小川洋子のレビュー一覧
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どの物語にも共通しているのが、年齢や立場が違う人たちが、ほんのいっときだけつながるところ。
「人と人とのつながり」と言ってしまうと、なんだか少し足りない。忘れてはいけない、というより、忘れたくない、人間がもともと持っている大切なもの。そういうものに気づかせてくれるところが、小川洋子さんの作品の魅力だと思う。
普段は意識せずにいる、人間のもっと深いところにあるものを、思い出させてくれる感じが好き。
そして今回は、小川洋子さんにしては珍しく官能的な作品も。
読み進めるうちに、「ん? え、そういうこと?」と気づいて、ちょっとびっくりした。こういう作品も書くんだ、と新鮮だった。 -
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舞台は、静かというよりほぼ無音なのに、大切な音や声だけは伝わってくる。
わかりやすい事件や出来事が起こるわけじゃないのに
独特の胸騒ぎがする。けれども決して不快な胸騒ぎではないので不思議。
静かにゆっくり何かが動いていて、最後にごとっ!と音を立てて結末に行く感じ。
りりこの人生の大きな出来事だけを文章で羅列してみると、悲しい、切ない、可哀想、となるかもしれないが、その最後には、この人らしい終幕というか、
落ち着くところに落ち着いた、というような印象。
りりこの人生は可哀想なのか?
母親は長い髪の毛で自殺、祖母と生きてきて
その祖母も亡くなってしまって、
1人で暮らしていたが、独りぼっちだっ -
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心温まるヒューマンドラマで登場人物も少なく、初めて小説を読む方にもおすすめの小説です。タイトルに「数式」とあって、数学、算数が苦手で蕁麻疹が出て吐血するような方にも読みやすい本となってます。
涙が出る、とても笑った、怖かったというよりかは純文学よりなのでいい話でしたというのが正解な気がします。心が洗われるような作品です。
内容としては、ネタバレになるかもしれないのですが、数学と家政婦、野球を掛け合わせた内容でした。「何言ってるの?」ってなるかもしれませんが、読んだ後はよくこんなにうまく書けるものだと思い、小説家はやはりすごいと思うような内容ではありました。
読んでて躓くポイントもなくすらすら読 -
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家族が買ってリビングに置いていたのを手に取った。隠れ家の詳しい絵と、多くの写真に目を取られ、そのまま座り込んで読み通した。
「私の望みは、死んでからもなお生きつづけること!」
そんな言葉があったのか。なんと。
「アンネの日記」は、アンネと同じ年くらいに読んだっきり、細かい内容などほとんど覚えていない。小川さんは、年齢とともに読み方が変わってくるという。
昔読んだ時には、ペーターとの恋心が最も心に残った記憶があるから、やはり、若い時ならではの読み方だったんだろうと思う。
小川さんは、「物語」の力が、生きる力となったと分析している。日記が「物語」となること。それが、隠れ家に2年も閉じ込められ -
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家政婦をしていてみんなから嫌だと言われている数学博士の家に派遣される事に。博士は80分で記憶がなくなってしまう病気で物事を忘れない為に身体中にメモを貼っていた。そして人見知りな為数字の話題で会話をするような人だった。ある日家政婦である私に息子がいるということが分かり、1人で留守番をさせていると知り激怒した。幼い子供を1人にしてはいけない大切にしないとという考えからだ。次の日から息子は学校終わり母の職場である博士の家に来る事に。息子のことをルートと名づけ数学を教えたりして仲良くしていた。共通点の阪神ファンという所でも仲良くなり、野球を見に行くという事にりその日帰りの人混みが苦手な博士は風邪を引き
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小川洋子さんの小説はいつも大切な気付きをくれる。
人質となった8人。死と隣り合わせ、このひっそりとした空間で、自分の人生の片隅にそっと残っている記憶を共有し合う。
どのお話も、目頭が熱くなりました。
