アンネの日記の斬新さは、架空の親友キティに宛てた手紙という形式をとったことにあるという。
それによって、単なる日常の記録から、「特定の誰かに読まれる」ための、飽きさせないユーモア、推敲、演出、空間を想像させる表現力が加わって、文学に昇華した。
誰かに読まれるかもしれない(し読まれないかもしれない)文章を書くことには、なんとも言えないスリルがある。書かなければ忘れ去られ思い出すこともできなかったような些細な洞察や考え方の変化、風景が軌跡として積もっているというのは、なんとも甘美なライフワークかと思う。