小川洋子のレビュー一覧

  • 口笛の上手な白雪姫

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    8作の短篇集。小川先生は短篇の名手ですね。
    ここの8作はそのどれもが、自分の世界を偏愛する孤独な主人公たちだ。表題作も好きだけど、「亡き王女のための刺繍」「仮名の作家」がお気に入り。「仮名の作家」は怖いなぁ。

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    2023年01月16日
  • 約束された移動

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    「約束された移動」「ダイアナとバーバラ」「元迷子係の黒目」「寄生」「黒子羊はどこへ」「巨人の接待」“移動する”物語、六篇。

    ここに収められている作品に登場する老人たちの、穏やかな立ち居振る舞い、言葉づかい、仕事ぶり、そして、熱帯魚、子羊、小鳥、子供たちとのふれあい、そのどれもすべてが美しい。
    それらは、人目につかず、ひっそりとした佇まいなのだけれど、普通と違ってどこかずれてしまっている、その哀しさがまた美しいと思える。
    一旦この物語に足を踏み入れてしまうと、読み終わるのがもったいないとさえ思ってしまう。

    濃密で不思議な魅力のある、独特な世界。

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    2023年01月15日
  • 凍りついた香り

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    ネタバレ

    結局夫がなぜ死んだのか明確な答えは記されずに終わるの、ふつうだったらそこにめっちゃモヤモヤしちゃうだけなんだけど、何故かすんなり受け入れられた。とにかくずっと漂う閉鎖的な雰囲気が大好きでラストもこれ以上はないなって思う

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    2023年01月08日
  • 約束された移動

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    ため息出る。。

    「約束された移動」は、大きな人生のうねりだけではなく。
    不特定多数のうちのたったひとり、
    自分だけに差し出される手によって(しかしそれさえも錯覚なのだけど)
    あらゆる移動は約束され、人々は自分の還る場所に還ってゆける。

    喪ったものを少しの間だけ愛でて、そっと閉じて、また還る。今は無くても、愛でていた事実について、あなたと私が証人になる。
    『薬指の標本』でも思ったけどそんな描き方をしているかんじがする

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    2022年12月29日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    小川洋子さんといえばアンネの日記。
    時代背景も踏まえて日記の記述を紐解きながら、アンネ・フランクという一人の才能ある少女が生きた軌跡を丁寧に追う作品。
    久しぶりにアンネの日記の文章に触れたけど、大人になってから読むと確かに印象が違うなあと感じたので改めて読み返したくなったし、ホロコースト文学にも興味を抱いた。
    当時の時代背景についても平易なことばで簡潔に分かりやすく説明されており、小川洋子さんのさすがの文章力を感じる。
    これ、NHKの番組として放送されてたということ?観たかった………!!

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    2022年12月18日
  • 約束された移動

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    小川ワールド全開。
    不思議で残酷で懐かしくて愛おしくて切なくて。
    絵本を読んでいるような小説。
    素晴らしすぎです。

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    2022年11月07日
  • まぶた

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    「飛行機で眠るのは難しい」を初めて読んだのは高校の授業。教科書に載っていた。
    静かな雰囲気、淡々と描かれる死、生々しい人間の見栄、人生、さみしいような、切ないような、
    ずっと忘れられなくて、本を買った。

    この話が小説の中で一番好きな私のたからもの。

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    2022年10月30日
  • 琥珀のまたたき

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    埃被っていて薄暗くて好きな世界観。御伽噺ってやっぱりどこか怖いよなと思った。飛蚊症からここまで世界を創ることができるなんて素敵すぎる。

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    2022年09月21日
  • 沈黙博物館

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    スリルのある小説です。見事に感情がぶつかり合い、不思議なパズルを完成させます。主人公が戸惑い、躓いたりして沈黙と戦います。謎めいた小説の好きな方におすすめです。何か返事があるかもしれません。

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    2022年08月31日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    丸い部屋で眠るのって、どんな気分なのかしら。 きっと深い安らぎに包まれて、小さな心配事なんて全部消え去ってゆくんでしょうね。
    だって丸い部屋で眠る時の自分は、円の直径になるのよ。

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    2022年05月30日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    生まれた時から、言葉が当たり前にある環境だから、言葉ですべての物事を定義してしまうこと自体の意味や、不可解さについて考えたことなかったな
    言葉遣いなど、言葉に達者な人でありたいなあとは思っていたけれど、そのマイナス面についてもあるのね、やっぱり物事って全て両面性がある。。当たり前って危険ね

    普段よく人間で(笑)話題になる恋愛、結婚、親子関係その他、人間も動物の一種と考えるとなんだか単純化された

    今は特に戦争について考えさせられることが多いから、争いのテーマの部分も納得しながら読みました

    共存、想像力は私にとって永遠のテーマ!

