小川洋子のレビュー一覧

  • 遠慮深いうたた寝
    ほのぼのとしていて優しい、江國香織さんのエッセイとどこかしら似ている雰囲気です。

    本書は、神戸新聞でのエッセイのタイトルをそのまま使っているそうですが、このタイトルの意味が終始気になっていました。
    この謎は、あとがきで説明されていました。郷土岡山の敬愛する内田百閒さんが関係しています。

    小説家の...続きを読む
  • そこに工場があるかぎり
    子どもの頃、お菓子の工場へ学校の社会科見学
    で行った時に、心をトキめかせた記憶を持つ人
    は多いはずです。

    小川洋子氏もそんな子どもだったそうです。

    大人になった今、そんなトキメキをもう一度と
    いうことですが、大人になって気づいたのは、
    トキメキの正体はお菓子だったのではなく、
    「モノつくり」の現...続きを読む
  • 遠慮深いうたた寝
    本棚にいつまでも飾っていたい、
    手に取りたいと思わせてくれる装丁。

    読み終わるのが勿体無いと思わせられる雰囲気。
    さまざまな想いを追体験させてくれる貴重な一冊。

    小川洋子という小説家のイメージにマッチした一冊。
  • 琥珀のまたたき
    読み始めた場所が、たまたま
    〈大きな声を出してはいけないよ〉という高円寺の読書館だった事もあり、読み進めるうちに自分も5人目の兄弟のような気持ちで、ひそひそと確実に他の兄弟と絆を深めていった感覚でした。

    読み終わってしばらく経つのに、ふと
    物語の中の情景や空気感が頭の中に流れ始めて、過去の出来事が...続きを読む
  • まぶた
    さて、なぞなぞです。顔の中で鏡を見ても見ることのできない部位はどこでしょうか?

    う〜ん、鏡に顔を映せば顔の中は全部見えるし、どこなんだろう…改めて考えるとすぐには思い浮かびません。とはいえ、こんな冒頭で時間を取っていたら長いレビューがさらに長くなってしまうので、とっとと答えにいきましょう(笑)...続きを読む
  • とにかく散歩いたしましょう
    ・ハンカチは持ったかい
    ・本の模様替え
    ・散歩ばかりしている
    ・がんばれ、がんばれ
    ・オクナイサマが手伝ってくれる
    ・機嫌よく黙る
    ・自らの気配を消す
    ・夕食におよばれしてみたい人
  • とにかく散歩いたしましょう
    ・ハンカチは持ったかい
    ・本の模様替え
    ・散歩ばかりしている
    ・がんばれ、がんばれ
    ・オクナイサマが手伝ってくれる
    ・機嫌よく黙る
    ・自らの気配を消す
    ・夕食におよばれしてみたい人
  • 遠慮深いうたた寝
    ◎76ページ “推し”のいる幸福
    待ちに待った公演の日程が発表になる。私は半年先の真っ白のページをにらみ、確実に足を運べる日、遠征が可能な日を思案する。その時、命がある保証もないのに、そんなことはすっかり忘れている。未来の一点に、自分の足跡を刻むように、公演名を大きな字で書き込む。その一行が、人生を...続きを読む
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)
    タイトルや表紙からは、ゴリラの生態やコミュニケーションに関する本のように見えるかもしれないが、それに留まるものではない。

    言葉を使わないコミュニケーションを実践してきた山極氏。言葉で表せないものを言葉で伝えるという難題に常に取り組む小川氏。霊長類学者と小説家が、言葉という接点を通じて、人類の来し方...続きを読む
  • 琥珀のまたたき
    久しぶりに小川洋子さんの長編を読んだ気がする。
    壁の内側に匿われて過ごす子ども時代と、現在が入り混じって書かれていて、めちゃくちゃ不穏なのだけどママときょうだいだけで穏やかに完成された世界観がとても良かった。めちゃくちゃ不穏だったけど。
  • 口笛の上手な白雪姫
    彫刻や博物館の展示品や声など、普段あまり注目されなそうなモチーフへの深い洞察や想像力に圧倒される。赤ちゃんや子供の描写が特に好き。
    人とあまり関わらずにひっそり暮らしていても、生き物やモチーフに対する敬意で瑞々しく生きている。
  • まぶた
    不思議な空間。良かった。
    堀江敏幸さんの解説が完璧なので、ほかに書くことがない。

    どれも印象的だけど、『まぶた』『お料理教室』が特に。
  • 最果てアーケード
    1人1人奇妙ながら物語があって小川さんらしい温もりとミステリアスで骨董品のほこりのような落ち着く本だった。べべとお嬢さんとお父さん、そしてアーケードの人たちが愛おしい。
  • 博士の本棚
    日常的なことや些細なことでも、深く考えると、そこから面白いこと、新しい発見を見出せるということを、この本は教えてくれました。
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)
    非常に面白かった。
    ゴリラや他の霊長類との比較でヒトを知る、と要約してしまうとつまらないのだが、いろいろ考えさせられながら、ユーモアもありつつ叙情的な対談。

    言葉というのは、長い進化の歴史の中ではまだ新しいからどこか安っぽいんだとか

    樹上生活の哺乳類がコウモリとサルに分かれ、飛ぶ方を選ばなかった...続きを読む
  • カラーひよことコーヒー豆
    エッセイとは知らずに手に取った。
    とても、とても素敵だった。小説もすごく好きだけど、小川洋子さんのあたたかな人柄がにじみ出た本当に素敵な1冊でした。
    なんだか知らずに抱えていたやるせなさとかかなしみとか、いろんな思いをふっと軽くしてくれるような、そんな本だった。素直に心の奥まで染み込んだ。今の私に絶...続きを読む
  • 余白の愛
    「わたしの耳のために、あなたの指を貸してもらえませんか」
    耳を病んだわたしの前にある日現れた速記者Y。その特別な指に惹かれ、わたしは歩み出す。入院中の病室で夫との離婚が成立した。最後まで優しかった夫がわたしに残したのは、耳の治療に十分なお金と甥のヒロだった。ある座談会をきっかけにYとの交流は深まり…...続きを読む
  • 生きるとは、自分の物語をつくること
    河合隼雄という人物に触れなかった人生が恥ずかしい…。文化界の大家であると、経歴を見ずとも実感させられた。"おひさまにあててポカポカふくらんだ座布団のよう"な人。

    対話集なので軽やかにさらさら読めるが、さらさら素通りすることはできない言葉が詰まっていた。
    小川洋子、河合隼雄ともに、本当に厚みのある人...続きを読む
  • 海

    情景描写が綺麗な本を読みたくて、繊細な文章を書く作家、とGoogle検索してヒットした作者。さっそく本屋に行って1番初めに目について手に取った本。読んでみて、ヒット上位になるのが納得の本だった。前知識で小川洋子さんの作風は透明感や美しさがありながら、どこか不安で残酷な特徴があると聞いていて、「海」「...続きを読む
  • 生きるとは、自分の物語をつくること
    心理学者で文化庁長官の河合さんと、優しい小説を書く小説家の小川さんの対談。
    河合さんの死去で、もっと読めなかったのが残念。


    一神教のキリスト教圏と、多神教の日本との、厳密さと曖昧さの違いについて語られていたのが面白かった。

    キリスト教圏の人は、厳密さ、厳格さの中で生きていて、例えばポルノを見な...続きを読む