小川洋子のレビュー一覧

  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    ネタバレ

    他者理解に必要なことが河合先生のお話にたくさん詰まっていた。
    私はどこまでも待てないんだけれど、他人と物語を共有しようとすればいいのかもしれない。

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    2022年12月11日
  • 人質の朗読会

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    それぞれの人生の一場面を切り取った物語。
    最悪の状況の中でもわずかな光を求めていく。
    そして苦しみから逃れる今を生み出していく。
    全員救われてほしいと願ってしまう。
    そしてコレがまるでノンフィクションのようなリアルで見えてくる。
    小川さんの凄さを知った感じだ。

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    2022年12月08日
  • 余白の愛

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    ネタバレ

    耳を患ったわたしは、座談会に出た際の速記者Yの指に惹かれる。何度か会ううちに、自分の語る話を速記してもらうことにする。
    しばらくして、Yが所属する速記の会を訪ねたわたしは、そこに事務所はなく、その代わり、その場所にあった家具屋の中にYが語った話の片鱗を見る。
    Yとは一体誰だったのか、耳の不調と離婚による精神的な凹みが生み出した幻想だったのか。

    全体を通して幻想的な雰囲気が漂う物語。

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    2022年11月30日
  • 掌に眠る舞台

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    繊細で儚い言葉で綴られる物語は美しくもあり怖くもあり。。
    誰も哀しいくらい孤独に見えるけれど、各々が特別なこだわりを抱えて生きていて。それは他人から見たら奇妙で滑稽だけれど、不思議に幸せそうにも思える。
    数ヶ月前にガラスの動物園を観劇したこともあって、「ユニコーン」が特にリアルで瑞々しく感じた。ローラのセリフを演じ続ける伯母さんが、舞台の中のローラと同じくらい、淋しくて痛々しくて切なくていじらしくて可愛らしかった。

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    2022年11月29日
  • 約束された移動

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    小説の中でだけ展開される優しい世界。
    ファンタジーといえばそうなんだろうけど、読んでいるときはそう感じさせない。けれど本を閉じるとその感覚は失われる。ま、小説なんだから当然なんだけど、それにしても上手いよね。

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    2022年11月26日
  • ブラフマンの埋葬

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    小川洋子 著

    なんて素敵な小川洋子さんならではの世界に
    誘ってくれる作品なんだろう。
    やっぱり、この世界観好きだなぁと思う。
    出だしの頁から既に誘われ、何処か知らない外国の土地に降り立って、物語の登場人物達に出会ってしまうのだ。
    最初に姿を現した僕は、、少年かと思った。
    そして朝早く裏庭のゴミバケツに潜んでいた動物らしきものは子犬かと思ったけれど…
    予想は少しずつ外れてゆくが、それすら気にならないくらい、どんどん物語に引き込まれてゆく。
    目をあけていられないほどの眩しい夏でも緑の匂いがする。泉がある。
    静謐な雰囲気に漂いながら物語りを読む。
    どうやら、少年は青年であるらしい。
    そして、物語り

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    2022年11月25日
  • 小箱

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    幼い子どものいない世界。
    主人公は年齢不詳だが、きっとものすごく若くはないのだろう…今は廃墟のように古びた幼稚園に住んでいる。
    すべてが幼い子どものために作られた、部屋も食事も園庭もプールも講堂も、小さな作りのこの建物に。
    きっと何十年も前からこの街から子どもたちは消えてしまったのだろう。
    どうしてこの街の全ての子どもたちが死んでしまったのかはわからない。
    ただ死んでしまった子どもたちへ、街全体が哀悼からくる切なさと、亡き子どもたちへの想いを抱き続けることへの静謐な幸福感…それらが感じられる、舞台は確かに日本と感じられるのに不思議な…安らかな感覚になれる世界。

    亡き子どもたちの遺骨と遺髪でで

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    2022年11月21日
  • そこに工場があるかぎり

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    細穴放電加工工場、なかなかに細かい仕事、しかし言葉だけではなかなかに分かりにくい。
    グリコのポッキー工場、ポッキー食べたくなった。チャーリーとチョコレート工場ではないのねやはり。チョコレートがかかる所が秘密なんて、私が思っているような単純なものではないんだね。
    ボート製造工場、あまり関わる事の無い物ではあるが製造よりも競技に対する熱い思い。
    サンポカー工場、ザ・町工場、一つずつ手作りの丁寧な製品。縫製室が何故和室?そこが一番気になった。
    ガラス管火炎加工工場、色々細かく書いてあるがちょっとどんな物か想像しづらい。こんな小さな作業大好き。
    鉛筆製造工場、馴染み深いがこんなに沢山の工程を得ていて大

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    2022年11月20日
  • 掌に眠る舞台

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    最近遅読化著しい私が一気読み。
    美しくてせつなくて、そして怖い作品たち。「え、これはどういう意味なの⁇」と思うところもあって、久しぶりに同じ本を読んだ人と語り合いたい!と思う1冊でした。
    私が好きなのは、「指紋のついた羽」「ユニコーンを握らせる」

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    2022年11月11日
  • 科学の扉をノックする

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    小川洋子さんが様々な科学者にインタビューする本です。

    科学では、知れば知るほどわからないことがたくさんあること。
    宇宙、鉱物、遺伝子、生物、、、まったく異なる分野なのに、なにか共通するものがあり、人間社会に通ずる話が見えてきます。そこを小説家が絶妙に料理してくれるので、小説に膨らむ妄想を楽しみつつ、それぞれの分野の最先端を理解することができます。

