小川洋子のレビュー一覧

  • 劇場という名の星座

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    舞台は1公演1公演が、誰かにとって特別な時間を作っている。帝国劇場ともなれば、沢山の特別が詰まっていることだろう。なんでもないシーンが、不意に自分の思い入れと重なる素敵な作品だった。
    2030年のリニューアルオープンが待ち遠しくなった。

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    2026年06月15日
  • からだの美

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    作者の思う「からだの美」独特の視点、その部分の捉え方、動作の一瞬の切り取りの表現が的確で素晴らしい。その場面から発展される思考の広がり…好きです。体や動作、痛みや感覚というものは言語化が難しいと感じます。さすが小川洋子先生、丁寧で分かりやすい、すっと文章が入ってくる。私は声・中指・ふくらはぎ・骨・腕・体の章が特に素敵でした。この本、好きすぎる。手元に一生置いておきたい一冊です。

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    2026年06月14日
  • 最果てアーケード

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    ネタバレ

    小川洋子さんは他人から見たらギョッとするような気持ち悪いことを当事者は愛しているみたいな情景がうますぎる。

    遺髪レースも最初は気持ち悪いと思ってしまったけどだんだん私も作りたくなってしまった。

    何か気持ち悪いのに何かほっこりする不思議な読書体験。

    後終わり方もいい。私が言葉であらすじを伝えても狂気としか思われないが実際に読んだ人なら理想だと思えるのでは

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    2026年06月14日
  • 博士の愛した数式

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    とても暖かい文章。ルートと博士のまるて親子の会話が生んでいる、母との確執が出たシーンも、博士の前でのふるまいの約束もとてもいじらしくリアル。

    数学を愛する表現は難しくなくいいエッセンスだが、本当に愛した数式は何を意味しているのか?またNとの関係にも余白が多く考えさせられる。

    帯に「300万人が泣きました」とありました。折角の良書を稚拙な表現でチープにしてしまっているような。帯の意味をなしていないような。

    一番ぐっとくるのはルートの誕生会の最後のシーンでした。

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    2026年06月14日
  • 博士の愛した数式

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    短期記憶障害のある元数学者の「博士」とそこへ家政婦として雇われた「私」と私の息子「ルート」の優しい物語。博士の数学の蘊蓄を自分でも理解しようと努める「私」とルートが愛おしい。そして数字の面白さをちょっと味わうこともできる。小川洋子は「密やかな結晶」以来2冊目だが、どちらも記憶を失うことが中心テーマ。私にとっては「博士の愛した数式」のほうがしっくり来る話だった。


    実際に短期記憶障害のある人のドキュメンタリーを観たことがある。イギリスの元学者の話だったが、この物語に出てくる博士のモデルになったのではないかというくらい。体中にメモを貼るということはしていなかったが、メモ帳に覚えておきたいことをい

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    2026年06月13日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    映像じゃないのに、ひたひたと伝わってくるこの静けさの正体はいったい何なのだろう。

    言葉少ない主人公にも関わらず、たくさんの愛をもらい、与える姿に夢中でした。

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    2026年06月13日
  • 密やかな結晶 新装版

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    小川洋子の作品はあまり読んだことがなかったが、本屋で装丁とあらすじに惹かれて購入。

    最高傑作。読むことをお勧めしたい。

    舞台はとある島(架空の島だが、描写的にかなり日本的だと思った)。この島では、鳥、香水、春(季節)、左足など記憶が少しずつ消滅していく(記憶の消滅というのが少しややこしく、概念自体が消失するわけではなく、それ自体を思い出せなくなり、またそれを見たとしても、それに関する思い出を想起したり、使用用途・目的、どのような物だったかを具体的に把握することができなくなるし、興味も湧かなくなるというのが近いかな、、、ちなみになぜ記憶が消滅するのかは描かれない。それは超常現象・災害にも近い

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    2026年06月13日
  • ブラフマンの埋葬

