小川洋子のレビュー一覧

  • 完璧な病室
    小川洋子を前にするとどんな自分の文章も気に入らなくて何も書けなくなるな。
    読むことができてよかった。新装版を出してくれて本当にありがとうございました……。
  • 最果てアーケード
    良かったです。
    小川洋子さんの作品で今まで読んだ中では「ことり」が1番好きですが、同じ位大切にしたい本になりました。
    いつも独特な世界観で中々感想を書くのが難しいのですが、この作品は読みやすく主人公の気持ちに触れ合えるような気持ちになれました。
    変わらず不思議な世界です。
  • 凍りついた香り
    調香師の卵であった恋人の弘之が、“記憶の泉”と名付けられた香水を残して突然亡くなる。
    一緒に暮らしていたフリーライターの涼子は、どうしても彼の自殺の理由が知りたくて、幻影を追い求めるように彼の過去を辿っていく。

    淡々として美しく、上品な雰囲気で、外国の映画を観ているようだった。
    スケート、数学、物...続きを読む
  • まぶた
    どこにでもあるふと立ち止まることのない人たちの瞼の裏にしかないような強烈な景色が、日常や普遍的な平凡さとミルフィーユみたいに重なって、なんともいえない感動を覚える。
    「リンデンバウム通りの双子」は静けさで溢れていて、強い言葉も表現もないのに、まぶたの裏に焼きつきそうな衝撃と強さがあった。
    著書を翻訳...続きを読む
  • 海

    短編5つ掌編2つ、184頁。この長さ、気負わず楽しめた。

    2006年単行本発行。もう少しで20年経つというのに古さがない。スマホはなくても違和感皆無の小川ワールド。

    一人ホテルステイのために数冊持参した中でホテルのカフェエリアで読むのに最適な一冊でした。ゆるゆるとした思考の波に漂いながら読み終え...続きを読む
  • アンネ・フランクの記憶
    史実を読むだけでも胸が詰まるような悲惨な出来事ではあるが、それを小川洋子という一人の人間の感性を通してみると、アンネ・フランクという1人の少女の生活や当時の息の詰まる雰囲気がまざまざと感じられて最後は涙無しには読めなかった。
  • 琥珀のまたたき
    小川洋子さんの小説を読むのは、「薬指の標本」「猫を抱いて象と泳ぐ」「妊娠カレンダー」に引き続き、四作目です。

     見栄えのするスイーツを食べたことがあるでしょうか。全く違った要素を組み合わせてみたり、バーナーで表面を焙ってキャラメリゼしてみたり。中には、綿菓子を盛った上にソースをかけて溶かすようなも...続きを読む
  • 妊娠カレンダー
    不穏な空気を纏いながら物語が進み、現実が非現実かも曖昧な独特の空気感が漂う。今村夏子が多大な影響を受けているのがよくわかった。
  • 口笛の上手な白雪姫
    8作の短篇集。小川先生は短篇の名手ですね。
    ここの8作はそのどれもが、自分の世界を偏愛する孤独な主人公たちだ。表題作も好きだけど、「亡き王女のための刺繍」「仮名の作家」がお気に入り。「仮名の作家」は怖いなぁ。
  • 約束された移動
    「約束された移動」「ダイアナとバーバラ」「元迷子係の黒目」「寄生」「黒子羊はどこへ」「巨人の接待」“移動する”物語、六篇。

    ここに収められている作品に登場する老人たちの、穏やかな立ち居振る舞い、言葉づかい、仕事ぶり、そして、熱帯魚、子羊、小鳥、子供たちとのふれあい、そのどれもすべてが美しい。
    それ...続きを読む
  • 掌に眠る舞台
    舞台×小川洋子×ヒグチユウコ。よりによって私の大好きな芸術3種の恐るべき盛り合わせに、私のために作ってくださったのですか?!と問いたくなる短編小説。どの短編にも舞台が必ず登場するのだが、趣がそれぞれ異なるだけでなく、小川洋子さんが書くとこうなるのか!という驚きに満ちた珠玉の8編…(まだ余韻が)。虚構...続きを読む
  • 凍りついた香り
    結局夫がなぜ死んだのか明確な答えは記されずに終わるの、ふつうだったらそこにめっちゃモヤモヤしちゃうだけなんだけど、何故かすんなり受け入れられた。とにかくずっと漂う閉鎖的な雰囲気が大好きでラストもこれ以上はないなって思う
  • 海

    小川洋子の本って、他にない読み応え
    10年以上積んどった本を手に取ったら引き込まれました。

    どう進んでいくんだろ、という怖さあるけど、ホラーではないし、読む人にゆだねられてるのを感じる
    押し付けられてる感じがしない。
    不思議に心地いい

    ブラフマンの埋葬とともに大切な本になりました。
  • 約束された移動
    ため息出る。。

    「約束された移動」は、大きな人生のうねりだけではなく。
    不特定多数のうちのたったひとり、
    自分だけに差し出される手によって(しかしそれさえも錯覚なのだけど)
    あらゆる移動は約束され、人々は自分の還る場所に還ってゆける。

    喪ったものを少しの間だけ愛でて、そっと閉じて、また還る。今は...続きを読む
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか
    小川洋子さんといえばアンネの日記。
    時代背景も踏まえて日記の記述を紐解きながら、アンネ・フランクという一人の才能ある少女が生きた軌跡を丁寧に追う作品。
    久しぶりにアンネの日記の文章に触れたけど、大人になってから読むと確かに印象が違うなあと感じたので改めて読み返したくなったし、ホロコースト文学にも興味...続きを読む
  • 海

    著者独特の世界観に浸れた。
    あとがきに著者の作品では年の離れた登場人物の交流が描かれることが多いと合ったが、この短編集もそうで、その交流が確かに面白い。
  • 人質の朗読会
    小川さんのを読むと優しさと容赦のなさって共存するんだなと思う。

    花束はこういう話が書きたかったんだと思うほどに大好き
  • 約束された移動
    小川ワールド全開。
    不思議で残酷で懐かしくて愛おしくて切なくて。
    絵本を読んでいるような小説。
    素晴らしすぎです。
  • まぶた
    「飛行機で眠るのは難しい」を初めて読んだのは高校の授業。教科書に載っていた。
    静かな雰囲気、淡々と描かれる死、生々しい人間の見栄、人生、さみしいような、切ないような、
    ずっと忘れられなくて、本を買った。

    この話が小説の中で一番好きな私のたからもの。
  • 掌に眠る舞台
    流石の安定感です。
    どの話も良かったです。
    オペラ座の怪人を、あんなに簡潔に分かりやすく説明するだけで星5つです。