小川洋子のレビュー一覧

  • 密やかな結晶 新装版
    ときどき私にとって理解と想像がむずかしい場面もありましたが、文章ひとつひとつが繊細で美しく、小川洋子さんの描く世界観に引き込まれ、時が静まりかえったかのように読んでいました。
  • 猫を抱いて象と泳ぐ
    安定の小川洋子さん。読み終わったあとでも、印象に残ったシーンが絵画のように残る感じがすごく好き!
    物語全体は切ない、重い雰囲気だが不思議と嫌な気持ちにはならずに最後まで読める。
  • 余白の愛
    分からないことをそのままにして神聖に保つよう努めてるみたいな、そういう雰囲気のお話 リトルアーリョヒンくらい好き
  • 人質の朗読会
    人生の中で誰しもひとつは持つ大事な出来事、自分を変えた出来事を朗読していくもの。人質たちの置かれている状況自体はそこまで関係がないように感じて、実はお互いがそれを共有するという意味で重要となり悲しいような美しいようなそんな作品だった。
  • 猫を抱いて象と泳ぐ
    すごく引き込まれる魅力的な作品だった。文章は淡々としてるのに頭の中で情景が浮かんできて、気づいたらこの世界観にどっぷり浸かってた(私の語彙力ではこの作品の良さをうまく表現できない泣)リトルアリョーヒンの人生、きっと幸せだったと思いたい...
  • 最果てアーケード
    アーケード街大家の父親を亡くしたわたしが、お店を訪れるお客様と織り成す小さな物語。
    どこかもの悲しい雰囲気のなかに灯る小さな光、お店それぞれの味わいがありました。

    小川洋子さんの作品に漂う雰囲気は本当に独特。
    穏やかで静謐な世界観。

    レース屋、義眼屋、ドアノブ店、勲章店など、
    「一体こんなもの、...続きを読む
  • 琥珀のまたたき
    著者ならではの閉ざされた空間の話。
    不気味さと美しさが同居する不思議な世界。
    壁の中で閉ざされたまま生きるか、未知の世界へ飛び出すのか。
    兄弟とママの幸せの形って何だろうと考えながら読み進める。
    散髪の場面、兄弟3人の容姿の描写に少し驚く。
  • 海

    お気に入りの章は
    『鳴鱗琴』 『バタフライ和文タイプ事務所』 『缶入りドロップ』 『ひよこトラック』の4章。

    どのタイトルも素敵。

    普段ボーとしてるときについつい考えたり、ひらめいたりする。でも、自分の頭から外部に出すにはためらってしまうような世界で溢れていて読んでいて心地よい。外で読むにはそわ...続きを読む
  • 最果てアーケード
    『寡黙な死骸 みだらな弔い』以来に読む小川さんの短編集。
    レース、使用済みのはがき、勲章、義眼等一見役に立たなそうな品物を扱う店が連なるアーケードと、そこに住む住人達と買い物客のエピソードを一つずつ丁寧に拾い上げた連作は寂しく、ときに静かな狂気を孕んで紡がれている。
    どのお話も死や別れを絡むせいか、...続きを読む
  • まぶた
    目次
    ・飛行機で眠るのは難しい
    ・中国野菜の育て方
    ・まぶた
    ・お料理教室
    ・匂いの収集
    ・バックストローク
    ・詩人の卵巣
    ・リンデンバウム通りの双子

    小川洋子の小説の体温は低い。
    それはひんやりと湿ったものだったり、かさかさに乾いたものだったりするが、決して温かくはない。
    たとえひとの命を救った...続きを読む
  • 猫を抱いて象と泳ぐ
    1人の人生を過ごしたような清々しさをとてつもなく感じました。
    読んでよかった。また、私にとっては読書が好きになるリハビリになりました。
  • ブラフマンの埋葬
    これは残るなー何度も読みたい。

    レース編み作家がなんとなく自分自身に重なる気がして、レース編み作家目線の話が読みたいと勝手に思ってみたり。
  • 掌に眠る舞台
    舞台にまつわる短編集。
    とても綺麗でおとぎ話のような表現が多く、素敵な場面が想像しやすかった。
    いくつかのお話の感想を以下に。

    『指紋のついた羽』
    縫い子さんは少女の心がわかっているのか、と思うくらい手紙の返事が適当。
    機械油が溜まった道すら綺麗に感じてしまう表現が素敵。
    少女の工具箱の上で作り出...続きを読む
  • 妊娠カレンダー
    芥川賞受賞の表題作ほか、3編の短編集。

    どの作品もなんとも言えないざわざわとした気持ちが残る。
    うまく言語化できないけれど、
    読み終わっても気になって気になって仕方がない。

    読み解けた自信はないけれど、
    静謐な雰囲気が好きで、他の小川洋子さんの作品を読んでみたくなった。
  • 海

    海 小川洋子

    読み切り易い。
    小川洋子作品デビューにはお勧めしやすい。
    官能描写における上品な妖艶さは美術作品に近しい印象を受ける。
  • そこに工場があるかぎり
    本屋大賞「博士の愛した数式」受賞作家さんは幼少頃から工場オタクだったらしい東大阪女性が活躍細穴グリコピア神戸、競技用ボート製作、保育園で大活躍サンポカー、理科化学実験ガラス北星鉛筆6つの工場のものづくりへの想いをわかりやすく

  • 猫を抱いて象と泳ぐ
    文章が美しい
    静かで穏やかで心の中にすっと沁み込んでくる
    内容は想像していたものと違ったけど豊かな表現のおかげでスイスイ読めた
    老いることへの恐怖と寡黙でいることの美しさを学んだ
    最後は衝撃だった
    リトルアリョーヒンとミイラの手紙、泣ける
    ひと単語書くのに何日も費やすって愛だなあ
  • 密やかな結晶 新装版
    何かが少しずつ消滅していく島。
    何かが消滅するとそれにまつわる記憶も薄れていき、心もだんだんと衰弱していく。
    最初は些細なものから消滅していき、だんだんと大事なものが消えていく。

    秘密警察が出てくるたびにドキドキした。
    なんとかうまく乗り切ってくれと心の中で願うくらい、物語に入り込んでしまった。
    ...続きを読む
  • 猫を抱いて象と泳ぐ
    この作者のことを好きだなあって思った。お話には感動させよう心温めようとする作為的ないやらしさってものが無い。主人公が行く先々でいい人と会って、その人と交流するっていうそれだけの物語なんだけれども、人々の善性というか、正の側面を素直に描いていて、読んでいても負の感情を抱かずに自然と内側からポジティブに...続きを読む
  • 猫を抱いて象と泳ぐ
     チェスをやったことがあればもっと面白く読めたかもしれない。それでも多彩な表現のおかげで、持ったこともないチェスの駒を手に握っているような感覚になった。
     人それぞれの自由と人それぞれの居場所があるということを感じさせてくれた。自分自身の人生をどう捉えるかはその人次第で、世間体とかではなく人は皆自分...続きを読む