小川洋子のレビュー一覧
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とある場所で人質となってしまい、偶然その場に居合わせた人たちとの不安で退屈な監禁生活の中で、粛々と開かれた朗読会で語られた物語。特に目立ったところもなく、平凡な、どちらかというと地味な生活を送ってきた人々のお話。派手なところがなく、日常のワンシーンが静かに語られていて心地よい。実際にこのような朗読会があったら、ターニングポイントや不思議な体験、1番嬉しかったこと、悲しかったことなど、ドギツく色を加えたものを話してしまう気がする。それをせずに語れるのは、ただ黙ってどんな内容にも静かに耳を傾けてくれる優しい人たちの中にいるという安心感がなければならない。現実では、そのような人たちや環境にいられる事
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Posted by ブクログ
ネタバレコミュニケーションについてや、ケアについてを考えさせられる。それから、愛ってなんだろう、と考えさせられる。
他者と関わるとはそもそも何をすることなのかを、静かな形で書いた小説だと思う。
相手が自分には完全には分からない形のまま存在することを許し、それでも注意を向け続けること。
他者との関わりは、本来そこから始まるはずなのに、会話や共感、社会的役割、利益を求められることがある。そしていつからか、要求が発生し、ケアと支配が境界不明瞭に立ち現れる。
「ことり」は「愛の話」ではあるとしても、愛が孤独を救う話ではない。愛するからこそ相手へ声を届けようとし、愛するからこそ届いたと信じたくなり、そして -
Posted by ブクログ
ネタバレ人々がひとつずつ記憶を失っていく架空の島の物語。あえて時代や土地、人種をぼかして、どんな人の記憶のはしにも引っかかる部分があるように描いているような気がする。恐らくその描き方によって、読む人に様々な受け取り方をゆるし、それぞれ違ったことを想起させる意図があると思うが、解説でもあったようにわたしもナチスによるホロコーストを思い浮かべた。無慈悲な為政者によって、当たり前の日常から奪われていき、そして自分自身の肉体、命、人としての尊厳を奪われていく。おじいさんは為政者により無惨にすべてを奪われる前に亡くなったが、それに対する「わたし」の思いは、つまりはそういうことだろう…R氏は、運良くホロコーストか
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Posted by ブクログ
現在休館している帝国劇場への作者からの真摯なラブレターのような短編集でした。とても良かった。
劇場に勤めるスタッフたちや観客にスポットを当て、さまざまな角度から劇場と行われる演劇の素晴らしさとかけがえのなさを謳いあげる。劇場の中で完璧に完結するからこそ、現実のすべてを放り投げて没頭できるあの時間の本来の良さを、改めて感じることができました。
演劇は自分にとっても十年来の趣味ですが、昨今は色々と心の荒む事情を感じて足が遠のきがちだったのですが、あらためて演劇の本来持つ魅力を教えてもらった感覚がしました。
短編には実在はしない職業や幽霊なんかもするりと作品に登場しているのですが、それが作者の