小川洋子のレビュー一覧

  • ミーナの行進

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    とても暖かい作品。
    大人も子供も、お互いを尊重して余計なことは言わない。
    それが、少し歯車のかみ合わない出来事でも。
    強く結ばれた家族。
    小林さんにひかれて歩く、ポチ子の上にいるミーナはお姫様のよう。

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    2026年10月18日
  • 博士の愛した数式

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    ネタバレ

    博士も主人公もルートも、みんな心が綺麗な人だと感じた。主人公の物事の受け取り方には少し大袈裟だと感じる部分もあったけれど、こういうふうに世界を見つめる人もいるんだなと思った。

    物語に登場した友愛数や完全数は、これからどこかで見かけたときに、きっとこの作品を思い出すと思う。阪神タイガースの選手の背番号など、実際に存在する数字から数学的な美しさを見いだし、それを物語に自然に織り込んでいるところが印象的だった。 よく考えられた一冊だと感じた。

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    2026年10月16日
  • 最果てアーケード

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    小川洋子さんの優しい繊細な表現は、まるで美しい詩を読んでいるようです。

    でもその傍らには、ぽっかりと仄暗い穴があり、恐る恐るその穴を覗き込むような気持ちにもなり。。

    美しく、切なく、寂しく、
    そしてなんとも不気味なアーケード。

    時系列も乱れていて
    死の気配が常に漂っています。
    ラビリンスに迷い込んだような読後感でした。

    映像でなく、文章でこの世界を構築できるって。小川洋子さん、本当にすごい人です。

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    2026年10月15日
  • 博士の愛した数式

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    ストーリーはあたたかく切なく、当然のようにめっちゃ面白い。
    なによりも数学の美しさに触れられるのがすごい。
    【1-1=0】の美しさについて、読む前の私は思いを馳せたことがなかったから。
    数学的な美しさは音楽にも通ずるところがあるので、まじで読んでよかった。

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    2026年10月14日
  • 海

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    ネタバレ

    どれもこれも劇的な結末や驚きはなく(風薫るウィーンの旅六日間はあるけれど)、どこかみたことのある景色や記憶を見ているような、子供の頃のうっすらとしてるけれど強烈に残っている思い出や夢のような、そんな話がたくさん。軽快な読める文章に文量で、実家の近所の散歩をしているような時間だった

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    2026年10月13日
  • 博士の愛した数式

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    最初に読もうと思ってから20年以上経った不思議な縁のある小説。
    何度か人から勧められたが、数学が嫌いだったのでなんとなく敬遠していた小説。
    第一回本屋大賞。
    読んでいたとてもノスタルジックで幸せな気持ちになった。
    今読んでもそこまで作中の生活が昔過ぎることもなく違和感は少ない気がするが。。
    基本的には終始やさしい。ただ随所にみえる悲しみの要素が登場人物の背景に隠されていて、それが作中でクローズアップされることもないためやさしさのスパイスのようになっている。
    この悲しみの部分に物語の主軸を置かなかったため、博士は最初から最後までまったくブレないキャラクターとして読み手に愛されるようになっているのだと思う。

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    2026年10月12日
  • 小箱

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    子供がいない街で、子どもを失った人たちがそれぞれの形で思いを馳せる。
    寂れ朽ちていく街のかつて幼稚園だった場所にあるガラスケースは、墓標でも博物館の展示物でもなく、彼らにとって失った子はそこに生き続けている。

    希望とは未来の可能性であるのなら、二度と子供が産まれてくることはないこの街にとって、朽ちに抗うことこそが希望なのかもしれない。ガラスケースを護り続ける私、病床の恋人と文通を続けるバリトンさん、遺骨や遺髪を楽器に加工する元美容師・元歯医者、自分だけの音楽会に参加する人たち、それぞれの営みが、終わりゆくしかない街の希望となっている。

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    2026年10月11日
  • 密やかな結晶 新装版

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    主人公はR氏だ。
    記憶があるということは、幸せではない場合があると思った。例えば、戦争の記憶だ。戦争の記憶がある方は年々減っていっていると思う。昔は多数派だったが、今は少数派だ。誰にも理解されず、独りぼっちになっていく。伝えたいのに伝わらない。理解してほしいのに理解されない。とても辛いことなのではないかと思った。後世に残すために、文字があり本がある。本の大切さを描いている作品ではないかと思う。

