小川洋子のレビュー一覧

  • ことり

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    小鳥の小父さんと言われる男性の生涯の物語。人間が理解できない言葉を話す兄の言うことを唯一理解できる存在として、兄と肩を寄せて暮らす日常は、変化を好まず、小鳥のさえずりをはじめ、ほかの人には見えない何かを大切にひっそりと、それでも少しずつ世界がズレていく様子が物悲しい。

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    2026年02月01日
  • ことり

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    静かで独特な世界観の中で、1人の人間がいかに生きて亡くなっていったのか見守ることのできる作品だった。
    周囲の人々からの偏見や狭い生活圏の中で、言い訳することもせず(できず)、自分が大切とするものを淡々と守りながら静かに生きる小父さんのストーリーに触れられたことに意義を感じた。

    【印象に残ったフレーズ】
    "鳥籠は小鳥を閉じ込めるための籠ではありません。小鳥に相応しい小さな自由を与えるための籠です"
    「いくら鳥が鳴いていても、気づかない人がいるのと同じです」

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    2026年02月01日
  • ことり

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    解説のタイトルが、「取り繕えない人たちへの愛の歌」なんだけど、ほんとうにそれに尽きるなあ…と。小川洋子の、はぐれ者にやさしいところがとてもすき。なにも知らない人から見たらたぶん「変」なんだと思うし、自分も実際目の当たりにしたら「変」って感じるんじゃないかなと思うし、でもこの物語のようなその人の世界を尊重する物語があることに誰だってほっとする気がする。感情移入したわけでもないのに、切なさとさみしさと安心が混ざってため息が出た。

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    2026年01月31日
  • ブラフマンの埋葬

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    どんどん残りのページが減っていく。
    ほとんど無くなるページに焦らされる。
    紙の本で読む良さを味わった気がする。

    結末は、そうなりますか。
    小川洋子さんの静かな物語。

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    2026年01月31日
  • ことり

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    小川洋子さんの文章の端正さ、美しさが輝く作品だった。小父さん、お兄さんはきっといわゆるマイノリティであり、ポーポー語という「みんなとは違う言葉で話す人」であるが、共感できないマイノリティとしてではなくて、誰しもが理解したいと思いながら完全には理解できないことを実感として感じられた。小父さんとお兄さんも、コミュニケーションは通じているが、一緒の言葉で会話できているわけではなく、わかり合っている人でも、完全に理解し合うことはできない、という人間の根源的な寂しさと、だからこそ耳を傾けたいと思う尊さを感じた。

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    2026年01月31日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    「物語」は今年少し強めに関心を持ってみようかなと考えているテーマの一つ。まずは導入ということでこちらの本から。何の気なしに手に取りましたが河合隼雄さんの最後の対談本で、しかも途中で終わってしまっていたものだったのですね。『ブラフマンの埋葬』を題材にした会話はぜひ読んでみたかったので残念ですね。
    物語というものが持つポジティブなパワーについては既に学んでいたり実感している部分もあるのでそういう意味では心理師としての河合さんのいう物語の効用についてはまぁそうだよね、という感じで、むしろ小川さんの物語ることに対しての使命感のような感覚や創作についての感覚が面白かった。今後探っていきたいのはむしろ物語

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    2026年01月28日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    前作に引き続き、小川洋子さんのエッセイは
    なんだか心地良くて不思議な楽しさがある。

    月、おじいさん、通りすがりの人、
    子供のゴリラ、少年、
    フィギュアスケートの高橋大輔も出てくる。

    本の紹介は実際手に取ったことがない本が多くて、なかなか難しそう。。
    でもいくつかメモはしました。

    真冬の眠れない夜にホットミルクを飲みながら
    読むのがピッタリ。静かで穏やかで染み入る言葉たちに囲まれて私もうたた寝。
    なんとも幸せな読書時間でした。

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    2026年01月29日
  • ことり

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    ネタバレ

    花鳥風月(この話では「鳥」の部分しかないが)を楽しむことへの豊かさを感じる本だった。無害な小父さんが時の経過とともに虐げられていくのは見れられなかったが、小鳥の歌がいつも傷を癒してくれる描写が素敵だった。

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    2026年01月27日
  • 密やかな結晶 新装版

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    あたりまえのようにあった身の回りのものが一つ一つなくなっていく、儚く寂しいお話だったけど読後感はそんなに悪くないのはなんでだろう。

    途中からアンネの日記を重ねながら読んでました(作家の原点となったアンネ・フランクの『アンネの日記』へのオマージュとのこと)

    島から突然あるものが"消滅"するのだけど、それを処分することで忘れる者とR氏のように消滅することができない者(記憶がなくならない者)が交わり合えないところがどちらの立場も悲しくて切なかった。

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    2026年01月23日
  • 貴婦人Aの蘇生 新装版

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    ネタバレ

    もしかしたら伯母はアナスタシアの使用人で、革命によって理不尽に命を奪われた彼女を悼むために自らがアナスタシアと名乗り、剥製のように永遠を生きようとしたのではないか、、途中まではそのような想像を巡らせながら読んでいた。しかし、作者の静謐な文章や生々しさをも美しさへと変容させる描写に、伯母が誰であろうと〝今ここで慎ましやかに幸せを感じて暮らしている〟その事実だけで充分だと感じさせられた。

