小川洋子のレビュー一覧
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言葉は、人の心を救い、生きる支えになるもの
そのことを強く感じた
アンネにとって隠れ家での生活は、不安と恐怖に満ちた毎日だった
その中で日記は、誰にも言えない本音を打ち明けられる大切な存在であり、アンネの心を救っていたのだと思う
ユーモアを忘れず、時には厳しい言葉で感情をあらわすアンネの姿から、彼女が必死に生きていたことが伝わってきた
また、反抗期の影響で母親とうまくいかなかったことなど、人間らしい一面を知ることができた
私はアンネの話は知っていたが、実際に日記をきちんと読んだことがあったのだろうかと考えさせられた
アンネが日記を書き残したからこそ、私たちは彼女の気持ちを知ることができる
しかし、姉のマルゴーや、隠れ家で共に生活していたペーターが日記を書いていなかったため、彼らの思いは分からない。そのことから、言葉として残すことの大切さを感じた
アンネは「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること」と書いている
この言葉を読んだとき、私はアンネが自分の未来を予言していたのではないかと不思議に思った
収容所では日記を書くこともできず、どれほど苦しかったのだろうか
しかし、アンネの日記は今も世界中で読まれ、彼女の言葉は生き続けている
アンネの日記は、言葉が人を救い、そして人を死後も生かし続ける力を持っていることを教えてくれた -
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7人の科学者に、彼らの研究についてインタビューをする小川洋子さん。改めて、サイエンスの果てしなさを思い知ることになった。
小川洋子さんの作品の原石を見ているような思いだった。『最果てアーケード』『琥珀のまたたき』『博士の愛した数式』など、それらの登場人物がみな魅力的なのは、彼らが収集したり、探求したり、愛を捧げていたりと、科学の美しさを一身に纏っていたからだったのだ。
サイエンスの美しさが含まれていることを意識しながら、彼女の作品をもう一度読み直してみたくなる。
小川洋子さんが科学者とお会いする前に、想像されていた科学者像が、小川ワールド全開でくすりと笑えてしまう。
続編も出してほしい。
宇宙の謎はダークと名付けられ、サムシング・グレードによって我々は構築されている。 -
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こってりとした『BUTTER』の後はさっくりと読める短編集を。実は初めて、小川洋子さんの本を読破しました。
ずっと憧れはあった。何冊か手に取ってはその言葉の美しさと静謐な世界観に、ある種の格式高さ、ハードルの高さのような感想を抱いて、もう少し読書慣れしてからにしようと挫折していた。
だから今回、あえて短編という形で再挑戦をした。ゴールが近いからこそ、あまり怖がらずに読み進められたし、自分の中で感じていた高嶺の花のような文体も実はとても柔らかく、ひんやりとした手のひらの中に温かな小さな命が握られているような繊細さが感じ取れた。
誰だって、この温かさに触れてもいいんだよ、でもそっとね、と言われているような優しい文体に、気付けば小川洋子さんの世界観にどっぷりと浸っていました。
七つの短編、そのどれもが気付けばぐんぐんとのめり込み、煩わしかった周りの音や話し声もまるで遠くに行ってしまったような錯覚を覚えながら読み進められました。
短編というものが読み慣れていない私にとってもその終わり方はどれも優しくふんわりと着地して、心がすうっと軽くなるような余韻を残すものが多くて、改めて小川洋子さんの文章の上手さに静かに圧倒されました。
全部が好きだけど、特に好きなのは「風薫るウィーンの旅六日間」「缶入りドロップ」「ガイド」です。
「ひよこドロップ」も入れたかったけど、穏やかで優しい世界観の中にそっと差し込まれた残酷さという名のえぐみを上手く味わえるほど、私はまだ成熟してなかった。でも好き。
「海」
この本の表題作。主人公とその彼女の弟、男二人の静かな一夜。「小さな弟」の少し異質な背景が滲み出していながらもそれを踏み躙らない静かな夜を共に過ごしたような感覚が残った。
「風薫るウィーンの旅六日間」
控えめなフリしてちゃっかりしてる未亡人のおばさん、琴子に、主人公の二十歳の女性が振り回され、彼女の四十五年前の異国の恋人の最期を看取る話。自分の旅行の計画を潰されてもそっと琴子に寄り添ってあげている主人公が優しい!最後のオチが全部の短編の中で一番好き。
「バタフライ和文タイプ事務所」
個人的に一番硬い単語が多くて読み難いなと思いながら読み進めていたけど、途中からあれこれ、もしかして高度な言葉遊びを用いた官能小説か?と気付き始めてから一気に面白くなった。あまりにレベルの高い官能加減にくらくらした。純文学×官能もっと読みたい。
