小川洋子のレビュー一覧

  • 密やかな結晶 新装版

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    あらゆるものが失われていく世界だからこそ、誰にも触れられない確かなものの重要性、美しさをまざまざと感じるお話だった。

    「消滅」とは姿かたちがそのまま消えていくことだけではなくそれに付随した記憶や思い出まで消えてしまうこと。物質の消滅に伴い主人公たちも徐々に人間味を失っていく様子が印象的だった。
    また、例え形がなくなっても記憶として覚えておけばそこに存在することだってできるのだと主張しているようにも思えた。
    心の奥底の誰にも触れられないところに閉じ込めておく確かな思いが、消滅のしない"密やかな結晶"なのであろう。

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    2025年08月26日
  • 人質の朗読会

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    ひとまとまりのお話だけれど、短編集のような構成。一人ひとりの静かなコアな地味な物語が、心に染み入ります。小川洋子さんの世界観は人であることでしか味わえない心理描写をいつも描いてくれて、それがたまらなく大好きです

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    2025年08月22日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    久しぶりに純文学を読み、静謐な文章に癒された。
    ラストはちょっと中途半端な印象。
    小川洋子は綺麗な文章を書くんだなと思った。
    また静かな気持ちになりたい時に読みたい。

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    2025年08月16日
  • 薬指の標本

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    とても静かで耽美で、それでいて少し不気味だった。
    繊細で丁寧な描写が美しく、少し官能的なものを感じた。
    あの後、どうなってしまうのかが気になって仕方がない。

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    2025年08月15日
  • 人質の朗読会

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    個人的にかなり好きな話です。
    人質たちはみんな悲惨な最後を約束されていますが、その人達がぽつりぽつりと語るのはふとした日常。きっと人の心や物語と呼ばれる物は尊い日常から生まれて、その日々を元に生きてきたのだなと思いました。小川洋子さんの語る「物語」というのはこういうものなのだなと思いました

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    2025年08月14日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    「生きるとは、自分の物語をつくること」
    物語は、既にそこにある。
    なんか、分かりそうな言葉だなと、最近感じる。自分の視野で見えているものは一時的で、その瞬間瞬間に過ぎないけれど、人が生きてるだけで、それは全く瞬間的でない。そこには間違いなく過去があって、歴史があって、今までとの繋がりがあって、多様な偶然が折り合った果てに、今の自分がここにいる。
    何となく毎日を生きてると、すぐに忘れてしまうし、今この感想を書いている間も、自分が「そういった意味」で現実を見れているかと問われると、見たいように認知している部分があるし、確かとは言えないよなと感じる。
    近代化学の発展から、合理的で効率的であること

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    2025年08月12日
  • ミーナの行進

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    ネタバレ

    宝塚の祖母の家には、暖炉や三角天井の屋根裏部屋や網戸にできる裏口や裸足で駆け回れるフカフカ芝生の広い庭があって大好きだった。庭には大きな桃の木と柑橘の木が植えられていて、夏休みに遊びに行くと桃の実には新聞紙を折った袋がかけてあり、柑橘の木にはアゲハの幼虫がいた。
    父と母が離婚して、その家に行くことは許されなくなってしまったので、そんなことももうずっと忘れていた。でもこの本を読んで、その家で過ごした夏休みのことを鮮明に思い出した。

    ミーナがベッドの下に書き溜めて隠したお話が、存外に暗いものだったことで、彼女が身近に死を感じていたのだと分かる。
    朋子は「完璧な家」に「全員が揃う」ことが何より大切

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    2025年08月11日
  • 薬指の標本

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    独特の世界観と丁寧な描写で読む手が止まらなくなる1冊。

    本のタイトルにもなっている薬指の標本が特に好きでした。タイトルからしてグロ注意作品なのかな、と少し気構えて読み始めましたがグロさは感じられなかったので安心して読めます。
    テンポが良く、描写が秀逸なのに難しい表現がないため読みやすい。ついつい読む手が止まらなくなる作品でした。
    薬指の標本がどういう意味なのか、それを考えながら読んでいましたが私個人としては標本に興味を持ちながら、何よりも少し変わった恋を覗き見てしまった気がするようなお話でした。若いフレッシュな感じの恋愛ではなく歳を重ねたからこその少し重ためな愛の形を知れた気がします。

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    2025年08月06日
  • 薬指の標本

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    愛の話。
    苦しくて辛いはずの内容だけど、淡々と日常の様に過ぎてゆく感覚は読んでいてとても気持ちが良いです

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    2025年08月05日
  • 妊娠カレンダー

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    姉の妊娠中の記録が、妹目線で描かれている。赤ん坊の染色体を破壊させるかもしれないグレープフルーツジャムを毎日のように作り、食べさせる描写には震えた。ものすごく怖いのに、頁を捲る手が止まらなかった。

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    2025年08月04日
  • 博士の愛した数式

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    とっても高度な位置である意味普通の家政婦と博士の日常を描いた作品 いいお話だった。数学の部分もふむふむと思いながら面白く読めたし、教授の性格が最初は取っ付きにくいけど、子供を大事に思うとか言葉遣いとか、かなりあたたかく、数字に魅了された人柄が良かった。
    子供を登場させたのがかなり正解だったと思う。それと子供のあだ名をルートにして、最後まで本名を出さなかったのも大正解。おかげで真っ直ぐで純粋で元気なとってもかわいらしい愛されるキャラクターになったと思うし。

