小川洋子のレビュー一覧

  • 耳に棲むもの

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    補聴器の販売員をする主人公。
    その人生の時系列を遡っていく5篇。
    この作品も小川洋子の密やかでどこか不穏な世界観が発揮されていて良かった。

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    2025年03月30日
  • 密やかな結晶 新装版

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    なんとなく薬指の標本に似てるなあと思いながら読み進めた。
    とにかく全ての描写が美しく、きれいな文書を読むのが好きな自分はうっとりしっぱなしだった。

    ストーリーはとしては、私とR氏の関係性がよく分からなかったりで、モヤモヤするところもあるけれど、どれも理解して欲しいわけじゃないんだろうなと思った。

    小川洋子さんの書く男性(今回で言うとタイプの先生やR氏)は白シャツ細身男子を頭にイメージして読んでいます笑

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    2025年03月29日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    唇が閉じられた状態で生まれた少年が、バスの中に住む"マスター"からチェスを教わり、やがて、からくり人形の中でリトル•アリョーヒンとしてチェスを指すようになる。

    マスターの死や、デパートの屋上に展示されていた像のインディラが大きくなり過ぎて降りられなくなった逸話などから、大きくなることに恐怖を覚え、自分は小さいままでいることを望んだリトル•アリョーヒン。
    その人生は謙虚で静かだったが、相手に姿は見せなくても、その棋譜は美しく、相手の記憶に残るものだった。

    不思議な設定ながら、心に染みたストーリー。チェスをやってみたくなった。

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    2025年03月25日
  • 遠慮深いうたた寝

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    エッセイ集。

    私には見えないもの聞こえないものを、小川洋子さんが見て聞いて書いてくださるのだな。

    ……なぜだかそう思って安心した。

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    2025年03月23日
  • 妊娠カレンダー

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    夕暮れの給食室と雨のプールが1番好きだった
    どの作品もはっきりしたラストは描かれず、文学的な表現で締めくくられる
    私には難しくて、なぜそのようなことを表現したのか、はてな
    ただ、1Q84のときのような不完全燃焼感、筆者への苛立ちはない
    それは作品全体の雰囲気のためなのかな
    柔らかく霧がかった、温かいようでどこかじめっぽさがある、雨の水彩画みたいな雰囲気だから、最後のもやもやも作品の一部として受け入れられた
    結末をはっきり知りたい!という焦燥感がない
    不思議と満足感がある
    これが小川洋子の作品なのかな
    角田光代のクリアな世界とは全然違う

    最初は馴染めなかったけど、3作品読み終わった頃にはその世

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    2025年03月22日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    ◼️ 小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」

    予想外の内容だった。さる著名作家によく似ている。こんな人日本にいたのかと。

    柔らかな、しかし、ん?象と?となるタイトル。おそらくプールで泳ぐ時なんらか象に関係した夢想があるのかな、穏やかな現代小説か児童小説っぽいものかなというイメージのまま入ったら、まったく違った。短編集「アンジェリーナ」は読んだことがあったけどこんな幻想的な長編だとは。

    途中からこれはポール・オースターにそっくりだ、という気がしてならなかった。最後まで。

    リトル・アリョーヒンとのちに呼ばれる少年は成長して巨大化したためデパートの屋上から降りることができず一生をそこで過ごしたいう象

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    2025年03月19日
  • 遠慮深いうたた寝

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    もう誰にも必要とされないものが、なぜこんなにも美しいのか不思議だった。(本文より)

    石を積み上げるようにコツコツと書く作業をするという著者は、いつものように誰にも思いつかないような表現力で、世界の神秘に目を輝かせる少女の眼差しで世界をみせてくれている。

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    2025年03月18日
  • 琥珀のまたたき

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    小川洋子さんの世界観、想像力、感性はとても素敵だと思います
    独特の世界の中に生きる人々の、世の中に影響されていない価値観や心の豊かさに触れることによって気持ちが楽になるというか、自由になるというか
    騒がしい世の中ではなかなか気づけないことに触れられる気がします

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    2025年03月18日
  • ミーナの行進

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    すごい事件が起こるわけではないですが、しっかり読ませて読後感も良い。小川洋子さんらしいです。挿絵も良い感じでした。

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    2025年03月14日
  • 沈黙博物館

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    ネタバレ

    雪がしんしんと降り積もると世界が沈黙したみたいに感じるよなあと思った。
    「小川洋子氏の作品は音がないのだ」なんていう評価を読んだことがあるけれど、この作品では沈黙が静けさが静寂が何度もこんこんと表現されていて、ざわついて苦しい私の現実から目を背けるのにぴったりだった。「音がない」という評価については、そんなことないよと思う。小川洋子作品の特徴である"静謐さ"を「音がない」と表現するのはちょっと省略しすぎだと思う。
    兄さんに手紙が届かないという部分で、「ああ、この人は生きているお兄さんとは違う沈黙の、死の世界に行ってしまったんだ」と気づいた。小川洋子さんの本では、「届かない手