「銀色のかぎ編み」
短さにびっくりしたけど、短い中にも主人公の中に宿る祖母の記憶と現実の景色が混ざり合う感覚が心地よかった。
「缶入りドロップ」
これも短いけど好きな作品。子供を持ったことのない不器用な大人が、子供という未知なる存在を自分なりに攻略するための術が、側から見たらとても優しい心配りのように見える構図が面白くて心がぽかぽかした。
「ひよこトラック」
母の死をきっかけに喋れなくなった少女と、孤独なドアマンの男性のお話。男性が少女とのコミュニケーションにあえて言葉を用いない方法を取ったおかげで生まれた二人だけの優しい時間。二人が目を奪われたカラフルなひよこの残酷な末路、それを知らない少女の清らかな心の描写がとても素敵だなと思いました。
「ガイド」
バスガイドの母を持つ少年と"題名屋”を営む初老の紳士のお話。小川さんの描く、歳の離れた二人の交流が好きだなぁと再確認した作品。私も消えてほしくない思い出に題名をつけてみようかなと考えさせられました。
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とても大事にしている本です。
折に触れて読み返します。
温かく、切なく。感じ取るものが多すぎて言葉にならない。でも大事なことってこういう事だよね、ってそっと教えてくれるような。
自分の中で優しさが込み上げてくるような。
記憶が80分しか持たない博士、その担当をする事になったシングルマザーの家政婦、そしてその子供のルート。
記憶が80分!その設定にまず驚きます。
例えば、大事な人を失くしても、記憶は消えないし、お互いきっと心の中で残る…というその大前提が、ない。
私はやっぱり最後までその事が切なかったです。
でも、確かに存在した時間は消えないから、自分が忘れなければいいんだ…って私の心が追い付くまで、物語がそっと寄り添ってくれました。
やり切れないような悲しみを抱えていても、日常は穏やかな愛に溢れていて、それに気付ける自分でいたいと思わせてくれた。純粋で、文体もとても美しい。あと博士を通して数学の面白さも教えてもらえました。
この本に出逢えた事にとても感謝しています。子供たちにも読んでほしいな。
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Posted by ブクログ
普段、腕や首や血が飛び散ったり井戸から貞子が出たりするものばかり読んでいるので、文字通り心が洗われた気持ちになった。
たまには心をお洗濯しないとだめですね…。
ささいな日常を(もちろん練りに練られた内容なのだけども)繊細で丁寧で厳選された言葉で綴られると、こんなにも濃密な世界になるんですね。
どの話も素敵なだったのですが、個人的には「B談話室」と「コンソメスープ」が好きでした。
この物語を語った人々がどうなったかは、冒頭で語られているので、だから余計に最後のエピソードの「この朗読会が終わらなければいいのに」という一文が胸に応えました。
読み終わってため息です。余韻引きずるわー。 -
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冒頭、黒電話の描写で一気に引き込まれた。ほんとうに美しい文章。一つ一つの物語を、言葉を、時間をかけて味わいたいと思いつつ、ページを捲る手が止まらなかった。何度でも読み返したい。全部の話が好きだと言える短編集に出会えて嬉しい。読み終わった後この本を抱き締めたくなった。
「
形容しがたい丸み、暗号めいたダイヤル、耳にフィットするよう計算された受話器のカーブ、可愛らしげにクルクルとカールするコード。そうした何もかもがどこかしらおもちゃめいていたが、僕は最初からそれが、ただものでないことにちゃんと気づいていた。
とにかくその黒色は特別だった。一点の濁りもなく、濃密で、圧倒的で、気高くさえあった。両手に載るほどの大きさなのに、何を企んでいるのか分からないふてぶてしさと思慮深さを併せ持っていた。そこに一つの黒い塊があるだけで、階段裏の薄暗さが奥行きを増すようだった。
」
黒電話一つでここまで書ける小川洋子さんすごい。著者の作品は『博士の愛した数式』以来でしたがまた再読しようと思ったし、他の作品も読みたいと思いました。 -
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ネタバレ小川洋子さんらしさはあるのだけど、今までに読んだ作品とは少し雰囲気が違う印象。ほかの作品で共通して感じるのは、薄暗くてどことなく埃っぽい空気感。『ミーナの行進』はもっと明るい陽だまりのなか、物語が展開していくようなイメージだった。
日本とドイツ、歳の近い2人の従姉妹(ミーナと朋子)、広くて豪華な芦屋の洋館。少女たちが一緒に暮らしたのはほんの1年にすぎないが、2人にとって忘れることのできない思い出になる。華やかな容姿を持つがなぜか家に帰ってこない伯父さん、一人でじっと何かに耐えるようにウィスキーと煙草を燻らせる伯母さん。双子の妹と家族を哀しい理由(ナチスの迫害)で亡くした過去をもつローザおばあさんに、洋館のことはなんでも把握しているお手伝いの米田さん、庭師でありコビトカバのポチ子のお世話係・小林さん。