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    2026年03月14日
  • 遠慮深いうたた寝

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    「ほんの数ページしかない小説でも、一度読んだだけでは見えてこない世界が隠れている。活字の間からこぼれ落ちてしまう何かがある。安易に分かったつもりになるのは、読み手の傲慢さに他ならない。──だからこそ再読には意味があるのだと思う。百年でも二百年でも小説は、書かれた時のままの形でそこにあり続ける。にもかかわらず、読み手の成長や社会の変化によって、見せる姿が違ってくる。その時必要とされているものを、差し出してくれる。つまり小説は、作家一人の力で書かれるのではなく、読者の働きがあって初めて、成立できるのだ」

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    2025年07月30日
  • ホテル・アイリス

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    ネタバレ

    読者を選ぶ内容だと思いますが
    すごく主人公に共感しました

    変わらない日々、どうしようもない嫌悪と、母親(他人)殻否定される主人公、だけど今現状の世界から出ていくことはできない少女
    そんな少女はたまたま老人に恋をした、それが汚い罵り言葉から始まった事だが、きっとどこに彼女の希望があったのだと思う。
    罪を抱え最後にしたいと考えていた老人、そして変えられないけど終わりにしたい認めて欲しいと望む少女。
    二人が認め合える、愛し方というのは「破壊」しかないのかもしれない。

    自分がどこか消えてしまいたい、破壊されたいと望んだ時に読むと救われた本です。

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    2025年07月27日
  • ミーナの行進

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    赤毛のアンを彷彿とさせるようなでも数十年前の芦屋での美しい世界の物語。とても好きなジャンルだった。
    物語のどの登場人物も大好きになれたし、小川洋子さんの日常を美しく彩る文才のお陰でこの本を通じて心が綺麗に洗われた気がする。起承転結があるようなどんでん返しがあるようなタイプのお話ではないが、一気読みしてしまった。

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    2025年07月27日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    か〜な〜り〜前から
    読みたいなと思いつつ
    なかなか出会う事なく
    保留にしていた本
    (↑そんなんばっかり)

    初見でびっくり!という
    知識的な所は無かったけど
    おふたりそれぞれの
    知識や経験や諸々...が
    スパークしてる感じが
    とても良かった

    人間も「父親」になる
    というのは難しいように
    ゴリラも学んで経験して
    尊敬される「父親」に
    なるのだ...格好いい〜!

    人様にもおすすめしたい本!

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    2025年07月22日
  • ミーナの行進

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    友達に誕生日プレゼントでもらった本
    いつも読む続きが気になってドキドキとかどんでん返しとかではないけど、ミーナと朋子の思い出を読んでいると心が温まる感じがした。自分がしんどい時に読んだ部分でちょうどミーナが泣いていた。
    仕事帰りの電車で少しずつ読んだから時間がかかったけど、どんなに仕事で嫌なことがあっても帰り道が楽しみでこの1ヶ月乗り切れた。

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    2025年07月16日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    勝敗ではなく、宇宙を描くように、リトル・アリョーヒンにとってチェスとはどんなものかに焦点を当てていて素敵でした。
    「慌てるな、坊や」という言葉が印象的なマスターと素敵な丁度品とおやつの甘い匂いの中過ごした日々が好きです。
    最近から最後まで美しいお話でした。

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    2025年07月13日
  • ミーナの行進

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    思い出は色褪せないことを教えてくれる 
    芦屋の洋館、伯父さんの家で1年暮らすことになった朋子の日記のようなお話。読んでいるときに、脳裏に描き出される人物や景色や出来事が、なんていうか自分もそこにいたい!と嫉妬させられるほど生き生きとして素晴らしい。
    そして、時々「あれから何十年たっても」みたいな描写が入ると、そうかこの出来事は遠い昔のことか、と思いながらも、私にとっても決して忘れたくない色褪せてほしくない大切な思い出になる。読み終わりたくなかったが、読み終わったあとすごく前向きになれた。大好きな作品に仲間入り。

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    2025年12月05日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    小川洋子さん作品って本当にスキ。
    大きくなることが不安。小さいことに安心する。いつも海をたゆたっている、インディラとミイラと共に。
    大きな海の中に身を置くことで余計に自分は小さくなれるんだと思う。
    最後の棺にぴったりと収まるリトル・アリョーヒン。その生き方を棋譜に残し、多くを語らないミイラが彼の生き方を尊重してくれたと思った。

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    2025年07月12日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    序盤、次の文章に触れ、そうだった自分は小川洋子さんの文章が好きなんだ、と思い出した。久しぶりに一気読みした。「少年は生涯を通し、その日曜日の出来事を繰り返し思い返すことになる。他の思い出たちとは違う別格の小箱に仕舞い、何度でも開けてそっと慈しむことになる。チェスに裏切られたと感じるほどに傷ついた時、マスターとの思い出に浸って涙ぐんでしまう時、あの柔らかい冬の日差しに包まれた回送バスでの一局をよみがえらせ、マスターが教えてくれたチェスの喜びに救いを見出すことになる。」

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    2025年07月10日