌跡を追い彼の実家で過ごす。そして異国の地へ向かい、そこで出会うガイドと共に。

    彼が存在していた記憶を思い出し、考え、それにどっぷり浸かりながら、いない事実を受け入れていく様がよく書かれていて、ページをめくる手がとまらなかった。

    少しは楽になれただろうか?時間が解決とは良い言葉だが、どっぷり浸って溺れながら、でもゆっくり浮かんで生きていくのも悪くないと思った。
    無性に好きな人に会いたくなった。

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    2022年07月17日