小川洋子のレビュー一覧

  • 密やかな結晶 新装版
    消滅のある島での出来事。
    小川洋子ワールドという感じ、設定に入り込めないとぜんぜん意味がわからないと思う。静かな世界観。
    どう終わるのかと思ったら体の消滅から、目、最後に声。そして自分が消えて、R氏が解き放たれる。

    言葉の美しさとか、心の静かな炎を感じるよね、小川洋子の小説は。
    ここで好きな綺麗な...続きを読む
  • 最果てアーケード
    とあるアーケードを軸にした短編集。それぞれの話が絡み合って短編集全体として一つの作品となっている。何かをテーマにした短編集は小川洋子さんのよくあるパターンだが、それぞれの話が関連し合うというのは意外と珍しいかも。こういう個別の話はそれぞれで完結するものの全体として大きな話が流れてる、というのは連続も...続きを読む
  • ブラフマンの埋葬
    タイトルからも、どこかでこの愛すべきブラフマンとの別れがあるのか、と推測しながら、その美しい自然に囲まれた世界の中での、ブラフマンとの愛おしい生活を、爽やかな文体と共にドキドキしながら味わった。
  • 完璧な病室
    目に見えないものを見て
    外から見えようがない物を抱えて生きていく
    抱きしめられて、包まれないと慰められないのかしら
  • 沈黙博物館
    形見を収蔵する博物館で、それぞれの人生を象徴するものの文脈を紡ぐ物語。事件の犯人が誰なのか、途中の展開の仕方が絶妙でスリリングだった
  • 博士の愛した数式
    私が中高生の頃、おすすめ100冊とかによく載っていたので、タイトルは知っていたが今日初めて読んだ。なんて暖かい、心を包まれるような物語だろう。数学って、どちらかというと無機質なんてイメージだが、ここではその美しさが暖かいつながりをうんでいる。

    博士の記憶は80分しか持たない。
    その80分の中で、数...続きを読む
  • 猫を抱いて象と泳ぐ
    自分を、受け入れる。
    そして、相手も優しく受け入れる。
    好きの、気持ちが、静かな物語だけど
    溢れてて、とても穏やかで、せつなくて
    少年と、ミイラをぎゅっと抱きしめたい
    そんな感情になりました。
  • いつも彼らはどこかに
    小川洋子さんによる動物がテーマの短編集。2013年発行ですからちょい前のものです。

    ・・・
    作りとしては短編集となっています。相変わらず不思議な物語を綴ります。

    タイトルに動物が絡みますが、物語は時として重層的に進みます。

    あらすじを書こうと思ったのですが、上記の重層性の関係で説明しきれんと思...続きを読む
  • 博士の愛した数式
    物語が進んでも博士の病気が治ることはないし、なにか奇跡が起こるわけでもない。反対に博士の記憶はどんどん短くなるし、タイガースは負けが続くようになる。でも、博士が生きた意味、出逢った意味は確かにあったのだと最後まで読んで1番強く感じる
  • 妊娠カレンダー
    どこか恐ろしいが、いたって静かな文章。
    一文一文つぶやきながら読んでいきたいような手触りや重みのある文章。
  • 夜明けの縁をさ迷う人々
    奇妙で微笑ましくも少し怖い9つの短編。

    狭い。小さい。無くなる。
    待ってましたと言わんばかりの小川ワールド。

    野球や甲子園の描写が魅力的。
    生き生きとした人や風景と匂いが伝わる。

    「夜明けの縁」とは何か。
    しばらく思いにふける。
  • やさしい訴え
    花巻空港が出てきたので、
    主人公が逃げ込んだ別荘は
    春子谷地や安比高原あたりの別荘地やペンション街を勝手に思い浮かべて読んだ。

    でも物語を読んでいる最中は
    外国にいるような不思議な空気感に包まれる。

    チェンバロ、
    カリグラフィー、
    なんとも幻想的な湖や森。

    夫に裏切られたり、暴力を振るわれたわ...続きを読む
  • 密やかな結晶 新装版
    突然訪れる消滅にも慣れ
    静かにでも確実に
    終わりに向かっていると
    理解しながらの日々の暮らし
    諦念のムードが満ちているものの
    ささやかな幸せはきちんとそこにある
    すべての消滅後の世界はどうなっている?
  • そこに工場があるかぎり
    小川洋子の工場見学記。
    ネット記事やテレビの特番などで良く出てくる施設見学とは一味も二味も違うのは、小川洋子の教養と知性に根差す視線の面白さと優しさ、それに言わずもながの文章力。

    グリコにしても北星鉛筆にしても、小川洋子じゃなければ「はいはい、知ってます。もう観たことあります」で素通りしていると思...続きを読む
  • 妊娠カレンダー
    妊娠の時の感想は、本人も同性である未経験者も、そんな淡々としたものなのだろうと思う。

    男の側からは知る由もない。ただそういうものなのだろうと、ただ思う。という読後感でした。
  • 遠慮深いうたた寝
    「ふと」「到来もの」「赤ちゃんの耳の発見」など、きめ細かい観察力が生み出す小川洋子の世界です。どこか向田邦子の世界。小説よりエッセイのほうを優先して読みたくなります。
  • 薬指の標本
    夢のような、おとぎ話のような不思議な雰囲気。静かな空気感の中、現実と幻想が入り混じる。そして、怖い。
    薬指を欠損したわたしは、仕事を探すうちに不思議な標本室に出会う。依頼された物はなんでも標本にできるという弟子丸氏。イメージでしかない物、思い出も全てだ。その標本室で働く事になったわたしは、弟子丸氏と...続きを読む
  • ブラフマンの埋葬
    場所は日本なのか?登場人物は日本人なのか?それとも外国の話なのか?ブラフマンと名付けられた動物は猫なのか、野生動物なのか?最初から最後まで想像力をあちらへこちらへと働かせながら読書する絵のない絵本のような小説でした。
    人生経験を総動員して小説中の情景を想像する。その情景をこれまで見聞きした人物、生き...続きを読む
  • からだの美
    小川洋子さんの優しい痛みを伴うお話が好きで、よく読むんだけど。こちらは、お友達にお勧めしてもらったエッセイ。人間の体の部位をこんなにも美しく語れるなんて、さすが小川洋子さん。その中でも、「声」についてのエッセイが良かった。ここだけ、体の部位じゃないんだもんな。考えてみると、「声」って不思議。臓器で空...続きを読む
  • 遠慮深いうたた寝
    大好きな小川さんのエッセイ集。
    小川さんのあの不思議な小説たちは、こうやって生み出されていったんだな、と知れてよかった。
    やっぱり小説家の方々は、普段接している物事に対しての感じ方が私たちとは違うんだなーと思った。