小川洋子のレビュー一覧
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ネタバレ薬指の標本。わたしは、工場での事故で薬指の先を
失くし、偶然見かけた標本室で事務員をすることに。
標本技術師の弟子丸はどんなものでも標本にできる。
きのこ、文鳥の骨、楽譜の音、少女の頬の火傷跡まで。
弟子丸から革靴をプレゼントしてもらった辺りから、
怖さを感じ始めた。古い靴を握り潰したり、浴槽の底を
歩かせたり、硬いタイルに寝転んで抱き合ったり、狂気を感じた。一番恐怖だったのは、活字板を運ぶわたしを
転ばせて、散らばった活字を朝まで1人で拾わせた場面。「君は一晩中、僕のために働いたんだ」
「二人で朝を迎えたのね」
なぜだかわたしもなんだか嬉しそうにしている。
靴磨きおじさんとの会話、「彼とはど -
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ネタバレ3編とも静かだけど少し不穏な物語で好みだった。
「妊娠カレンダー」
グレープフルーツの皮に農薬が付着していることを意識しながら妊娠中の姉ためにグレープフルーツのジャムをせっせと作る妹。神経質な姉に対する嫌悪感な気もするけど、ただ農薬が付着しているんだろうという事実だけを見つめている感じがした。
「ドミトリイ」
まさか先生が黒幕⁉︎と思っけど違った。浮世離れした寮が魅力的。手足が不自由な先生の動きの描写が細かくてすごかった。
「夕暮れの給食室と雨のプール」
電報っていいなぁと思った。「誰でも一度は、集団の中に自分をうまく溶け込ませるための、ある種の通過儀礼を経験すると思うけど、僕はたまたまそれに -
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20代の頃に大好きだったアーティストさんが、好きな小説に本書を挙げていました。
とても温かい物語で、博士が愛らしいと。
当時はパッと読んでみただけで、内容も全く覚えていなかったのですが、10年以上経った最近あるきっかけでまた読んでみることにしました。
読んでいる間、流れる時間が本当に温かく自然と涙があふれる瞬間が多々ありました。
どうしようもない困難もあるけれど、それをも凌駕する深い愛と信頼が確かに感じられました。
ただ隣に居て心を通わす時間がどれほど幸福で心強くあったか
私も愛と勇気を貰えました。
本書を好きだと言っていたアーティストさんはとても強くて愛に溢れた人です。
その愛に何度救わ -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集2作品の詰め合わせである。まず最初はタイトルにもなっている「薬指の標本」標本を作る店で働く20代の女性の視点で紡がれる幻想的な物語だ。現実にはない世界観だと読んでいるだけで夢か現かに迷い込んだような感覚と詳細な描写はないのに色っぽい話だと感じ取った。途中で今まで働いていた女性たちはこつ然と消えることが多かった、アパートに住む老婆の発言だと特徴的な靴の音を鳴らし地下室の標本室に降りて行ったと書かれた時は主人公は標本を作る店主と肉体関係にあったしいずれ足と一体化し足から外れなくなる靴を貰っていて本人もどんどん靴を脱ぐ気がなくなっていくから主人公は何かを標本にして消えるだろうなと思った。結果タ