小川洋子のレビュー一覧

  • ミーナの行進

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小川洋子さんらしさはあるのだけど、今までに読んだ作品とは少し雰囲気が違う印象。ほかの作品で共通して感じるのは、薄暗くてどことなく埃っぽい空気感。『ミーナの行進』はもっと明るい陽だまりのなか、物語が展開していくようなイメージだった。

    日本とドイツ、歳の近い2人の従姉妹(ミーナと朋子)、広くて豪華な芦屋の洋館。少女たちが一緒に暮らしたのはほんの1年にすぎないが、2人にとって忘れることのできない思い出になる。華やかな容姿を持つがなぜか家に帰ってこない伯父さん、一人でじっと何かに耐えるようにウィスキーと煙草を燻らせる伯母さん。双子の妹と家族を哀しい理由(ナチスの迫害)で亡くした過去をもつローザおばあさんに、洋館のことはなんでも把握しているお手伝いの米田さん、庭師でありコビトカバのポチ子のお世話係・小林さん。
    ミーナと朋子はミュンヘンオリンピックを前にバレーボールに熱中したり、流星群を見るための初めての朝までの夜更かし、ポチ子との突然の別れや歳上の青年たちへの憧れの感情など、たくさんの経験を共にする。

    2人の少女のただの冒険や成長の物語ではない、読み応えたっぷりで心が浄化される温もり溢れる物語という感じ。

    0
    2025年12月18日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

    Posted by ブクログ

    知人のおすすめで手に取った、小川洋子さんと河合隼雄さんの対談本『生きるとは、自分の物語をつくること』。

    この本はまさに、私の「読み、聴く」という営みが深く意味づけられる内容でした。

    対談されているお二人は、小説家と臨床心理学者であり、「物語をつくる」という共通点をお持ちです。

    臨床心理では、人々が自分の物語をつくるのを手助けする。
    小説家は、意識的に物語を生み出し、それを読んで人が救われる。

    「もしや私がやっていることは、本を読むことで、物語を豊富にストックし、他者の物語化の材料として差し出すことではないか」と自らの行いに輪郭をもらえた心持ちです

    0
    2025年12月17日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

    Posted by ブクログ

    物語は既にそこにある。
    小川洋子さんにかけられる「なぜ小説を書くのか」という問いは、私が人に「なぜ山に登るのか」と問われる時と似ているものかあった。「なぜ登るのか」と聞かれるのは「なぜ生きるのか」と問われるのに等しい。説明できないからこそ、自分は山に登っている……。なんて、私における山の存在って、小川洋子さんにとっての小説くらい、知らぬ間にこんなに大きくなっていたのか、と驚いた。

    河合隼雄さんのトークセンスが光に光っていており、一気に大好きになった。今まで存じ上げなかったことがもったいないくらいに素敵な方。谷川俊太郎さんとバカ飲みしたエピソードだけでも面白かったのにその勢いは留まることを知らず、荒唐無稽文化財のところでトドメを喰らって思わず電車でニヤついてしまった。新幹線のくだりも好き。そういうユーモアのある人が新幹線を命名したのかな、とか想像。

    『ブラフマンの埋葬』を読んでいたので、ぜひ続きの対談が行われてほしいところだった。きっと著者が一番そう思っていることだろう。

    0
    2025年12月17日
  • 耳に棲むもの

    Posted by ブクログ

    小川洋子さん大好きですが、読むのは久しぶり。
    静謐でフェティッシュな世界観が全開で、小川洋子さんだ!って感じの本だった。
    小川さんの「音」に対して持ってる感覚が好きなので、個人的にかなり満足度が高い。

    0
    2025年12月09日
  • 人質の朗読会

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    命は尊いものであり、生きていると色んなこと起こってくるけど、感動を大切にしたいと、この本を通して感じた。

