小川洋子のレビュー一覧

  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    『喜嶋先生の静かな世界』と通ずる、心地良い読後感。口数少ない人物の内面を丁寧に描写する作者の能力。すごいなあ(小並感)。


    「君は言葉で説明できる、手にとって他の人に見せることができる目的のために、一度でもチェスを指したためしがあるのかね?〔…〕私はいつでも、チェスがしたいからチェスをする。それだけだ。」P197

    チェスのためにチェスをする。
    國分功一郎『手段からの解放』にも同じような話出てきてたのを思い出した。

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    2026年06月14日
  • 博士の愛した数式

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    記憶が80分しかもたない博士と、派遣されてきた家政婦とその息子のルート。

    博士が敬愛する数字と数学に魅入られ、いつしかコミュニケーションのひとつとなる数字。そして阪神の江夏豊。

    家政婦とその子供という立場だけでなく、孤独の博士にできた“友達”として、関わっていく様子は、とても温かいものでした。
    80分しか記憶がもたない博士になるべく混乱を与えないよ話を合わせ、なるべく心地よい空間になるよう努めた二人。
    ルートをはじめ、子供には無償の愛を注ぐ博士、そして記憶が持たないながらも家政婦にだんだんと信頼を寄せる博士。気難しいようにみえてとても温かい博士。

    人との関わりについて考えさせられるストー

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    2026年06月14日
  • 密やかな結晶 新装版

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    すごい本を読んでしまった…すごく引き込まれたし、ずっと不気味で、先がどうなるのかまったくわからなかった…アンネの日記を読まないといけないかも

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    2026年06月12日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    ネタバレ

    〈備忘録・ネタバレあり〉
    小学生の頃にアンネフランク物語を読んだことがあったが、アンネの日記は未読。
    アンネの日記がこれほど引き込まれる理由や、日記がアンネにとってどのような存在であったかの考察が書かれており、興味深かった。そして書く、という行為の尊さも改めて感じた。

    ▼引用
    日記は本来、自分以外の読者を必要としません。しかしアンネは自分自身の感情をノートにただぶつけるのではなく、苦しい事柄でも楽しい出来事でも、そこからあえて距離をとって言葉を紡ぎ出し、読者たるキティーに手渡すという構図をとりました。客観的な視点を確立したことで、この日記は文学にまで昇華したのです。  そして、キティーの存在

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    2026年06月14日
  • 博士の愛した数式

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    ネタバレ

    とてもほっこりとしていて読みやすかった、、。「博士」という人物像が非常にユニークで面白い。暖かくもあり、少しの儚さをも含んでいる作品。題名に数式とあるように数学に関する知識が多く出てきた。そこの表現が綺麗。また博士に対するルートの質問。質問の内容の難易度等は関係ない。ただそこにある真理の導き方。導くまでの過程。そこのみが博士の関心。この博士の感じがすごく好きな描写。また主人公に「そのままで」「料理している君が好きなんだ」あのシーンの書き方がすごくすき。博士の無頓着でありながら、子供や数学、阪神タイガース等とある一点にのみ執着やこだわりを見せる点がとても愛おしい作品。

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    2026年06月10日
  • 博士の愛した数式

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    ずっと作品の存在は知っていたが、小説も映画も触れたことがなかったので、やっと読めて満足。
    美しい情景描写が多く、登場人物たちのそれぞれに対する慕情や嫉妬などの感情は、はっきりと描かれないが、丁寧な語り口の奥からじわじわ伝わってくる感じが心地よかった。
    数学者・藤原正彦の解説もよくて、
    「くっきりした輪郭に、ぼんやりした暗示が縦横に張りめぐらされていて、墨絵のような静謐をかもし出している。(p.289)」
    という批評に共感した。
    高校を中退し、シングルマザーとして奮闘する「私」と80分しか記憶がもたない「博士」の交流は哀しみを避けられないけれど、「私」の息子「ルート」や、阪神タイガースといった要

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    2026年06月09日
  • 博士の愛した数式

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    カフネで家事代行の話を読んだ流れで読んでみた。
    静かで大きな波はない物語だけど、静かっていいよなって思ったり、穏やかな気持ちでいられて心地よかった。

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    2026年06月08日
  • 博士の愛した数式

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    何か教訓めいたことが書かれているわけではなく、博士が亡くなることが明かされる後半でハラハラしても大変な場面が書かれるわけでもなく、本全体に、数学の静けさ・美しさが貫かれていた
    日常の描写が丁寧で、穏やかな気持ちにさせてくれた
    自分は数学苦手だけど本や映画を通じていつも数学と物理の美しさを感じるから、本の中で出てきた様々な定理も面白かった
    今の時代や生活では忘れてしまう穏やかな時間だった、読書はいいねぇ

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    2026年06月07日
  • 劇場という名の星座

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    帝国劇場を愛する方にオススメしたい1冊です。

    巻末の1文をお借りしました!
    ですが、劇場、歌劇がお好きな人に響く「愛」を感じれるストーリーです。

    短編なので、演目を含めて観客、係り員、役者、縁の下の力持ち、それぞれの関係性が楽しめます。
    上演された演目も誰もが耳したことがあるタイトルで、観劇された方は場面も思い出される事、間違いないでしょう


    読む度に、劇場の重厚な造りの外観、ロビーの絨毯に階段の手摺…
    あの日に感じた場面が思い出され、感慨深い気持ちになります。

    是非、休館があけたら、足を運びたい場所です。その時は、駅から少し迷ってしまいそうですけど(笑

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    2026年06月07日
  • 妊娠カレンダー

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    純文学の王道みたいな作品。
    特に2つ目と3つ目の話はそう思った。