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    2025年03月08日
  • 耳に棲むもの

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    なんという言葉のチョイス
    小川洋子は魔法使いだ

    補聴器販売員をしていた父
    彼の人生を遡るような短編集

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    2025年03月04日
  • ミーナの行進

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    子どもの頃のたった1年間。
    でもそれが、今後の人生の宝物と言えるような素敵な経験をした女の子の話。子供の頃印象的だった事って、期間の長短関係なく、ずっと心に刻まれるのは何となく共感できる部分もあり…。
    そんな宝物らしく、キラキラして温かい物語でした。

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    2025年03月03日
  • 耳に棲むもの

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    VRアニメ作品の内容と絡めた内容となっており、1章を先に読んでみたもののそこまでピンとこず、ネット検索してPVとあらすじを読むと腑に落ちた。
    他の方のレビューでも、VR作品を見た後に内容を補完するような短編集であるらしく、PVだけでも読む前に見るのと見ないのとでは、世界観への入り方が変わりそうだ。
    小説単体でも著者らしい独特の雰囲気は味わえる。しかし、映像を見た後の方が確実に面白いだろう。

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    2025年03月01日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    形や意味が人々の記憶から失われていく世界で残るものは?

    目覚めるとこの世界から「なにか」が消えている。痛みもなく不安もなく、ただ消失する。鳥や切符やリボンや香水や左足が消えていく。

    喪失を経験しない人間もいて、そんな人間を取り締まる秘密警察がいる。Aがいればその対極にいるBは立ち現れる。

    不思議な世界と秩序を、慈しみと優しさを備えて表現することを得意とする小川洋子先生の一本技。終着点が読めるテーマだからこそどのようにして辿り着くのかが気になってページをめくった。
    秘密警察という存在が小説世界に不穏と緊張を強いていて、隠し部屋にいる「R」氏とのミニチュアハウスのような柔らかな生活との対比が

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    2025年02月28日
  • 妊娠カレンダー

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    「妊娠カレンダー」は姉が妊娠して出産するまでの出来事が妹目線で語られている。静かさの中にある人の悪意みたいなものが描きだされていると感じた。
    妊娠・出産という事象にもかかわらず、姉も義兄も妹もどこか嬉しそうな様子ではなく、妹も姉の助けになればと思っていたはずなのにいつの間にか悪意の萌芽が意図せずに自然に生まれたという感じがしました。そして妹がどこまでいっても無感動な観察者といった感じがひしひしと伝わってくるようでした。

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    2025年02月19日
  • 耳に棲むもの

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    短編連作。現実感溢れるけど、ダーク寄りファンタジー。どれも少し気持ち悪くズレてます。キーは耳。132ページと短く、あっという間に読めるので、この気持ち悪くズレた空間にお越しください。文章は美しく響くようです。切り取って入試の問題に使えそうな内容だな~って思いながら読みました。
    エログロないものの、これを読んで面白い!と思う小学生はまれだと思うので、高校生くらいからが向いてます。中学校以上向け。

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    2025年02月17日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ブッカー賞の候補になったのを知り、読んだ。架空の島で色々なものが消滅していくのに、それを受け入れていく人々。人々をとても丁寧に描きながら、消滅に抵抗するR氏のようにならなければならないと訴えているのかな?
     

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    2025年02月13日
  • 耳に棲むもの

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    VR作品と本書の両方を楽しむと彼の人生の全体像が見えてすっきりします。
    VRの公式のあらすじだけでもぜひ読んで欲しい。

    小川洋子らしさ全開の洗練された短編集だったと
    思う。忘れられたもの、閉じ込められたものに
    手を差し伸べたやさしい小説だった。
    自分にとって大事なものをここ最近は書き続けていると本人もどこかで言っていたのがよく分かる。
    「琥珀のまたたき」「密やかな結晶」あたりと似た何かを感じたが、それ以上に主人公が小川洋子そのものである気がして、読んでいて満たされていくのを感じた。

    編によっては好みが分かれるのは理解できる。
    「今日は小鳥の日」は、共感はできない世界の1エピソードという受け

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    2025年02月03日
  • 凍りついた香り

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    ネタバレ

    結論とか答えみたいなものはこの物語の中に明確に描かれておらず、すでに亡くなった人の足跡を辿る道のりは奇妙さと焦燥感があるのだけど、不思議と満足感を味わえる。

    自分から傷つきに行ったり泥を被ることで、受ける傷の深さを想定の範囲内で済ませようとする人の繊細さ、優しさ、弱さ、強さを考えてしまう。

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    2025年01月31日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    久しぶりに読んだ小川洋子さんの著書。
    8つの短編。

    それぞれの物語の主人公たちは、ひっそりと偏った内面の世界を持ち、他と分かち合うことは決してない。その孤独は不幸というよりも、本人にしか見えない調和を守るためにある。

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    2025年01月29日