小川洋子のレビュー一覧

  • ことり

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    愛することと愛されることは決してイコールではないのだ。

    ことり、お兄さん、司書。おじさんが愛したものはおじさんを愛してくれたかもしれない。
    でも、世界を構成する要素というのはそれだけではない。愛するものと嫌いなものの間にとてつもない量の どちらでもない がいる。

    最近私は、周りにいる人の多くにとって、私はどちらでもないものなのだと感じることが多い。
    おじさんみたいに自分の世界を大事にする時間を増やそうと思う。

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    2026年06月26日
  • 薬指の標本

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    ネタバレ

    標本になることで彼らの関係は完結する。靴の音だけが響く標本室で、彼女は最後、自分の薬指を思ったのだろうか。
    この標本室は必要な人にだけ開かれ、おそらく、バイトの看板を見れるのも「必要」としているだけなのだろう。初め読んでいた時はこんなに給与も休みも良くて、暇そうな仕事羨ましすぎる……と思ったけど、この運命を辿るなら、羨ましくはない、のかなあ。
    ずっと静謐な空気の漂う、神秘的な話で好きだった。

    わたしはもう、この標本室のことならなんでも知っている。からの最後の2ページが恐ろしく美しい。

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    2026年06月26日
  • 劇場という名の星座

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    古きよき劇場が次々姿を消してゆく。
    帝国劇場もまたしかり。
    閉じゆく前の劇場に足を運ぶスタッフや観客それぞれの物語。

    「背負い屋」さんは実在するのだろうか?

    「チケットを買うのは、未来を買うということ」まさにそれ!
    その未来に向けて日常を積み重ねてゆくのだから。

    近年新たにできる劇場は、なぜかちぐはぐなものが多いが、装い新たとなる帝国劇場は、よりよいものとなってほしい。


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    2026年06月25日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    淡々と進んでいく物語の中にきらきらと光るものが散りばめられていた
    中盤あたりになってようやく、秘密警察がナチスや粛清にあたるのだと気付いた
    どうしても消失していく感覚がわからなかったけど、R氏や主人公の母がどう感じていたのかを想像できて面白かった

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    2026年06月23日
  • 博士の愛した数式

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    小学生の時に家にあったからチャレンジして見事に挫折した純文学。
    大学生になって読み返してみたら身構えていたほど読みにくくなく、ルートが出てきてからの暖かい雰囲気が心地よくて割とスラスラよめた。数学は小学生から苦手だし、文系ルートを辿って来たけどちょっとだけ興味もつきっかけになってくれた。大学で楽単って聞いたから取った数学の授業もちゃんと聞いて、自分も「私」や博士と同じ数学の美しさを感じてみたいと思えた。

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    2026年06月19日
  • 劇場という名の星座

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    学生時代、「レ・ミゼラブル」を何かの拍子に観劇したとき、衝撃を受け、そこからしばらくミュージカルをよく観に行くようになった。
    「ミス・サイゴン」「モーツァルト!」「RENT」…。東宝、帝劇にお世話になったなあ。

    そんなことを思い出させる小川洋子の帝国劇場へのラブレターは、うっすらとそれぞれの短編がさながら星座のように繋がっている。

    出色は“1枚の未来を手にする”“劇場は待っている”。
    いつか子供がもう少し大きくなったらレミゼに連れていって一緒に歌いたいもんだ。
    改築が終わるのは2030年か、4年後だとまだ早いかな。

    “列に入れよ〜我らの味方に〜♪”

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    2026年06月19日
  • 薬指の標本

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    おとぎ話のような世界観でスラスラ読めた。
    部屋の内装に関する表現が素敵で心が踊る
    弟子丸氏、とても魅力的なんだけどやばいが勝ってしまった

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    2026年06月17日
  • ミーナの行進

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    ネタバレ

    読んでいて映像が頭に流れ込んでくるような、まるでそばで誰かに読んでもらっているような、そんな気持ちになった。
    ミーナと過ごす時間はとても楽しくて、ミーナは不自由ながらとても眩しかった。
    山火事の晩の出来事が不意打ちすぎて、あそこが結局いちばん印象的だったかもしれない。
    あとはマッチ箱に書いてある話はどれもとても面白かった。ミーナの描く物語は、小川洋子さんの本と同じ、不思議な優しさと温かさがある。

    そっと心が温かくなる感じに、改めてこの人の描く少し不思議な物語が好きだなぁと思った。

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    2026年06月17日
  • 博士の愛した数式

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    大きな事件はないけど、どんどん登場人物がみんな愛おしくなっていって、後半になればなるほど読むスピードが上がった

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    2026年06月16日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    たくさんの話が、握り寿司のフルコースのように箱詰めされている1冊。
    静かに面白い。
    決して多くない文字数で、きちんとまとめられ、整えられている。

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    2026年06月14日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    『喜嶋先生の静かな世界』と通ずる、心地良い読後感。口数少ない人物の内面を丁寧に描写する作者の能力。すごいなあ(小並感)。


    「君は言葉で説明できる、手にとって他の人に見せることができる目的のために、一度でもチェスを指したためしがあるのかね?〔…〕私はいつでも、チェスがしたいからチェスをする。それだけだ。」P197