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    一つ一つの風景が淡い印象で
    キレイに流れていく感じでした。
    その中でも娘の登場が何となく色が濃く
    何かありそうな気配でした。
    最後の結末で、全体の淡い色が
    強め絵の具で、塗られたような、、。
    でも、ホルンの音と、レースのおくるみが
    また、淡い色に戻してくれた。
    小川先生の作品は、2冊目ですが
    本当に後から、ジワジワと残ります。

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    2026年06月12日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    最初は退屈かもしれないと思いながら読み進めていましたが、気が付いたら、とても静かな世界に引き込まれていました。大切な本のひとつになりました。

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    2026年06月11日
  • そこに工場があるかぎり

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    普通の工場でも
    小川さんのまなざしを通してみると
    かけがえのないもので輝いて見えてくる。

    知識としては知っていたことでも
    改めてその価値を教えてもらえるし、
    まったく知らなかった価値も知ることができる。

    いくら機械化されていても
    日本人らしい職人技はどこにでも息づいていて、
    自分のようにガバガバの感覚と思い通りにならない手先(障がいというわけではない)(ただの不器用)だとどうにもならない領域が多いことを改めて知らしめられたりもする。

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    2026年06月09日
  • 琥珀のまたたき

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    大きな庭と古い館の中で、そっと声を小さくして、紡がれる、家族だけの豊かな時間。とらわれているようで、どこまでも自由で、美しく広く、深い世界を自ら編み出せる人たち。大自然のなかで、耳を澄まして、手を伸ばして、見えないもの、聞こえないものにまで触れようとする繊細な世界。

    もう少し大人になったら、荒々しい性の目覚めなどで、綻んでしまうのかもしれないけれど、その寸前までの時間が、琥珀の中にぎゅっと閉じ込められているみたい。
    美しい世界、堪能しました。

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    2026年06月08日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    チェスはルールぐらいしか知らないですが、タイトルに興味を持ったのと小川洋子さんだからという理由で手に取ってみました。
    チェスに詳しくなくても、物語の中で美しく描写されるチェスの世界はぐいぐいとこちらを惹き込み、魅了してくれる。

    チェスを通して大切な人たちと出会い、別れ、成長していく少年の一生が描かれている。象のインディラ、猫のポーン、少女ミイラ。チェスを教えてくれたマスター、老婆令嬢、総婦長。弟と、育ての親である祖父母。“リトル・アリョーヒン”。
    一人ぼっちだった彼は、生まれたとき閉じきっていた唇に代わり、チェスで人と繋がっていく。
    切なく物寂しい雰囲気が漂いながらも、優しい物語でした。マス

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    2026年06月07日
  • ミーナの行進

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    子どものころの感性を大人が再現するのはむつかしい。感動する閾値も違うし、そもそも物理的に見ている視点が違う。大人は、虫を見て仲間だと共通点を探すことはないし、星を見てその燃え尽きる瞬間に想いを馳せることもしなくなる。だから文学が必要なのだ。

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    2026年06月07日
  • 劇場という名の星座

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    ネタバレ

    この本、本当に良かった。帝国劇場に関わった様々な人を書く短編集。帝国劇場に行ったことのない私でも、まさにこの本の案内をするかのように「案内係」の世界を描く「ホタルさんへの手紙」から始まる物語の世界にどっぷり浸かるようにして読んでいけた。
    小川洋子さんの静謐な世界と観劇への愛、一見風変わりな、スポットの当たらない仕事を誠実に描き出す力が合わさって、素晴らしい短編集になっている。その人個人の物語と、演目の物語と、帝国劇場の持つ歴史が重層的に重なり合うところもすごい。小川洋子さんの物語の持つ一種の不気味さはちょっと影を潜めているけれど、演劇への愛が際立っていていいと思う。
    どの物語もとても良いので迷

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    2026年06月06日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    小さな命の塊
    人の身体を丸ごと抱き留める経験は、そうたくさんできるものではない。私も小さい頃、両親や祖父母や見知らぬ誰かに、抱っこしてもらったはずた。その記憶は残っていない。しかし、大人になっても、名前も知らず、これから二度と会う機会もないだろう誰かを抱っこすることが、こんなにも幸福なのは、思い出せない遠い記憶がかけがえのないものだからだろう。

