小川洋子のレビュー一覧
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建て替えのために長い眠りに入る帝国劇場に捧げられる一冊。
舞台で役者が作り出すドラマと、舞台以外の場所で生み出されている、「帝国劇場」に関わる人たちのドラマ。
劇場は、もう二度と同じ場所に集まることのない人たちが同じ時間を過ごす、一期一会の場所。
けれど、人々は劇場を巡る不思議な糸でつながっているのかもしれない。
舞台を作り上げるために働くたくさんの人たちの存在も知った。
様々なミュージカル作品について触れられているのも、魅力である。
芝居というものは、どうしてこうも人々を惹きつけるのだろうか。
光の当たっている舞台の上と、その外に広がる闇とは、架空と現実の対比かもしれない。
舞台で演じられ -
Posted by ブクログ
ネタバレまた一つ名作を読み終えてしまった。
80分しか残らない記憶って寂しいけど
時間は連続してる訳で
例えば野球を見始めて90分経ったら
見始めた時のことは思い出せなくても
10分経った頃のことは覚えてるのでは?とか
なんか素朴な疑問もあったりしたけど
まあそこは置いといて
数学の話は難しいところもあったけど
数字を愛でる博士ごと数も愛する主人公が素敵だった
あんなにキラキラ輝いた数字を感じたのは初めてだった
博士が身近にいたら、そら数学好きになるわな
私もなったかな なーんて
いつまで経っても新しく家政婦の主人公と息子は覚えてもらえないけど
連続した時間は確かにそこにあって
博士が覚えてなく -
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美しく、そして悲しい物語だ。
森、泉、果てしなく広がる草原。これ以上ない大自然の中に「創作者の家」があり、あらゆる芸術家がそこを訪れては楽器を演奏し、小説を書き、編み物をしては帰って行く。「僕」はそこに住み込みで創作者達のお世話係をしている。ある日、母親からはぐれて傷ついた動物が迷い込んできたのを保護し、「ブラフマン」と名付けた。そこからが僕とブラフマンの濃密な生活の始まり。僕はこよなくブラフマンを愛し、かわいがり、ブラフマンは僕を慕い甘える。寝る時は存在を確かめるように尻尾を絡め、姿が見えないと不安がる。もう可愛くて仕方がない。犬とおんなじ。でも犬じゃないんですよね。犬のように賢いけど水かき -
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もっと早く読みたかった!素晴らしい本です。
私も文学部出身なので、科学者の方々の思想や思考にはとても興味がありつつも、きっと自分には理解できない範疇なんだろうって、諦めていました。伝記を読むくらいしかしてこなかったかな。
そりゃあ土台も何も無いのにいきなり論文を理解しようなんて無謀ですが、今回小川洋子さんのアプローチで見事に私も科学の扉まで辿り着けた気がしています。(そう思い込む事がきっと大事だし楽しいです♪)
7人の方々の好奇心、探究心、そして人間はまだまだという謙虚な姿勢、とても感動しましたし、お話の一つ一つも本当〜に面白かった。
虚数の話、高校一年の時に聞きたかったです、数学を敬遠し -
Posted by ブクログ
多分小さな子供、胎児ないし大人の生殖能力に感染する病かなにかが流行って残された大人だけが未来が閉ざされた世界で細々と暮らし続ける話、なのかしら。もう子供が育たない産まれないとなれば物理破壊の災害がなくても社会は廃れていくのでしょう。犯罪も大して無さそうで、昔は荒れたこともあったけど今はやったところで...という諦観が乾いた砂のように降り積もる世界。その中で唯一の未来の拠り所がガラスの箱だった。
しんみりと読んでいたらいきなり(いきなりでもないが)えろいことが始まったので面食らったが、生殖を伴わない睦事とはこういうことか…という気持ちで読んだ。 -
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小川洋子先生。今回も小川フレグランスが
まかれまくりです。オサレな読みモノ( ´ ▽ ` )
日常の世界にファンタジーのエッセンスが、
ほんの少し振りかかっているんです、ほんの少し、それがいい。不思議の国のアリスまでのファンタジーは私には楽しめない。装画を愉しめたらめっけもんくらいです。
本作の舞台は、モノづくりをする人が
ゆっくり創作できる「創作者の家」。
主人公はそこの管理人。
この舞台が海外のヴァカンスをイメージさせて、読み手からしたら非日常な空間。
極めつけは、登場人物に名前がない。
なのに、不思議と存在感があり
読みやすいし、魅力的。
そして謎の生き物「ブラフマン」。
犬、猫ぽ -
Posted by ブクログ
ネタバレ静寂の中で研ぎ澄まされる、記憶の断片
イヤホンを忘れ、電車の騒音の中でページをめくり始めた。しかし、読み進めるうちに周囲の音は消え、脳内には物語が持つ「ひんやりとした空気感」だけが満ちていった。音楽がないからこそ、一文一文が驚くほど滑らかに頭に入ってくる、贅沢な読書体験だった。
物語は、亡くなった調香師の記憶を辿る旅。劇的な恋愛に発展するわけでも、大きな事件が起きるわけでもない。ただ、人はこの世を去っても、誰かの中に「記憶」として残り続けるのだという事実を、小川洋子さんらしい静謐な筆致で描き出している。
特に印象的だったのは、西日がガラスに反射する温室の描写だ。土と葉と花が混じり合った、湿り気