小川洋子のレビュー一覧

  • サイレントシンガー

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    「内気な人たちの会」を称する男の人ばかりの共同生活の場、「アカシアの野辺」で育った女の子リリカの話。リリカは歌を歌う。名もない、後世にも残らない、誰もリリカぎ歌ったとは気づかない空気に溶けていく歌を歌う。おばあさんと、介護人と、羊の毛刈り係と、歌の先生と、羊と人形たちと、料金係さんとリリカの、静謐を旨とする生活の物語。

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    2025年12月25日
  • ミーナの行進

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    ネタバレ

    小川洋子さんらしさはあるのだけど、今までに読んだ作品とは少し雰囲気が違う印象。ほかの作品で共通して感じるのは、薄暗くてどことなく埃っぽい空気感。『ミーナの行進』はもっと明るい陽だまりのなか、物語が展開していくようなイメージだった。

    日本とドイツ、歳の近い2人の従姉妹(ミーナと朋子)、広くて豪華な芦屋の洋館。少女たちが一緒に暮らしたのはほんの1年にすぎないが、2人にとって忘れることのできない思い出になる。華やかな容姿を持つがなぜか家に帰ってこない伯父さん、一人でじっと何かに耐えるようにウィスキーと煙草を燻らせる伯母さん。双子の妹と家族を哀しい理由(ナチスの迫害)で亡くした過去をもつローザおばあ

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    2025年12月18日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    知人のおすすめで手に取った、小川洋子さんと河合隼雄さんの対談本『生きるとは、自分の物語をつくること』。

    この本はまさに、私の「読み、聴く」という営みが深く意味づけられる内容でした。

    対談されているお二人は、小説家と臨床心理学者であり、「物語をつくる」という共通点をお持ちです。

    臨床心理では、人々が自分の物語をつくるのを手助けする。
    小説家は、意識的に物語を生み出し、それを読んで人が救われる。

    「もしや私がやっていることは、本を読むことで、物語を豊富にストックし、他者の物語化の材料として差し出すことではないか」と自らの行いに輪郭をもらえた心持ちです

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    2025年12月17日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    物語は既にそこにある。
    小川洋子さんにかけられる「なぜ小説を書くのか」という問いは、私が人に「なぜ山に登るのか」と問われる時と似ているものかあった。「なぜ登るのか」と聞かれるのは「なぜ生きるのか」と問われるのに等しい。説明できないからこそ、自分は山に登っている……。なんて、私における山の存在って、小川洋子さんにとっての小説くらい、知らぬ間にこんなに大きくなっていたのか、と驚いた。

    河合隼雄さんのトークセンスが光に光っていており、一気に大好きになった。今まで存じ上げなかったことがもったいないくらいに素敵な方。谷川俊太郎さんとバカ飲みしたエピソードだけでも面白かったのにその勢いは留まることを知ら

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    2025年12月17日
  • 耳に棲むもの

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    小川洋子さん大好きですが、読むのは久しぶり。
    静謐でフェティッシュな世界観が全開で、小川洋子さんだ!って感じの本だった。
    小川さんの「音」に対して持ってる感覚が好きなので、個人的にかなり満足度が高い。

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    2025年12月09日
  • 人質の朗読会

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    ネタバレ

    命は尊いものであり、生きていると色んなこと起こってくるけど、感動を大切にしたいと、この本を通して感じた。

    やまびこビスケットの大家さん
    整理整頓は自己防衛の最良の武器である。意地悪なばあちゃんってイメージが強いけど、これはその通りなのかも。大家さんと動物園に行くほど仲良いって、すごい展開
    亡くなる最後まで、整理整頓を心掛けてた。守り抜いた、人間味のある内容でもあり、深かった。

    B談話室
    公民館の部屋、談話室。いろんなことに使われてる。
    受付の女性に無理やりな感じで参加することなった。行き当たりばったりで話してるのがすごい。
    最後、おじさん40年もやって、女性なんていない、あの女性はなんだっ

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    2025年12月09日
  • 耳に棲むもの

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    「閉じ込められ、誰からも見捨てられ、忘れ去られたものを救い出すのと、閉じこもっていたいものに、それが求める小さな空洞を与えてやるのは、私にとって同じことです。」

    幻想的な一方、人間の生々しさ描かれており、独特の読後感がある。
    この作品の感想や解釈をもっと言葉にできるようになりたい。

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    2026年03月12日
  • 人質の朗読会

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    ネタバレ

    戦争やテロ、災害などでたくさんの人が亡くなる悲しい出来事が起きたとき、私たちはつい、その出来事の大きさを「量」で測ろうとしてしまう。十万人が亡くなった、数百万人が被害にあった――そんな数字のインパクトで、悲劇の大きさを捉えようとしてしまう。

    『人質の朗読会』は、冒頭で「テロによって人質に取られていた8名は全員亡くなった」と告げられるところから始まる。彼らの死後に発見された、朗読会の様子を収めた記録テープがラジオで放送されることになり……という導入で、読者は最初から「登場人物のいく末」を知らされたまま、物語を読み進めていくことになる。