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    2026年01月22日
  • 人質の朗読会

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     ずっと心の中にあり、人に話す程ではない、落ちもない話だけど忘れられなくて、思い出すたび、鮮やかさを増す記憶。私にもそんな話があるだろうか。
     語り手一人一人の、その人となりが、息遣いが、ひとつひとつの話に感じられる。
     お気に入りは、『死んだおばあさん』。

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    2026年01月22日
  • サイレントシンガー

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    沈黙を愛する人たちとともに育ったリリカは、やがて歌で多くの人や動物たちとのつながりを増やしていく。けれどその歌声は持ち主を問われない、聞く人や生き物たちの内側に積もっていく、かたちのないもの。むしろかたちがないからこそ、説得力を持ち、心に残りつづける。

    そんな歌をうたえる彼女はとても清らかだけれども、まるで音にあふれた現世とそれを受け入れられないものたちとの橋渡し役かのようでもあり、ずっと寂しい存在のようにも感じました。奉仕するような愛に満ちた彼女そのものが、作者の描く世界を体現する美しさのみで構成されていて、ひとのかたちとしての集大成かのようにも思えました。

    絡みあったふたつがひとつにな

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    2026年01月18日
  • ミーナの行進

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    大きな事件が起こるわけでもなくただひとりの生活を物語にした小説。
    ゆっくりとした時間のなかでの追体験は読んでいて心地よい作品でした。

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    2026年01月14日
  • からだの美

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    ハードル選手がハードルを飛び越える瞬間に見せる足裏、石川佳純さんのボールを見つめる視線、羽生善治さんが駒を指す中指、等。
    筆者により、思いがけない身体の美しさが浮かび上がる随筆です。

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    2026年01月13日
  • 人質の朗読会

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    人間一人一人の人生がささやかな思い出で支えられている。辛い経験。悲しい記憶。過去には色々あるけど、ぐっと今も自分の軸となって心を支えている記憶って凄く素敵だなと思った。
    やまびこビスケットのお話が個人的には凄く良かった。2人の距離感がビスケットを通じて縮まっていくのが大家さんの整理整頓への考えが凄く良くて私も整理整頓しようと大家さんとお話しているような不思議な感覚だった。

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    2026年01月12日
  • 海

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    するすると読めるけれど、小川洋子独特のひんやりとした感触、奇妙で意地らしく温かい視線、現実から少しだけずれた、しかし不思議と安らぐ読後感。それと、この短編集は少し気軽でユーモラスな話も入っていて愛らしい。
    やっぱり小川洋子は良いなと満たされた気持ちになりました。

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    2026年01月12日
  • 人質の朗読会

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    ネタバレ

    小川氏が書く物語は…物凄い不思議ですね。
    いつも思ってました。この方にしか生み出せない物語が、確かに存在する。そして深く刺さって読み手はそれを取り出さない。
    この物語の驚くべきところは、初手で語り部の人達が全員死ぬということ…その効果は絶大で、ひとりひとりの話をズンと重くのし掛かけて読んでしまう。
    大事にしないと、覚えておかないと。
    って、図らずとも慎重になる。
    させられた。

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    2026年01月11日
  • 琥珀のまたたき

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    魔犬に襲われると死んでしまうから、決して外には出ないように。
    そう母親に教えられ、箱庭の中だけで生きてきた三人の子どもたちの物語。

    オパール、琥珀、瑪瑙、そしてあの子。
    兄弟愛がなければ、発狂してもおかしくないような環境下で、皆が身体を寄せ合って、ひとつになって静かに生きていた。母親の歪さに気が付いたとしても、ここから出て行くとして、どこでどのように生きていけばいいのかその術を誰からも教えてもらえない子どもたちの無力さが、彼らをこの家に縛り付けていた。琥珀と瑪瑙は外の世界をあまりにも知らなかったから、家に居続けることが当たり前だっただろうが、オパールはきっとそうではなかった。だから、誰かが手

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    2026年01月09日
  • サイレントシンガー

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    あまりに静謐で無言で無限で、こうして感想を残すことすらノイズになってしまいそう。

    「アカシアの野辺」に住みたいかと言われれば悩む。
    人に入りすぎるのも入られすぎるのも嫌だけど、あそこまで無言と孤独を愛せるだろうか。

    「アカシアの野辺」の特徴から、衰退していくことは自明だったように思うが、少しずつ衰えていく共同体に暮らすことも「完全な不完全」を体現しているのだろう。

    声を使って会話することのない野辺に住む男たちでも、一人一人が決まった木に思いを伝えることがある。
    この小説では口から声を出さないことと、歌うことに焦点を当てているが、「聴くこと、聞き上手」な野辺の男たちにも作中触れられている。

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    2026年01月09日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    『アンネの日記』は歴史の授業で習ったりと存在は知っていましたが内容までは全く知りませんでした。最初の入り口として分かりやすそうな本書を手に取りました。
    10代とは思えない、大人も舌を巻く文章力や表現力、何より人生の価値観がありありと溢れている内容だと言うことがわかりました。
    好きな言葉は本書のp105に出てくる、
    「じっさい自分でも不思議なのは、わたしがいまだに、理想のすべてを捨て去ってはいないという事実です。(中略)いまでも信じているからです―たとえいやなことばかりでも、人間の本性はやっぱり善なのだということを。」
    というアンネの言葉です。差別的な扱いを受け、学校にも通いたくても通えない、隠

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    2026年01月12日