小川洋子のレビュー一覧
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「物語」は今年少し強めに関心を持ってみようかなと考えているテーマの一つ。まずは導入ということでこちらの本から。何の気なしに手に取りましたが河合隼雄さんの最後の対談本で、しかも途中で終わってしまっていたものだったのですね。『ブラフマンの埋葬』を題材にした会話はぜひ読んでみたかったので残念ですね。
物語というものが持つポジティブなパワーについては既に学んでいたり実感している部分もあるのでそういう意味では心理師としての河合さんのいう物語の効用についてはまぁそうだよね、という感じで、むしろ小川さんの物語ることに対しての使命感のような感覚や創作についての感覚が面白かった。今後探っていきたいのはむしろ物語 -
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沈黙を愛する人たちとともに育ったリリカは、やがて歌で多くの人や動物たちとのつながりを増やしていく。けれどその歌声は持ち主を問われない、聞く人や生き物たちの内側に積もっていく、かたちのないもの。むしろかたちがないからこそ、説得力を持ち、心に残りつづける。
そんな歌をうたえる彼女はとても清らかだけれども、まるで音にあふれた現世とそれを受け入れられないものたちとの橋渡し役かのようでもあり、ずっと寂しい存在のようにも感じました。奉仕するような愛に満ちた彼女そのものが、作者の描く世界を体現する美しさのみで構成されていて、ひとのかたちとしての集大成かのようにも思えました。
絡みあったふたつがひとつにな -
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魔犬に襲われると死んでしまうから、決して外には出ないように。
そう母親に教えられ、箱庭の中だけで生きてきた三人の子どもたちの物語。
オパール、琥珀、瑪瑙、そしてあの子。
兄弟愛がなければ、発狂してもおかしくないような環境下で、皆が身体を寄せ合って、ひとつになって静かに生きていた。母親の歪さに気が付いたとしても、ここから出て行くとして、どこでどのように生きていけばいいのかその術を誰からも教えてもらえない子どもたちの無力さが、彼らをこの家に縛り付けていた。琥珀と瑪瑙は外の世界をあまりにも知らなかったから、家に居続けることが当たり前だっただろうが、オパールはきっとそうではなかった。だから、誰かが手