小川洋子のレビュー一覧

  • 完璧な病室

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    終始、肉体も心もともに、グロテスクで、生々しくて、不穏で、でも静謐で、美しくて。
    筋肉、指先、感情。
    何かの始まりさえ、生々しい感情のさざなみに溶け込ませてしまう。
    なんだかんだ優しく、時に残酷に、主人公たちの、何かが欠如してしまって、死を、喪失を、心にぽっかり空いた穴を埋めていく。
    あとがきまで、これら四つの短編と同じくらい生々しくて不穏ででも最後には光がさして。
    静謐が身体を、読者である私の身体を貫いて、一塊が胸の中に残り、一塊は風になって消えていくような。そんな読後感でした。
    なんだろう、この満足感は。それでいて、もっと小川さんの小説に浸っていたいと抱きしめたくなる感情は。
    表題作の「完

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    2023年06月08日
  • からだの美

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    何気ない仕草、表情など。作家の手にかかると何故かくも魅力的になるのか。からだの美を描く珠玉のエッセイ。

    文藝春秋に連載されていたエッセイ。外野手の肩に始まり赤ん坊の握りこぶしまで。作家の方の目の付け所と筆力は素晴らしい。名文を補足する写真も良い。

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    2023年06月05日
  • 最果てアーケード

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    生と死の間にある小さな物語たちが、小川洋子さんにしか描けない優しく穏やかで静謐な、しかしときに冷たく曖昧な描写で淡々と紡がれていきます。
    途中途中で感じられる違和感も、最終章で納得が行く形となりますが、まだまだ私が未熟なこともあって全てを理解しきれてはいないような気がします。とはいえ、全てを語らないのも小川洋子さんワールドという感じがして、なんとも魅力的でした。
    きっと遠くない未来にまた何度も読み返すであろう特別な一冊に出逢えました。

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    2023年06月03日
  • 完璧な病室

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    デビュー作の「揚羽蝶が壊れる時」を含む、初期の四作品を収録。

    「揚羽蝶が壊れる時」の中で、「正常と異常、真実と幻想の境界線なんてあやふやで、誰にも決定できないもの」という文章に、小川作品の原点を見たような気がします。
    ものすごく優しい視点で描かれた、グロテスクさと美しさの混じり合った独特な世界を堪能することができました。

    四編とも死や喪失感を思わせるような作品なのですが、表題作の「完璧な病室」が特に良かったです。
    21歳で亡くなった弟の記憶、安らかな病室、張り詰めた空気。
    「完璧」という言葉がとてつもなく哀しく聞こえます。
    銀杏の黄色から雪の白へと移ろいゆく季節の中で、息もつけないくらいに

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    2023年05月21日
  • 余白の愛

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    本を開くとたくさんの文字の音がするように感じた〜 しかも、心地よい音が〜
    小川洋子さんの作品はいつも違う世界につれていってくれるので大好き!

    ぜひ〜

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    2023年04月27日
  • 博士の愛した数式

    購入済み

    良い本に出会いました。
    日向坂46の小坂菜緒さんが推していたので読んでみたのですが感動しました
    スラスラと読みやすく、情景が頭をよぎります。
    昭和生まれの私にはどこか懐かしさを感じる部分もありました。

    #感動する

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    2023年04月24日
  • 余白の愛

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    静かな、しずかな、愛の物語。
    私の中でYは永遠に生き続けるんだろうな。
    指や耳、意識しないと分からないけど、美しく繊細な器官を人間は持っているんだなぁと余韻に浸れた。

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    2023年03月15日
  • 完璧な病室

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    ネタバレ

    小川洋子を前にするとどんな自分の文章も気に入らなくて何も書けなくなるな。
    読むことができてよかった。新装版を出してくれて本当にありがとうございました……。

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    2023年02月26日
  • 最果てアーケード

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    良かったです。
    小川洋子さんの作品で今まで読んだ中では「ことり」が1番好きですが、同じ位大切にしたい本になりました。
    いつも独特な世界観で中々感想を書くのが難しいのですが、この作品は読みやすく主人公の気持ちに触れ合えるような気持ちになれました。
    変わらず不思議な世界です。

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    2023年02月25日
  • 凍りついた香り

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    調香師の卵であった恋人の弘之が、“記憶の泉”と名付けられた香水を残して突然亡くなる。
    一緒に暮らしていたフリーライターの涼子は、どうしても彼の自殺の理由が知りたくて、幻影を追い求めるように彼の過去を辿っていく。

    淡々として美しく、上品な雰囲気で、外国の映画を観ているようだった。
    スケート、数学、物事を分類する能力など、静かな物語の中に隠された彼の秘密を知るたびにどきどきしてしまう。

    プラハでの不思議な体験はまるでファンタジーのようで、街の風景が頭の中で映像のように映し出され、いつまでも浸っていたくなった。

    優しいため息をついてしまいたくなるような、みごとな結末だった。

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    2023年02月23日
  • まぶた

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    どこにでもあるふと立ち止まることのない人たちの瞼の裏にしかないような強烈な景色が、日常や普遍的な平凡さとミルフィーユみたいに重なって、なんともいえない感動を覚える。
    「リンデンバウム通りの双子」は静けさで溢れていて、強い言葉も表現もないのに、まぶたの裏に焼きつきそうな衝撃と強さがあった。
    著書を翻訳してくれている人であるにせよ、それだけだった人。でもその双子には、瞼を閉じるたびにきっと浮かぶ苦しみや地獄があって、平坦で本当はきっと1日1日が長い日々があって、戻らない幼い日々があって。
    美味しいスープの香り、病院に差し込むあたたかい日、可愛い妹とのいたずら、父が大事にした顕微鏡。。。
    まばたきす

