小川洋子のレビュー一覧
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ネタバレ静寂の中で研ぎ澄まされる、記憶の断片
イヤホンを忘れ、電車の騒音の中でページをめくり始めた。しかし、読み進めるうちに周囲の音は消え、脳内には物語が持つ「ひんやりとした空気感」だけが満ちていった。音楽がないからこそ、一文一文が驚くほど滑らかに頭に入ってくる、贅沢な読書体験だった。
物語は、亡くなった調香師の記憶を辿る旅。劇的な恋愛に発展するわけでも、大きな事件が起きるわけでもない。ただ、人はこの世を去っても、誰かの中に「記憶」として残り続けるのだという事実を、小川洋子さんらしい静謐な筆致で描き出している。
特に印象的だったのは、西日がガラスに反射する温室の描写だ。土と葉と花が混じり合った、湿り気 -
Posted by ブクログ
ネタバレあ〜〜好みぶっ刺さり小説。江國さんのひとりでカラカサさしてゆくに読後感が似てる。冒頭で、凄惨な最期を迎えた人々が残した物語であることが明かされるので、言いようのない切なさが全編漂う。わたしが好きだった話は、
•大家の偏屈おばあさんとビスケット並べる話
•公民館で細々と行われている集会や会合に参加する男性の話
•おじいさんが作るヤマネのぬいぐるみをお守りにしている男性の話
自分で書いててなんだそりゃと思ったけど本当にそういう話なんです笑
どんな最期を迎えた人にも、きっとその人の心にずっと残り続ける大切な記憶や思い出があったんだなと、そう思って泣きたくなる宝物みたいなお話たちだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本をたくさん知りたい中でやはり読みたいと思った一作。
長い年月の関わりのように思えるのに、実は一年の数ヶ月内に行われた思い出がぎゅっと纏まっていた。
人の関わりの時間はとても濃く短いものだと思いました。
博士の深い子供に対する愛は感動して
なんて慈悲深い人なのだろうと感じました。
最終、ルートは数学の教師へ道を進めると知った時の博士の嬉しさはもう計り知れないでしょう。
とても美しい物語だと感じました。
数学が得意ではなかった私にとって中学、高校の時に読んでおきたかったなと思った作品でした。
声に出して、直感で楽しむことを教えてくれました。 -
Posted by ブクログ
算数は分数でズッコケました
ってなことで、小川洋子の『博士の愛した数式』
算数が苦手なわしは数式ってタイトルが入ってると手が震えて手が中々出なかったけど、良い本ってのは知ってたから積読してたけど、丁度出張のお供が少なくなってこの子が待ってましたと、わしをニッコリ見つめている様な感じがして連れ出す事に。
ブルブルと震える手でページを捲るとなんだか優しさが溢れる文面に惹き込まれちゃう。
小川洋子さんはホテルアイリスしか読んでなくて、ちょっと難しいってイメージがあったけど、これは愛に満ち満ちてて、グッとくる良い本じゃったね。
√もええ子じゃし、数字や -
Posted by ブクログ
ネタバレ帯に300万人が泣いた!とデカデカと下品に書かれており、なんだこれと思ったのが最初の印象。
見事に覆された。
あまりにも儚くて、脆くて、切なくて美しいお話しだった。それでも確かに存在していた関係に、静かに心を打たれた。
記憶が80分しかもたない博士。
シングルマザーの家政婦と、その息子・ルート。
三人が、数学と阪神を通して、静かに関係を結んでいく物語。
小川洋子さんの描く「数学の美しさ」に心酔していく登場人物たち。そのまなざしや、ふとした仕草に宿る感情の揺らぎ。ものや人の機微を、ここまでやさしく、繊細にすくい取れるのかと、ただ圧倒され続けた。
博士は子どもに対して決して上から教えない。大人