小川洋子のレビュー一覧
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ゆっくりとした本が読みたくなってチョイスしました。
ずっと積読していたのですが。
アンネフランクにまつわるエッセイは
『アンネ・フランクの記憶』が蘇ってきて
涙腺がゆるみました。
とにかく静かで、壊れ物を扱うように
大切なものを取り出してくれるような文章であって、
その文体と相まって「失われたもの」が描かれるので、
どんな文章でも読んだ後に失くしたものを思って
泣きたくなります。
確か『アンネフランクの記憶』を読んだのは
大学4年の夏、恐山に行く最中で、
大湊線で…というところまで、こと細かに思いだせます。
緑なすススキ畑と海の中をひたすら電車が進んでいったなあという
時間とか情景とか、不思議な気持ちとかまでも含めてです。
作者も文中で読書の減少を嘆かれていますが、
読書の記憶というのは、自分の状況や場所の記憶とも相まる、
得難いものであるのになあと思います。
ただ、それが携帯ゲームでもいっかな同じといえば
同じ気もしますけれど。
○○旅行中に○○ダンジョン攻略したなあとか。
どうなんだろう…
ラブのお話はコミカルで面白かったですね^^ -
Posted by ブクログ
心と響き合う読書案内 (PHP新書)
(和書) 2009年09月19日 08:28
小川洋子さんがラジオ番組で本を紹介ものをエッセイ風にまとめたものです。
50冊ほどの本が取り上げられています。
このうち私が読んでいるもの、知識があるものを羅列してみました。
教科書的な作品。
「山月記」中島敦
「羅生門」芥川龍之介
「檸檬」梶井基次郎
「こころ」夏目漱石
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
「走れメロス」太宰治
「たけくらべ」樋口一葉
古典文学。
「おくのほそ道」松尾芭蕉
「万葉集」
「枕草子」清少納言
現代作家の作品。
「蛇を踏む」川上弘美
「窓ぎわのトットちゃん」黒柳徹子
「流れる星は生きている」藤原てい
「風の歌を聴け」村上春樹
「死の棘」島尾敏雄
「思い出トランプ」向田邦子
「100万回生きたねこ」佐野洋子
翻訳文学。
「秘密の花園」バーネット
「変身」カフカ
「モモ」ミヒャエル・エンデ
「はつ恋」ツルゲーネフ
「昆虫記」ファーブル
「アンネの日記」アンネ・フランク
「悲しみよこんにちは」フランソワーズ・サガン
「星の王子さま」サン・テグジュペリ
「賢者の贈りもの」O・ヘンリ
「車輪の下」ヘッセ
「夜と霧」V・E・フランクル
「チョコレート工場の秘密」ロアルド・ダール
小川洋子さんが親しんできた本が取り上げられていますが、一般的にこんな本を読んで欲しいという意図で選定されているようです。
高校生や大学生に薦める本として良いものばかりが取りあげられています。
教科書に出てくるような作品も多数収録されています。
翻訳文学が多いと思いました。
小川洋子さんが翻訳文学を読むことで、作品の世界を広げ、小川さんの作品が外国語に翻訳されているのもさもありなんと思いました。
わたしが読みたい本、読み直したい本もたくさんありました。
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一冊の本を読んで、この人の書いた本をもう一度読み返したい、それもすべて、なんて思える小説家は少ないのではないだろうか。やっぱり好きだなぁ、ぐらいで本を閉じることはあっても、そうそうこのかんじ、もっと味わっていたいのにもう終わってしまったものだから、別のあの世界にも飛び込みたい、と思えるような。小川洋子は自分にとってそういう小説家だ。
そもそも、わたしは好きな小説家のエッセイを読むことがほとんどない。好きではないのだ。エッセイストで小説も好き、ならばあるのだけれど、好きな小説家のエッセイを読むと、だいたいがっかりしてしまう。そして、ああこの人の書いた小説が読みたいのに、と思うのだ。だから、小説家は小説を書く才能の持ち主であって、エッセイを書く才能の持ち主ではないのだ、それを知れ、といいたくなる。しかし、小川洋子はそういう思いに駆られないほぼ唯一の作家である。書くこと、アンネ日記をめぐる旅のその後、そして日々のつれづれが書かれたこのエッセイも、やはりそうだった。小説を読んだときと同じような充足感があり、ああ、これこれ、と思うことができた。
その理由は、おそらく小川洋子が小説と同じ真摯な語り口調で、しかも自分を誇示しない書き方をしているせいだろう。日常が何かの記憶や想像と結びついていて、しかもそれはまるで彼女の描き出す小説と同じような世界観で目の前によみがえるのだ。わたしはこう考えている、わたしはこんな人物ですよ、とまるで自分の日常や考えがいかに特別であるかを誇張することはない。たぶん、小川洋子という作家は、日常的に彼女が描き出すようなファンタジーの中を生きているのだろう。全身小説家、という映画があったけれど、小川洋子はその言葉がふさわしい小説家なのだ。(夢) -
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この本は小説家の小川洋子さんと
臨床心理士の東畑開人さんが
「孤独」について語り合った内容が書かれています。
「孤独」には種類があり、それぞれの「孤独」について
2人が選んだ本を元に語り合っていくのですが
「孤独」の種類による違いがとてもよくわかりました。