    やまびこビスケットの大家さん
    整理整頓は自己防衛の最良の武器である。意地悪なばあちゃんってイメージが強いけど、これはその通りなのかも。大家さんと動物園に行くほど仲良いって、すごい展開
    亡くなる最後まで、整理整頓を心掛けてた。守り抜いた、人間味のある内容でもあり、深かった。

    B談話室
    公民館の部屋、談話室。いろんなことに使われてる。
    受付の女性に無理やりな感じで参加することなった。行き当たりばったりで話してるのがすごい。
    最後、おじさん40年もやって、女性なんていない、あの女性はなんだったんだろう…

    冬眠中のヤマネ
    おじいさんとの出会いが、眼科医になろうという、背中を押した経験でもある。

    コンソメスープの名人
    隣の娘さんの料理かっこいい、憧れる。一切迷いがない様子とか。

    槍投げの青年
    こんなに槍投げの様子を豊かな表現でこんなにも文で書けることに感動。さぞかし青年かっこいいんだろうな。

    0
    2025年12月09日
  • 耳に棲むもの

    Posted by ブクログ

    「閉じ込められ、誰からも見捨てられ、忘れ去られたものを救い出すのと、閉じこもっていたいものに、それが求める小さな空洞を与えてやるのは、私にとって同じことです。」

    幻想的な一方、人間の生々しさ描かれており、独特の読後感がある。
    この作品の感想や解釈をもっと言葉にできるようになりたい。

    0
    2026年03月12日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

    Posted by ブクログ

    アンネを慕い想い憧れている小川洋子さんが素敵。
    アンネが生還していてくれていたらと、私も本気で思いました。本当に悔やまれます。

    0
    2025年12月05日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

    Posted by ブクログ

    10代の少女の文章から伝わる、生活とそのときの空気。
    文学の力。
    読み返すほどに深まる、戦争というものの恐ろしさと、どんな困難な最中にあっても文学や学びを求める気持ちや、人が人を守ろうとする姿。

    人の尊厳や、尊厳を守るということについて深く考えさせられる一冊でした。

    0
    2025年11月28日
  • 薬指の標本

    Posted by ブクログ

    静かで冷たい「標本室」という職場で、少しずつ引き返せない恋に溺れていく一人の女性の物語。
    ここでの「標本」が何を意味するのか、姿を見せなくなった少女は、前任の女性たちは、何処へいってしまったのか。はっきりとしたことが書かれていないからこそ、美しく密やかな世界観が楽しめた。
    「彼に封じ込められていたいんです。」という帯にもなっている主人公の言葉が読後も心に残り続ける。

    0
    2025年11月25日
  • 完璧な病室

    Posted by ブクログ

    博士の愛した数式が良かったから他の読も〜と思って、小川洋子が好きという人からおすすめされて読んだ。短編です。けど、4つあるうちの3つは苦手だった。(冷めない紅茶は良かったよ)
    はっきり言うと胸くそ系だと思う。でも、主人公の心の中で思っていることや自分が嫌悪する世界を見る視線の残酷さ、悲しいことに、認めたくないんだけど、それはどこかで知っている気がする。それを言語化して突きつけられると、だとして何?って言いたくなってしまう。自分の中に心当たりがあるが故にこうやって怒りのような気持ちが湧いてくるんだと思う。不快感、というか不愉快感?
    はぁ〜、まじでここまで変態性を描かれてしまうと暗い気持ちになるよ。でも、だとして何、を感じるのが小説を読む醍醐味でもあるからな〜。久しぶりに自分の許容範囲を越えたという点では読んで良かったし、何を伝えたかったんだろうとすんごく悶々とさせられた。そしていつまでも記憶にも残ってしまうんだろうけど、決して好きではない。だかしかし高評価は押さざるを得ない。