    戦争が存在する理由:言葉 死者 共感性 (トーテム 農耕社会

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    2022年03月14日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    ・ハンカチは持ったかい
    ・本の模様替え
    ・散歩ばかりしている
    ・がんばれ、がんばれ
    ・オクナイサマが手伝ってくれる
    ・機嫌よく黙る
    ・自らの気配を消す
    ・夕食におよばれしてみたい人

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    2022年02月12日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    タイトルや表紙からは、ゴリラの生態やコミュニケーションに関する本のように見えるかもしれないが、それに留まるものではない。

    言葉を使わないコミュニケーションを実践してきた山極氏。言葉で表せないものを言葉で伝えるという難題に常に取り組む小川氏。霊長類学者と小説家が、言葉という接点を通じて、人類の来し方行く末を考える対談である。

    人間はどういうわけで自然界から逸脱してきたのか。特に、人間が言葉を得たことの功罪について考えさせられる。

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    2022年01月10日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    彫刻や博物館の展示品や声など、普段あまり注目されなそうなモチーフへの深い洞察や想像力に圧倒される。赤ちゃんや子供の描写が特に好き。
    人とあまり関わらずにひっそり暮らしていても、生き物やモチーフに対する敬意で瑞々しく生きている。

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    2021年12月26日
  • まぶた

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    不思議な空間。良かった。
    堀江敏幸さんの解説が完璧なので、ほかに書くことがない。

    どれも印象的だけど、『まぶた』『お料理教室』が特に。

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    2021年11月20日
  • 博士の本棚

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    日常的なことや些細なことでも、深く考えると、そこから面白いこと、新しい発見を見出せるということを、この本は教えてくれました。

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    2021年11月13日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    非常に面白かった。
    ゴリラや他の霊長類との比較でヒトを知る、と要約してしまうとつまらないのだが、いろいろ考えさせられながら、ユーモアもありつつ叙情的な対談。

    言葉というのは、長い進化の歴史の中ではまだ新しいからどこか安っぽいんだとか

    樹上生活の哺乳類がコウモリとサルに分かれ、飛ぶ方を選ばなかったサルは、鳥になりたかったという思いがあり、同じ祖先から分かれた我々は、その思いを受け継いで、今も飛ぶことに憧れるのではないかとか

    家族、社会、性、様々なことについて。
    お二人の語り口も実にいい。

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    2021年11月10日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    エッセイとは知らずに手に取った。
    とても、とても素敵だった。小説もすごく好きだけど、小川洋子さんのあたたかな人柄がにじみ出た本当に素敵な1冊でした。
    なんだか知らずに抱えていたやるせなさとかかなしみとか、いろんな思いをふっと軽くしてくれるような、そんな本だった。素直に心の奥まで染み込んだ。今の私に絶対に必要だった気がする。出会えてよかったなぁとしみじみ。

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    2021年10月12日
  • 余白の愛

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    ネタバレ

    「わたしの耳のために、あなたの指を貸してもらえませんか」
    耳を病んだわたしの前にある日現れた速記者Y。その特別な指に惹かれ、わたしは歩み出す。入院中の病室で夫との離婚が成立した。最後まで優しかった夫がわたしに残したのは、耳の治療に十分なお金と甥のヒロだった。ある座談会をきっかけにYとの交流は深まり……
    十三歳の少年、マロニエ越しに見えるホテル、ヴァイオリンの耳鳴り、博物館の補聴器。

    不思議な作品だった。結末を読んで、題名の意味を考えた。「余白の愛」。余白とは、Yが速記した紙の余白ということだろうか。それとも、Yの指を包み込んで眠ったあとの空間だろうか。何を比喩しているのか分からないけど、確か

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    2021年09月30日
  • 博士の本棚

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    「博士の本棚」エッセー
    小川洋子さんはエッセーもおもしろい。
    短編集なので、ちょっと空いた時間にサラッと読める。

    「博士の愛した数式」を執筆するエピソード(ちょっとだけ抜粋)
    「完全数を背負う投手」
    『28は完全数。この一行を眺めてひらめいた。江夏の背番号じゃないか、と。ここから江夏豊を愛する数学者を主人公にした小説がスタートした。(中略)28が持つ永遠の完全さに比べ、人間とは何とはかなく、不完全な存在であろうか』といった具合に...。
    「読書は楽しい」

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    2021年07月10日