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    2026年10月11日
  • 妊娠カレンダー

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    へえ。これが芥川賞かあと思った。
    相変わらずどれもこれも結論(?)は読者まかせ。
    インフルエンザの床で読むのにふさわしかったw

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    2026年10月10日
  • からだの美

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    スポーツマンやダンサーの体の美しさに目を留める事はあるが、ゴリラ、ハダカデバネズミの皮膚、筋肉などを美しいと言う視点で見た事はないし
    将棋士の指、赤ちゃんの拳を宝物のように映すなど
    この視点は非常に大切だし、それができるからこそ、作家として情景描写ができるのでしょう
    美しさとは その本質とは そんな美意識の足がかりにもできるだろう。
    命と美しさは、すぐそばにある。表紙の手のひらの器が、この本そのもののように思える。

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    2026年10月08日
  • 海

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    短編集だが、1つ1つの作品の後味が独特で、心にひっかかる。
    長編も読んでみたい。(博士の・・・はドラマを見たので他の物がいい)

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    2026年10月06日
  • ブラフマンの埋葬

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    夏の終わりに読みたくなる本。
    僕、碑文彫刻師、雑貨屋の娘、レース編み作家。
    誰にも名前がない。
    どの国なのか、どの時代なのかもわからない。
    ただ、ブラフマンだけが名前を持っている。
    ブラフマンが何なのかも、最初はよくわからない。
    でも、インド哲学に触れたことがある人なら知っている名前だ。
    名前があるものと、名前を持たないもの。
    現実なのか夢なのかも曖昧な、静かな世界。
    夏の終わりの、少し寂しい空気に似合う小説。

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    2026年10月05日
  • 孤独をのぞき込む 秘密の読書会

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    孤独を育てる。
    孤独が悪いこと、解消するためにはどうすればいいか、という議論が多くなされている今、この考え方は目から鱗だった。

    愛が絡むとややこしくなるというのもその通りだなと。
    この人のために頑張ろうというのは大事なことなのだけれど、それが裏切られたと感じた時、とてつもなく虚無感に襲われ、傷つく。
    でも、愛がないと人間的な喜びは得られない。
    この矛盾の中で私たちは日々生きているのだと思うと、人間はひとりで生きれないのだと改めて実感させられる。


    ◾️心に残った文章

    良い孤独を持てることが、人間の自由なんだと思う。
    孤独を消すよりも、孤独を持てるようになること。
    孤独をどう引き受けるか、どう安全な形にするか。

    孤独を育てる。
    繋がりを経て、言葉を経て、怒りや愛を経て、それでも最後は自分の部屋に戻り、そこで静かに何かが熟すのを待つ。
    その時間を持てるかどうかが人間にとって決定的なのだと。

    職場でも家庭でも愛が絡むとややこしくなる。
    部下が上司のためにと必要以上に頑張ると愛が強すぎると傷つきも満ち溢れてしまう。
    愛が絡まなければ人はもっと機械的に、効率よく生きられるのかもしれない。
    でも実際はそうならない。
    職場でも家庭でも教育でも、愛のようなものが介入した時に、関係はややこしくなる。
    けれどそのややこしさの中でしか、人間らしい喜びや人間的な成長ができない。

    愛の問題と孤独は接続している。

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    2026年10月05日
  • 孤独をのぞき込む 秘密の読書会

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    この本は小説家の小川洋子さんと
    臨床心理士の東畑開人さんが
    「孤独」について語り合った内容が書かれています。

    「孤独」には種類があり、それぞれの「孤独」について
    2人が選んだ本を元に語り合っていくのですが
    「孤独」の種類による違いがとてもよくわかりました。

    語り合う本の1つ、『ガラスの動物園』において
    登場人物のジムに対する印象が2人の中で違いがあったのが
    面白かったです。ローラのユニコーンのくだりも良かったです。

    「孤独」は全員が持っているもの。
    深く知る事で自分、家族、他者それぞれの
    繋がりと大切さがより理解できると
    この本を読んで分かりました。

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    2026年10月04日
  • 海

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    ネタバレ

    どの話も、異なる雰囲気が漂っていて、読み応えがあった。
    個人的には、ウィーンの話と、ホテルマのドアマンの話が印象に残った。ドロップの話はページ数がとても短くて驚いた。

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    2026年10月03日
  • 博士の愛した数式

