小川洋子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
学生時代、「レ・ミゼラブル」を何かの拍子に観劇したとき、衝撃を受け、そこからしばらくミュージカルをよく観に行くようになった。
「ミス・サイゴン」「モーツァルト!」「RENT」…。東宝、帝劇にお世話になったなあ。
そんなことを思い出させる小川洋子の帝国劇場へのラブレターは、うっすらとそれぞれの短編がさながら星座のように繋がっている。
出色は“1枚の未来を手にする”“劇場は待っている”。
いつか子供がもう少し大きくなったらレミゼに連れていって一緒に歌いたいもんだ。
改築が終わるのは2030年か、4年後だとまだ早いかな。
“列に入れよ〜我らの味方に〜♪” -
Posted by ブクログ
記憶が80分しかもたない博士と、派遣されてきた家政婦とその息子のルート。
博士が敬愛する数字と数学に魅入られ、いつしかコミュニケーションのひとつとなる数字。そして阪神の江夏豊。
家政婦とその子供という立場だけでなく、孤独の博士にできた“友達”として、関わっていく様子は、とても温かいものでした。
80分しか記憶がもたない博士になるべく混乱を与えないよ話を合わせ、なるべく心地よい空間になるよう努めた二人。
ルートをはじめ、子供には無償の愛を注ぐ博士、そして記憶が持たないながらも家政婦にだんだんと信頼を寄せる博士。気難しいようにみえてとても温かい博士。
人との関わりについて考えさせられるストー -
Posted by ブクログ
ネタバレ〈備忘録・ネタバレあり〉
小学生の頃にアンネフランク物語を読んだことがあったが、アンネの日記は未読。
アンネの日記がこれほど引き込まれる理由や、日記がアンネにとってどのような存在であったかの考察が書かれており、興味深かった。そして書く、という行為の尊さも改めて感じた。
▼引用
日記は本来、自分以外の読者を必要としません。しかしアンネは自分自身の感情をノートにただぶつけるのではなく、苦しい事柄でも楽しい出来事でも、そこからあえて距離をとって言葉を紡ぎ出し、読者たるキティーに手渡すという構図をとりました。客観的な視点を確立したことで、この日記は文学にまで昇華したのです。 そして、キティーの存在 -
Posted by ブクログ
ネタバレとてもほっこりとしていて読みやすかった、、。「博士」という人物像が非常にユニークで面白い。暖かくもあり、少しの儚さをも含んでいる作品。題名に数式とあるように数学に関する知識が多く出てきた。そこの表現が綺麗。また博士に対するルートの質問。質問の内容の難易度等は関係ない。ただそこにある真理の導き方。導くまでの過程。そこのみが博士の関心。この博士の感じがすごく好きな描写。また主人公に「そのままで」「料理している君が好きなんだ」あのシーンの書き方がすごくすき。博士の無頓着でありながら、子供や数学、阪神タイガース等とある一点にのみ執着やこだわりを見せる点がとても愛おしい作品。
-
Posted by ブクログ
帝国劇場を愛する方にオススメしたい1冊です。
巻末の1文をお借りしました!
ですが、劇場、歌劇がお好きな人に響く「愛」を感じれるストーリーです。
短編なので、演目を含めて観客、係り員、役者、縁の下の力持ち、それぞれの関係性が楽しめます。
上演された演目も誰もが耳したことがあるタイトルで、観劇された方は場面も思い出される事、間違いないでしょう
読む度に、劇場の重厚な造りの外観、ロビーの絨毯に階段の手摺…
あの日に感じた場面が思い出され、感慨深い気持ちになります。
是非、休館があけたら、足を運びたい場所です。その時は、駅から少し迷ってしまいそうですけど(笑
-
Posted by ブクログ
善意という名の支配。
薄気味悪い、不気味な、気持ち悪さが残る小説でした。
不穏な空気感に、途中、挫折しそうになりましたが、終盤にかけて小川洋子さんらしい展開があり、最後まで読めてよかったです。
主人公の「小説家の女性」と、その小説家が執筆する作中小説の「声を失ったタイピスト」が、リンクしましたね。
愛情、束縛、監禁、依存、支配がテーマでしょうか。
その後、R氏は、どこへ向かったのでしょう。
『夜と霧』を彷彿させてしまいます。
私も日々、いろいろなことを失いながら老いています。
消滅は、異常なことでしょうか。
そのうち、カレンダーを失う未来もあり得ると思うのです。
左足も失うし、声も失