小川洋子のレビュー一覧

  • 薬指の標本

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    独特の世界観と丁寧な描写で読む手が止まらなくなる1冊。

    本のタイトルにもなっている薬指の標本が特に好きでした。タイトルからしてグロ注意作品なのかな、と少し気構えて読み始めましたがグロさは感じられなかったので安心して読めます。
    テンポが良く、描写が秀逸なのに難しい表現がないため読みやすい。ついつい読む手が止まらなくなる作品でした。
    薬指の標本がどういう意味なのか、それを考えながら読んでいましたが私個人としては標本に興味を持ちながら、何よりも少し変わった恋を覗き見てしまった気がするようなお話でした。若いフレッシュな感じの恋愛ではなく歳を重ねたからこその少し重ためな愛の形を知れた気がします。

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    2025年08月06日
  • 薬指の標本

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    愛の話。
    苦しくて辛いはずの内容だけど、淡々と日常の様に過ぎてゆく感覚は読んでいてとても気持ちが良いです

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    2025年08月05日
  • 妊娠カレンダー

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    姉の妊娠中の記録が、妹目線で描かれている。赤ん坊の染色体を破壊させるかもしれないグレープフルーツジャムを毎日のように作り、食べさせる描写には震えた。ものすごく怖いのに、頁を捲る手が止まらなかった。

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    2025年08月04日
  • 遠慮深いうたた寝

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    「ほんの数ページしかない小説でも、一度読んだだけでは見えてこない世界が隠れている。活字の間からこぼれ落ちてしまう何かがある。安易に分かったつもりになるのは、読み手の傲慢さに他ならない。──だからこそ再読には意味があるのだと思う。百年でも二百年でも小説は、書かれた時のままの形でそこにあり続ける。にもかかわらず、読み手の成長や社会の変化によって、見せる姿が違ってくる。その時必要とされているものを、差し出してくれる。つまり小説は、作家一人の力で書かれるのではなく、読者の働きがあって初めて、成立できるのだ」

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    2025年07月30日
  • ホテル・アイリス

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    ネタバレ

    読者を選ぶ内容だと思いますが
    すごく主人公に共感しました

    変わらない日々、どうしようもない嫌悪と、母親(他人)殻否定される主人公、だけど今現状の世界から出ていくことはできない少女
    そんな少女はたまたま老人に恋をした、それが汚い罵り言葉から始まった事だが、きっとどこに彼女の希望があったのだと思う。
    罪を抱え最後にしたいと考えていた老人、そして変えられないけど終わりにしたい認めて欲しいと望む少女。
    二人が認め合える、愛し方というのは「破壊」しかないのかもしれない。

    自分がどこか消えてしまいたい、破壊されたいと望んだ時に読むと救われた本です。

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    2025年07月27日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    自分にはスッと入ってきてとても好きな話でした

    一つ一つ思い出が消えていく街の中で、主人公は抗うすべもなく運命に誘われていく

    消えることは「死ぬ」事を一緒だと
    時代と一緒に主人公は消えていく
    そして忘れることのできない運命を持つR氏は、地下へ幽閉されそして最後には外を飛び立つ。

    まるで死者を想うのと同じ気持ちだと思いました。
    思い出大事にしようと改めて思った一冊です。

    余談ですが、
    「アンネフランクっぽいな」と思って読んでいたら著者の小川洋子さん自体が、その本やそれを取り巻く歴史的事情を意識して書かれていたと後書きでみて、ストンと胸の中に落ちました。
    たしかに言論の自由や抑制そう言う要素

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    2025年07月27日
  • ミーナの行進

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    赤毛のアンを彷彿とさせるようなでも数十年前の芦屋での美しい世界の物語。とても好きなジャンルだった。
    物語のどの登場人物も大好きになれたし、小川洋子さんの日常を美しく彩る文才のお陰でこの本を通じて心が綺麗に洗われた気がする。起承転結があるようなどんでん返しがあるようなタイプのお話ではないが、一気読みしてしまった。

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    2025年07月27日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    か〜な〜り〜前から
    読みたいなと思いつつ
    なかなか出会う事なく
    保留にしていた本
    (↑そんなんばっかり)

    初見でびっくり!という
    知識的な所は無かったけど
    おふたりそれぞれの
    知識や経験や諸々...が
    スパークしてる感じが
    とても良かった

    人間も「父親」になる
    というのは難しいように
    ゴリラも学んで経験して
    尊敬される「父親」に
    なるのだ...格好いい〜!

    人様にもおすすめしたい本!

