小川洋子のレビュー一覧

  • 密やかな結晶 新装版

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    心の中のものを一つずつ失くしていく話

    その島では鳥、バラの花、写真、
    消滅が少しずつ進む
    止めることはできず、島の人たちは受け入れていく
    消滅すると記憶からも消え、心の空洞が増えていく
    秘密警察が記憶狩りをし、記憶を持ち続ける人を連行していく
    記憶を持ち続けるR氏をかくまう小説を書くわたし、やがて小説も消え、体も心も消滅していく


    物が消え記憶さえもなくせばそれに順応していってしまう
    やがて実体のある体の消滅にまで危機が及んでるのに疑問もなく受け入れてしまうのが怖い

    希望という記憶を持つであろうR氏、希望がなんなのかさえわからないわたし、ふたりの道が二手に分かれることになるのが悲しい

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    2025年09月09日
  • サイレントシンガー

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    小川洋子さんファンからすると待望の6年ぶりの長編とのことで読まないわけにはいかない一冊。

    内気な人々が集まって暮らす“アカシアの野辺”で人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話する。その土地で生まれ育ったリリカの歌声は人々の何気ない日々の中に溶け込む。
    小川洋子さんの美しい文体にいちいち感動し、心惹かれながら静かで心温まる優しい物語に包み込まれました。

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    2025年09月09日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    小学生の頃にチェスクラブに入っていたこともあり、とても楽しく読めた。チェスは好きだけど、そこまで奥深いものとは思っていなかったので、小川洋子さんの筆致によって「こんなに可能性のある世界なんだ」と新鮮な発見をした。久しぶりにまたチェスをやってみたいと思った。

    駒の中では特にルークが好き!最初は地味に思えるけど終盤になると一気に強さを発揮するところが魅力的。ビショップは使い方が少し難しいからこそ憧れもある。ナイトも独特で面白い駒だけどこの作品ではあまり目立たなかったなぁ。

    小川洋子さんらしい独特な世界観とゆったりとした文体で、最初はページがすらすら進むタイプの本ではなかった。それでも「慌てるな

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    2025年09月11日
  • そこに工場があるかぎり

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    面白かった!文章がさすがの美しさ。単なる工場見学の「ルポ」ではなく、作家として色々なところに想像力を巡らせ、作家ならではの感性と表現力で表現をする「作家の作品」に他ならないと感じた。

    同じ場所を見学したとしても、このような表現にはならないだろう。工場で見つけた驚きや感動の共有により、日常目にするものや使うものを再認識できるという面白さももちろんあるが、この作家ならではの視点と表現力で表現し切った作品を読む楽しみもあり、通常のルポとは一線を画す「作品」であったと感じた。

    もっと小川洋子氏の作品を読みたくなった。

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    2025年09月06日
  • 最果てアーケード

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    ネタバレ

    良かった。こういう、連作短編集も良い。全てのエピソードに愛があって、柔らかく暖かかった。表現も美しくて素敵だった。

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    2025年09月05日
  • ブラフマンの埋葬

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    ネタバレ

    あらゆる種類の芸術家が集う〈創作者の家〉。その管理人である〈僕〉と、肉球と水かきを持つ謎の小動物〈ブラフマン〉との、ひと夏の邂逅そして別れを描く。南仏を思わせる架空の村を舞台に、物語は〈僕〉の抑制のきいた一人称で、水彩画で描かれた大人の絵日記のように淡々と静かに進んでゆく。

    正体不明ながらも愛くるしいブラフマンと、〈僕〉の心の交流が物語の主成分となっている。しかし、これを心温まるハートフルストーリーと呼ぶのは少し違うように思われる。物語の始めから終わりまで繰り返し現れるのは、取り繕いようのない死の気配だからだ。古代墓地、石棺、埋葬人、碑文彫刻師、身寄りなく死んだ老人の所有していた家族写真、そ

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    2025年09月03日
  • 琥珀のまたたき

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    壁の中はとても密かで静かな世界。壁の外の記憶が残っているオパール。何も知らない無邪気な瑪瑙。琥珀はいつの間にか、皆がバラバラにならないように行動していたのかもしれない。

    歪で恐ろしいのに美しくて穏やか。小川洋子さんの作品の魅力。大森静佳さんの解説も素晴らしい。

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    2025年08月31日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    書店で目について読んでみました。暖かくほろりとした物語でした。チェスにはまるで知識はありませんが興味が湧きました。さてどうしたものかなぁと。