    科学の初心者におすすめの本

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    2022年11月05日
  • 掌に眠る舞台

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    舞台、演劇をひとつの共通のキーにはしているものの、舞台の裏に隠れている「失敗係」の話、ただパンフレットだけを持ち帰る女性の話、子どもが一人遊びで劇を演じる話……と日常的な発想からひょいと一足飛びの、少し不思議な小川さんらしい繊細な話ばかりが展開されていて、どれも新鮮に楽しめました。

    「指紋についた羽根」では乳母車に載る赤ん坊が空に伸ばす指、というだれもが想像できる純粋で尊い様子に、素敵な空想を添えていて、好きだなぁとただしみじみとそのくだりを読み返していました。

    ほかも、オペラ座の怪人の洞窟と、口腔がなぜか巧妙にリンクしてめくるめく世界を展開していく「鍾乳洞の恋」や、糸と眼の比喩がとても艶

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    2022年11月03日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    邦語訳も素晴らしいのかも知れませんが、15歳のアンネのイキイキとした表現、時にドキッとする文学表現は正に名作です!

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    2022年10月31日
  • 掌に眠る舞台

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    ネタバレ

    短編集。8話ある。

    印象に残ったのは、『鍾乳洞の恋』『ダブルフォルトの予言』『花柄さん』『いけにえを運ぶ犬』『無限やもり』

    『鍾乳洞の恋』
    肩がいつまでも痛い。そういうのって辛い。
    この物語では原因がわかっている。白い生き物のせい。
    白い生き物はいったい何だろう?
    室長が院長から離れてしまうと痛みが増すようである。
    白い生き物が院長に恋してるのだろうか?それとも、室長が?
    もう一度リセットして、歯の下を確認してみたい。

    『ダブルフォルトの予言』
    安堵と寂しさ。
    最後の言葉…交通事故で助かり生き残ったことが失敗で、本当は死にたかったのか。
    交通事故で保険金を受け取り、『レ・ミゼラブル』全公

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    2022年10月30日
  • 原稿零枚日記

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    エッセイかと思って読み始めたのですが、苔料理が出てきたあたりから、あ、違うかも、と気付いた次第。果たしてこれは全くのフィクションなのか、それとも実は・・・。曖昧な境界線に立たされる読者の心を見事に翻弄しますね。なかなか書き進まないある女性作家の日常なのですが、白昼夢の中で迷わされ、独特の濃密で不穏な世界の底に沈んでいくような不思議な感覚を覚えました。様々な「荒らし」を行う彼女の隠された背景に、ぞくっとした震えを感じるのに、もっと覗いていたいという欲求にかられる空気は小川さんならではという感じです。

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    2022年10月27日
  • 掌に眠る舞台

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    舞台をモチーフにした短編集。固有名詞が全く出てこない小説は、オカルトばりの展開でありながら、おとぎ話のようである。言葉の選び方ひとつひとつに気品があり、読んでいると、場面が美しい色合いで頭の中に再現される小説だった。

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    2022年10月26日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    なんとなく読んだような気になってたアンネの日記、本書を読んでその奥深さに感じ入りました。全く狭い視野で捉えていたことに茫然。思春期の少女のみずみずしい感性溢れる日々をつづった文章そのものです。性の目覚めと初恋の場面も素晴らしく、赤ちゃんが生まれるところについてのジャクリーヌの発言には驚かされます。思春期に遡って読むことはもうできないので、これから先もう一度じっくり味わいたいです。小川洋子さんが語る言葉は、それほどの強い魅力を与えてくれました。

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    2022年10月25日
  • 掌に眠る舞台

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    舞台や劇場をテーマにした8編の短編集。小川さんの創造する舞台やそれにまつわる人が描かれ、その世界にすぐにどっぷり浸かることができた。パンフレットだけを購入して楽屋口で出待ちし、サインをもらう「花柄さん」が好き。どこか寂しさが漂う話ばかりですが、どの人も地に足がついているような感じがする。これが小川さんの世界観なのかな?

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    2022年10月22日
  • 掌に眠る舞台

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    タイトル通り“舞台”をテーマにした短篇集。8篇が収録されている。
    舞台と一言で言ってもいろいろなものがあるが、基本的には“演劇”を上演するための舞台だ。最近、演劇の面白さに目覚めてしまったぼくにはうってつけの本だった。
    小川さんの格調高い文章で綴られる話はしかし、よくよく考えてみるとかなり異常なものもある。それを当たり前のことであるかのようにしらっと書いてしまうのがこの人のすごさだ。
    どれもよかったが、「指紋のついた羽」、「花柄さん」、「装飾用の役者」が好みだった。

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    2022年10月14日
  • 約束された移動

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    繊細でちぐはぐで欠損があり美しい小川洋子の物語を共有するには言葉を紡ぐしかないのだなあと強く感じる1冊。これをどうやって映像化する?

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    2022年10月14日
  • 最果てアーケード

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    ネタバレ

    小川洋子さんらしいこざっぱりした悲しみ?哀愁?ただよう短編集です
    どこかにある小さな小さなアーケードを舞台に主人公の『私』と様々な人のやりとりが描かれてます

    私が遺髪レース屋さんに頼んだのはアーケードの過去から飛び出していく自分とのお別れの為だったのかな…と思いました

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    2022年10月02日