    あと、あの人なんでこの本をわたしにおすすめしてきたんだろう…?(ザワザワ)みたいな気持ちにもなっちゃった。。

    0
    2025年11月13日
  • ミーナの行進

    Posted by ブクログ

    小川洋子さん特有の、品のある美しい表現と、淡々と描かれる情景の中にある優しさや温かさが、沁みました。
    私は、小川洋子さんの、冷たくて少し怖いくらいの描写や物語が好きだったし、その毛色の小説しか読んでなく、どことなく末恐ろしい結末を予想していたので、それが覆されて嬉しい発見だった。

    0
    2025年11月09日
  • 遠慮深いうたた寝

    Posted by ブクログ

    私たちに近い日常も、小川さんの目を通すと全く違う世界が広がり、偶然居合わせた一瞬にさえ光を見出す。その眼差しが見つめる先から新たな物語が始まるのだとわくわくが止まらない。
    まるで短編集のような珠玉のエッセイ。

    0
    2025年10月28日
  • ミーナの行進

    Posted by ブクログ

    『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』『ブラフマンの埋葬』を過去に読んだことあり。ブラフマンがかなり純文系で、以降あまり手に取らず。久々に手に取った。

    いい本だった。やはり作家の書く文章に限る。半端な訳者の文とは読みやすさが違う。

    西の魔女よろしく、田舎での素敵な思い出が綴られた形式の作品。日常のちょっとした所作や会話に光を当てて、美しさを感じさせる文章だった。

    ちょっと自分でもやってみる。


    好きな季節というものが決まっていなかったのだが、今年で明確に「秋」になった。

    仕事から逃げるように、金曜日の午前中に、メトロにのって江戸川の汽水域に。太陽光をキラキラと跳ね返す川面を眺めながら、ハゼ釣りを満喫。途中、天気雨に降られたが、日差しを反射して、はっきりと視認できる雨粒が、星のようだった。

    今年は秋刀魚が豊作。ラグビー選手みたいなイカつい上背をしているのが、250円くらいで買える。IHコンロに乗せたフライパンで塩焼きに。小さい一人暮らしの部屋、グリルがないのが残念。何回も食ったが、最初に食ったやつが一番美味かった。

    海産物のコーナーにいくと、1,000円もあれば贅沢できることがわかる。白子を1パック買って、まるごと白子ポン酢に。臭みがでないように、丁寧に下処理をしてから、九条ネギとポン酢に浸して、缶ビールと。調理の儀式を経ると、自然と食べる頃には、感謝の気持ちが湧いてくる。

    サザエも丸ごと2個買って、壷焼きにして食ってやった。友達と行った居酒屋、「時価」と書かれたサザエが、1個2500円。2人でそれだけで5,000円もぼったくられたことを、俺はまだ忘れていない。正しい値段を確かめるように食ってやった。そうだ、お前は2個で700円だ。

    ラフランスと柿がスーパーに出始めた。季節が早いから、自宅で追熟。段ボールの中に、まだ色が青いやつらと、リンゴ・バナナを同封しておくと、追熟が促されて甘みが増してくる。毎日箱を覗きながら、今日で10日くらい。ラフランスを一つ頂戴。手間のかかるやつだが、熟したときの甘さと香りはやはり格別。


    「日常のちょっとした所作や会話に光を当て」るつもりが、会話など存在しておらず、飯しか出てこない件。

    友達と会って、旅行にでも行って、酒を飲みながら、こういう話をしたい、こういう体験をしたい。なぁ。

    0
    2025年10月26日
  • 続 遠慮深いうたた寝

    Posted by ブクログ

    好きな本。とにかく、装丁から世界観がとってもよい。どこを読んでも小川洋子さんの世界。当たり前なんだけれど、言葉の紡ぎ方と展開にハッとさせられながら、とても安心する。

    0
    2025年10月16日
  • ブラフマンの埋葬

    Posted by ブクログ

    犬でも猫でもない謎の生き物である「ブラフマン」がとても愛おしい。人物や場所の名前が「ブラフマン」以外に出てこないのも特徴で、その為か、現実感に乏しく幻想的な雰囲気がある。好きだけど悲しい。