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    2023年02月19日
  • アンネ・フランクの記憶

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    史実を読むだけでも胸が詰まるような悲惨な出来事ではあるが、それを小川洋子という一人の人間の感性を通してみると、アンネ・フランクという1人の少女の生活や当時の息の詰まる雰囲気がまざまざと感じられて最後は涙無しには読めなかった。

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    2023年02月10日
  • 琥珀のまたたき

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    小川洋子さんの小説を読むのは、「薬指の標本」「猫を抱いて象と泳ぐ」「妊娠カレンダー」に引き続き、四作目です。

     見栄えのするスイーツを食べたことがあるでしょうか。全く違った要素を組み合わせてみたり、バーナーで表面を焙ってキャラメリゼしてみたり。中には、綿菓子を盛った上にソースをかけて溶かすようなものも、世の中にはあるそうです。
     本作『琥珀のまたたき』では、そんな全く違った側面を組み合わせた、“一味違う物語”が楽しめます。シリアスとファンタジー、ポップとダーク、光と影が織りなす、「美しくてキラキラしているのに、ちょっと油断をしたら怪我をするオモチャ」のような味わい。

     夫と別れたママ。彼女

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    2023年02月06日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    8作の短篇集。小川先生は短篇の名手ですね。
    ここの8作はそのどれもが、自分の世界を偏愛する孤独な主人公たちだ。表題作も好きだけど、「亡き王女のための刺繍」「仮名の作家」がお気に入り。「仮名の作家」は怖いなぁ。

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    2023年01月16日
  • 約束された移動

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    「約束された移動」「ダイアナとバーバラ」「元迷子係の黒目」「寄生」「黒子羊はどこへ」「巨人の接待」“移動する”物語、六篇。

    ここに収められている作品に登場する老人たちの、穏やかな立ち居振る舞い、言葉づかい、仕事ぶり、そして、熱帯魚、子羊、小鳥、子供たちとのふれあい、そのどれもすべてが美しい。
    それらは、人目につかず、ひっそりとした佇まいなのだけれど、普通と違ってどこかずれてしまっている、その哀しさがまた美しいと思える。
    一旦この物語に足を踏み入れてしまうと、読み終わるのがもったいないとさえ思ってしまう。

    濃密で不思議な魅力のある、独特な世界。

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    2023年01月15日
  • 掌に眠る舞台

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    舞台×小川洋子×ヒグチユウコ。よりによって私の大好きな芸術3種の恐るべき盛り合わせに、私のために作ってくださったのですか?!と問いたくなる短編小説。どの短編にも舞台が必ず登場するのだが、趣がそれぞれ異なるだけでなく、小川洋子さんが書くとこうなるのか!という驚きに満ちた珠玉の8編…(まだ余韻が)。虚構と現実が同時に確かに存在し、共鳴しあい、たとえ終わりが来ようとも心に宿り続ける尊い灯火(ともしび)。それが私をあたため、寄り添い、明日を照らす。死と生の循環。舞台の魅力がこの1冊に詰まってる。

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    2023年01月09日
  • 凍りついた香り

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    ネタバレ

    結局夫がなぜ死んだのか明確な答えは記されずに終わるの、ふつうだったらそこにめっちゃモヤモヤしちゃうだけなんだけど、何故かすんなり受け入れられた。とにかくずっと漂う閉鎖的な雰囲気が大好きでラストもこれ以上はないなって思う

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    2023年01月08日
  • 約束された移動

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    ため息出る。。

    「約束された移動」は、大きな人生のうねりだけではなく。
    不特定多数のうちのたったひとり、
    自分だけに差し出される手によって(しかしそれさえも錯覚なのだけど)
    あらゆる移動は約束され、人々は自分の還る場所に還ってゆける。

    喪ったものを少しの間だけ愛でて、そっと閉じて、また還る。今は無くても、愛でていた事実について、あなたと私が証人になる。
    『薬指の標本』でも思ったけどそんな描き方をしているかんじがする

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    2022年12月29日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    小川洋子さんといえばアンネの日記。
    時代背景も踏まえて日記の記述を紐解きながら、アンネ・フランクという一人の才能ある少女が生きた軌跡を丁寧に追う作品。
    久しぶりにアンネの日記の文章に触れたけど、大人になってから読むと確かに印象が違うなあと感じたので改めて読み返したくなったし、ホロコースト文学にも興味を抱いた。
    当時の時代背景についても平易なことばで簡潔に分かりやすく説明されており、小川洋子さんのさすがの文章力を感じる。
    これ、NHKの番組として放送されてたということ?観たかった………!!

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    2022年12月18日
  • 約束された移動

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    小川ワールド全開。
    不思議で残酷で懐かしくて愛おしくて切なくて。
    絵本を読んでいるような小説。
    素晴らしすぎです。

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    2022年11月07日