小川洋子のレビュー一覧

  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    ネタバレ

    まだ読み始めて数ページだけど早くも引き込まれている ミイラの女の子の話 それだけでぞっとするような展開にもなりそうなのにそこには静かな時間だけが流れている 少年の唇の話や象のインディラの話だって決して明るくはないのにどこにも悲壮感がなく自然とページを巡りただただ物語の中に吸い込まれていく

    マスターが出てきたところでストーリーが少しずつ核心へと近づいていってて、今までのインディラやミイラが優しく彼を包み込んでる様子が伝わってくる

    あぁそうか
    そうなんだ
    最後まるで予期してなかった終わり方で幕を閉じた

    生と死
    象と猫
    チェスの海を渡る人々の話

    いい本だった
    ゆっくりゆっくり少しずつ余韻に

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    2025年04月12日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    「ああ、これは書きながらさぞかし興奮しただろうな。」と思わされる調った美しい一冊。

    枝葉末節まで拘られた緻密さ/読んでいて夢の海を泳いでいるような雄大さ。静謐で/力強い。嬉しくて/悲しい。希望があって/絶望がある。理性的で/感情的。モノトーンで/カラフル。そのバランスたるや!完璧としか言いようがなかった。

    読み手も大分エネルギーを求められる分、なんだか共創/協奏/競争してるなあと思わされる。旅か漂流か、読んでいてどこか遠くへ連れて行かれる。

    彼らはずっと「そこ」にいるのに。

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    2025年04月13日
  • 妊娠カレンダー

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    風景や物の描写がとんでもなく丁寧。静謐で幻想的な情景を下地にして、嫌悪感と共感が入り混じる人間のグロテスクさが描かれていくのが、心地よい違和感というか、幻想的な世界に浸っているようでとても好きです。

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    2025年04月11日
  • 薬指の標本

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    人の、心の奥から突き動かされる衝動と
    そんなつもりじゃなかったのにのめり込んで一気に読んでしまうパワー

    ずっと脳内に残るワンシーンがあるような

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    2025年04月10日
  • 密やかな結晶 新装版

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    もっと早く出会えたらと思った作品。名作と言われるのも納得。自分にとっての結晶は何か?考えさせられますね。おじいさん、好きです笑。小川先生の作品をもっと読まねば。

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    2025年03月28日
  • ミーナの行進

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    芦屋の洋館で育まれたふたりの少女と家族の物語。
    自叙伝とファンタジーが融合したような不思議な感覚。
    心温まる話の中で伯父さんや伯母さんなど謎めいた人たちが良いアクセントになっている。
    大好きな映画「ドライビング MISS デイジー」を彷彿させる。

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    2025年03月27日
  • ミーナの行進

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    楽しかった日々はもう今はないと思うと哀しく切ないけれど、その反面これからの人生を照らして心の支えにもなる…。
    そんなことをしみじみ思いました。
    小川洋子さんの切ないけど心に染み渡る文章が好きです。

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    2025年03月16日
  • 遠慮深いうたた寝

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    小川洋子の目を通したら、日常はもう少しコミカルでユニークに映るだろうか。うたた寝、というのは内田百聞の短編「件」から来ているらしい。

    慣れない子育てをしながら家事をこなし、忙殺される中だったからこそ、彼女は小説を書かざるを得ない状況だったと言った。読むだけで満足できない、書きたいという創作の衝動は私もそういうものだと思う。ペンを握れば、今ここではない場所へと翔び立てる。本書では小説を書くネタのはじまりも書かれているのだが、物事一つの受け止め方にしろ、なんて感性が豊かさなんだろうと思った。私も、もっと自分の妄想を歓迎したいと思う。

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    2025年03月08日
  • ミーナの行進

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    岡山県で暮らしていた13歳の朋子が、家庭の事情で、芦屋の伯母さん家族の家ですごした1年間の話。

    この小説には「本」や「お話」が度々登場します。私のお気に入りは、ミーナ作「2匹のタツノオトシゴのお話」です。三日月に腰掛ける2匹のタツノオトシゴの話です。

    従妹のミーナと朋子
    ドイツ人のローザおばあさんとお手伝いの米田さん
    性格も育った環境も違う2人が、お互いを認めあい信頼する関係で、そのような相手がいることもうらやましいし、心があたたかくなります。

    朋子が芦屋ですごした1年間は、人生にとってはほんの一部かもしれません。
    でも芦屋で大切にされたこと、ミーナと姉妹のように暮らしたこと、ポチ子をか

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    2025年03月03日
  • 密やかな結晶 新装版

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    次々と何かが消失していく架空の島、という設定に小川先生の美しい文体が合わさってまさに大人ファンタジー。記憶を持った人々が秘密警察に迫害される様はアンネの日記のオマージュらしい。消失を描くことによりこの世に存在する物の美しさが際立つ画期的な小説。

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    2025年03月02日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    チェス指しからくり人形の裏でチェスを指し続けた男のお話

