小川洋子のレビュー一覧

  • サイレントシンガー

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    リリカは野辺にいるサイレントシンガー。題名の意味はわかっていく。とても静謐な守られている場所。
    美しい歌が目立つことはない、そのことがこの物語をシンプルかつ美しいものにしているように思えた。

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    2025年11月18日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    小川洋子さんらしい、静かで美しく少し残酷で、季節で言えば晩秋。でもなぜか温かみを感じるお話でした。
    手元にずっと置いておきたい小説です。

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    2025年11月13日
  • 完璧な病室

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    博士の愛した数式が良かったから他の読も〜と思って、小川洋子が好きという人からおすすめされて読んだ。短編です。けど、4つあるうちの3つは苦手だった。(冷めない紅茶は良かったよ)
    はっきり言うと胸くそ系だと思う。でも、主人公の心の中で思っていることや自分が嫌悪する世界を見る視線の残酷さ、悲しいことに、認めたくないんだけど、それはどこかで知っている気がする。それを言語化して突きつけられると、だとして何?って言いたくなってしまう。自分の中に心当たりがあるが故にこうやって怒りのような気持ちが湧いてくるんだと思う。不快感、というか不愉快感?
    はぁ〜、まじでここまで変態性を描かれてしまうと暗い気持ちになるよ

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    2025年11月13日
  • ミーナの行進

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    小川洋子さん特有の、品のある美しい表現と、淡々と描かれる情景の中にある優しさや温かさが、沁みました。
    私は、小川洋子さんの、冷たくて少し怖いくらいの描写や物語が好きだったし、その毛色の小説しか読んでなく、どことなく末恐ろしい結末を予想していたので、それが覆されて嬉しい発見だった。

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    2025年11月09日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    消滅を受け入れていく人々に、悔しさからくる怒りのような感情が湧いた私はR氏側なのだと思う。
    でも、年老いていつか記憶というものが不確かになって、身体が自分のものではないように感じた時、すべてを静かに受け入れていくというのもまた1つの方法なのではないかとも思った。
    そうなるまで、消滅のない私は、忘れてしまったことを時々思い出しながら、記憶を大切に日常を送ろうと思った。この先の人生で何かを失ったら、「密やかな結晶」は誰にも奪えないことを思い出したい。
    ナチスやコロナ禍の社会を元に込められた壮大なメッセージはもう少しじっくり考えてみたいと思う。

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    2025年11月01日
  • 遠慮深いうたた寝

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    私たちに近い日常も、小川さんの目を通すと全く違う世界が広がり、偶然居合わせた一瞬にさえ光を見出す。その眼差しが見つめる先から新たな物語が始まるのだとわくわくが止まらない。
    まるで短編集のような珠玉のエッセイ。

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    2025年10月28日
  • ミーナの行進

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    『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』『ブラフマンの埋葬』を過去に読んだことあり。ブラフマンがかなり純文系で、以降あまり手に取らず。久々に手に取った。

    いい本だった。やはり作家の書く文章に限る。半端な訳者の文とは読みやすさが違う。

    西の魔女よろしく、田舎での素敵な思い出が綴られた形式の作品。日常のちょっとした所作や会話に光を当てて、美しさを感じさせる文章だった。

    ちょっと自分でもやってみる。


    好きな季節というものが決まっていなかったのだが、今年で明確に「秋」になった。

    仕事から逃げるように、金曜日の午前中に、メトロにのって江戸川の汽水域に。太陽光をキラキラと跳ね返す川面を眺めな

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    2025年10月26日
  • 薬指の標本

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    封じ込めること、分離すること、完結させることが、ここの標本の意義だからです。
    繰り返し思い出し、懐かしむための品物を持ってくる人はいないんです」

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    2025年10月18日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    好きな本。とにかく、装丁から世界観がとってもよい。どこを読んでも小川洋子さんの世界。当たり前なんだけれど、言葉の紡ぎ方と展開にハッとさせられながら、とても安心する。

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    2025年10月16日
  • サイレントシンガー

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    アカシアの野辺に住む人たち、そしてリリカのこと。きっといつか忘れてしまう、でもそれでいいのだろう。

    少しの隙間に潜むおどろおどろしさや、日々の暮らしの傲慢さ、加えてとても綺麗な結晶のようなものを見せてくれる。

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    2025年10月14日
  • 密やかな結晶 新装版

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    すきな温度と湿度。
    たいせつなものが消滅してしまうのは、いや。
    わすれてしまうから、へいき?
    どんどん箱が小さくなって、透明。
    消えても、消えないことが、
    わたしたちの心をささえているのに。

