小川洋子のレビュー一覧

  • 最果てアーケード

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    読むごとに頭の中でアーケードのお店がどんどん充実していって楽しかった。時系列で話が進んでいかず、時が行ったり来たりする構成が読んでいて不思議だった。その行ったり来たりの中で出来事の点と点が線で繋がってくるのが面白かった。

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    2026年04月02日
  • 妊娠カレンダー

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    ネタバレ

    妊娠カレンダー。姉と義兄と一緒に暮らす私。
    妊娠した姉の要求に、文句も言わずに答えている。
    いつも料理に文句をつけられたり、つわりが酷くて
    キッチンで料理ができないからと、庭に調理器具を
    持ち出して地面にござを敷いて食べる。
    (庭でご飯というのはとても楽しそうだけど)
    つわり後、食欲が増した姉にグレープフルーツジャムを
    毎日作るようになった。店員にわざわざアメリカ産かどうか確認して、防カビ剤が塗布されたものを買ってくる。
    発がん性があり、染色体を破壊する、という話を知りつつ皮を刻んでジャムにする。姉が食べたいというから?
    悪意とも親切とも取れる行動だけど、やっぱり悪意が
    勝っていると思う。最後

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    2026年04月04日
  • 妊娠カレンダー

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    第104回芥川賞受賞作、ということで。

    受賞作と、他2篇。
    91年に受賞、この文庫が94年に1刷ということで、35年の時を経ているというのは不思議に思えた。所々にその時代性は少しだけ顔を出すものの、全く古びていない。

    3篇の短編集の共通して根底にあるものは、何とも言いがたい淡々とした不穏、不気味さと、観察者としての「わたし」、そして高く一貫した描写力だと思った。

    個人的には「ドミトリイ」と、著者の文庫版あとがきの中の、新鮮な玉ねぎと猫の死体の話が一番面白かった。

    「ドミトリイ」は特に途中からミステリーのような急展開になり、真の小説が生まれるのはそういうところにあるものかと、短いあとがき

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    2026年04月01日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    小川洋子さんのかく文章は本当に読んでて心地良いです。静かだけどその静かかさの中には深淵が広がっているような。とてもいろんな色の絵の具を幾重にも重ねて描いた絵画のようです。パッと見は青に見える。でも近寄って覗き込むようによーく見るとその中には黄色も緑も灰色も茶色もあらゆる色が隠れていてびっくりする、そんな感じです。(←我ながらわかりにくい 笑)

    全体的に感じる空気感はファンタジーのような神秘的な夢物語のような印象を受けますが、実は窮屈な生きにくさを描いたダークファンタジーでした。リトル・アリョーヒンにとってチェス盤の下以外の世界は何と生きにくかったことか。リトル・アリョーヒンが悪いわけじゃない

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    2026年04月01日
  • 密やかな結晶 新装版

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    読みながら読んだ文字がポロポロと落ちていく感覚
    まさしく物語の中どおりの消滅のような感じがして面白かった
    主人公の名前も、おじいさんも、結局名前が出てるはずのR氏もはっきりとした名前が分からずにこの物語は進んでいってこうやって文章って書けるんだ…と圧倒された
    天然石や鉱石を見ているような透明なでも角度を変えると見方が変わるようなそんな物語だった

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    2026年03月31日
  • そこに工場があるかぎり

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    小川洋子さんの工場を見学してきたお話。

    小川さんは岡山県出身。
    幼い頃から近くに工場があり、ずっと興味を抱いていた。
    小川さんの工場愛がにじみ出ている一冊。
    文章がとてもきれい。
    読んでよかった。。。
    この本を読んで、鉛筆を購入。
    しばらく使ってみようっと。。

    メモ
    細穴の奥は深い (エストロラボ<細穴屋>)
    お菓子と秘密。その魅惑的な世界 (グリコピア神戸)
    丘の上でボートを作る (桑野造船)
    手の体温を伝える (五十畑工業)サンポカー
    瞬間の想像力 (山口硝子製作所)ガスクロマトグラフィー
    身を削り奉仕する (北星鉛筆)

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    2026年03月31日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    言葉一つ一つがきれい

    私にだってちゃんと若い頃はあった。疲れを知らず、恐れを知らず、時間に限りが

    あるなどと考えもせず、今目の前を行くあの子のようにずんずん突き進んでいた。愛してくれない人を恨み、自分より愛されている人をねたみ、いつも、自分自身を哀れむために泣いていた。それでも思う存分泣けば案外とすっきりし、むくみも食欲不振も目の下の隈も、一晩で解消した。そんな時代があったはずなのに、ちょっと油断し

    ている隙に、すべてが遠くなってしまった。なぜだろう。あの日々は一体、どこへ消

    えてしまったのだろう。

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    2026年03月29日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    何の話?と思わせるこのタイトル。マスターから教えてもらったチェスに魅入られた男性の物語。独特の世界観で、いつの時代の話なのかもよくわかりませんが、一人の男性の生涯に思いを馳せながらの余韻の残る読書体験でした。チェスと将棋ってすごく似てるんだなぁと思ったり、最後はミイラと再会させたかったなぁと思ったり、この話ってノンフィクションなの?と思ったり、これはこれで一つの幸せな人生だっただろうなぁとか、いろんなことを思いながら楽しく読めました!