    以下、公式のあらすじ
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    「大きくなること、それは悲劇である」。
    少年は唇を閉じて生まれた。手術で口を開き、唇に脛の皮膚を移植したせいで、唇に産毛が生える。そのコンプレックスから少年は寡黙で孤独であった。少年が好きだったデパートの屋上の象は、成長したため屋上から降りられぬまま生を終える。廃バスの中で猫を抱いて暮らす肥満の男から少年はチェスを習うが、その男は死ぬまでバスから出られなかった。
    成長を恐れた少年は、十一歳の身体のまま成長を止め、チェス台の下に潜み、からくり人形「リトル・アリョーヒン」を操

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    2025年02月25日
  • ミーナの行進

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    幸せと、あたたかさと、切なさで胸いっぱいになりながら本を閉じました。
    13歳の少女が芦屋の洋館で過ごした1年、彼女の見たもの、出会う人、嬉しいできごとや悲しいできごとが終始キラキラとした言葉で綴られています。
    この日々が期間限定であると冒頭で語られているので、読み進めながら、終わってほしくないと心から願いました。
    13歳の言葉では語られない、そこにあったであろう大人の複雑な事情や苦悩を想像すると、とても切なくてやりきれない気持ちになります。でもその大人たちが、彼女やミーナ、そしてポチ子に惜しみない愛を注いでくれたことが、この胸いっぱいの読後感を残してくれたのだと感じます。愛にあふれた1冊です。

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    2025年02月23日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    小川洋子さんの世界へ。
    優しく静謐でありながら、力強さも感じる世界観に、いつも静かに圧倒されている気がします。

    「大きくなることは、悲劇である」
    そう信じる11歳の身体のまま成長を止めた少年。
    少年とマスターがチェスを指す、穏やかで濃密な時間がとても好きでした。
    折に触れ、マスターの『慌てるな、坊や』の優しい声が耳によみがえって響く。

    やがてリトル・アリューヒンとしてからくり人形を操るようになるが、老婆令嬢とのチェスの時間もまた特別で、文字を追いながら、息を潜め見守るような気持ちでした。

    読み終えて、密やかで哀しくもありますが、誇らしく幸せにも感じる。
    自分でもこの感情をうまく言い表せま

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    2025年02月19日
  • 最果てアーケード

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    最初は大人のための童話・おとぎ話を読んでいるような気持ちだったけど、
    だんだん主人公の輪郭がぼやけていくような不穏な感覚が高まっていく。

    外国のようで、昭和の日本のようで
    本当に不思議な世界観。
    不穏さ、奇妙な売り物。
    全部好きです。

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    2025年02月19日
  • 博士の愛した数式

    購入済み

    最高の出会い

    主人公とルートにとって、博士はかけがえのない存在になっていく過程にほのぼのした気持ちにさせられました。毎日、会うたびに博士は二人のことは覚えていなかったけれど、丁寧に接する博士は温かい心の持ち主なんだなあ。ルートはのびのびと成長したことが窺われ、安心しました。博士と出会っていなかったら、別の人生を歩んでいたでしょう。博士に会えて良かったね。

    #切ない #ほのぼの

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    2025年02月18日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    「とにかく散歩いたしましょう」の中で、取材や執筆について書かれていたので。チェスを題材にしたお話で、試合の場面では「3月のライオン」を思い出す。本筋ではないけど人間チェスのシーンが、暗さと残酷さを孕んで、ぞくぞくする美しさ。終わりの儚さがあとを引く。

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    2025年02月05日
  • 約束された移動

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    装丁の美しさ、短編一つひとつの美しさ。
    「寄生」という題の奇跡のお話。何かをし終えたときに「ちゃんと果たせた?」と訊いてくれる人がいて、それに頷けることの幸せ。利他の心と誠実さを持つ人だけが得られる幸せ。そして私には、その物語を読める幸せ。

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    2025年02月05日
  • 掌に眠る舞台

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    舞台の上で、観客席で、誰もが自分自身の孤独と向かい合っている。誰も入ることのできないその場所でしか存在できないものを、ステージ上の輝きに、客席に落ちた暗闇に、見出している。そんな、自分だけの「舞台」との関係性をそっと覗くような短編集でした。

    指紋のついた羽
    縫い子さんと少女の距離が、ラ・シルフィードの浮いた爪先と地面の距離なのかも知れない。その空間は青年のことを拒否したけれど、少女に手紙を届けて、ボビンケースの中の縫い子さんを守っている。得難い断絶となって二人の世界を包んでいる。ちょっとすれ違って、でもちゃんと心を通わせあっている手紙のやり取りが長く続きますようにと祈らずにいられない。

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    2025年02月01日
  • 最果てアーケード

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    不思議なアーケードの片隅で起こる「死」を弔う話。異国の童話のような不思議な世界観だった。「死」を美しく拾い集めた話の数々は、読後に喪失感を感じながらも、どこか心の傷を埋めてくれるような不思議な気持ちになった。ライオンのドアノブの奥の窪みのような場所はどんな人にもあるのだろうか。きっと誰にでもそんな場所はあって、見つけたいような見つけたくないような不思議な場所だと思った。

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    2025年02月01日
  • 沈黙博物館

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    読んでいるうちにだんだんと怖くて不安で後ろも振り向けなくなっていって読むのもやめられない

    文章の力をすごく感じた作品

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    2025年01月30日