    個人的には中でも2つ目のドミトリイがおもしろい。状況としてはかなり不気味な話になりそうなのに、表現によって優しい柔らかな心地に捻じ曲げられてる感じ。

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    2026年06月06日
  • サイレントシンガー

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    面白かった。独特の雰囲気がすごい。
    あんなにも世界が煌めいて見えたのに、それが終わってしまう瞬間があるというのをひたひたと描いているというか、物悲しいけど綺麗な終わり方だったな。『家路』聴くと泣いてしまいそう。

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    2026年06月05日
  • 博士の愛した数式

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    ネタバレ

    すごく昔に読んだことがある本を再読。僕が数学を美しいなと初めて感じたのは、大学で論理学を受講した時で、おそらくその後にこの本に触れています。数学の美しさを見せるこの本に、すごく親近感をもった記憶がぼんやりとありました。

    この作品は、文体が優しく、描かれる情景も押し付けがましくない。というか作中の博士が愛した静寂をそのまま形にしたような作風でした。

    数学と少ない登場人物のほかに、野球、特に阪神タイガース、江夏豊選手がキーになる話だが、それらに全く知識がなくても問題ありませんでした。

    オイラーの公式のことについての解釈が、綺麗だなと思ったので記します。

    “果ての果てまで循環する数と、決して

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    2026年06月05日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    ネタバレ

    静かに動く世界の中で
    日々に翻弄されるように
    ただ流されるかのごとく
    それでも強く
    芯を持って進んでいく

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    2026年06月05日
  • 密やかな結晶 新装版

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    善意という名の支配。

    薄気味悪い、不気味な、気持ち悪さが残る小説でした。
    不穏な空気感に、途中、挫折しそうになりましたが、終盤にかけて小川洋子さんらしい展開があり、最後まで読めてよかったです。

    主人公の「小説家の女性」と、その小説家が執筆する作中小説の「声を失ったタイピスト」が、リンクしましたね。

    愛情、束縛、監禁、依存、支配がテーマでしょうか。

    その後、R氏は、どこへ向かったのでしょう。
    『夜と霧』を彷彿させてしまいます。

    私も日々、いろいろなことを失いながら老いています。
    消滅は、異常なことでしょうか。
    そのうち、カレンダーを失う未来もあり得ると思うのです。
    左足も失うし、声も失

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    2026年06月03日
  • ことり

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    小父さんが切ない。
    自分の目が、
    庭に差し込む光になるのか、井戸を覗き込む人間の目になるか、
    読み終えて悩まされました。

    鳥籠を抱え亡くなった小父さんの生涯を見る物語。
    鳥の言葉を理解し鳥の言葉しか話さない兄と、
    二人で暮らし続ける小父さんもまた
    鳥の言葉を理解し、鳥の言葉で話し始める。

    この手の物語を読むと、大抵いたたまれない気持ちになる。
    人を羨やむことが、
    自分を落ちこぼれと認識させる。
    そんな自己嫌悪に入るぐらいなら、
    手に入るものを有難いと感謝する。

    そういうもんかなと思いつつも
    自分は、そんな上手いこと変わらないというか
    なんというか。
    大抵、不貞腐れながら、なんとか生きてる

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    2026年06月03日
  • 博士の愛した数式

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    文章が綺麗で読みやすく引き込まれてしまった。
    80分しか記憶がもたない博士と親子の物語、数学が苦手で途中わからない数式が出て難しいなぁと思ったけどそれでも良かった

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    2026年06月03日
  • 博士の愛した数式

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    博士と家政婦の「私」とルートの日々を描く。どうしてもつきまとう博士の80分しか記憶が持たないという重い設定を忘れてしまうぐらい、数学の世界は美しく、阪神タイガースへの愛は素敵だった。博士が私とルートを記憶し続けることはないという重い設定が作品の土台部分を常に流れながらも、美しい数学の世界と阪神タイガースへの愛、そして3人の日々が美しいメロディのように作品を彩っている。今まで読んできた本たちとはまた違った、とても面白い作品でした!

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    2026年06月02日
  • いつも彼らはどこかに

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    ネタバレ

    通勤中に読んでいるから、短編集であっても途中にはなる。そして、再開する時に、これはどういうことだったっけ?って読み直すのだが、不思議なことに、すぐにその世界にどっぷり浸かってしまう。だから、断食蝸牛は気持ち悪いし、竜の子幼稚園は愛おしかったり…

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    2026年06月02日
  • 劇場という名の星座

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    帝劇小説との事で読む前からワクワク
    モーツァルト!のお話で主演が過去にハプスブルク家のルドルフをやった!?あっ、でもモーツァルトの最後の公演って設定だし大我君なわけないのに!妄想が(꧞ 'ᢦ' )(きっと井上芳雄さんなんですよね)

    帝劇は私達にとっても特別な場所で舞台の素晴らしさを教えてくれたのはここでした
    この素敵な場所を題材に小説を書いてくれた事に感謝しかないです

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    2026年06月01日
  • 博士の愛した数式

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    「数学と文学が結婚した」作品。あとがきにそうあったのだが、正に言い得て妙、というか、これほどに、端的にこの作品を表す作品はないであろう。

    数学と文学が結婚したこの作品は、実に美しく、また、恋愛とは異なる幸福な愛情に満ち満ちていた。あたたかく、そしてまた切ない物語でした。

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    2026年06月01日