小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
河合隼雄さんが入院する2ヶ月前の対談で、最後の対談と言われている。
相手が作家の小川洋子さんだからかもしれないが、河合さんがリラックスして喋っている。
以下の小川さんの追悼の話が、どうも私の頭から離れません。
『対談の途中、先生は一度、深い悲しみの表情を見せられました。御巣鷹山に 墜落した日航機に、九つの男の子を一人で乗せたお母さんの話が出た時でした。 心弾む一人旅になるはずが、あんな悲劇に巻き込まれ、お母さんは一生拭えな い罪悪感を背負うことになったのです。その瞬間、先生の顔に浮かんだ表情、 思わず漏れた声、 宙の一点に絞られた視線、それらに接した私は、失礼にも「先生は本物だ」と確信しまし -
Posted by ブクログ
この物語は「小さい時の思い出から」と、エッセイ『遠慮深いうたた寝』に書いてあった。
だから、このアーケードでの出来事を語る「私」とは小川洋子さんだ。
小川洋子さんは、岡山市中区森下町で生まれ育ち、11歳に祇園町に引っ越している。
岡山市のどのアーケードの思い出なのだろうと思っていたが、パリのパサージュをイメージしていたそうだ。
日常の「とるにたらないものもの」への想いを綴った、江國香織さんの作品を思い出したが雰囲気は違った。
「最果てアーケード」は、だれがそんなものを必要とするの?という品物を扱っている商店の人々の物語だった。
『ブラフマンの埋葬』でもそうだったが、本書も人の名前が出てこ -
Posted by ブクログ
ネタバレ何が面白かったかとか、
どこが良かったのかとか、
言葉にするのはとても難しいけど、
読んでいてただただ心地良かったです。
敢えて言うなら文章が心地良い。言葉選びとかリズムが好きです。
最愛の人を突然失った女性のお話。
調香師の彼からオリジナルの香水をプレゼントされた翌日に彼は自殺…
それだけでもかなりの喪失感なのに、彼が死んでから彼に関する新事実がどんどん明らかになっていくので、物理的にそばに居ないという喪失感に加えて心の中にあった彼がどんどん崩れていく様な精神的な喪失感が積み重なっていきます。
彼が死んで"私の中の彼"を大事に手で包んでそれを拠り所に自分を支えたいのに、