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    2025年08月30日
  • 小箱

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    ネタバレ

    子を亡くす悲しみとは。結婚式と歌をもって解き放たれるのか。

    悲しみを抱き、生き延びるのはどこまでも待ち、よい耳を持たなければならない。

    最後のバリトンさんの歌の場面は圧巻だった。

    小川洋子さんの長編の中でも本作は一番沈痛かも知れない。

    ここの子どもたちはみな不慮の死なのか。集団で虐殺された影も感じる。

    そこで言葉を残したバリトンさんの恋人の手紙はまるでアンネの日記のようだ。

    コーネルの小箱も物語世界について、これ以上の喩えはないのではないか。

    <メモ>
    ・なぜ産院は爆破され、元・産院となるのか。
    ・死を忘れたことの象徴が博物館の廃館。
    ・博物館ケースの再利用は、生の展示物化。

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    2025年08月27日
  • 約束された移動

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    誰のどんな役割もすべて等しく神聖である気がした。ときどき常識から逸れることがあっても、大きな問題ではないような気もしてくる。すばらしくうつくしい、上品な雰囲気。うっとり。

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    2025年08月25日
  • 遠慮深いうたた寝

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    本を読まない人が増えて、本屋がどんどんつぶれ、何分以内に読める!というのが売り文句になってしまった今の時代だけど、やっぱり本を好きでいいんだ、本の力を信じていいんだと思わせてくれる心強い一冊。

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    2025年08月25日
  • 掌に眠る舞台

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    「舞台」をテーマとした短編集

    見てくれている、存在を望んでいる人がいるから
    そこに役者が存在している

    と感じた話でした。

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    2025年08月25日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    自分の置かれた状況がどうにもならない時に、文章や言葉にすることで、思わぬ気付きや救われることがあるのだと思いました。
    アンネの感性の豊かさに敬服です。

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    2025年08月24日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    「かわいそうなもの」と「仮名の作家」が狂おしいほど好き。
    混沌とした静かな世界のなかで、ほんのりとした切なさがとても好きです。ほの暗い雰囲気で普通はないようなことが起こっていても、どこかに妙な現実味があって…
    何度でも読み返したい

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    2025年08月23日
  • ミーナの行進

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    小さい頃、友達の別荘で数日間過ごしたことを思い出した。
    あの頃に経験したすべての物事は、今となっても色褪せず大切な記憶。
    普段何気なく過ごしてる日常も、将来見返したときに、かけがえのない宝物にきっとなると思うので、日々を大切に過ごそうと思いました。

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    2025年08月20日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    サクッと読める幻想小説。テーマを述べるとすれば個人的には「喪失」なのかなと思います。仄暗い世界で生きている人々に耳を傾ける登場人物。
    だけれどもその喪失から得た感情はとてもリアルな内容だと思いました

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    2025年08月14日
  • 人質の朗読会

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    8人の方の朗読会の話を聴かせてもらった。みんな日々の生活を粛々と送られている情景が目に浮かんだ。ただ一番印象に残ったのは、8人全ての人が犯人が仕掛けたダイナマイトで亡くなったという事である。それぞれの朗読を聴いた後、一人一人の人となりが分かった後なので何とも空虚で悲しい気持ちになった。

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    2025年08月12日
  • 薬指の標本

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    ネタバレ

    そんな昔の本だとは知らずに購入して読破。
    でもやはり世界観はレトロが好きだなあ。

    表題【薬指の標本】、全然そんなこと言ってないのに、なんかグロかった。
    そして何故か男性の声が脳内つだけんで再生される笑

    いやでも本当になんだったの?
    オカルト好きとしては文字つだけん(仮名)は妖怪だったのかとオモウンダ?
    人間か妖怪化した怪人Aの亜種みたいな。
    もしくは若い女しか食わない鬼? 血〇術?

    タイプライターだっけ?読んだの実はちょっと前で細かいところ忘れちゃったんだけど、あのシーンなんだったの?
    一緒に探してよ。

    決定的に何かが起こるとかではなく、じわじわ攻めてくるというか、侵食してくるというか

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    2025年08月10日
  • ブラフマンの埋葬

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    読後感はいい。
    静かな文章を楽しませてもらった。
    ブラフマン、かわいい、愛らしかった。
    この独特の世界観に魅入らされた。

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    2025年08月10日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    読みながら、第六感(?)みたいな、普段とは別の、心の深いところにある感覚がゆっくり目を覚ますような感じがしました。「黙っていられるかどうか」という章が特に印象に残っています。誰かにに寄り添うこと、心を通い合わせることは、シンプルでいて、でもとても繊細で、分かりにくい、「あわい」ということ。簡単ではない。それを本当に分かっているお二人だと思いました。

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    2025年08月09日