小川洋子のレビュー一覧

  • 続 遠慮深いうたた寝

    Posted by ブクログ

    素晴らしかった。大切に、大切に読み進めた小川さんのエッセイ集。エッセイ集と言っていいのかわからなくなるほど、短めの深い思いで唯一無二。いろいろなところで書かれたエッセイを章に分けて載せている。1、2章あたりのエッセイがたまらなかった。日常や、家族の幸せが美しく切なく心に響くエッセイがたくさんあった。亡き両親との思い出。よその子や赤ちゃんとふと、些細なきっかけで顔見知りでないその子たちと触れる中で思い出す、自分の子供との思い出。想像するということ、読書ということとは何か。と思えば、少し抜けた感じのクスッと笑えるエッセイもあり…ということで絶妙なバランス。小説も美しく、エッセイも美しく、すごい、小

    0
    2025年11月28日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    本屋大賞受賞作。全体を通して、博士の魅力に溢れた一冊でした。80分しか記憶が持たない博士と数学やタイガース(江夏)の話題を通じて交流を深めていくさまが、微笑ましかったです。博士とルートがタイガースファンであり、過去の名選手たちの名前が登場する中で時代を感じました。

    0
    2025年11月28日
  • ボタンちゃん

    Posted by ブクログ

    成長とともに消えゆくもの。
    それは見える物であったり、見えない価値観や感情ではありますが
    たち帰れる場所を作るのもありかなと思いました。
    すぐに使わなくなった物や価値観は少しだけ残して(記して)見返せるようにしてみようと少し思えました。

    0
    2025年11月26日
  • 海

    Posted by ブクログ

    風に吹かれるように心地良くうつらうつらと読んでいたら「バタフライ和文タイプ事務所」が始まり目が覚めました。

    0
    2025年11月25日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    数学。大嫌いだった。学生時代それはもう、本当にひどい成績。
    それでもこの小説を読んでいて、数学の美しさに触れた気がする。
    しかもそれだけではない。鬱陶しくも愛らしい80分しか記憶を持てない「博士」と、家政婦の「私」、その息子「ルート」が紡ぐ友愛が心の中にジワジワと染み入ってきて、気づけば心がフワフワ軽く柔らかくなったような、そんな感覚になっていた。
    とはいえ、数学がテーマ。ドキドキもハラハラも、号泣するようなシーンもない。
    それでも読み進める度に静かに、疲れた心が癒えていく。
    そんな、とても素晴らしい物語だった。

    0
    2025年11月25日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    帯に、「270万人が泣きました。伝説の第1回本屋大賞受賞作」とある。本屋大賞の最初の受賞作であり、映画化もされ、270万部を売り上げている作品ということは、傑作と言ってもよい。私は映画を観ていないが、博士は寺尾聰、家政婦は深津絵里が演じた。
     
    家政婦はシングルマザーで、博士は、子供の名前に、頭の形が数式の√に似ているからルート君と名付ける。博士は数学博士だが、交通事故で記憶が80分しかもたない。この記憶障害があることから、家政婦は色々と難しい対応を迫られる。しかし、この家政婦がとても優しいので博士は幸せに生活できる。この作品の特徴として、博士の専門分野である数学が物語を引き締めている。博士は

    0
    2025年11月25日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんらしい、静かで少し哀しくて、優しい物語。

    ページ数が少ない本なんだけど、博士との温かい交流が細やかに描かれていてとても良かった。

    ラストシーンにジーンとくる。

    0
    2025年11月25日
  • 掌に眠る舞台

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    帯にある語~異界、奇跡
    これって日常用語ではないが、考えて、発語するだけで独特の異空間へ足を踏み入れた気持ちにさせる。
    小川洋子全開のワールドに彷徨った

    収められている8編、舞台・・ステージに纏わる場面、時間、心象
    その脳密度は作品によって微妙に高低あるけれど、読み進むにつれ、或るホラー感覚に襲われて行く様な内容もある

    個人的に響き、慄きすら覚えたのは「装飾用の役者」
    ラストで【∼どのような要望でも お応えする自信がございます。採用して頂ければ 誠心誠意お勤めさせていただきます】
    2000年になって、特に介護という業種が膨らむにつれ 酷く多用されてきた語感∼寒気を覚えました。
    彼女という人

    0
    2025年11月25日
  • 妊娠カレンダー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    話に出てくる人たちの行動が人間らしくなくて、ずっと不穏な空気が流れてるけど、すごく心に残る。
    とくに妹が、妊娠した姉のためにグレープフルーツのジャムを煮るシーンが印象的。
    とても従順にみえて、農薬が使われているかもしれないグレープフルーツを淡々と調理する妹の姿に寒気がしてくる。わたしには悪意とともに行為に及んでいるように見えて、それは自分の姿ともすこし重なるような気がした。

    色んなことがはっきり書かれていないからこそ、いろいろな読み方ができそう。
    わたしは面白かった。

    0
    2025年11月22日
  • 海

    Posted by ブクログ

    少し不思議な話が詰まった短編集で、小川洋子さんならではの美しい文体によって、切なさを感じたり、ほっこりしたりととても良い読後感を味わえました。

    0
    2025年11月21日
  • ミーナの行進

    Posted by ブクログ

    物語の舞台である芦屋市内は学生時代、そして今も、と馴染みのある街なので、頭のなかで街並みを映像化しながら楽しんだ。


    思春期の、あの時期に過ごした1年間は主人公の朋子にとっても、ミーナにとっても濃密な時間だったんだろう。

    少しざわざわすることもあるのだけれど、読み終わる頃、すこーんとした気持ちになりタイトルの『ミーナの行進』が読み始めとは違う響きを帯びてくるのだった。

    Bのパン、クレープシュゼット、食べてみたくなった!