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    2025年10月12日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ある小さな島では物が次第に消滅されてしまう。そして完全に記憶から消されていく。貴重な絆、思い出が容赦なく破壊される。しかし逆に忘れない人も存在している。決して従わない。秘密警察がどんなに怖くも、自分の尊厳を失わない。
    つまり誰にも奪われはしないものはまさに密やかな結晶である。

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    2025年10月12日
  • ブラフマンの埋葬

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    犬でも猫でもない謎の生き物である「ブラフマン」がとても愛おしい。人物や場所の名前が「ブラフマン」以外に出てこないのも特徴で、その為か、現実感に乏しく幻想的な雰囲気がある。好きだけど悲しい。

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    2025年10月11日
  • サイレントシンガー

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    内気な人々が集まり生活する集落で、赤ん坊の頃から育った女性が主人公。

    一般社会の騒々しさに疲れ、言語を操ることなく、特別な指言葉で必要最低限のコミュニケーションをとる人たちの生活は、極端に慎ましく静かだ。
    自分の色を出さない、どこにでも自然に溶け込んでしまう歌声をもつ主人公は、そのコミュニティが心地よく自分の居場所と感じている。

    『新潮11月号』に、小川洋子と角田光代の対談があり、本作品を話題にしていた
    興味深かったのは、作者が金光教の信者であるり、幼い頃は教会の離れで暮らしていたという点。作中の野辺のように、血縁に頼らず安心できるコミュニティに憧れがあると言う。
    この作品に限らず、作者の

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    2025年10月12日
  • 薬指の標本

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    この話に一切恐怖心が湧かず、親愛感すら湧いてくる事が怖い。いつの間にかそちら側に取り込まれている感じがする。

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    2025年10月10日
  • ミーナの行進

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    主人公の朋子が従妹・ミーナとその家族とカバ・ポチ子と過ごした1年間。裕福でおばあさんがドイツ人で、少し変わった家族たちとカバのポチ子。何が起きるわけでもない家族たちの日常ひとつひとつが宝物のように大切に描かれていてなんだか懐かしい気持ちになる。歪んだ心の持ち主などが一切でてこない本当に美しい物語。読んでよかった。

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    2025年10月10日
  • 掌に眠る舞台

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    とても良かった。一つ一つの短編に、それぞれ異なる美しい世界が広がっていた。装丁も美しい。装画はヒグチユウコさん。

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    2025年10月09日
  • 不時着する流星たち

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    ネタバレ

    ヘンリー・ダーガー他、過去の人たちのエピソードから
    インスパイアされ書かれた10の作品。
    とても小川さんらしさに溢れた短編集。

    母乳ババロアをこんなにさらっとそこに自然にむしろ必然的に
    あるように書けるのは小川さん以外いない、と思います。

    過去の人たちのエピソード自体も面白く
    装丁もとても良かったです。断然文庫派なので
    文庫待ちですが違う絵になってしまってたら
    ハードカバーを買うかも。。

    2025年10月7日再読
    結局文庫を購入しました。

    1度目のときに書いた「母乳ババロア」が書かれた作品で
    「再読だわ…」と思い出しました。

    誘拐の女王
    主人公よりお姉さんのその後が気になります

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    2025年10月07日
  • ミーナの行進

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    朋子が過ごした立派なお屋敷ではないけれど、子どものころ、一時期祖母の家で過ごした日々が、今でも色濃い思い出となっていることを、改めて感じました。

    朋子にもミーナにも、伯父や伯母、ローザおばあさん、米田さんに小林さんにも、朋子の母にも、そしてポチ子にも心のどこかに影はあって、それでも、温かく過ごした日々を想像すると涙が滲みます。

    そして、いつか来るお別れも、すべてが消え去ってしまうわけではなくて形をかえるだけなのだと思うと、私自身にも必ずいつかは訪れる様々な人との別れ、自分自身との別れ(本作を読んだあとでは、別れという表現は違う気がしますが)が、恐ろしいものではないのかも知れないなと思うこと

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    2025年10月07日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    敬愛する御二方の対談は、読めども読めども、自分自身の未熟さばかりを思い知らされるものだった。どのように生きれば、人とこのような対話を交わせるようになるのか。。。10年後の自分よ、その片鱗でも分かるようになっていて欲しい...!

    とりわけ小川洋子先生のあとがきからは、小川先生のお人柄が文章からこれでもかと伝わり、随所でうっとりとしてしまう。
    内容もさることながら、まるで水面にしとしとと降る静かな雨のように、優しく、美しく、やわらかな日本語が、体に染み渡っていく。

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    2025年09月29日