小川洋子のレビュー一覧
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主人公の朋子が、ある事情によって、芦屋の富豪でもある、伯父・伯母のお屋敷に、1年間同居することになった。お屋敷には、朋子より1歳年下の体の弱いミーナと、伯父の母親(おばあさま)、家事を手伝う米田さんと小林さんが住んでいた。ミーナには、スイスの寄宿学校に留学をしている兄がいて、彼も朋子がお屋敷にいる間に帰省をしてくる。そして、お屋敷にはコビトカバのポチ子が住んでいて、体の弱いミーナを乗せて、小学校までの道のりを送り迎えしていた。
物語は、そのような家族と偶然に1年間住むことになった朋子の視線で、その間のあれやこれやを描写したものだ。
正直、芦屋での1年間の描写は、少し退屈なものだった。が、ミーナ -
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薄水色の妄想の世界をずっと歩かされているような気分になる。官能的なものであれ、少し笑えるものであれ、すごく淡くて遠い。小川洋子といえば薄気味悪い表現で、わたしはそれが大好きなんだけど、この短編はそのエッセンスは少し弱いかな。
「バタフライ和文タイプ事務所」は読んでいて感嘆の息を漏らすくらい好きだった。薬指の標本と同じ空気。
全体として、純粋な者との交流というのが一貫してあったと思う。「海」の弟、「風薫るウィーンの旅六日間」の琴子さん、「缶入りドロップ」の子ども、「ひよこトラック」の少女…。「バタフライ和文タイプ事務所」と「ガイド」はメインの登場人物2人ともに純粋さを感じた。その純粋さには現実 -
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ふと気づくと、金属に穴があきはじめている。そもそもの目的がこれなのだから、驚く必要もないのに、なぜかとても不思議な現象を目にしている気分になる。一点の窪みが少しずつ、慌てず慎重に、奥へ奥へと潜り込んでゆく。電極と金属は一定の距離を保ち、決して触れ合わない。電極の回転も、穴の形成も、想像よりずっとゆっくりしたスピードで行われる。金属はまるでそれが自らの意思であるかのように、穴を受け入れている。この密やかな営みを、火花が祝福している。(第1章 株式会社エストロラボ〈細穴屋〉より)
凡ゆる仕事には、たとえ文化勲章受賞者ではなくとも、匠の技が隠れている。と、私は思う。
例えば、封筒詰めの単純作業であ -
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素晴らしかった。大切に、大切に読み進めた小川さんのエッセイ集。エッセイ集と言っていいのかわからなくなるほど、短めの深い思いで唯一無二。いろいろなところで書かれたエッセイを章に分けて載せている。1、2章あたりのエッセイがたまらなかった。日常や、家族の幸せが美しく切なく心に響くエッセイがたくさんあった。亡き両親との思い出。よその子や赤ちゃんとふと、些細なきっかけで顔見知りでないその子たちと触れる中で思い出す、自分の子供との思い出。想像するということ、読書ということとは何か。と思えば、少し抜けた感じのクスッと笑えるエッセイもあり…ということで絶妙なバランス。小説も美しく、エッセイも美しく、すごい、小