小川洋子のレビュー一覧

  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    ◆自分の人生にとって一大事が起きている最中にも、自分以外の世界を観察している。

    ◆日記と向かい合ったとき、彼女は大人になったのです。「言葉を探す」という作業が、彼女を年齢以上に成長させたのだと思います。

    ◆真理を描くとき、そこに必ずユーモアが生まれます。人間が一生懸命に生きている姿は、やはりほはえましい。

    ◆隠れ家にあって肉体的には外へ行けないぶん、観察と考察の対象は自分へと向かいます。内側へずっと深く降りていく。逆にいえばこの環境が、彼女を普通の女の子より早く大人にさせたのだと思います。

    ◆彼女たちは隠れ家で徹底的に静かな生活を余儀なくされていたにもかかわらず、静謐さが貴重だという。外に出て思いっきり走り回りたい欲望より、ペーターと二人、無言で自然の光を静かに浴びる喜びの方が勝ると感じているのです。

    ◆ペーターは恋をしてどんどん視野がアンネだけに集中します。一方アンネはむしろ視野が広がり、さまざまなことが見えてくる。

    ◆ペーターも、アンネと同様、生き延びるために急いで大人になったのです。

    ◆不自由な中で自由を得る方法が書くことであるーー。

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    2023年05月30日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    先回りローバ、
    盲腸線の秘密、が特に好きだった。
    特に、秘密の作戦の話は厨二病感が強くて笑った。

    今作は特別グッとくるものは無かったが、どれも期待通りの小川洋子ワールドで、心地よかった。

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    2023年05月21日
  • 最果てアーケード

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    【好きなだけ窪みに身を沈めていられるよう、ただ黙って放っておいた】

    「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まった小さなアーケードの話。
    「私」も店主たちも登場人物がみな大切なものがあり、繊細だけれど芯が通っているため、発言の一つ一つにハッと思わされる。
    短編集のようだが話に繋がりはあって、ただ時系列がバラバラ。しかし不思議と違和感がない。
    作中に「それを必要としているお客さんが来るまで、わたしたちはいつまでも待った。」という一節があるが、もしかするとこの話の一つ一つが読者が必要とするタイミングで読まれるようになっているのではないだろうか。

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    2023年05月16日
  • アンネ・フランクの記憶

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    自分がもしアウシュビッツの職員だったら、非人道的な行為を拒否することはできただろうか。拒否したら罰せられるから仕方なく、と言い訳することはできるかもしれない。それで良いのか?

    We were no heroes, we only did our human duty, helping people who need help

    この言葉のように、人間として当たり前のことをしたい。人間としてしてはいけないことは、いかなる場合でも拒否できる強さを持った大人になりたい。第二のアンネ・フランクを生み出さないために。

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    2023年05月12日
  • 科学の扉をノックする

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    文学部出身の著者ではあるが、新聞で一番好きな記事は科学の記事だという。
    そんな人物が第一線で活躍する科学の専門家7人にインタビューをしたもの。根っからの文系人間の僕には理解不能な箇所もあるが、それでも努めて平易に書こうとしてくれる。宇宙の神秘のような超マクロから、細胞の中のDNAの塩基配列の超ミクロまで。研究テーマは多種多様。しかしどんな対象であっても、終わりなき解明に挑む研究者の皆さんの姿は等しく輝いている。

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    2023年05月07日
  • ボタンちゃん

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    ネタバレ

    あの小川洋子さん作の絵本、ということで手に取った一冊。
    読んでいて、映画『トイ・ストーリー』を思い出した。

    小さなアンナちゃんの、お出かけ用のブラウスの一番上にとまっているボタンちゃん。丸いお顔のかわいい女のコ。
    一番上にいるから、アンナちゃんの一番近くでアンナちゃんのことを見ていられる。いわば特等席に居られる存在。仲良しのボタンホールちゃんと一緒に、お出かけ中のちょっぴりおすましのアンナちゃんのことをニコニコしながら見守っている。
    そんなボタンちゃんにある日ハプニングが。なんとボタンの糸が切れてしまってボタンちゃんが遠くに転がっていってしまい…。