語り合う本の1つ、『ガラスの動物園』において
登場人物のジムに対する印象が2人の中で違いがあったのが
面白かったです。ローラのユニコーンのくだりも良かったです。
「孤独」は全員が持っているもの。
深く知る事で自分、家族、他者それぞれの
繋がりと大切さがより理解できると
この本を読んで分かりました。
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小川洋子さんの世界観を存分に堪能できる作品です。静かで寂しげな空気感をまといながら、単なる暗さや哀しさとは異質の、凛とした厳かさや美しさを感じさせる物語でした。どこまでも優しく、ただただ余韻に浸れます。
小さなアーケードの商店街が舞台で、10編それぞれに商店の店主と客のエピソードが描かれる連作短編集です。1話ごと話は完結しますが、商店が連なるように少しずつ重なる構成です。
各商店、扱っている物、店主、訪れる客など、失われた命や過去の断片が紡がれ、全てアーケードに収束されていきます。アーケードの大家(父)の娘が語り部となり、生と死が交錯する世界が、思い出の痕跡を辿るように描かれます。
「最果て」は、華やかさや賑わいとは真逆で、行き止まりを象徴する場所なのでしょう。生と死、現実と幻想の境目が曖昧な場所は、死の気配がありながらも敬いと優しさにあふれ、最後は父も愛犬も語り部さえも取り込んでいくのだと解釈しました。
小川洋子さんが創り出す世界は、まるで深い森のように静寂さと神秘さを連想させながら、ときおり優しく差し込む木漏れ日など、森の豊かさを実感させてくれます。小川さんが描く物語に引き込まれる理由は、この辺にあるのだなと改めて思いました。 -
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小川洋子さんが作り上げた世界を堪能できる作品。それは小さなものと静寂のなかでかすかに聞こえる音をすべて表現するかのように思えた。
元幼稚園で暮らす私。講堂にガラスケースを運ぶ、歌でしか話せないバリトンさん。遺髪で竪琴の弦を作れる美容師。亡くした子どもを持つ人が自らのために行うグリーフケアを、静かに優しく支える様子がえがかれていた。
そして亡くなっても心のなかで成長していく子どもへの愛情が伝わってきた。「一人一人の音楽会」は一人一人にとって何よりも大切で愛おしい時間だということも伝わってきた。
「質素な親子工作展覧会」も「あの子の結婚式」にも温かいものをかんじた。
子どもは一人も出てこないのだけれど、子どもを思う気持ちに満ちた静かな物語。この世界観がとても好き。 -
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奇妙なタイトルだけで、小川洋子さんの世界を想像してしまう。
とは云え、凡人の想像を遥かに超える世界が繰り広げられるのが常だ。
この一冊の短編8話も不思議な世界に誘われ、読書後には独特の余韻を楽しむことができた。
中でもお気に入りの一編を紹介。
⚫︎口笛の上手な白雪姫
公衆浴場の目立たない場所に、「小母さん」はひっそりと存在しながら浴場に同化していた。
入浴中の母親に代わって乳児を預かり、最新の注意力をもってあやし続ける。
その「小母さん」が、乳児だけに聴こえる音量の口笛を吹くと、乳児たちは口笛とその腕にすっかり身を委ねる。
がしかし、乳児の成長とともにいとも簡単に離れていってしまい、「小母さん」の存在は忘れ去られてしまう。
浴場の壁には深い森の絵が描かれていて、どうやらその世界を「小母さん」は知っているらしいのだ。
私は8話中最短の短編だった「口笛の上手な白雪姫」に魅入られた。
この「小母さん」と乳児の関係は、「善」だけが存在している。
しかし乳児の成長と共に純粋な「善」は影を潜めて行く。
そんな侘しさと悲しさが、繊細な雰囲気で綴られていた。
小川洋子さんの世界はちょっと複雑で物悲しさが伴うのだが、読書後には清涼感ももたらしてくれるのが不思議なのだ。
まあ、お話自体が不思議な世界を醸しているので、不思議な感覚を覚えるのは当然なのかもしれない。
この一冊も小川ワールドを十二分に味わえた。 -
Posted by ブクログ
同世代、同郷(岡山)で、名前も同じ「洋子さん」はともに文筆業。無類の本好きだった2人は、どのように本を読み、どんな本に背中を押され、今が形づくられたのか…。時代を分け、思い出深い本のリストを公開し合い、対話していきます。
2013,2014年の文芸誌掲載と「語りおろし」で、意外にもゆっくり話すのは互いに初めてとのこと。少女時代〜思春期〜家を出る…と続く5章構成で、各章末にオマケの対話、巻末に〈人生問答〉が付録されています。
語るほどに2人の距離が縮まり、親しみやすい素が晒され、文学以外の話題にも花が咲きます。が、やはり深いのは自身の創作(小川さんの物語の種)やエッセイ(平松さんの記憶の断片)を生み出す言葉へ想いです。
特に小川さんの、旅が大嫌いの出不精を自認し、(アンネ・フランクへの思い入れも)動きたくとも動けない人へ共感し、閉じ込められている人に興味があるとの話に、そういうことか!と納得です。
また、2人がこれまで心酔してきた本がたくさん取り上げられているので、ブックガイドの側面もあって、また読みたい本が増えます笑。
2人の生育歴や人生観、日常のこだわりなど、魅力的な情報が満載でした。特に、さり気なく散りばめられた創作に関わる部分は、2人の各作品の背景を補足してくれるような対話集でした。