    0
    2025年11月21日
  • 薬指の標本

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    終始湿度のある文章で、爽やかさは一切なかった。「好き」「愛してる」の言葉がなくても、ひんやりとした狂気に溢れたお互いの感情が伝われば良いというのも愛の形なのかなと。弟子丸氏の魅力が私には全く伝わらなかったけれど、二人が幸せならそれで…という感想。二つの作品どちらもすっきりとした終わり方ではなかったので、その続きはどうなったんだろう?って気になった。

    0
    2025年11月21日
  • 続 遠慮深いうたた寝

    Posted by ブクログ

    日常の一コマや学生時代の思い出話、短編小説を読んでいる感覚の文章だったり、小川さんの愛する本の考察や感想だったり、と大変素敵な構成で深く染み入る言葉の数々でした。

    0
    2025年11月19日
  • 続 遠慮深いうたた寝

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんのエッセイ。お母さんのガクアジサイ、お父さんの猿のシンバルのおもちゃ、お祖父さんと庭で見る月。せつないけど幸福でもある思い出。

    0
    2025年11月15日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

    Posted by ブクログ

    静かに力強く前に進んでいく物語
    名前の明かされない登場人物たちはみんな魅力的で、少し不穏さを纏わせている。
    遠い国の話のようでいて、すぐ近くにあるようなお話。

    幸福ではないかもしれない。でもきっと不幸でもない。その言葉が似合う小説です。

    0
    2025年11月14日
  • サイレントシンガー

    Posted by ブクログ

    静かで美しい本だった。
    内気な人の会改め、アカシアの野辺で暮らす、指言葉を使う静かな
    人たち。そこで育ったリリカの一生。
    そこはかとなく暗く怖い面もあり、料金係の人との恋?のような出会いもあり、リリカと共に一生を体験したかのような本。
    静かな世界が美しく、まぶたの裏に羊たちが浮かんできた。
    優しい、とはまたちがう、静かだけど美しい本だった。

    0
    2025年11月13日
  • 人質の朗読会

    Posted by ブクログ

    地球の裏側のどこか知らない国、
    8人の日本人の乗ったマイクロバスがバスごとゲリラにより拉致される。
    世間には、一通りのゲリラの実態なども報道されるが、100日を超える膠着状態になり、世間からは少しづつ忘れ去られていく。
    その危機の真っ只中の彼らは、生きて帰れるのか死ぬしかない中で、一人一人の朗読会が始まる。
    短編小説みたいだ。
    一人一人の物語を静かに、淡々とみんな聞いている。その話は子供の頃のことや若い時のこと、人が聞いても感動も何もないお話。
    何なんだろうな。
    何かしら、薄暗闇の中で静かに瞑想のような感じすら受ける。
    心が透明になりそうだ。

    私は「冬眠中のヤマネ」が好きだ。

    いったいこん

    0
    2025年11月13日
  • ブラフマンの埋葬

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    不思議な手触りの小説。
    まずブラフマンが人間ではないこと。でもどんな種類の生き物かは明かされない。
    「僕」が何歳ぐらいなのか、どんな過去があってどうしてそこで働いているのか、そもそもどこの国のいつ頃の話なのか、すべてがはっきり語られない。
    この手掛かりの少なさにも関わらず、ブラフマンの生き生きとして描写に冒頭から引き込まれる。

    何と言ってもほとんど犬っぽいブラフマンの仕草の描写が可愛い。タイトルどおり「ブラフマン」は「埋葬」されてしまうという予測ができていたが、あまりの愛らしさに、ブラフマンが無事に元気なまま終わるように願いながら読んだ、

    時々現れる、「僕」のブラフマンに関する観察日記のよ

    0
    2025年11月13日
  • 続 遠慮深いうたた寝

    Posted by ブクログ

    2025.21

    遠慮深いうたた寝をコロナ禍に
    家の屋上で寝っ転がって読んでから
    小川洋子さんの文章が好きなことに気付き
    あの頃救われた気持ちになったので
    特別な本だったのだけど、
    "続"が出て嬉しい。

    あの時本屋でつるんとした装丁に惹かれたけど
    "続"も陶器のようなデザインでかわいい。
    小川洋子さんの文章は心が穏やかになる。
    これからも遠慮深いうたた寝が続いてほしい。


    ***


    P23 精いっぱい仕事を頑張る、というその頃合いが分からない。私は今、ぎりぎりまで自分を追い込んでいるか?もうこれ以上は無理だ、というところまで這い上がろうとしているか

    0
    2025年11月08日
  • 続 遠慮深いうたた寝

    Posted by ブクログ

    有田焼のような装丁がとってもかわいい

    「一番の不思議」
    男の子とおばあちゃんの会話、なんて尊いんでしょう!

    「矛盾に満ちた人生」
    コリをほぐしてもらいたいのは当然なのだが、先生の期待を裏切りたくない、と言う気持ちの方が大きい
    ーこれわかる!

    「本の世界は、誰も見捨てない」
    後半の再読の楽しみについての記述は共感しかない!そうそう!ホントそれ!
    「人生の豊かさを示す秤」
    これも再読について。
    小川洋子の表現は崇高にて美しい

    「おじいさんと通りすがりの者」
    まるで一本の小説

    0
    2025年11月07日