小川洋子のレビュー一覧

  • 博士の愛した数式
    有名な本だったけど読んだことはなかったので読みました。
    事故の後遺症で80分しか記憶がもたない博士と、家政婦とその息子との物語。
    年齢や性別、そして血の繋がりが無くても関係ない友情のような、家族愛のようなものを感じた。
  • 博士の愛した数式
    ほっこり。とてもいい話だった。
    数学が好きになりそうになる話
    結局博士が義姉を納得させた式は何だったんだろう?
  • 博士の愛した数式
    有名で、第1回本屋大賞受賞作でもある本作をやっと読めた。

    80分で記憶を失う博士が
    子供に対してはとても優しい眼差しを向けていて、
    子供であるルートも博士を信頼しているところがよい。

    あたたかい物語だった。
  • 偶然の祝福
    博士の愛した数式の作者だから。そんな軽い気持ちで手に取ってしまったが、とても裏切られた。第一話から仄暗い雰囲気が漂い、後半はドロリとした感触が胸に残る。飼い犬のアポロの存在が無ければ凍えていたかもしれない。そう思わされるくらい引き込まれた。

    一生懸命生きてる人にきっと響く作品だと思いました。
  • 猫を抱いて象と泳ぐ
    貧しい祖父母に育てられる幼い兄弟の楽しみは、休みの日に祖母とデパートに行くこと。お子様ランチも食べられない、おもちゃも買ってもらえない。それでも兄の楽しみは、このデパートの屋上でかつて暮らしていた象に想いを馳せること。大きくなりすぎて、屋上から降りられず、死ぬまでそこで暮らした象のインディラ。

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  • 博士の愛した数式
    記憶を保てない博士とそこに働きにきた家政婦とその子供の話でした。博士の病気は深刻で記憶がリセットされた時の博士の悲しみなどが描かれていましたが、最後まで読み終えて驚いたのが、悲しい気持ちではなく、博士の家政婦の子供に対する愛情と敬意をとても強く感じ、心が温かくなる作品だった事です。
    暗く辛い病気の話...続きを読む
  • 薬指の標本
    『薬指の標本』
    薬指の欠ける描写がグロテスクでありながら面白かった。サイダーが桃色に変わる。
    きのこの標本の少女が成長して、今度は頬の火傷を標本に。標本技術士・弟子丸以外は踏み入れることの無い地下にある標本技術室にその女性も入り、標本にした模様。それに嫉妬する主人公。p73
    亡くなった文鳥の標本を依...続きを読む
  • 人質の朗読会
    小川洋子さん!って感じで、日常に起こりそうで起こらなそうな話たちを一緒になって聞いてる気分。
    最近、言語化がどうとかこうとかっていうことばかり考えていたから、なぜ小川洋子さんの文章に惹かれるのかを考えながら、噛み締めながら読んだ。
    どの話も甲乙つけ難くて、印象的だった。
    自分がこの場にいたら、どんな...続きを読む
  • 海

    動物のドキュメンタリーを見なければ眠れない「小さな弟」と海風を受けて初めて音が鳴る鳴鱗琴。表題作「海」を含めた短編7編すべてに散りばめられた小川洋子さんらしい美しい文章が胸に残りました。
  • 生きるとは、自分の物語をつくること
    河合さんの本を読むのは2冊目ですが、このおじさん好きだわ。大人が失った、子どものときに持っている力に着目されているところとか、深くお聞きしてみたい。それとか、相手の存在を受けとめる力も見習いたい。
    この方のそういう人間力の根っこに、文学とか人文学的な関心とか経験が大いにあるんだなと実感する。まさに、...続きを読む
  • 人質の朗読会
    さみしさと優しさを携えている。朗読会で披露するものが、例えば最愛の人との出会いのような特別にドラマチックなものではなくて、日常に落ちていた出来事、けれども忘れ難いものであるところがすごく愛しくてよかった。『やまびこビスケット』『コンソメスープの名人』お気に入りです。
  • 博士の愛した数式
    博士と私とルートの特別でいて友愛な関係性を覗ける、そんな一冊だった。
    80分で記憶が戻ってしまう博士に対して、私やルートは哀れみや同情とも違う配慮を見せるが、大人の私よりもルートの方が自然にそして敏感に対応している。博識な博士からはもちろんだが、まだ小さなルートに気づかされることも蔑ろにしてはいけな...続きを読む
  • 密やかな結晶 新装版
    言葉のひとつひとつが美しく、慎ましやかだった。
    小川洋子の文章って本当に砂糖水みたいに甘くて、透明で、ひとたび読んでしまえば、もっと、もっとと読みたくなって止まらなくなる。『密やかな結晶』も、暗くて救いようのない話だけど、ページをめくる手が止まることはなかった。

    ものがどんどん「消滅」していってし...続きを読む
  • 博士の愛した数式
    記憶が80分しか持たない人が身近にいたら、自分じゃ本作の家政婦のように同じことの繰り返しの対応をすることができないと思います。それほどこの家政婦の人は心が広く柔軟な方で、息子のルートもまた賢く優秀な子で博士は非常に幸せな環境にいたと思います。数学と文学とが融和された作品となっており新鮮でおもしろかっ...続きを読む
  • 博士の愛した数式
    そもそも、小説を中学生の朝読書ぶりに読んだけど面白かった。友愛数はハグしてるとか、双子の数のやつをお揃いの服きて手繋いでるとか、病院で博士泣いちゃうとことか、君が料理を作ってるのを見るのが好きなんだ とか……すごすぎる。綺麗な文だなと思ってそこの行だけ何回も読み直すシーンがいっぱいあった。面白かった...続きを読む
  • 密やかな結晶 新装版
    消滅のある島での出来事。
    小川洋子ワールドという感じ、設定に入り込めないとぜんぜん意味がわからないと思う。静かな世界観。
    どう終わるのかと思ったら体の消滅から、目、最後に声。そして自分が消えて、R氏が解き放たれる。

    言葉の美しさとか、心の静かな炎を感じるよね、小川洋子の小説は。
    ここで好きな綺麗な...続きを読む
  • 最果てアーケード
    とあるアーケードを軸にした短編集。それぞれの話が絡み合って短編集全体として一つの作品となっている。何かをテーマにした短編集は小川洋子さんのよくあるパターンだが、それぞれの話が関連し合うというのは意外と珍しいかも。こういう個別の話はそれぞれで完結するものの全体として大きな話が流れてる、というのは連続も...続きを読む
  • ブラフマンの埋葬
    タイトルからも、どこかでこの愛すべきブラフマンとの別れがあるのか、と推測しながら、その美しい自然に囲まれた世界の中での、ブラフマンとの愛おしい生活を、爽やかな文体と共にドキドキしながら味わった。
  • 完璧な病室
    目に見えないものを見て
    外から見えようがない物を抱えて生きていく
    抱きしめられて、包まれないと慰められないのかしら
  • 沈黙博物館
    形見を収蔵する博物館で、それぞれの人生を象徴するものの文脈を紡ぐ物語。事件の犯人が誰なのか、途中の展開の仕方が絶妙でスリリングだった