小川洋子のレビュー一覧

  • 最果てアーケード

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    ネタバレ

    優しさの中に喪失感、死の香りが漂っています。ここで売られているものは必要がなさそうだけれど、誰かにとっては大切なものばかり。自分だけの大切なものが誰かの手によって届くって素敵だな。「私」はこのアーケイドの商店街の人にお父さんの姿を見ているような気がします。そして人生そのものなのかもしれない。

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    2022年09月22日
  • 世にも美しい数学入門

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    藤原正彦(1943年~)氏は、東大理学部数学科卒、東大大学院理学系研究科修士課程修了の数学者、エッセイスト。お茶の水女子大学名誉教授。新田次郎と藤原てい夫妻の次男。『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。「論理より情緒」、「英語より国語」、「民主主義より武士道」という氏の自説を説いた『国家の品格』(2005年)は、200万部を超えるベストセラーとなった。
    小川洋子(1962年~)氏は、早大第一文学部卒の小説家。『妊娠カレンダー』の芥川賞ほか、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞、菊池寛賞、紫綬褒章等を受賞・受章。また、記憶が80分しかもたない数学博士と家政婦の母子との交流を描いた『博士

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    2022年09月08日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    雑誌『Domani』に連載されたエッセイを集めてできた本。小川洋子さんの日常からの様々な所感が主に若い女性に向けて肩肘張らずに綴られている。2009年発行、当時の出来事に思いを馳せるのも面白い。民主党政権誕生、2006年はトリノオリンピックで荒川静香が金メダル。エッセイにも名前が出てくる高橋大輔が2022年現在、まだ現役続行してるとはこのとき誰が想像していただろうか。

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    2022年09月07日
  • 琥珀のまたたき

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    この人の空想の世界は小さな世界で広がって、どんどん広がる。今回もそんな感じで、母親に家に監禁されて生活している姉オパール・弟琥珀・弟瑪瑙の生活とその山の中の別荘だった家で過ごす図鑑を基にした空想の遊び。
    オリンピックごっこや事情ごっこなど、楽しそうな遊びが繰り広げられる。この作家の子供の時の遊びは頭の中でこのように繰り広げられたのではないかと思われるような遊び。そしてオパール、琥珀、瑪瑙それぞれが編み出した独自の遊び。琥珀は図鑑の下の空白に亡くなった妹を1つの糸くずのようなものから次々と活き活きと動くように描く。それが老後の琥珀に繋がるのが文の合間に現在として挟まれて話が進む。終わりがどのよう

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    2022年08月28日
  • 言葉の誕生を科学する

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    小説家・小川洋子さんと、動物行動学者の岡ノ谷一夫さんが言葉の誕生について語る対話本。

    岡ノ谷一夫さんは鳥の歌の構造などから、人間の言語の起源について考える研究などで知られる方で、この本にも動物の行動などからたてた言葉やコミュニケーションの誕生についての仮説が数多く載っており興味深かったです。
    特に、ひな鳥が餌をねだる声は餌をくれないと天敵を呼ぶと脅迫しているという「脅迫仮説」は今まで考えたこともなかったので驚きました。少し調べてみたら、鳥の鮮やかな色の卵も抱卵を促すための脅迫という説もあるそうで、よく出来ているものだなあと……。人間の子どももずいぶん大きな声で泣いたりしますが、起源としては鳥

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    2022年08月26日
  • 世にも美しい数学入門

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    学校でこんなふうに教えてほしかった!
    数学はただの計算式でなく、美しさを追求する学問なんですね。おもしろい!
    中田あっちゃんの数学の動画を見ていたので、ラマヌジャンやオイラー、フェルマーの名前が出てきたときは「あー知ってる!」と嬉しくなりました♪

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    2022年08月22日
  • 琥珀のまたたき

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    小川洋子さんの書くお話は、「現実のようだけどどこにもない話」が多かったような気がするのですが、これは「非現実のようだけど、どこかにありえそうな話」にも感じ、そこが不気味で怖くて、でも大好きです。
    幻想的で美しく、儚く頼りない日々の物語。

    あと、この表紙がとても素敵。
    オパールに琥珀に瑪瑙。崩れそうな本からのぞく「あの子」の姿。この本の世界のすべてがあるようで、見とれてしまいます。

    個人的な印象ですが……。
    このお話が好きなら服部まゆみさんの『この闇と光』が好きな方とかも好きなんじゃないかなと思います。

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    2022年08月21日
  • 博士の愛した数式

    購入済み

    優しい気持ちになれる本

    胸にジーンとあたたかいものが込み上げる、そんな素敵な本でした。
    また読み返したいなと思います。

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    2022年08月11日
  • 洋子さんの本棚

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    2人の洋子さんが、少女時代から各年代ごとの愛読書を持ち寄って語りつくす。これが殆ど未読の本ばかりなんだ。読んだことのある本なら、そこで語られることに反応できるけど、知らない本はそうもいかない。もちろん「今度読んでみますか」ってこともあるけど、読書案内のための対談ではないのでそれも苦しいところ。

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    2022年08月09日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    読むといつもふふっとなる。
    悲しくなると何故涙がでるのかという話で小川洋子さんってすごく精神的に純粋だなぁということと
    子供の頃の感覚を失わないまま大人になった人なのかなと思った。読んでいるととても落ち着く。

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    2022年08月04日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    人間個人の、存在としての痛々しさに苦しくなりながら読む。