    小さなアンナちゃんがもっと小さな頃、大切に使われていたモノたちとの偶然の出会い。
    『トイ・ストーリー』の中でもこういうシーンがあったけれど、使われなくなって置いてきぼりになったモノたちの寂しさと、その対極にある子供の成長の喜びがこの絵本に丁寧に描かれている。
    うちにも娘たちが幼い頃に使っていたおもちゃやコップなどがまだとってあるけれど、もう使わないと分かっているのに捨てられないでいる。それらを使っていた頃の娘たちの思い出がたくさん詰まっているモノだから。

    アンナちゃんが大きくなるにつれ「思い出の箱」の中身もどんどん増えていく。
    昔の仲間はみんな、アンナちゃんの成長と幸せを願ってくれているんだよね。これからもずっと。
    親としてはこんな有り難いことはない。

    小学校低学年用の課題図書の本作。
    子供よりも親世代から共感を得る絵本のように思えた。

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    2023年05月06日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    ゴリラを通して人間を推し量る良著だと思う。

    驚いたのは、ゴリラも同種の子どもを殺す行為をすることがあること。しかもそれは、ひょっとしたら人間がゴリラの生息地を追いやったことに起因するかもしれないこと。

    つくづく人間は何のために生きているのかと疑問に思う。自分たちだけさえよければいいという考えの、単なる傲慢な種だとしか思えない。

    戦争や殺人が絶えない。人種差別も未だにある。どうしたら人間の傲慢さを打ち消すことができるのだろう。無理だろうな。

    それならまだ、うつ病に苦しんで生きている自分の方が害がなくていいのかもしれない

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    2023年04月22日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    かわいそうなこと が特に好き。クジラが自分の全体像を見れないことなんて考えたこともなかったし、ツチブタの存在なんて知らなかった。

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    2023年03月21日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    アンネの日記を小川洋子さんの視点から解説してくれている本。
    大体のことを「へぇ〜」と「ふぅん」で右から左へ受け流す傾向があり、そんな薄っぺらな自分を変えたいけれど、「感性」なんてコントロールしようと思って出来るものでもなく、自分の人としての浅さを残念に思ってしまう。私のような底の浅い皆さん!そんな人たちに是非読んでほしい。
    アンネの日記の一節が、小川洋子さんの感性を通すとこんなに広がっていくものかと驚き感心してしまう。同じ本を読んでも人によってこんなに得るものが違うのかと惨めな気持ちにもなる。(小川洋子と比べるなという話ですが)。
    自分だけでは物語の世界をここまで広げられないので、本の読み方指南書的な位置付けとして良い本だと思う。

    小川さんが、隠れ家同居人のペーターの心境に心を寄せているところと、「アンネは日記を書くことで苦しい現実を物語化し、なんとか心の均衡を保ってきた」という解説が心に刺さった。
    小川洋子さんの美しい言葉選びと豊かな感性に、熱烈なファンがいる理由が少しわかった気がする(すみません今ごろ…)

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    2023年03月19日
  • 琥珀のまたたき

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    制覇したわけではありませんが、小川洋子さんの作品で「ことり」に次いで好きな作品。静かで仄暗く、埃っぽい(けなしてません)世界が美しい言葉で綴られています。
    それぞれの結末が放りっぱなしなのもたまりません。読後は自由に思いを巡らせてくださいと委ねられている気がして好きです。

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    2023年03月05日
  • 沈黙博物館

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    ある村に博物館を建築するため、博物館技師が呼ばれた。
    博物館で展示するのは死んだ村人たちの形見。
    小川洋子さん独特の世界観。
    静かに時は流れるが、なんとなく不穏な空気が漂います。
    そこは音は聞こえるのに音がない世界。
    震えました。

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    2023年03月05日
  • 琥珀のまたたき

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    琥珀のまたたき 小川洋子

    壁の中の邸にひっそりと暮らす3人の子供と母親。
    壁の外に出ることは許されていない。
    そんな生活を描いた作品。
    そんな生活だから些細な出来事が彼らにとっては一大イベントと感じる。その様子を繊細に描いてる。