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    2026年06月06日
  • 劇場という名の星座

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    2025年2月に一時休館した帝国劇場がモチーフとなった短編集。本の遊び紙が、帝国劇場を彷彿させる色でした。

    帝国劇場自体がプレゼントの入った箱のようで、中にはたくさんの働く人の矜持と素敵な出来事がつまっているような感じがしました。

    ひとつの舞台を作り上げるために、細かいところにまで手が届くような仕事があり、それを読むのが楽しかったです。

    帝国劇場を愛おしいと思う気持ちに満ち溢れた人たち、ひとりひとりにスポットライトを浴びさせたようなこの短編集、とても素敵でした。

    小川洋子さんの表現力で、帝国劇場への情熱が見事に表現されていました。

    私の本棚に、また一冊素敵な本が仲間入りしました。

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    2026年06月03日
  • 劇場という名の星座

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    演劇の舞台である劇場。その中でも長い歴史と大きなキャパシティーを持つ帝国劇場がこの連作短篇集の主役だ。収録された8篇には、観客や劇場スタッフ、俳優などが登場し、彼らの“特別な一日”が描き出される。演劇愛に満ち溢れた筆致で語られる物語はとても読みやすく、最近の小川さんの作品に感じていた難解さはなかった。
    帝劇は名前はもちろん知っているし訪れたこともあるが、そこで演劇を鑑賞したことはない。作中に登場するのは超有名なタイトルばかりで(観たかったな……)と思わされた。

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    2026年05月30日
  • 劇場という名の星座

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    建て替えのために長い眠りに入る帝国劇場に捧げられる一冊。
    舞台で役者が作り出すドラマと、舞台以外の場所で生み出されている、「帝国劇場」に関わる人たちのドラマ。
    劇場は、もう二度と同じ場所に集まることのない人たちが同じ時間を過ごす、一期一会の場所。
    けれど、人々は劇場を巡る不思議な糸でつながっているのかもしれない。

    舞台を作り上げるために働くたくさんの人たちの存在も知った。
    様々なミュージカル作品について触れられているのも、魅力である。
    芝居というものは、どうしてこうも人々を惹きつけるのだろうか。
    光の当たっている舞台の上と、その外に広がる闇とは、架空と現実の対比かもしれない。
    舞台で演じられ

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    2026年05月27日
  • ブラフマンの埋葬

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    美しく、そして悲しい物語だ。
    森、泉、果てしなく広がる草原。これ以上ない大自然の中に「創作者の家」があり、あらゆる芸術家がそこを訪れては楽器を演奏し、小説を書き、編み物をしては帰って行く。「僕」はそこに住み込みで創作者達のお世話係をしている。ある日、母親からはぐれて傷ついた動物が迷い込んできたのを保護し、「ブラフマン」と名付けた。そこからが僕とブラフマンの濃密な生活の始まり。僕はこよなくブラフマンを愛し、かわいがり、ブラフマンは僕を慕い甘える。寝る時は存在を確かめるように尻尾を絡め、姿が見えないと不安がる。もう可愛くて仕方がない。犬とおんなじ。でも犬じゃないんですよね。犬のように賢いけど水かき

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    2026年05月24日
  • 科学の扉をノックする

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    もっと早く読みたかった!素晴らしい本です。

    私も文学部出身なので、科学者の方々の思想や思考にはとても興味がありつつも、きっと自分には理解できない範疇なんだろうって、諦めていました。伝記を読むくらいしかしてこなかったかな。
    そりゃあ土台も何も無いのにいきなり論文を理解しようなんて無謀ですが、今回小川洋子さんのアプローチで見事に私も科学の扉まで辿り着けた気がしています。(そう思い込む事がきっと大事だし楽しいです♪)

    7人の方々の好奇心、探究心、そして人間はまだまだという謙虚な姿勢、とても感動しましたし、お話の一つ一つも本当〜に面白かった。
    虚数の話、高校一年の時に聞きたかったです、数学を敬遠し

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    2026年05月23日