小川洋子のレビュー一覧

  • サイレントシンガー

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    小川洋子さんの描く静かな世界。
    リリカは、“内気な人の会“と称する人達に囲まれて育った。彼らは言葉を話さず、指言葉で最低限の会話をする。
    言葉を尽くしても思いが伝わらずにもどかしいことがある。彼らが無言でも分かり合えて、思いが伝わる様子に心温まった。
    時折描かれる少しグロテスクな描写や、悲しい出来事も、この静かで優しい世界に溶け込んでしまうようだった。
    小川洋子さんの小説にはいつも生きづらさを抱えているような人が登場するが、読み終えた後は、自分は自分のままでいいのだと思える。

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    2026年01月02日
  • ミーナの行進

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    主人公の朋子が、ある事情によって、芦屋の富豪でもある、伯父・伯母のお屋敷に、1年間同居することになった。お屋敷には、朋子より1歳年下の体の弱いミーナと、伯父の母親(おばあさま)、家事を手伝う米田さんと小林さんが住んでいた。ミーナには、スイスの寄宿学校に留学をしている兄がいて、彼も朋子がお屋敷にいる間に帰省をしてくる。そして、お屋敷にはコビトカバのポチ子が住んでいて、体の弱いミーナを乗せて、小学校までの道のりを送り迎えしていた。
    物語は、そのような家族と偶然に1年間住むことになった朋子の視線で、その間のあれやこれやを描写したものだ。
    正直、芦屋での1年間の描写は、少し退屈なものだった。が、ミーナ

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    2026年01月02日
  • 人質の朗読会

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    ネタバレ

    多くの人が持っているちょっとした記憶に刻まれた出来事を、ちょっとした工夫で語られる話。それを人質たちが語る。それを立て篭もり犯人を囲む警察が盗聴するというシチュエーションがより人質たちの思いを際立たせる。僕だったら、何を語るだろうという思いを抱いた。そして、僕の行動・行為が相手を涙させたであろうことに思いが至った。きっと、とても楽しかったことではなく、心の奥に刺さったトゲのような出来事なんだとう。

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    2026年01月01日
  • サイレントシンガー

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    なんだろう不思議な物語
    大人の童話のような感じ
    沈黙の人達が住む土地で育ったリリカ
    母親が死に 祖母に引き取られ
    沈黙の人達の保健室で老介護人に
    世話され指で挨拶することを覚える

    自然と一体となり歌うことを覚え
    祖母も自然との関わり方を教えた
    自然と自分が一体化する
    そこで歌う自然とともに

    最後は死者の話相手になる人形の池で
    死んでしまう
    それはそろそろ昔のように歌えないと
    リリカが感じ始めた頃だった

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    2025年12月31日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    いつから読んでいるんだろう。

    小川洋子さんの本はまだ読んだことないけど、エッセイから手を出してみた。
    一つ一つが短くて読みやすい。
    そしてこの人の本への愛がよくわかる。
    どんな思い出に関してもあの本のあの部分と似てるなぁとかあの本の主人公はこんな気持ちだったのかなとか、これまでの読書量が感想に出てきている。
    こんな素敵な表現ができるならもっと自分も本を読もう、そんなモチベを貰えたエッセイだった。

    時々切なさを感じる場面があり、「とにかく散歩をいたしましょう」につながる終わりがとても良かった。

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    2025年12月30日
  • 海

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    文芸評論家の三宅香帆さんがおすすめしていたので購読。眠る前のベッドで少しずつ読み進めたが、どのお話も心が静かになる短編。小川先生が巻末のインタビューで「ひとつ世代が抜けている者同士のつながりを書いたものが多い」と仰っているが、ひとつ世代が抜けていることによって、死の気配も、みなぎる生命力も同時に感じるのがなんとも儚くて、胸にじんわりとくる。小川先生の作品の登場人物の感受性の強さも好きで、また過去の作品も読み直そうかなと思った。

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    2025年12月27日
  • 海

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    薄水色の妄想の世界をずっと歩かされているような気分になる。官能的なものであれ、少し笑えるものであれ、すごく淡くて遠い。小川洋子といえば薄気味悪い表現で、わたしはそれが大好きなんだけど、この短編はそのエッセンスは少し弱いかな。
    「バタフライ和文タイプ事務所」は読んでいて感嘆の息を漏らすくらい好きだった。薬指の標本と同じ空気。

    全体として、純粋な者との交流というのが一貫してあったと思う。「海」の弟、「風薫るウィーンの旅六日間」の琴子さん、「缶入りドロップ」の子ども、「ひよこトラック」の少女…。「バタフライ和文タイプ事務所」と「ガイド」はメインの登場人物2人ともに純粋さを感じた。その純粋さには現実

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    2025年12月21日
  • 世にも美しい数学入門

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    中学生、高校生などがこれを読んだらかなり勉強熱心になるのでは、と思う。
    そんな時代に読みたかった本。
    数学の疑問について調べたくなる癖が着くと思う。
    対談形式なので読みやすい。

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    2025年12月20日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    『押し潰されそうに耐え難い、大きな岩石のような苦しみが、言葉というかたちをとることで頭の上から足元へと移動し、重荷から、その人自身の土台へと変わる。悲しみや苦しみはけっして消えないけれども、置き場所を変えることはできる』

