小川洋子のレビュー一覧

  • 博士の愛した数式

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    温かいと感じた。人との触れ合いだとか向き合い方だとか生活する姿のどれもが穏やかで温かい気がした。

    数学者や野球選手は別として、登場人物の名前が誰一人として出てこないのがどことなく数学に近い匂いを感じる。普遍的というか抽象的というか……。

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    2026年05月29日
  • 劇場という名の星座

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    建て替えのために長い眠りに入る帝国劇場に捧げられる一冊。
    舞台で役者が作り出すドラマと、舞台以外の場所で生み出されている、「帝国劇場」に関わる人たちのドラマ。
    劇場は、もう二度と同じ場所に集まることのない人たちが同じ時間を過ごす、一期一会の場所。
    けれど、人々は劇場を巡る不思議な糸でつながっているのかもしれない。

    舞台を作り上げるために働くたくさんの人たちの存在も知った。
    様々なミュージカル作品について触れられているのも、魅力である。
    芝居というものは、どうしてこうも人々を惹きつけるのだろうか。
    光の当たっている舞台の上と、その外に広がる闇とは、架空と現実の対比かもしれない。
    舞台で演じられ

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    2026年05月27日
  • 博士の愛した数式

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    ネタバレ

    また一つ名作を読み終えてしまった。

    80分しか残らない記憶って寂しいけど
    時間は連続してる訳で
    例えば野球を見始めて90分経ったら
    見始めた時のことは思い出せなくても
    10分経った頃のことは覚えてるのでは?とか
    なんか素朴な疑問もあったりしたけど
    まあそこは置いといて

    数学の話は難しいところもあったけど
    数字を愛でる博士ごと数も愛する主人公が素敵だった
    あんなにキラキラ輝いた数字を感じたのは初めてだった
    博士が身近にいたら、そら数学好きになるわな
    私もなったかな なーんて

    いつまで経っても新しく家政婦の主人公と息子は覚えてもらえないけど
    連続した時間は確かにそこにあって
    博士が覚えてなく

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    2026年05月24日
  • 博士の愛した数式

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    愛に溢れた物語。
    私、博士、ルークがお互いに愛情と敬意を持って接している関係性がとても素敵だなぁと思いました。博士がプレゼントを受け取るシーンが特に好きです。
    優しさや思いやりを忘れてしまいそうな時に読み返したい本です。

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    2026年05月24日
  • ブラフマンの埋葬

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    美しく、そして悲しい物語だ。
    森、泉、果てしなく広がる草原。これ以上ない大自然の中に「創作者の家」があり、あらゆる芸術家がそこを訪れては楽器を演奏し、小説を書き、編み物をしては帰って行く。「僕」はそこに住み込みで創作者達のお世話係をしている。ある日、母親からはぐれて傷ついた動物が迷い込んできたのを保護し、「ブラフマン」と名付けた。そこからが僕とブラフマンの濃密な生活の始まり。僕はこよなくブラフマンを愛し、かわいがり、ブラフマンは僕を慕い甘える。寝る時は存在を確かめるように尻尾を絡め、姿が見えないと不安がる。もう可愛くて仕方がない。犬とおんなじ。でも犬じゃないんですよね。犬のように賢いけど水かき

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    2026年05月24日
  • 科学の扉をノックする

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    もっと早く読みたかった!素晴らしい本です。

    私も文学部出身なので、科学者の方々の思想や思考にはとても興味がありつつも、きっと自分には理解できない範疇なんだろうって、諦めていました。伝記を読むくらいしかしてこなかったかな。
    そりゃあ土台も何も無いのにいきなり論文を理解しようなんて無謀ですが、今回小川洋子さんのアプローチで見事に私も科学の扉まで辿り着けた気がしています。(そう思い込む事がきっと大事だし楽しいです♪)

    7人の方々の好奇心、探究心、そして人間はまだまだという謙虚な姿勢、とても感動しましたし、お話の一つ一つも本当〜に面白かった。
    虚数の話、高校一年の時に聞きたかったです、数学を敬遠し

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    2026年05月23日
  • 密やかな結晶 新装版

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    引き込まれてどんどん読んでしまう、怖い童話のような物語。でも、不思議とすべてが美しく、静かで、怖ろしくない。いや、あたたかささえ感じる。

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    2026年05月20日
  • 小箱

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    多分小さな子供、胎児ないし大人の生殖能力に感染する病かなにかが流行って残された大人だけが未来が閉ざされた世界で細々と暮らし続ける話、なのかしら。もう子供が育たない産まれないとなれば物理破壊の災害がなくても社会は廃れていくのでしょう。犯罪も大して無さそうで、昔は荒れたこともあったけど今はやったところで...という諦観が乾いた砂のように降り積もる世界。その中で唯一の未来の拠り所がガラスの箱だった。
    しんみりと読んでいたらいきなり(いきなりでもないが)えろいことが始まったので面食らったが、生殖を伴わない睦事とはこういうことか…という気持ちで読んだ。

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    2026年05月20日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    ネタバレ

    生まれつき唇に不具合を持つ少年がチェスに光を見出す。

    デパートの屋上の象のインディラ、プールの水死体、バスの家に住むマスター、そこかしこに死が纏わりつく中で少年は体格は少年のまま青年に、チェスで生きていくようになる。

    現代のおとぎ話のような。圧倒的。

    文庫の裏表紙に「小川ワールドの到達点を示す傑作」とありますが本当にそうなのかもしれない。ずっと積んでおいたんですがとうとう読んでしまった。読んでしまったね…、と思わせてくれる作品。個人的にこれを超える作品ってそうそう無さそう。

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    2026年05月20日
  • 海

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    静かで無駄のない
    まっすぐな
    文章が読みたくなって選んだ本。
    間違いなかった。
    大きな出来事は何もなく
    ただ人と人の交流を
    冷静に見つめ
    簡素な言葉で
    そのまま紡いでいるだけなのに
    記憶という
    やさしい毛布に
    くるまれているような心地だった。
    「ありふれた言葉にこそ
    真実が宿っているんだ」
    そんな言葉たちに
    背筋をしゃんと伸ばされる。

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    2026年05月19日
  • 博士の愛した数式

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    博士とルートと私の掛け合いが楽しい。
    暖かい気持ちになった。小川さんの文章は上品だけど吸収力がいいと思った。

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    2026年06月07日
  • 劇場という名の星座

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    帝国劇場を愛する者として、どうしても読みたかった!