    0
    2025年10月11日
  • ミーナの行進

    Posted by ブクログ

    主人公の朋子が従妹・ミーナとその家族とカバ・ポチ子と過ごした1年間。裕福でおばあさんがドイツ人で、少し変わった家族たちとカバのポチ子。何が起きるわけでもない家族たちの日常ひとつひとつが宝物のように大切に描かれていてなんだか懐かしい気持ちになる。歪んだ心の持ち主などが一切でてこない本当に美しい物語。読んでよかった。

    0
    2025年10月10日
  • 不時着する流星たち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ヘンリー・ダーガー他、過去の人たちのエピソードから
    インスパイアされ書かれた10の作品。
    とても小川さんらしさに溢れた短編集。

    母乳ババロアをこんなにさらっとそこに自然にむしろ必然的に
    あるように書けるのは小川さん以外いない、と思います。

    過去の人たちのエピソード自体も面白く
    装丁もとても良かったです。断然文庫派なので
    文庫待ちですが違う絵になってしまってたら
    ハードカバーを買うかも。。

    2025年10月7日再読
    結局文庫を購入しました。

    1度目のときに書いた「母乳ババロア」が書かれた作品で
    「再読だわ…」と思い出しました。

    誘拐の女王
    主人公よりお姉さんのその後が気になります

    散歩同盟会長への手紙
    今回のNo.1。小説を書いてみたい、と思ったことはないんですが漫画を描いてみたい、とは思ったことがあるので主人公の気持ち、ちょっと分かるなぁ

    カタツムリの結婚式
    これは作品よりパトリシアハイスミスの経歴に目が行ってしまった。カタツムリを300匹飼育…。

    臨時実験補助員
    赤ん坊は本当にいたのかどうか。静謐なホラー。

    肉詰めピーマンとマットレス
    娘がいたらこんな感じなのかな、羨ましい。

    若草クラブ
    少女の妄想力がすごい。

    0
    2025年10月07日
  • ミーナの行進

    Posted by ブクログ

    朋子が過ごした立派なお屋敷ではないけれど、子どものころ、一時期祖母の家で過ごした日々が、今でも色濃い思い出となっていることを、改めて感じました。

    朋子にもミーナにも、伯父や伯母、ローザおばあさん、米田さんに小林さんにも、朋子の母にも、そしてポチ子にも心のどこかに影はあって、それでも、温かく過ごした日々を想像すると涙が滲みます。

    そして、いつか来るお別れも、すべてが消え去ってしまうわけではなくて形をかえるだけなのだと思うと、私自身にも必ずいつかは訪れる様々な人との別れ、自分自身との別れ(本作を読んだあとでは、別れという表現は違う気がしますが)が、恐ろしいものではないのかも知れないなと思うことができました。

    寂しい気持ちになったとき、また読み返したいと思います。

    0
    2025年10月07日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

    Posted by ブクログ

    敬愛する御二方の対談は、読めども読めども、自分自身の未熟さばかりを思い知らされるものだった。どのように生きれば、人とこのような対話を交わせるようになるのか。。。10年後の自分よ、その片鱗でも分かるようになっていて欲しい...!

    とりわけ小川洋子先生のあとがきからは、小川先生のお人柄が文章からこれでもかと伝わり、随所でうっとりとしてしまう。
    内容もさることながら、まるで水面にしとしとと降る静かな雨のように、優しく、美しく、やわらかな日本語が、体に染み渡っていく。

    0
    2025年09月29日
  • 博士の愛した数式

    購入済み

    心温まる

    言わずと知れた名作。
    不器用ながら愛に溢れた博士と親子の交流に、心が温かくなります。
    博士の過去などを詳しく描かず、匂わせる程度なのも良かったです。

    #ほのぼの #癒やされる #切ない

    0
    2025年09月21日