    言語化することの意味やその効力の強さを学ぶことが多い1冊だった。

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    2025年12月20日
  • そこに工場があるかぎり

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    ふと気づくと、金属に穴があきはじめている。そもそもの目的がこれなのだから、驚く必要もないのに、なぜかとても不思議な現象を目にしている気分になる。一点の窪みが少しずつ、慌てず慎重に、奥へ奥へと潜り込んでゆく。電極と金属は一定の距離を保ち、決して触れ合わない。電極の回転も、穴の形成も、想像よりずっとゆっくりしたスピードで行われる。金属はまるでそれが自らの意思であるかのように、穴を受け入れている。この密やかな営みを、火花が祝福している。(第1章 株式会社エストロラボ〈細穴屋〉より)

    凡ゆる仕事には、たとえ文化勲章受賞者ではなくとも、匠の技が隠れている。と、私は思う。
    例えば、封筒詰めの単純作業であ

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    2025年12月17日
  • まぶた

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    小川洋子さんならではの素敵な言葉選びと不穏な雰囲気が漂う短編集。。
    バックストロークは強烈。まぶたは流浪の月みたいだと思った(まぶたが先です)。2001年にこの物語が存在したんだと思うと不思議な感覚。

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    2025年12月14日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    静謐な朗読を聞いているような作品だった。
    時に熱く語られているのにどこまでも客観的で、静かで穏やか。冬の午後にぴったりだった。
    時折差し込まれる夢か現か分からないお話にエッセイと創作の境目がなくなる感覚が小川洋子作品、という感じがして心地良かった。
    まさに「優れた文学に出会うとそれがエッセイか小説か分からなく」なった。

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    2025年12月12日
  • ミーナの行進

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    海外のお話し⁉️って何度も思った作品!

    何十年も前に観た“赤毛のアン”とか“フランダースの犬”な世界観を感じました✨♡

    小川洋子さんの作品にまた触れてみたい^_^

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    2025年12月10日
  • 薬指の標本

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    勝手に登場人物を外人にして読んでしまうくらい現実離れしていて、でも普通に読めてしまっていて
    自分もこの話の中に取り込まれているような気がして変な感じになった

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    2025年12月04日
  • 遠慮深いうたた寝

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    小川洋子さんの言葉に触れるたび、私の心を守ってくれた物語たちを思い出す。小川洋子さんの作品もその一つだし、このエッセイもその一つになった。
    心が頑なになって、みんなが敵に見えてしまったときに、また読み返したい本。私は弱いし何もできないけど、そんな私を守ってくれる物語が世界にはあふれていると気づかせてくれる、お守りのような本。

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    2025年12月01日
  • 刺繍する少女

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    ネタバレ

    どうしてなのか分からないんだけど、急に胸をつかんでくる文章や、短編に出会う。
    そういう文章には五感も鮮明に立ち表れてきて、その物語が心に住み着く、そんな感じがする。

    これは〇〇をモチーフにしてるのか?と疑問符がついたまま終わる作品がいくつかあるけど、何度も読み返してわかったりするんだろうな〜
    小川洋子先生の本もっと読ませてもらいます

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    2025年11月29日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    素晴らしかった。大切に、大切に読み進めた小川さんのエッセイ集。エッセイ集と言っていいのかわからなくなるほど、短めの深い思いで唯一無二。いろいろなところで書かれたエッセイを章に分けて載せている。1、2章あたりのエッセイがたまらなかった。日常や、家族の幸せが美しく切なく心に響くエッセイがたくさんあった。亡き両親との思い出。よその子や赤ちゃんとふと、些細なきっかけで顔見知りでないその子たちと触れる中で思い出す、自分の子供との思い出。想像するということ、読書ということとは何か。と思えば、少し抜けた感じのクスッと笑えるエッセイもあり…ということで絶妙なバランス。小説も美しく、エッセイも美しく、すごい、小

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    2025年11月28日
  • ボタンちゃん

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    成長とともに消えゆくもの。
    それは見える物であったり、見えない価値観や感情ではありますが
    たち帰れる場所を作るのもありかなと思いました。
    すぐに使わなくなった物や価値観は少しだけ残して(記して)見返せるようにしてみようと少し思えました。

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    2025年11月26日
  • 海

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    風に吹かれるように心地良くうつらうつらと読んでいたら「バタフライ和文タイプ事務所」が始まり目が覚めました。

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    2025年11月25日
  • 妊娠カレンダー

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    ネタバレ

    話に出てくる人たちの行動が人間らしくなくて、ずっと不穏な空気が流れてるけど、すごく心に残る。
    とくに妹が、妊娠した姉のためにグレープフルーツのジャムを煮るシーンが印象的。
    とても従順にみえて、農薬が使われているかもしれないグレープフルーツを淡々と調理する妹の姿に寒気がしてくる。わたしには悪意とともに行為に及んでいるように見えて、それは自分の姿ともすこし重なるような気がした。

    色んなことがはっきり書かれていないからこそ、いろいろな読み方ができそう。
    わたしは面白かった。

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    2025年11月22日