小川洋子のレビュー一覧

  • 心と響き合う読書案内

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    どの本も読みたく&読み直したくなりますが、中でも武田百合子「富士日記」と「山月記」。

    「100万回生きたねこ」の章で、佐野洋子さんの言葉として「どんなに幼くして死んだって、それはその子の人生なのよ。それで完結しているのよ」と担当の出版社の人が綴っている、と紹介していますが、ほぼ同じことを確かサルトルが年若い友人が亡くなった時に言っていた、と私は記憶しているのですが。私の記憶が違っているのか、それとも洋を越え時間を越えて、佐野洋子さんとサルトルが同じことを思っていたのか。
    いずれにせよ、「100万回生きたねこ」は「生と死を全うした存在として人を見送る」こと、そして生は死を含んで成り立っているこ

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    2011年06月25日
  • 心と響き合う読書案内

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    人間が虫になることよりも、さらに不気味な不条理を描いている『変身』(カフカ)。
    言葉では書けないことを言葉で書いた『風の歌を聴け』(村上春樹)。
    「自分のために詠まれたのでは」と思える歌が必ずある『万葉集』…。
    小川洋子さんと一緒に、文学の喜びを分かち合いませんか?
    本書では未来に残したい文学遺産を52編紹介します。
    若い方にとっては最高の文学入門。
    「本の虫」を自認する方にとっては、新たな発見が必ずある作品論です。
    人気のFM番組「Melodious Library」、待望の書籍化。

    [ 目次 ]
    第1章 春の読書案内(『わたしと小鳥とすずと』金子みすゞ-一個人の感情を越えた

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    2011年04月21日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    エッセイ集。数学のこと、アンネ・フランクのこと、犬のこと、阪神タイガースのこと、そして小説を書くということについて述べられています。小説に対する真摯な姿勢が胸を打ちます。読むこちら側も背筋が伸びる思いです。しかしかと言って堅苦しくないのは、作者の持つ人柄と清楚な文章のおかげでしょうか。やはり小説を読むというのは、この上ない贅沢な悦びなのですよ。

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    2010年08月17日
  • 博士の愛した数式

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    よかった!!ずっと気なっていたものの小説やビデオは時間がかかると思っていたら、漫画ででていたので読んでみたら思いのほかよかったです。
    数式も本当に美しく見えてくるし。
    とにかくハッピーエンドが一番いいですね☆

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    2010年08月13日
  • アンネ・フランクの記憶

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    「アンネの日記」には感傷的な少女のアンソロジーというイメージがあり、実は読んだことがない。でも最近出た≪完全版≫をぜひ読みたくなった。いまだ読んだことのない私にも、圧倒的なパワーでアンネ・フランクの記憶をイメージさせる小川洋子さんの手腕は、凄いと思う。

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    2010年08月12日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    ゆっくりとした本が読みたくなってチョイスしました。
    ずっと積読していたのですが。

    アンネフランクにまつわるエッセイは
    『アンネ・フランクの記憶』が蘇ってきて
    涙腺がゆるみました。
    とにかく静かで、壊れ物を扱うように
    大切なものを取り出してくれるような文章であって、
    その文体と相まって「失われたもの」が描かれるので、
    どんな文章でも読んだ後に失くしたものを思って
    泣きたくなります。

    確か『アンネフランクの記憶』を読んだのは
    大学4年の夏、恐山に行く最中で、
    大湊線で…というところまで、こと細かに思いだせます。
    緑なすススキ畑と海の中をひたすら電車が進んでいったなあという
    時間とか情景とか、不

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    2010年04月30日
  • 妖精が舞い下りる夜

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    小説家のエッセイはその人の小説に対する想いが伝わり面白い。小川洋子の小説を書くという行為に対しての真摯な想いをひしと感じました。芥川賞の候補に選ばれてから、実際に受賞するまでのエピソードが面白いです。また阪神タイガースファンである筆者の「阪神カレンダー」に、小説とは別の側面を見ることが出来ました。

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    2010年03月26日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    この人の書く、文章の表わすもののうつくしさには毎回頭が下がります。
    日常の何気ない一瞬を、ほんとうにうつくしくうつくしく表現してあって、うつくしすぎて読みながら何度も涙ぐんでしまいました。
    次は小説を読みたいです。

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    2010年02月07日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    本や雑誌の山をずっと見て見ぬふりをしている。という一文を小川洋子は、「増殖する乱雑さを、見ないことによって許容する能力は、人よりずっとすぐれている自信がある。」なんて表現する。

    言葉をつなぎ合わせる能力、その表現力は圧倒的。彼女は言葉の魔法使いだ。

    温かく美しい言葉たちがここにある。

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    2010年01月20日
  • アンネ・フランクの記憶

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    私は恥ずかしながら、アンネの日記を全て読んだ事がありません。今まで読んでこなかった自分を本当にはったおしてやりたい。
    薄氷の上を歩くかのように、慎重に選び抜かれ、抑制された言葉で、語られるアンネ。こちらも思わず息を潜めて読み耽った。
    あえて語弊を恐れずに言うのなら、これは、ナチスとは、戦争とはなんだったのかを考えこませる、説教くさい本ではなかった。
    ただただ、アンネに会いたくなる本だったと思う。

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    2009年12月16日
  • 心と響き合う読書案内