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    2026年03月29日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    人間とゴリラまた他の動物たちとの様々な比較をしている本書はとても面白かった。言葉があることによって文学が生まれたりして文化的に豊かになった部分もあるけれど、本能を超えた残虐性が生まれたり、曖昧さが許容されなくなってきたり言葉以外の手段が弱くなったりということもある。使い方を考えていきたいし言葉だけを絶対視しないようにしたい。

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    2026年03月28日
  • 沈黙博物館

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    ネタバレ

    青年を主人公に据えて青年を支える少女と気難しい老婆がいる。
    この設定だけで「小川洋子」であれば、話が面白いのは決まっている。

    地域の人々の形見を集めた博物館を建てるための準備をしに来た主人公。
    形見はもっぱら遺族からの寄贈などではなく、青年や老婆による盗難。されど、それに気づく者はいない。

    爆発事件、女性の刺殺事件、兄への手紙などミステリーな要素が存分に入り込んでいて不穏な雰囲気。
    切り取られる乳首と庭師が研ぐジャックナイフの関連。

    不穏な中から急に陽が差し込む。どういった理屈だろうか??なぞは謎のままで物語は終わっていく

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    2026年03月25日
  • サイレントシンガー

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    童話のようでいて、少しリアルでもある。

    アカシアの野辺のような場所は、本当にこの世界のどこかにありそうだと思う。

    そして、リリカの声のような存在のものはこの世界に間違いなくたくさんあるんだろうな。誰にも強く認識されないのに、誰からも受け入れられ、必要とされるもの。

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    2026年03月24日
  • 密やかな結晶 新装版

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    全てを語らないラストに想像力が膨らまされた

    集団的に何かを一つずつ失っていくという表現はファンタジーの中のものでフィクションではあるけど、
    そう遠くない未来に、歳をとった自分がこの小説にあるように、一つずつ何かを忘れて認識できなくなる日が来るのかもしれないと思った

    優しいおじいさんが大好きになった

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    2026年03月23日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    文章が美しい
    主人公が、書いている小説の男と同じ立場になってしまっていってるのでは…と思えて怖かった 
    R氏は、妻や子供のことは気にならなかったのだろうか。。

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    2026年03月23日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    対談形式で、読みやすかった。
    前に読んだ「物語の役割」と重なる内容もあって
    小川さんにとっての小説を書く意味を、再確認できた。
    河合隼雄さんは、次の対談をする前に亡くなってしまったようでとても残念。カウンセリングと作家に共通することがいろいろあって面白かった。箱庭療法に興味を持った。言葉で表現する小説と、言葉では伝えられないことを箱庭を通して表現するというのは正反対だなあ。自分の心の伝え方はいろいろあるんだ、と知ることができた。

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    2026年03月22日
  • 遠慮深いうたた寝

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    さまざまな媒体に寄稿したエッセイをまとめた贅沢な一冊。
    河出書房新社はいつも良い仕事をする。
    感謝。

    文学、風景、趣味などに対する視点が独特で惹き込まれる。

    高梁川の夕日。
    フランスの子どもたちへの漢字の説明。
    幸せな気持ちを共有できる。

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    2026年03月19日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    ネタバレ

     人と人の思わぬ交流を描いた短編集。
     最初の「曲芸と野球」は無茶な練習を繰り返す曲芸師のお姉さんとヒットの打てない少年が他の人なら気にしないような合図でお互いを励まし合うという話だった。心温まる人生の妙味を味わえるような個人的には好きな短編で、この短編集はこういう方向性の物語が多いのかなって思っていたが、以降「パラソルチョコレート」を除き、全てがファンタジーの作品であったため拍子抜けした(「ラ・ヴェール嬢の秘密」はどちらかと言えばファンタジーではないが)。
     「曲芸と野球」以外では「パラソルチョコレート」が好きだった。シッターに預けられた二人の姉弟が毎週カフェに連れて行かれるのだが、シッター

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    2026年03月19日
  • サイレントシンガー

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    まさに著者の小説世界観がいかんなく発揮された作品。まるで陽当たりのよい部屋をレース越しに眺めている、そんな雰囲気を最初から最後まで貫き通した一冊だ。唯一名前が明示されている主人公と、その生の一筋に触れたり交わったりする登場人物達のなんと儚げなことか。自己の存在を主張することが称揚される今日、その対極にあるかのような主人の生きざまをどのように受け止めるべきか、一寸悩んでしまう。主人公がそれと意識せず”声”を使って人々の援けになっていたこととと、彼女の”生”が外界に一切引き摺られなかったことがとても心に残る不思議な一作だ。

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    2026年03月18日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    チェス自動人形となってチェスを指す少年のお話。
    絵本を読んでるような気分になった。

    総婦長さんを北斗の拳に出てくる「デカいババア」に脳内変換して読んでた。

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    2026年03月18日
  • 薬指の標本

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    ネタバレ

    薬指の標本。わたしは、工場での事故で薬指の先を失くし、退職。偶然見かけた標本室で事務員をすることに。
    標本技術師の弟子丸はどんなものでも標本にできる。
    きのこ、文鳥の骨、楽譜の音、少女の頬の火傷跡まで。
    弟子丸から革靴をプレゼントしてもらった辺りから、
    怖さを感じ始めた。古い靴を握り潰したり、浴槽の底を
    歩かせたり、硬いタイルに寝転んで抱き合ったり、狂気を感じた。一番恐怖だったのは、活字板を運ぶわたしを
    転ばせて、散らばった活字を朝まで1人で拾わせた場面。「君は一晩中、僕のために働いたんだ」
    「二人で朝を迎えたのね」
    なぜだかわたしも嬉しそうにしている。
    靴磨きおじさんとの会話、「彼とはどうし

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    2026年03月18日
  • ことり

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    久々に本というメディアでしか体現できない物語を読みました。日常の生活の中で、一瞬で通り過ぎてしまいそうなことに目線を合わせて、丁寧に紡いでいったものがたりでした。
    他の作品も追ってみます。

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    2026年03月16日