    読み進めると、実際に起こっている出来事なのか、琥珀の描いた絵の中の出来事なのか、分かりにくい場面もある。
    けど、絵は琥珀の目に写った世界を描いたもの。つまり、琥珀にとっては実際の出来事になる。

    これまで読んできた小川洋子さんの作品の中でも特段に静かな世界観を感じる。子供が3人もいれば、賑やかで派手になりそうなものだが。そうならない魅力。

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    2023年02月23日
  • 原稿零枚日記

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    ネタバレ

    苔料理専門店で食事を終えた翌朝、爪が緑色になっており、"本物の苔を食べた証拠ですよ。"と言われたり。
    自分の親族がいるわけでもない近場でやっている色んな学校の運動会に、こっそり混ざってみたり。
    その参加賞で貰った学習ノートを、原稿を書くのに良さそうだ、判子を押すところもあってよくできましたの判子を押したりして、モチベも上がりそうだとやってみたり。
    あらすじ係をやっていたら、技量に磨きがかかり、ついには本編よりあらすじの方が面白くなってしまい解雇されたり。
    "ドウケツエビの宇宙"というタイトルのトランペットオリジナル曲だったり。

    クスッと笑えるところがたくさんあって、こうゆう視点を大事にしたいなと思った。

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    2023年02月21日
  • ホテル・アイリス

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    ホテル・アイリス 小川洋子

    ホテルで働く少女。
    売女と揉めた老人。
    老人と再会し乱暴に犯される。
    少女は惹かれる。
    SM。DV。
    小川洋子さん云うと、薬指の標本を想起させる。翻訳家の老人は、マリーという主人公の作品を描いていると言うが彼の死後その本は発見されなかった。

    少女の心情の変化が飾り気なくシンプルに描写されている。

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    2023年02月15日
  • 凍りついた香り

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    ネタバレ

    香りはどうしようもなく儚いくせに怖いくらいに記憶に残る。愛した人が去れど、その人の香りは消えない。小川洋子、好きだ…

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    2023年02月13日
  • 博士の愛した数式

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    あたたかいの一言

    博士の切なさと家政婦さんのあたたかさを感じられるお話。読み終わった後に温かくなりたい人はこの本を読むべき。読み終わりまでルートと書いているところが個人的に好きだった。

    #ほのぼの #癒やされる #エモい

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    2023年02月04日
  • 余白の愛

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    ネタバレ

    ハッピーエンドではないが、読んだ後幸せな余韻に浸れる名作。Yとの関係を何といえばいいのか分からないが、どうしようもなく愛に溢れていたと思う。手の動きをこんなにも美しく表すことができるとは…

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    2023年02月02日
  • 薬指の標本

    匿名

    購入済み

    すごい

    どうしたらこういうことを思い付けるんだろう、とその想像力に驚き通しだった。表題作ももちろんすごいけど、二編目の「六角形の小部屋」に引き込まれた。読み進めるほどに、日常の裏側の見てはいけない世界に迷い込んでしまうような心地で、次に何が起こるか知るのが怖いくらいだった。

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    2023年02月02日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    ネタバレ

    表題作を含む8編からなる短編集。
    子どもの目線で書かれている話は、あー、子どもってそういう見方をするかも、と思わせられるし、子どもを偏愛する大人が描かれている作品は少しせつない感じがする。

    個人的には、想像のなかでローバと話すことで吃音が直った男の子の話を描いた"先回りローバ"にほっこりさせられた。また、"かわいそうなこと"では、自分がかわいそうだと思ったことをノートに書き始めた少年を描いているが、中でも博物館に展示されているシロナガスクジラに対する感想が好き。

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    2023年01月29日
  • 約束された移動

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    一目は奇怪だ。
    全部思い込みで独りよがりなのでは、と思う。
    けれど「一目」の向こう、事実の奥、真実と呼べるものをどれだけ知っているのかと自問するとき、それは各々の胸内にしか息づかないことを風を受け止めるように思い出す。

    秘密、誇り、傷痕……
    いろいろな名がつくかもしれないそれを、本を開くときだけ、読み手もひそやかに共有している。

    (藤本可織氏の解説も素敵です)

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    2023年01月24日