    そこで強く感じるのは、「彼らは確かに生きていた」という、

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    2025年12月07日
  • 妊娠カレンダー

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    小川洋子さんの「博士の愛した数式」をあまり好きになれず、そこから疎遠になっていたけれども、これはとても良い!好き!妊娠カレンダー、姉に赤ちゃんができ、その母体の変化に翻弄される妹。悪阻という形で姉を捉えた赤ちゃん、でもその母体の変化ばかりでどこに赤ちゃんがいるのか不明、という妹から見た妊娠の不気味さ不思議さ。超おもしろすぎたー!あと新人っぽい、世の中に、は?を突きつけてやる!という気鋭さがある。

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    2025年12月07日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    アンネを慕い想い憧れている小川洋子さんが素敵。
    アンネが生還していてくれていたらと、私も本気で思いました。本当に悔やまれます。

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    2025年12月05日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    “静かな革命”みたいな言葉が似合う小説だなと思った。主人公の少年は自分の大切なものと平穏を守るために、残酷な現実と向き合い、時には対峙し、時には逃げ出す。その現実の残酷さにすら気がついていない時もあり、意味がわからないまま大人の世界に翻弄されてしまうけれど、実際生きていてもそんなことは起こりうる。少年の優しさと信念は、自分を変化させながら、時には変化しないことを目標にしながら、ゆるやかに人生を包み込んでいく。小川洋子さん初読みだけど、すっごいわ。

    とにかく序盤から話がどう転がっていくか全く予想できない。先に背表紙を見ていたからチェスの話と知っていて読んだけれど、少年とチェスとの出会いの前にも

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    2025年12月02日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    10代の少女の文章から伝わる、生活とそのときの空気。
    文学の力。
    読み返すほどに深まる、戦争というものの恐ろしさと、どんな困難な最中にあっても文学や学びを求める気持ちや、人が人を守ろうとする姿。

    人の尊厳や、尊厳を守るということについて深く考えさせられる一冊でした。

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    2025年11月28日
  • 妊娠カレンダー

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    私は妊娠をしてみたいと思うことがある。
    読みながら、白と緑しか思い浮かばなかった。

    解説に完全自殺マニュアルのこと書いてた。あれそんな昔からあるんか

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    2026年02月10日
  • 薬指の標本

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    静かで冷たい「標本室」という職場で、少しずつ引き返せない恋に溺れていく一人の女性の物語。
    ここでの「標本」が何を意味するのか、姿を見せなくなった少女は、前任の女性たちは、何処へいってしまったのか。はっきりとしたことが書かれていないからこそ、美しく密やかな世界観が楽しめた。
    「彼に封じ込められていたいんです。」という帯にもなっている主人公の言葉が読後も心に残り続ける。

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    2025年11月25日
  • 完璧な病室

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    博士の愛した数式が良かったから他の読も〜と思って、小川洋子が好きという人からおすすめされて読んだ。短編です。けど、4つあるうちの3つは苦手だった。(冷めない紅茶は良かったよ)
    はっきり言うと胸くそ系だと思う。でも、主人公の心の中で思っていることや自分が嫌悪する世界を見る視線の残酷さ、悲しいことに、認めたくないんだけど、それはどこかで知っている気がする。それを言語化して突きつけられると、だとして何?って言いたくなってしまう。自分の中に心当たりがあるが故にこうやって怒りのような気持ちが湧いてくるんだと思う。不快感、というか不愉快感?
    はぁ〜、まじでここまで変態性を描かれてしまうと暗い気持ちになるよ

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    2025年11月13日
  • ミーナの行進

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    小川洋子さん特有の、品のある美しい表現と、淡々と描かれる情景の中にある優しさや温かさが、沁みました。
    私は、小川洋子さんの、冷たくて少し怖いくらいの描写や物語が好きだったし、その毛色の小説しか読んでなく、どことなく末恐ろしい結末を予想していたので、それが覆されて嬉しい発見だった。

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    2025年11月09日
  • 遠慮深いうたた寝

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    私たちに近い日常も、小川さんの目を通すと全く違う世界が広がり、偶然居合わせた一瞬にさえ光を見出す。その眼差しが見つめる先から新たな物語が始まるのだとわくわくが止まらない。
    まるで短編集のような珠玉のエッセイ。

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    2025年10月28日
  • ミーナの行進

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    『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』『ブラフマンの埋葬』を過去に読んだことあり。ブラフマンがかなり純文系で、以降あまり手に取らず。久々に手に取った。

    いい本だった。やはり作家の書く文章に限る。半端な訳者の文とは読みやすさが違う。

    西の魔女よろしく、田舎での素敵な思い出が綴られた形式の作品。日常のちょっとした所作や会話に光を当てて、美しさを感じさせる文章だった。

    ちょっと自分でもやってみる。


    好きな季節というものが決まっていなかったのだが、今年で明確に「秋」になった。

    仕事から逃げるように、金曜日の午前中に、メトロにのって江戸川の汽水域に。太陽光をキラキラと跳ね返す川面を眺めな

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    2025年10月26日
  • 薬指の標本

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    封じ込めること、分離すること、完結させることが、ここの標本の意義だからです。
    繰り返し思い出し、懐かしむための品物を持ってくる人はいないんです」

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    2025年10月18日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    好きな本。とにかく、装丁から世界観がとってもよい。どこを読んでも小川洋子さんの世界。当たり前なんだけれど、言葉の紡ぎ方と展開にハッとさせられながら、とても安心する。

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    2025年10月16日