小川洋子のレビュー一覧
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ネタバレ「ちびた鉛筆でメモを書いて、身体に貼っている時の博士を見ると、僕はいつも泣きたくなるんだ」
受け入れ難いハンデを抱えながら懸命に生きている様はとても強く見えるけど、やっぱり辛い。強さと切なさが両立している。その中で博士の謙虚さと、愛がすごく尊い。記憶がもたない博士にとっては、数学が博士と人とを繋ぐ道具にもなっていた、だからこそ博士は数式を愛していた。でもそれは博士が元々「人」「子供」を無条件に愛していたということが前提になる。記憶が無くなってからも、同様にルートを愛していたように、だからこそ博士の偉大さが分かる。博士、ルート、「私」みんなの優しさに心温まる作品だった。 -
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小説は『博士の~』しか読んだことがないが、4年前のエッセイ『遠慮深いうたた寝』がとてもよかったので続編にも大いに期待していた。思ったとおり心に染み入る内容だった。小さなことを丁寧に言葉ですくいあげるような。いろんな作家さんのエッセイを読んできたけれど、どんな風に本と向き合ってきたかということを語るときが特にそれぞれの著者の内面が立ち上がってくるように感じる。
p176(引用)本は決して、読み手を否定しない。どんな読み方をされても、黙って受け止める。移り変わっていく読み手に、辛抱強くより添ってくれる。そういう本が、私にとっても名著だ。(引用終わり) -
Posted by ブクログ
この本は、「愛」について教えてくれました。
兄は、何かしら診断が下りる症状(自閉症など)を抱えています。
私は弟がその特徴を自然に受け入れて、生活に大きな不都合を感じずに共に生活していることに驚き、心を打たれました。
(弟はある程度の不都合や不満を感じることがありましたが、受容します。)
これが「愛」なのかな、と思いました。
他の本で読んだ受け売りになりますが、
私にとって「愛」とは、
「その人を、あるがままに受け入れて大切にすること。」
だと思います。
弟は、まさにそれを体現しているなと思いました。
兄は自分の特性上、仕事をすることが難しく、家事をすることも難しい。
鳥の言葉以外を話せないから、他者とコミュニケーションをとることも難しい。
自宅と保育園の鳥小屋を往復するだけの生活しか出来ない。
そんな兄の特性をごく自然に受け入れて、兄を大切にした弟。
二人の関係性と人生が静かに流れていく描写が、優しく心に残りました。
世の中には色々な特性を持つ人がいますが、
「あるがままに受け入れて大切にする」ことを
誰もが(私も)出来たら、もっと優しい世界になるのになぁ、と思いました。
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Posted by ブクログ
その島で起こる「消滅」とは人々から物の記憶が消えること。消滅が起こると人々は消えたモノを粛々と処分し、それについての記憶をなくしていきます。
中には記憶を持ったままの人もいますが、そういう人たちは記憶狩りの対象に。秘密警察に見つかったら彼らは連れ去られてしまうのです。
カレンダーが消えて春が来なくなり雪が降り続く。多くの島民と同じように、消滅を受け入れながら暮らす小説家の「わたし」は、古くからの付き合いのおじいさんと共に、記憶が消えない男をかくまっています。
途中に挟み込まれる、主人公の書いた小説も、だんだん趣きが変わってきてゾクッとします。
周りのモノが一つずつ消えていき…終盤には消えっぷりが加速!もう脱力のラスト。
やっぱり小川洋子さんの雰囲気ですね、静かで綺麗で、ものすごく不穏。