    身の回りの出来事や、自分の意識や認知の段階ではやり過ごしていることを豊かに発酵させて、あるいはジャムを作るように煮詰めて書かれているようだ。

    痛い。ほんとは生きててずっと痛い。傷が痛む

    ただ、それを注視していてもどうにもならないし、日々やらなくちゃらいけないことは積もっていくので傷に向き合っている時間はない。

    ところが小川洋子の本を開くと、放置してきた傷がいかに深いか、どれほど化膿が悪化しているか、あるいは多少は癒えているか、などを思い起こさせる。

    具体的な被害、加害の話ではないのに。

    私はこんなに傷ついていたんだなあ、難し

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    2022年08月02日
  • 凍りついた香り

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    たまにはこの様な物語もいいではないか。

    ある日突然恋人を失い、その生きていた証を訪ねていく物語。
    生前の彼のことを、実は何も知らなかった自分に少なからずショックを受けながらも、彼の弟と共に軌跡を追い彼の実家で過ごす。そして異国の地へ向かい、そこで出会うガイドと共に。

    彼が存在していた記憶を思い出し、考え、それにどっぷり浸かりながら、いない事実を受け入れていく様がよく書かれていて、ページをめくる手がとまらなかった。

    少しは楽になれただろうか?時間が解決とは良い言葉だが、どっぷり浸って溺れながら、でもゆっくり浮かんで生きていくのも悪くないと思った。
    無性に好きな人に会いたくなった。

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    2022年07月17日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    ゴリラについて作家と霊長類学者が語り合う。言葉を持たない霊長類を研究するには、彼らの活動を言語化しなければならない。その過程でいろいろな発見がなされるわけであるが、作家の想像力と学者の観察力が出合い、ゴリラを介在して二人が見出したものを言語化していくのを読むのは有益であり、楽しい。

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    2022年07月09日
  • やさしい訴え

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    ニ短調。「やさしい訴え」は18世紀フランスの宮廷作曲家ジャン=フィイリップ・ラモーの作品。僕には判りませんがラモーにしてはしっとりとした小品だそうだ。洋子さんの創作する物語は既にここにある。誰もが平穏の中にいる。洋子さんの長編4作目はピアノを弾けない指、殺された婚約者、暴力を奮う夫。それに私が今回の登場人物。快い旋律は気分を高揚させる。それはまるで愛の営みの様に。

    洋子さん節を勝手に哀妖艶愛小説って命名してますが、今回は妖と艶の部分は感じません。純愛と独占欲。結婚と愛情について問題を投げ掛けられました。今まで気付きませんでしたが発問性に惹かれているのかも。

    結婚したい人と愛する人の違い。結

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    2022年07月07日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    ネタバレ

    自分の世界で丁寧に繊細に生きる人々の8話の短編集
    短編はあまり好みではないと思っていたけど、
    十分に惹き込まれ充たされた

    中でも印象に残ったのは、
    仮名の作家
    途中から、主人公はまるでストーカーじゃないかと気づきドキドキさせられ
    空想と現実が見事に折り混ぜられまるで映画を観てるような気持ちになった
    狂気の中にも、儚く美しい描写シーンがありきらきらと光ってる
    タイトルにもなっている、口笛の上手な白雪姫のお話もとても好き
    小母さんと赤ん坊が愛おしい

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    2022年06月27日
  • 刺繍する少女

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    不思議な世界感。
    ただそこに置かれている静物にも意志を感じ、時には狂気さえ見えます。
    そんなところもひたすら優しい文章の中で共感してしまいます。
    誰にも自分の気持ちは理解できない、ひとりの世界に漂います。

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    2022年06月26日
  • 心と響き合う読書案内

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    ラジオ番組メロディアスライブラリーで紹介された本をまとめられた最初の本。
    読んだことのあるものあり、ないものあり。

    出来れば手元に置いて読書の参考にしたいかな。

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    2022年05月12日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    小川洋子さんの著作でこのタイトルとなると、期待しかない。
    浮世離れしていて、透明感があって、切なくて胸が苦しくなるようなお話もあって…読んでいる間現実を忘れるという意味で、小川さんの本は時々強烈に読みたくなる。

    8篇の短篇集。それぞれ短いからさらっと読めるのだけど、その中にワールドが出来上がっているのがいつもながら流石と思う。
    表題作はラストに収録されているのだけど、個人的には前半の5篇がとくに印象的だった。

    すべてに共通して、失ったもの、という言葉が頭に浮かびながら読んだ。失ったものを静かに見つめたり、少し執着したり、ひそやかに悲しんだりする。そういう人びとの姿が描かれているように感じた

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    2022年05月04日
  • 余白の愛

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     私の母が歳を取り、難聴になったので、補聴器を試してみたけど、音が聞こえすぎて辛いと言っていました。この話の主人公も色んな聞こえなくてもいい音が、ずっと聞こえているそうで、大変そうでした。
     後半は、モヤモヤした感じがスッキリするのかと思い、いっきに読んだのですが、やはり小川洋子さんの作品らしい終わり方でした。

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    2022年05月03日
  • 小箱

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    ネタバレ

    連休初日、どこにも出かける用事もなく、また気分でもなく、ひとり部屋で小川洋子を読める幸せ。
    静かに、どこまでも静かな気持ちになっていく。ひたすらに心地よい文章。

    幼稚園ではないが、以前訪れた自由学園明日館を思い浮かべながら読んだ。

    「安寧のための筆記室」とはなんと魅力的な言葉か。書きものをして心を休ませるための場所。どこかに本当にあったらいいのに。せめてその小説が本当にあったらいいのに。と思った。

    美容師さん、虫歯屋さん、従姉妹、クリニーング屋さん、バリトンさん。誰もがとても愛しく魅力的。

    擦り切れるほど観ているおおきなかぶのビデオテープ。「プログラム8番」と園長先生が映し出される場面

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    2022年04月29日