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    タイトルで敬遠してしまってました。
    誰かが激推ししていたので、仕方なく(笑)手に取ったら読みやすくて、スイスイ読めました。
    正直、数式に詳しくなくても読めます。この私が読めたので。心温まる物語でした。

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    2026年09月28日
  • 博士の愛した数式

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    登場人物の優しく思いやりのある行動が心温まる作品でした。また、博士の記憶が80分しか持たないことで、程よい距離感を保ちながら良い関係を築けているんだろうなと思った。

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    2026年09月27日
  • 最果てアーケード

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     小川洋子さんの世界観を存分に堪能できる作品です。静かで寂しげな空気感をまといながら、単なる暗さや哀しさとは異質の、凛とした厳かさや美しさを感じさせる物語でした。どこまでも優しく、ただただ余韻に浸れます。

     小さなアーケードの商店街が舞台で、10編それぞれに商店の店主と客のエピソードが描かれる連作短編集です。1話ごと話は完結しますが、商店が連なるように少しずつ重なる構成です。

     各商店、扱っている物、店主、訪れる客など、失われた命や過去の断片が紡がれ、全てアーケードに収束されていきます。アーケードの大家(父)の娘が語り部となり、生と死が交錯する世界が、思い出の痕跡を辿るように描かれます。

     「最果て」は、華やかさや賑わいとは真逆で、行き止まりを象徴する場所なのでしょう。生と死、現実と幻想の境目が曖昧な場所は、死の気配がありながらも敬いと優しさにあふれ、最後は父も愛犬も語り部さえも取り込んでいくのだと解釈しました。

     小川洋子さんが創り出す世界は、まるで深い森のように静寂さと神秘さを連想させながら、ときおり優しく差し込む木漏れ日など、森の豊かさを実感させてくれます。小川さんが描く物語に引き込まれる理由は、この辺にあるのだなと改めて思いました。

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    2026年09月27日
  • 小箱

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    小川洋子さんが作り上げた世界を堪能できる作品。それは小さなものと静寂のなかでかすかに聞こえる音をすべて表現するかのように思えた。

    元幼稚園で暮らす私。講堂にガラスケースを運ぶ、歌でしか話せないバリトンさん。遺髪で竪琴の弦を作れる美容師。亡くした子どもを持つ人が自らのために行うグリーフケアを、静かに優しく支える様子がえがかれていた。

    そして亡くなっても心のなかで成長していく子どもへの愛情が伝わってきた。「一人一人の音楽会」は一人一人にとって何よりも大切で愛おしい時間だということも伝わってきた。

    「質素な親子工作展覧会」も「あの子の結婚式」にも温かいものをかんじた。

    子どもは一人も出てこないのだけれど、子どもを思う気持ちに満ちた静かな物語。この世界観がとても好き。

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    2026年09月25日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    奇妙なタイトルだけで、小川洋子さんの世界を想像してしまう。
    とは云え、凡人の想像を遥かに超える世界が繰り広げられるのが常だ。
    この一冊の短編8話も不思議な世界に誘われ、読書後には独特の余韻を楽しむことができた。
    中でもお気に入りの一編を紹介。
    ⚫︎口笛の上手な白雪姫
    公衆浴場の目立たない場所に、「小母さん」はひっそりと存在しながら浴場に同化していた。
    入浴中の母親に代わって乳児を預かり、最新の注意力をもってあやし続ける。
    その「小母さん」が、乳児だけに聴こえる音量の口笛を吹くと、乳児たちは口笛とその腕にすっかり身を委ねる。
    がしかし、乳児の成長とともにいとも簡単に離れていってしまい、「小母さん」の存在は忘れ去られてしまう。
    浴場の壁には深い森の絵が描かれていて、どうやらその世界を「小母さん」は知っているらしいのだ。

    私は8話中最短の短編だった「口笛の上手な白雪姫」に魅入られた。
    この「小母さん」と乳児の関係は、「善」だけが存在している。
    しかし乳児の成長と共に純粋な「善」は影を潜めて行く。
    そんな侘しさと悲しさが、繊細な雰囲気で綴られていた。
    小川洋子さんの世界はちょっと複雑で物悲しさが伴うのだが、読書後には清涼感ももたらしてくれるのが不思議なのだ。
    まあ、お話自体が不思議な世界を醸しているので、不思議な感覚を覚えるのは当然なのかもしれない。
    この一冊も小川ワールドを十二分に味わえた。

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    2026年09月23日