小川洋子のレビュー一覧

  • 約束された移動
    連作ではないが共通した静謐で風変わりな雰囲気を纏った短編集。
    お気に入りは1・3・2・6編
    目立たないけど特別な人に私もなりたい。
  • 琥珀のまたたき
    「星の子」を読んだときにこの本の話が出てきて、昔買って読んでなかったなと思って読み返しました。過去の地層を掘り返すための琥珀の瞬き、小川洋子は唯一無二だなあとやはり思った。書影がまた、みっつの石なんですよね…
  • アンネ・フランクの記憶
     小川洋子の作家になる原点が、『アンネの日記』というのが、よくうかがえる。小川洋子は中学一年の時、『アンネの日記』を読み、日記を書く喜びを知った。その積み重ねが小川洋子という作家を作った。アンネに対する信愛の情が、この本にはある。小川洋子のつむぎだす文章が温度があると感じていたが、そのことを納得する...続きを読む
  • 薬指の標本
    小川洋子作品は何作か読んだことありますが、大まかに分けた二つの小川洋子の世界を象徴するような2篇だった。六角形の小部屋、噛み締める好きさ。
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか
    <感想>
    世界で最も有名な日記といえば「アンネの日記」私の『アンネの日記』との出会いは小学生の夏休み。「戦争」について知るの宿題から。
    p.109「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!1944.4.5)」
    2023年の今もなお、アンネ・フランクさんは生き続けている。
    戦争について取り上...続きを読む
  • 妊娠カレンダー
    高校の時に読んでからずっと忘れられなかった。
    とにかく描写が美しい。それでいて静謐で冷たい温度を感じるのが小川先生の文体。
    表題作の不気味なところが、主人公の一人称で淡々と進む物語でありながら主人公の姉に対する心情描写がほとんどないところ。悪阻で精神の不安定な姉に辟易していることは読み手に推測できる...続きを読む
  • 洋子さんの本棚
    小説家って凄いなあ。2人の文筆家の会話、言葉のキラキラした深い深い広い広い海の中に漂わせてもらった。心地よくて、楽しくて、読んでみたくなる本も沢山。
  • 密やかな結晶 新装版
    少しずつ色々なものが消滅していく島。
    リボンや鈴といったささやかなものから、次第に
    鳥、バラが消滅してきたあたりから、おや?もしかして、人間が生きていく上で絶対に必要不可欠なものではないけれど、あると心が豊かになるものが消滅しているのかなぁと読者は気付き始める。
    そして、とうとう必要不可欠なものまで...続きを読む
  • 密やかな結晶 新装版
    良かった。小川洋子さんの作品は「博士の愛した数式」しか読んでなかったので、こんな素敵な世界を書く方とは知らず、まだまだ未読の作品がたくさんあることにワクワクしています。
    ファンタジーのようでありホラーのようでありおとぎ話のようであり。何回も読みたくなる作品でした。
  • 人質の朗読会
    皆誰しも物語を持っている。日々に翻弄されるサラリーマンであれ、夕食に頭を悩ます主婦であれ、老若男女関係なく、人と人が出会うなら、そこに物語は常に芽吹く準備をしているのではないか。

    そうして発生した物語は、必ずしもその人の容姿や言動に垣間見えるほどはっきり見えるものではなくとも、その人が人生の中で縒...続きを読む
  • 夜明けの縁をさ迷う人々
    ブラック絵本といった感じで、結構短い、短編集であり、"教授宅の留守番"は小川洋子さんにしては珍しい堂々とした発言もあり。
    "涙売り"の終わり方や、"お探しの物件"はそのまま、絵本にしても良さそう。
    今作では、"教授宅の留守番"と、"パラソルチョコレート"が好みだった。チェスの駒をすすめる終わり方も好...続きを読む
  • 海

    恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る〈鳴鱗琴(メイリンキン)〉について、一晩彼女の弟と語り合う表題作、言葉を失った少女と孤独なドアマンの交流を綴る「ひよこトラック」、思い出に題名をつけるという老人と観光ガイドの少年の話「ガイド」など、静謐で妖しくちょっと奇妙な七編。「今は失われてしま...続きを読む
  • 海

    何ともいえぬ不思議な短編が詰まっており、かといって何も残らない訳でもなくて、お茶の微かな苦味を味わうようなクセのある作品だった。
    特にひよこトラック、ガイド、が好みだった。
    題名屋の話はまだまだ聞いていたい。
  • ブラフマンの埋葬
    “夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。”

    その子犬のような小さな生き物は、痩せて傷つき、震えている

    “最初に感じ取ったのは体温だった。
    そのことに、僕は戸惑った。
    朝露に濡れて震えている腕の中の小さなものが、こんなにも温かいなんて信じられない気持ちがした。
    温もりの塊だった。”
    ...続きを読む
  • 生きるとは、自分の物語をつくること
    ことばを大事にすることを生業にしている2人の対談

    人は誰しも物語を作らねば生きていけない
    小説家はそれを拾い上げ、
    カウンセリングはそれを手助けする
  • 博士の本棚
    こうやって読みたい本は増えてゆく。もう抱えきれないくらいなんだけどなあ。
    読むことでも、書くことでも、世界は広がってゆく。
  • からだの美
    しじみさんの本棚からメモメモ
    そして、本を借りるためだけ(笑)に通っている整形外科医院の本棚からお借りしてきました

    おー、さすが小川洋子さん!
    エッセイってこうなきゃ

    有名人やふつうの人、またマイナーな小動物にまで
    科学者の目で細やかな観察
    そして詩人の目で掬い取る
    むむむ
    やっぱ好きです
    小川...続きを読む
  • 妊娠カレンダー
    文章が美しくてうつくしくて…。
    頭の中で思い描く景色に色や風や匂いがつくような、そんな文章に惹き込まれました。

    決して明るく爽やかな作品とは言えませんが、嫌な気分にはならずスッと心に入ってくる作品ばかりでした。
  • 人質の朗読会
    日本から遠く離れた場所でゲリラの人質になった8人の日本人。突入作戦の失敗で全員死亡。盗聴から彼らが生前、一人一人書いて朗読していた物語が語られる。
    彼らの人となりなどは殆ど語られず、淡々と物語が続く。

    小川洋子節という文体があるなと感じた。饒舌だけど、口煩く感じない。熱量があるのに、冷ッと感じる。...続きを読む
  • 人質の朗読会
    南米で8人の日本人が現地ゲリラに拘束された。ゲリラに拘束された日本人たちは、それぞれの人生で印象的だった出来事について、毎晩話し始めた…。

    プロローグとエピローグにゲリラの話を挟み込んだ、8話+1話の掌編。足をくじいて動けなくなった工員のために杖をつくる話、特に美味しくないビスケットを作り続け、意...続きを読む