小川洋子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
小川洋子さんらしい、とても優しい内容です。
8つの短編集ですが、どこかで短編の内容がつながっている構成が好きです。
東京會舘の話に似ているかな?
どの話も実話のような気がするくらい、そして、帝国劇場に行ったことのある人が羨ましい、と思える、そんな素敵な話でした。
帝国劇場はどんな人も幸せにさせてくれるんだな、と。
ワタシは帝国劇場の近くのビルで長年働いていましたが、帝国劇場での演目によって、丸の内仲通りを歩く人たちが纏う雰囲気が違っていて。
そんなふうに帝国劇場の魅力を感じていました。
また、生まれ変わる帝国劇場も私たちを幸せな気持ちにしてくれるんだろうな。と。
ホタルさんへの手紙、が一番グッ -
Posted by ブクログ
ネタバレ島からさまざまな物が消滅していく。物だけでなく記憶までもが。
消滅の度にパニックが起こるのかと読み進めたら、島の人たちにとっては当たり前のことだからか恐ろしいほど簡単に受容して自ら物を消そうと行動を起こしていて戸惑った。
きっとR氏も、消滅しない側の人間として同じ思いを抱いていたんじゃないかなって思う。
主人公とおじいさんのシーンはほっこりする場面も多く、心があたたまった。
なんとなくおじいさんも消滅しない側の人間で、でも完璧に消滅する側を演じることで主人公に寄り添っていたのではないかと感じた。
主人公が書いた小説では声が一番に失われたけど、島では一番最後まで声は消滅せずに残っていたん -
Posted by ブクログ
完璧な病室 生活感のない、完璧に清潔な弟の病室に惹かれる私。そこに完璧に溶け込む綺麗な弟と、いつまでも一緒にいたい。一方、食べるという行為や生活そのものに嫌悪感を抱いている。その不快さを、これでもかというくらい気持ちの悪い描写であらわしていて、こちらまで食欲が無くなりそうだった。
揚羽蝶が壊れる時 一緒に暮らしていた祖母(さえ)は痴呆症になり、今まで信じてきたものを一つずつ忘れて胎児に遡っている。わたしのお腹では、祖母の痴呆症が進むのと同じ速度で、わたしとは違う塊が密度を増していく。
揚羽蝶の標本を握り潰したあと、この人はベイビーをどうしたんだろう?カレンダーを破いたのは祖母とのお別れの意味 -
Posted by ブクログ
途中までは物語がただ進んでいるかのように読んでしまったけれどラスト100ページぐらいは消失がどんどん進んでいってその中で主人公が自分の心迄を失わせないように必死になっている姿を見て、今の自分と重ね合わせてしまった。
自分が空気の存在の様に孤独感を感じているが、座っていれば給金が得られるので会社に行っている、、ぐらい仕事に行きたくないのが現状。元凶は上司。多分権力が蔓延っているからだと思う。駒使い、人を経営資源としか見做さず、人の心が分からない、エンゲージを下げるだけの役職者。誰が何を考えて仕事しているのか、考えようともしない。嫌味しか言わなくなる性格悪いオジサン。
多分一般的に嫌われるタイプ -
Posted by ブクログ
限りなく現実でありながらも、ダークなおとぎ話みたい。
不思議な夢をみて、しばしボーッとしてしまうような読後感だった。
乾いた浴場に差し込む光や、ビー玉のつまみがついた引き出しが延々と並ぶ標本室。
迷い込む暗い林、六角柱の部屋のつやめく木の質感。
映画のように頭に情景が流れる。
官能的なシーンも印象的。
例えば、背中の感触。
抱き合うのはベッドではない。
一話目では、ひんやりと硬い浴槽の底。
二話目では、陶芸工房の砂でざらついた床。
どこかサディスティックな男のからだの重みを受け入れながら、背中は硬質な床に押し付けられている。
逃れようとはせず、身を任せるのだ。
美しい文章に導かれ、恍惚 -
Posted by ブクログ
観客や裏方さん、様々な視点で描かれる帝国劇場。
ひとつの作品を作り上げるまでに様々な人が関わり、それを観にくる人もまたいろんな事情や年齢、職業だったり…
たくさんの人に長年支えられ、そして受け入れてきた帝国劇場の品格と寛容さを感じられました。
「ホタルさんへの手紙」では、ちょっと心が弱っているときに読んだのもあるけど、父と娘の深い愛情にボロボロ泣いてしまった。
そして観客1人にどこまでも寄り添ってくれる、案内係さんの頼もしさと温かさ。
着到板を書く幕内係さん、秘密の椅子を知っているたった1人の売店係さん、役者さんを舞台へ送り出すエレベーター係さん…
出てくる裏方さんが皆自分の役割に誇りを持 -
Posted by ブクログ
小川洋子さんを友達にお薦めしたら早速読んでくれて、それに続いて借りた本。その日に一気読み
これを読んで確信したんだけど、簡単に一言で面白いよ、というには覚悟が必要かな。。
どんでん返しのないつねに漂う不穏な雰囲気は、すごく内向的で独特。特に身体の描写が多く、それは緻密でいやでも想像をさせられてしまうし、そして多くの場面でふつうの人にとっては当たり前でないか意識したことのない感覚であって、不気味さを感じる。
妊娠カレンダーは題名の通り生理的な現状がテーマだし、ドミトリイで出てくる「先生」には両手と片足がない。
『まぶた』の中の短編に出てくる左腕が上がったまま動かなくなった弟。『猫を抱いて像と -
Posted by ブクログ
息子へ)
本屋大賞第1回目の大賞受賞作品。
80分しか記憶が持たない数学者と、家政婦とその息子の話。息子の年齢は、ちょうど今の君と同じくらいで、10歳。この点でも、お父さんは感情移入して、本書を読んだ。
ほのぼのした中に、サスペンス的要素、家族とはを考えさせれるヒューマンドラマ要素の入った小説。
結末がシンプルに終わったところが少し残念だったが、十分楽しめた読み物だった。
本って素晴らしい、小説ってすばらしい、本屋大賞対象受賞作は信頼できるっっ、といった感想だ。
本屋大賞受賞作品としては2作目。
本屋大賞は2004年から始まったから、既に10冊は出ている。しばらく本屋大賞を楽しもう -
Posted by ブクログ
去年建て替えのために休館した帝国劇場。
劇場を愛するさまざまな人たちの8つの物語。
私も以前ミュージカルにはまって帝劇に通っていたことがあって、その頃のことを懐かしく思い出した。
名前こそ出てはないけど、私の好きな井上芳雄さんが出てくるエピソードもあって、何だかとても胸が熱くなった。
いま私は東京から遠く離れた地方に住んでいて、観劇することもなくなり、かつての熱をすっかり忘れてしまっていたけれど、ああ、そうだこんなふうに劇場って、観劇するってものすごく特別でワクワクすることだったなあと思い出した。
そういえば、帝劇の地下にあった東京會舘のお料理教室にも通っていた。日比谷のあの辺り、ほかの劇