    チェスのためにチェスをする。
    國分功一郎『手段からの解放』にも同じような話出てきてたのを思い出した。

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    2026年06月14日
  • 博士の愛した数式

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    記憶が80分しかもたない博士と、派遣されてきた家政婦とその息子のルート。

    博士が敬愛する数字と数学に魅入られ、いつしかコミュニケーションのひとつとなる数字。そして阪神の江夏豊。

    家政婦とその子供という立場だけでなく、孤独の博士にできた“友達”として、関わっていく様子は、とても温かいものでした。
    80分しか記憶がもたない博士になるべく混乱を与えないよ話を合わせ、なるべく心地よい空間になるよう努めた二人。
    ルートをはじめ、子供には無償の愛を注ぐ博士、そして記憶が持たないながらも家政婦にだんだんと信頼を寄せる博士。気難しいようにみえてとても温かい博士。

    人との関わりについて考えさせられるストー

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    2026年06月14日
  • 密やかな結晶 新装版

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    すごい本を読んでしまった…すごく引き込まれたし、ずっと不気味で、先がどうなるのかまったくわからなかった…アンネの日記を読まないといけないかも

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    2026年06月12日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    ネタバレ

    〈備忘録・ネタバレあり〉
    小学生の頃にアンネフランク物語を読んだことがあったが、アンネの日記は未読。
    アンネの日記がこれほど引き込まれる理由や、日記がアンネにとってどのような存在であったかの考察が書かれており、興味深かった。そして書く、という行為の尊さも改めて感じた。

    ▼引用
    日記は本来、自分以外の読者を必要としません。しかしアンネは自分自身の感情をノートにただぶつけるのではなく、苦しい事柄でも楽しい出来事でも、そこからあえて距離をとって言葉を紡ぎ出し、読者たるキティーに手渡すという構図をとりました。客観的な視点を確立したことで、この日記は文学にまで昇華したのです。  そして、キティーの存在

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    2026年06月14日
  • 博士の愛した数式

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    ネタバレ

    とてもほっこりとしていて読みやすかった、、。「博士」という人物像が非常にユニークで面白い。暖かくもあり、少しの儚さをも含んでいる作品。題名に数式とあるように数学に関する知識が多く出てきた。そこの表現が綺麗。また博士に対するルートの質問。質問の内容の難易度等は関係ない。ただそこにある真理の導き方。導くまでの過程。そこのみが博士の関心。この博士の感じがすごく好きな描写。また主人公に「そのままで」「料理している君が好きなんだ」あのシーンの書き方がすごくすき。博士の無頓着でありながら、子供や数学、阪神タイガース等とある一点にのみ執着やこだわりを見せる点がとても愛おしい作品。

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    2026年06月10日
  • 劇場という名の星座

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    帝国劇場を愛する方にオススメしたい1冊です。

    巻末の1文をお借りしました!
    ですが、劇場、歌劇がお好きな人に響く「愛」を感じれるストーリーです。

    短編なので、演目を含めて観客、係り員、役者、縁の下の力持ち、それぞれの関係性が楽しめます。
    上演された演目も誰もが耳したことがあるタイトルで、観劇された方は場面も思い出される事、間違いないでしょう


    読む度に、劇場の重厚な造りの外観、ロビーの絨毯に階段の手摺…
    あの日に感じた場面が思い出され、感慨深い気持ちになります。

    是非、休館があけたら、足を運びたい場所です。その時は、駅から少し迷ってしまいそうですけど(笑

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    2026年06月07日
  • 妊娠カレンダー

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    純文学の王道みたいな作品。
    特に2つ目と3つ目の話はそう思った。

    個人的には中でも2つ目のドミトリイがおもしろい。状況としてはかなり不気味な話になりそうなのに、表現によって優しい柔らかな心地に捻じ曲げられてる感じ。

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    2026年06月06日
  • サイレントシンガー

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    面白かった。独特の雰囲気がすごい。
    あんなにも世界が煌めいて見えたのに、それが終わってしまう瞬間があるというのをひたひたと描いているというか、物悲しいけど綺麗な終わり方だったな。『家路』聴くと泣いてしまいそう。

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    2026年06月05日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    ネタバレ

    静かに動く世界の中で
    日々に翻弄されるように
    ただ流されるかのごとく
    それでも強く
    芯を持って進んでいく

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    2026年06月05日
  • 密やかな結晶 新装版

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    善意という名の支配。

    薄気味悪い、不気味な、気持ち悪さが残る小説でした。
    不穏な空気感に、途中、挫折しそうになりましたが、終盤にかけて小川洋子さんらしい展開があり、最後まで読めてよかったです。

    主人公の「小説家の女性」と、その小説家が執筆する作中小説の「声を失ったタイピスト」が、リンクしましたね。

    愛情、束縛、監禁、依存、支配がテーマでしょうか。

    その後、R氏は、どこへ向かったのでしょう。
    『夜と霧』を彷彿させてしまいます。

    私も日々、いろいろなことを失いながら老いています。
    消滅は、異常なことでしょうか。
    そのうち、カレンダーを失う未来もあり得ると思うのです。
    左足も失うし、声も失

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    2026年06月03日