ミーナと朋子はミュンヘンオリンピックを前にバレーボールに熱中したり、流星群を見るための初めての朝までの夜更かし、ポチ子との突然の別れや歳上の青年たちへの憧れの感情など、たくさんの経験を共にする。
2人の少女のただの冒険や成長の物語ではない、読み応えたっぷりで心が浄化される温もり溢れる物語という感じ。 -
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知人のおすすめで手に取った、小川洋子さんと河合隼雄さんの対談本『生きるとは、自分の物語をつくること』。
この本はまさに、私の「読み、聴く」という営みが深く意味づけられる内容でした。
対談されているお二人は、小説家と臨床心理学者であり、「物語をつくる」という共通点をお持ちです。
臨床心理では、人々が自分の物語をつくるのを手助けする。
小説家は、意識的に物語を生み出し、それを読んで人が救われる。
「もしや私がやっていることは、本を読むことで、物語を豊富にストックし、他者の物語化の材料として差し出すことではないか」と自らの行いに輪郭をもらえた心持ちです -
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物語は既にそこにある。
小川洋子さんにかけられる「なぜ小説を書くのか」という問いは、私が人に「なぜ山に登るのか」と問われる時と似ているものかあった。「なぜ登るのか」と聞かれるのは「なぜ生きるのか」と問われるのに等しい。説明できないからこそ、自分は山に登っている……。なんて、私における山の存在って、小川洋子さんにとっての小説くらい、知らぬ間にこんなに大きくなっていたのか、と驚いた。
河合隼雄さんのトークセンスが光に光っていており、一気に大好きになった。今まで存じ上げなかったことがもったいないくらいに素敵な方。谷川俊太郎さんとバカ飲みしたエピソードだけでも面白かったのにその勢いは留まることを知らず、荒唐無稽文化財のところでトドメを喰らって思わず電車でニヤついてしまった。新幹線のくだりも好き。そういうユーモアのある人が新幹線を命名したのかな、とか想像。
『ブラフマンの埋葬』を読んでいたので、ぜひ続きの対談が行われてほしいところだった。きっと著者が一番そう思っていることだろう。
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ネタバレ命は尊いものであり、生きていると色んなこと起こってくるけど、感動を大切にしたいと、この本を通して感じた。
やまびこビスケットの大家さん
整理整頓は自己防衛の最良の武器である。意地悪なばあちゃんってイメージが強いけど、これはその通りなのかも。大家さんと動物園に行くほど仲良いって、すごい展開
亡くなる最後まで、整理整頓を心掛けてた。守り抜いた、人間味のある内容でもあり、深かった。
B談話室
公民館の部屋、談話室。いろんなことに使われてる。
受付の女性に無理やりな感じで参加することなった。行き当たりばったりで話してるのがすごい。
最後、おじさん40年もやって、女性なんていない、あの女性はなんだったんだろう…
冬眠中のヤマネ
おじいさんとの出会いが、眼科医になろうという、背中を押した経験でもある。
コンソメスープの名人
隣の娘さんの料理かっこいい、憧れる。一切迷いがない様子とか。
槍投げの青年
こんなに槍投げの様子を豊かな表現でこんなにも文で書けることに感動。さぞかし青年かっこいいんだろうな。
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博士の愛した数式が良かったから他の読も〜と思って、小川洋子が好きという人からおすすめされて読んだ。短編です。けど、4つあるうちの3つは苦手だった。(冷めない紅茶は良かったよ)
はっきり言うと胸くそ系だと思う。でも、主人公の心の中で思っていることや自分が嫌悪する世界を見る視線の残酷さ、悲しいことに、認めたくないんだけど、それはどこかで知っている気がする。それを言語化して突きつけられると、だとして何?って言いたくなってしまう。自分の中に心当たりがあるが故にこうやって怒りのような気持ちが湧いてくるんだと思う。不快感、というか不愉快感?
はぁ〜、まじでここまで変態性を描かれてしまうと暗い気持ちになるよ。でも、だとして何、を感じるのが小説を読む醍醐味でもあるからな〜。久しぶりに自分の許容範囲を越えたという点では読んで良かったし、何を伝えたかったんだろうとすんごく悶々とさせられた。そしていつまでも記憶にも残ってしまうんだろうけど、決して好きではない。だかしかし高評価は押さざるを得ない。
あと、あの人なんでこの本をわたしにおすすめしてきたんだろう…?(ザワザワ)みたいな気持ちにもなっちゃった。。