    あの空間で感じたあらゆる気持ちが、決して難解ではないのにまさにこれだ、と思えることばで綴られていて、今は無いあの帝国劇場での景色が蘇った。

    帝国劇場とは、何故あんなにも人を惹きつけるのだろう。短編集の中で、さまざまな人間が各々の役割で、各々の思いを胸に、帝国劇場との関わりを持つ。自分が過ごした帝国劇場との思い出と重ね合わせ、胸がいっぱいになった。

    帝国劇場での作品を作り上げる人、受け取る人、すべての人が集まり、星座となる。優しさと希望に溢れた短編集だった。一生の宝物にします。

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    2026年05月14日
  • 科学の扉をノックする

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    素晴らしい一冊でした。

    科学に対する小川さんの姿勢が素敵すぎる。
    テーマは「宇宙」、「鉱物」、「遺伝子」、「スプリングエイト」、「粘菌」、「遺体科学」、「肉体生理」。
    それぞれの専門家に小川さんがインタビュー。
    わかりやすい解説だけれど、それだけでは終わらない。
    科学を通して、それぞれの人生、生き方が描かれている。
    これからの自分の生き方が変わってきそう。

    この本もみんなに読んでもらいたい一冊です。

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    2026年05月14日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    窮屈な場所で限りの無い思考の世界に入り込むお話。

    おばあちゃんの布巾や唇の脛毛など
    みんな少し気になるポイントがあるけど
    それが愛着に変わるのが不思議。

    響いた。

    2026.05.04-64冊目/年

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    2026年05月12日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    「生きる意味」は?と聞かれて「死ぬまで生きる」と答える人生を歩んできました。多分そこには「自分らしい人生」をおくる、という物語があった気がしました。
    人の命は短く、ままならない。その中に自分だけの物語を紡ぐことが全ての人に、必要なのだと、改めて考えさせられました。
    そして、架空の良質な物語を紡ぎ出す、小川さんをはじめとする文筆家の魔法で、我々は日々生きているのだと、感謝です。

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    2026年05月10日
  • ブラフマンの埋葬

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    小川洋子先生。今回も小川フレグランスが
    まかれまくりです。オサレな読みモノ( ´ ▽ ` )

    日常の世界にファンタジーのエッセンスが、
    ほんの少し振りかかっているんです、ほんの少し、それがいい。不思議の国のアリスまでのファンタジーは私には楽しめない。装画を愉しめたらめっけもんくらいです。

    本作の舞台は、モノづくりをする人が
    ゆっくり創作できる「創作者の家」。
    主人公はそこの管理人。
    この舞台が海外のヴァカンスをイメージさせて、読み手からしたら非日常な空間。
    極めつけは、登場人物に名前がない。
    なのに、不思議と存在感があり
    読みやすいし、魅力的。

    そして謎の生き物「ブラフマン」。
    犬、猫ぽ

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    2026年05月11日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    冒頭2ページで本書との出会いに感謝した。これほど優しく、力強く、美しく、哀しく、心に染みるような不思議な魅力を持つ小説はまれ。勝負よりも美しい棋譜を残す大切さ。チェスを知らずとも小説の世界に没頭できる。ただ、チェスを打つ人が羨ましい

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    2026年05月09日
  • ことり

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    恵比寿の有隣堂で、鳥の本の特設コーナーがあり、ことりが好きなので購入。
    ことりのおじさんとおじさんのお兄さんが静かに二人暮らしをしているわ。おじさんが園の鳥小屋を丁寧に掃除する。どうかこのまま誰にも邪魔されない暮らしが続きますように、と祈るような気持ちでページをめくりました。

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    2026年05月09日
  • 凍りついた香り

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    ネタバレ

    静寂の中で研ぎ澄まされる、記憶の断片
    イヤホンを忘れ、電車の騒音の中でページをめくり始めた。しかし、読み進めるうちに周囲の音は消え、脳内には物語が持つ「ひんやりとした空気感」だけが満ちていった。音楽がないからこそ、一文一文が驚くほど滑らかに頭に入ってくる、贅沢な読書体験だった。
    物語は、亡くなった調香師の記憶を辿る旅。劇的な恋愛に発展するわけでも、大きな事件が起きるわけでもない。ただ、人はこの世を去っても、誰かの中に「記憶」として残り続けるのだという事実を、小川洋子さんらしい静謐な筆致で描き出している。
    特に印象的だったのは、西日がガラスに反射する温室の描写だ。土と葉と花が混じり合った、湿り気

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    2026年05月09日
  • 海

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    短編集だけあってノイズなく読みやすかったし穏やかな気持ちになれて良かった。バタフライ和文タイプ事務所は言葉遊びが面白い上品な官能小説だし、銀色のかぎ針は短くてシンプルなのに情景が浮かんで素敵、ひよこトラックの夜明け前の描写は息を呑むくらいの美しさだし、ガイドはストーリーとして完成されすぎていて脱帽した。小川洋子の作品は何作か読んできたけどやっぱりうつくしいなー。

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    2026年05月08日