小川洋子のレビュー一覧
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ネタバレスポーツ選手、将棋の棋士、俳優、文楽の人形遣い、赤ちゃんなどの体の一部に焦点を当てたエッセイ。他にもレース編みをする人の指先、とか、動物の体に着目したものも。「ハダカデバネズミの皮膚」っていうのが面白かった。それぞれ写真が添えてあり、「外野手の肩」のエッセイではイチロー選手が遠投しているときの写真が載っている。本当に、美しい。「力士のふくらはぎ」では、もうほぼ、後ろに倒されているのに、それでも相手より持ちこたえようと、ひざから下の力だけで自分の全身を支えているありえない写真が。
「その時」体の一部がどうなっているのか、なぜこんなにも美しいのかと、小川洋子さんにしか綴れない言葉で綴っている。本当 -
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作家の小川洋子さんが、アンネ・フランクの足跡を辿りに隠れ家や親友を訪ねて取材する。
彼女は、ユダヤ人虐殺やナチスの蛮行のシンボルとしてではなく、純粋にアンネの文章を楽しみ、友人として接する。
強制収容所では、「何百万人が」とか「無数の人が」と言ってひとまとめにしてしまうのではなく、一人一人の遺品、旅行カバンや、メガネや、靴や、子どものおもちゃやおしゃぶりなど…
一人一人を尊重し、想いを馳せる。
大雑把にまとめて、分かった気になるのはよくあることだと思う。
「戦争になったらたくさんの人が死ぬ」
そこには、人一人が死ぬということの恐怖が宿らない。
だから、こうやってアンネフランクという一人の少女 -
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ネタバレまた素晴らしい本に出会ってしまった…
アンネフランクを辿る小川さんの一週間の旅の紀行文。
アンネの日記=戦争のことを知る読みものとしての浸透の仕方をしているけど、作者の小川さんは違う。
″純粋な文学として読んだ″と記されていて、それは、ナチスの犠牲者という歴史的事実とは別のところで、ただただアンネが書く文章に親しみを持ち、一人の友人が生きた歴史や受けた影響を知りたくて彼女のルーツを辿る旅に出ているのよ、という純粋な気持ちが、文章の節々から伝わる。
小川さんの旅の進め方、アンネに携わる人々へのインタビューのスタンス、ホロコーストやユダヤ人への理解、全てが、大きな歴史を知るというより、アンネと -
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河合隼雄さんが入院する2ヶ月前の対談で、最後の対談と言われている。
相手が作家の小川洋子さんだからかもしれないが、河合さんがリラックスして喋っている。
以下の小川さんの追悼の話が、どうも私の頭から離れません。
『対談の途中、先生は一度、深い悲しみの表情を見せられました。御巣鷹山に 墜落した日航機に、九つの男の子を一人で乗せたお母さんの話が出た時でした。 心弾む一人旅になるはずが、あんな悲劇に巻き込まれ、お母さんは一生拭えな い罪悪感を背負うことになったのです。その瞬間、先生の顔に浮かんだ表情、 思わず漏れた声、 宙の一点に絞られた視線、それらに接した私は、失礼にも「先生は本物だ」と確信しまし -
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この物語は「小さい時の思い出から」と、エッセイ『遠慮深いうたた寝』に書いてあった。
だから、このアーケードでの出来事を語る「私」とは小川洋子さんだ。
小川洋子さんは、岡山市中区森下町で生まれ育ち、11歳に祇園町に引っ越している。
岡山市のどのアーケードの思い出なのだろうと思っていたが、パリのパサージュをイメージしていたそうだ。
日常の「とるにたらないものもの」への想いを綴った、江國香織さんの作品を思い出したが雰囲気は違った。
「最果てアーケード」は、だれがそんなものを必要とするの?という品物を扱っている商店の人々の物語だった。
『ブラフマンの埋葬』でもそうだったが、本書も人の名前が出てこ