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    心と響き合う読書案内 (PHP新書)
    (和書) 2009年09月19日 08:28
    小川洋子さんがラジオ番組で本を紹介ものをエッセイ風にまとめたものです。
    50冊ほどの本が取り上げられています。
    このうち私が読んでいるもの、知識があるものを羅列してみました。

    教科書的な作品。
    「山月記」中島敦
    「羅生門」芥川龍之介
    「檸檬」梶井基次郎
    「こころ」夏目漱石
    「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
    「走れメロス」太宰治
    「たけくらべ」樋口一葉

    古典文学。
    「おくのほそ道」松尾芭蕉
    「万葉集」
    「枕草子」清少納言

    現代作家の作品。
    「蛇を踏む」川上弘美
    「窓ぎわのトッ

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    2009年10月04日
  • 心と響き合う読書案内

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    2009.07.13. とても良質な読書案内。読みたい本がどんどん増えること間違いなし、でした。好きな人の好きな本を追いかけることに、幸せを感じるので。読んでみての合う・合わないは横に置いといて。

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    2010年03月20日
  • 心と響き合う読書案内

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    FMラジオ番組の書籍化とのこと。春夏秋冬の本の案内と巻末に放送時のBGM掲載。小川さん独特の読み方、感性がステキ。これを読むと名作にも手が出そう。20090526

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    2009年10月04日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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     一冊の本を読んで、この人の書いた本をもう一度読み返したい、それもすべて、なんて思える小説家は少ないのではないだろうか。やっぱり好きだなぁ、ぐらいで本を閉じることはあっても、そうそうこのかんじ、もっと味わっていたいのにもう終わってしまったものだから、別のあの世界にも飛び込みたい、と思えるような。小川洋子は自分にとってそういう小説家だ。

     そもそも、わたしは好きな小説家のエッセイを読むことがほとんどない。好きではないのだ。エッセイストで小説も好き、ならばあるのだけれど、好きな小説家のエッセイを読むと、だいたいがっかりしてしまう。そして、ああこの人の書いた小説が読みたいのに、と思うのだ。だから、

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    2009年10月07日
  • アンネ・フランクの記憶

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    アンネ・フランクという女の子が少し前、この空の続きの中で生きていた。小川洋子さんはひそかな心の友人でありつづけたアンネの、彼女の息づかいをしっているひとたちを訪ねていく。

    アンネは片方の髪がいつもうまくいかなくて気にしてた。
    隠れ家の階段をマルゴーと足音をしのばせて登る。
    幼い女の子がこっそり生きなければならなかったことを、ミープさんはよく憶えている。

    一家の世話をしつづけたミープさんがアンネ家にドイツ軍が踏み込まれたあと、守るようにアンネの日記を抱えてからふと化粧ケープもなにげなく一緒に助けた。ミープさんは手で触れてそばに置いている。アンネの手にしていた化粧ケープを小川さんが手で触れて感

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    2009年10月04日
  • 博士の愛した数式

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    BE LOVEで連載されてて読んでました。原作:小野洋子、絵:くりた陸
    記憶が80分しか持たない博士と家政婦、そしてその息子がほのぼのと描かれています。
    また数学の美しさが溢れてます。

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    2009年10月04日
  • 海

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    薄水色の妄想の世界をずっと歩かされているような気分になる。官能的なものであれ、少し笑えるものであれ、すごく淡くて遠い。小川洋子といえば薄気味悪い表現で、わたしはそれが大好きなんだけど、この短編はそのエッセンスは少し弱いかな。
    「バタフライ和文タイプ事務所」は読んでいて感嘆の息を漏らすくらい好きだった。薬指の標本と同じ空気。

    全体として、純粋な者との交流というのが一貫してあったと思う。「海」の弟、「風薫るウィーンの旅六日間」の琴子さん、「缶入りドロップ」の子ども、「ひよこトラック」の少女…。「バタフライ和文タイプ事務所」と「ガイド」はメインの登場人物2人ともに純粋さを感じた。その純粋さには現実

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    2025年12月21日
  • 博士の愛した数式

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    「博士の愛した数式」と過去形になっているように、また"私"が時々回想するように語るのでどこかの時点で博士なる人物がいなくなることは予想していた。でもその消失は心に重く刺さるものではなく、流れの中の必然と受け止めることができた。
    日々の彩りをこんなに鮮やかに描けるものかと感嘆してしまう。数字を通したつながりは彩りに満ちたものだった。残念ながら私は数字に弱く、計算なんてもってのほかな人間であるので計算式や数字の関係性について、美しさを見出すことが出来なかった。そしてまた野球に対しての情熱も数字と同じような熱量である。それでも博士と私、ルートのと間にあった偶然の数字達はかけがえの

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    2025年12月21日
  • 世にも美しい数学入門

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    中学生、高校生などがこれを読んだらかなり勉強熱心になるのでは、と思う。
    そんな時代に読みたかった本。
    数学の疑問について調べたくなる癖が着くと思う。
    対談形式なので読みやすい。

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    2025年12月20日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    『押し潰されそうに耐え難い、大きな岩石のような苦しみが、言葉というかたちをとることで頭の上から足元へと移動し、重荷から、その人自身の土台へと変わる。悲しみや苦しみはけっして消えないけれども、置き場所を変えることはできる』

    言語化することの意味やその効力の強さを学ぶことが多い1冊だった。

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    2025年12月20日