小川洋子のレビュー一覧
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去年建て替えのために休館した帝国劇場。
劇場を愛するさまざまな人たちの8つの物語。
私も以前ミュージカルにはまって帝劇に通っていたことがあって、その頃のことを懐かしく思い出した。
名前こそ出てはないけど、私の好きな井上芳雄さんが出てくるエピソードもあって、何だかとても胸が熱くなった。
いま私は東京から遠く離れた地方に住んでいて、観劇することもなくなり、かつての熱をすっかり忘れてしまっていたけれど、ああ、そうだこんなふうに劇場って、観劇するってものすごく特別でワクワクすることだったなあと思い出した。
そういえば、帝劇の地下にあった東京會舘のお料理教室にも通っていた。日比谷のあの辺り、ほかの劇 -
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ネタバレ妊娠カレンダー。姉と義兄と一緒に暮らす私。
妊娠した姉の要求に、文句も言わずに答えている。
いつも料理に文句をつけられたり、つわりが酷くて
キッチンで料理ができないからと、庭に調理器具を
持ち出して地面にござを敷いて食べる。
(庭でご飯というのはとても楽しそうだけど)
つわり後、食欲が増した姉にグレープフルーツジャムを
毎日作るようになった。店員にわざわざアメリカ産かどうか確認して、防カビ剤が塗布されたものを買ってくる。
発がん性があり、染色体を破壊する、という話を知りつつ皮を刻んでジャムにする。姉が食べたいというから?
悪意とも親切とも取れる行動だけど、やっぱり悪意が
勝っていると思う。最後 -
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第104回芥川賞受賞作、ということで。
受賞作と、他2篇。
91年に受賞、この文庫が94年に1刷ということで、35年の時を経ているというのは不思議に思えた。所々にその時代性は少しだけ顔を出すものの、全く古びていない。
3篇の短編集の共通して根底にあるものは、何とも言いがたい淡々とした不穏、不気味さと、観察者としての「わたし」、そして高く一貫した描写力だと思った。
個人的には「ドミトリイ」と、著者の文庫版あとがきの中の、新鮮な玉ねぎと猫の死体の話が一番面白かった。
「ドミトリイ」は特に途中からミステリーのような急展開になり、真の小説が生まれるのはそういうところにあるものかと、短いあとがき -
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小川洋子さんのかく文章は本当に読んでて心地良いです。静かだけどその静かかさの中には深淵が広がっているような。とてもいろんな色の絵の具を幾重にも重ねて描いた絵画のようです。パッと見は青に見える。でも近寄って覗き込むようによーく見るとその中には黄色も緑も灰色も茶色もあらゆる色が隠れていてびっくりする、そんな感じです。(←我ながらわかりにくい 笑)
全体的に感じる空気感はファンタジーのような神秘的な夢物語のような印象を受けますが、実は窮屈な生きにくさを描いたダークファンタジーでした。リトル・アリョーヒンにとってチェス盤の下以外の世界は何と生きにくかったことか。リトル・アリョーヒンが悪いわけじゃない -
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数学の知識がもっとあれば、きっともっと面白かった!!!あまりにも悔しい。数学の知識がなくったって楽しみながら読めるけど、数学の知識があったらもっと数式であったり定理、証明の美しさを理解できたんだと思う。この世のものは意外と数字で示されているものが多くて、特に作中にも出てくるけど野球は数字があってこそ凄さが分かる表記の仕方だし、数字のみでプレーの内容を彷彿とさせるものであると実感した。名前だけは知っていたものの長らく手に取らずにいた小説のひとつ。春休みを利用して読めて良かった!!
物語中盤ぐらいで、母親が息子に謝罪するシーンが印象に残った。目上の人から下の人に向けての謝罪(特にそれが家族、親子で