子供の頃の記憶だったり、袖触れ合うも…くらいのちょっとしたご縁で知り合うおじいさんやおばあさんとのお話だったり。
特別なドラマではない、日常の中に、愛おしい世界がきっとある。私も探したくなるし、きっと探せそうな気がする。そのヒントはもう心の中にある。そう思わせてくれるような作品。
今を真面目に生きる全ての人に寄り添ってくれる温かい作品です。
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ナツイチで購入したもの。「舞台」をテーマにした連作短編集です。一口に舞台といっても単に演じる側と観る側というだけでなく、演じられる場所も演じる目的も観ることの意味もさまざま。独特というか奇妙な話が多いのは流石の小川洋子節といった感じですが、なんというか舞台というものと小川洋子さんの世界観はしっくりきすぎるぐらいに合ってるんですね。他の世界から切り離されたような箱庭的な空気感は演劇的でもありますし、身体性を意識させるような登場人物の造形も演技や演出と相性の良い部分だと感じます。近年小川さん自身が観劇に凝っていらっしゃるということで今後の作品にも「舞台」のモチーフがどう関わってくるか楽しみです。
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ネタバレ博士のルートに対する愛情に感動。
それを当たり前と思わずいつも感謝しているルートの優しさにも感動。
幸せな三人の交流も、終わりが来るんだなという予感が切ない。
博士の背中、不器用な表現、子どもに対する優しさ、江夏のカードを胸にあてる仕草、ルートを抱きしめようと腕を上げる仕草、ルートの誕生日を一生懸命覚えようとする仕草、などなど想像すると胸がキュッとなる。
博士が残した数式は、いったい何の意味があったのか?
永遠に愛するNは誰?
博士が子どもをこんなにも愛する理由は?
色々、わからないままのところもあるけど、それは自分なりに考えてほしかったのか。
最後まで博士の全てを知れなかったのは、主人公と同 -
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ネタバレ8つの短編。この物語に出てくる人たちは、
ひとりぼっちの小さい背中とか、役への未練とか、
死骸の蒐集とか、ベッドの下の地層とか、
寂しそうというか可哀そうなふうに、
側からは見えるけど、みんな思うままに世界を作って
その中で一番幸せに生きていて、だからこそ
そこで生まれる秘密の交流が、どれも輝いてると思う。
幻覚みたいなものも、よく出てくるなあと思った。
・指紋のついた羽
縫製工場で働く縫い子さんと、
向かいの金属加工工場の物置きで、ひとり遊ぶ少女。
バレエの演目『ラ・シルフィード』を二人で観る。
少女は、そこで舞い踊る真っ白い妖精たちに惹かれた。
妖精から手紙の返事がこないと落ち込む少 -
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【小川洋子さんの作家への原点となった『アンネの日記』への熱い思い】
世界記憶遺産に登録されている『アンネの日記』。
残念ながら私は未読だったのですが、小川洋子さんがその魅力をどう読み解くのかに惹かれて、この解説本を手に取りました。
「アンネの日記」と聞くと、どうしても戦争や迫害の暗く悲しいイメージが先行してしまいます。
しかし、本書に溢れているのは、これでもか!というくらいの小川さんの深い「アンネへの愛」。
描かれているのは、ただの悲劇の記録
ではありません。
隠れ家での息が詰まるような潜伏生活、思春期ならではの心の葛藤、そして瑞々しい初恋……。過酷な状況下でも、ユーモアと卓越した文章力 -
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10篇の短編が交錯しながら物語を構成していて、摩訶不思議かつ時系列も不明確ながら、ノスタルジックな光景が思い浮かぶ。
舞台は『最果てアーケード』と名付けられた、昔ながらの寂れた雰囲気の小さなアーケードだ。
ある日アーケード近くの映画館が火元になった大火事に見舞われ、周辺は類焼したのだが、この古めかしいアーケードだけは何故か延焼を免れ、以前の姿のままで店は営業を続けることができた。
商店街の大家を父に持つ少女がこの小説の主人公だ。
父親は大火災の際に焼死し、幼い少女と若い愛犬べべが残されたのだが、各店主たちは少女とべべには温かく接してくれていた。
少女と相棒のべべは、店で購入した商品をお客様の