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    2025年07月22日
  • ミーナの行進

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    友達に誕生日プレゼントでもらった本
    いつも読む続きが気になってドキドキとかどんでん返しとかではないけど、ミーナと朋子の思い出を読んでいると心が温まる感じがした。自分がしんどい時に読んだ部分でちょうどミーナが泣いていた。
    仕事帰りの電車で少しずつ読んだから時間がかかったけど、どんなに仕事で嫌なことがあっても帰り道が楽しみでこの1ヶ月乗り切れた。

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    2025年07月16日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    勝敗ではなく、宇宙を描くように、リトル・アリョーヒンにとってチェスとはどんなものかに焦点を当てていて素敵でした。
    「慌てるな、坊や」という言葉が印象的なマスターと素敵な丁度品とおやつの甘い匂いの中過ごした日々が好きです。
    最近から最後まで美しいお話でした。

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    2025年07月13日
  • ミーナの行進

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    思い出は色褪せないことを教えてくれる 
    芦屋の洋館、伯父さんの家で1年暮らすことになった朋子の日記のようなお話。読んでいるときに、脳裏に描き出される人物や景色や出来事が、なんていうか自分もそこにいたい!と嫉妬させられるほど生き生きとして素晴らしい。
    そして、時々「あれから何十年たっても」みたいな描写が入ると、そうかこの出来事は遠い昔のことか、と思いながらも、私にとっても決して忘れたくない色褪せてほしくない大切な思い出になる。読み終わりたくなかったが、読み終わったあとすごく前向きになれた。大好きな作品に仲間入り。

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    2025年12月05日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    小川洋子さん作品って本当にスキ。
    大きくなることが不安。小さいことに安心する。いつも海をたゆたっている、インディラとミイラと共に。
    大きな海の中に身を置くことで余計に自分は小さくなれるんだと思う。
    最後の棺にぴったりと収まるリトル・アリョーヒン。その生き方を棋譜に残し、多くを語らないミイラが彼の生き方を尊重してくれたと思った。

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    2025年07月12日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    序盤、次の文章に触れ、そうだった自分は小川洋子さんの文章が好きなんだ、と思い出した。久しぶりに一気読みした。「少年は生涯を通し、その日曜日の出来事を繰り返し思い返すことになる。他の思い出たちとは違う別格の小箱に仕舞い、何度でも開けてそっと慈しむことになる。チェスに裏切られたと感じるほどに傷ついた時、マスターとの思い出に浸って涙ぐんでしまう時、あの柔らかい冬の日差しに包まれた回送バスでの一局をよみがえらせ、マスターが教えてくれたチェスの喜びに救いを見出すことになる。」

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    2025年07月10日
  • 妊娠カレンダー

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    ネタバレ

    2回読みました。1回じゃ正しく理解できなかった。

    ○妊娠カレンダー
    単純に言ってしまえば復讐譚なのだけど、そんな単純な言葉で表現しきれないのがこの作品。

    印象的だったのは、匂いに過敏になった悪阻中の姉に配慮して、主人公は庭で夕飯を作るのだが、食べられない姉をあざ笑うかのように、主人公は炊飯器の湯気が立ち上ってゆくさまを心安らかに眺め、大きな口を開けてシチューと一緒に「夜の闇」を飲み込むところだ。主人公は夜の闇とともに、心の闇を飲み込み自分のものとする。
    かたや、悪阻が終わった姉は「彼女の存在そのものが、食欲に飲み込まれてしまったように」食べつくす。その姉のお腹には主人公がDNAを壊す(と信

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    2025年07月06日
  • 科学の扉をノックする

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    これは面白い!一気読み。しばしば感涙しそうになる。「1.宇宙」「2.鉱物」「3.DNA」「4.スプリングエイト」「5.粘菌」「6.遺体科学」「7.トレーナー」という科学のスペシャリスト7人へのインタビューなんだけど、この感動はなんだろう?どの方も素晴らしいのは確かなんだけど、お話を聴き受け止める小川さんの感性に共感するところが大きいのかなぁ。

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    2025年07月05日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    とっても切ないのにあたたかい。
    さくらのうたを聴きながら読んだ。
    チェスっていいなと思った。
    優しい人がたくさん溢れてほしい

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    2025年07月02日
  • 薬指の標本

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    平凡な日常を生きる読者がひょんなきっかけで異常な世界に引き込まれ囚われていく様子が絶妙なタッチで描かれています。ページ数少なめの割に充実の物語でした。

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    2025年07月01日
  • サイレントシンガー

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    無限の沈黙が美しい 
    『内気な人の会』の会員が住むアカシアの野辺。正確で丁寧で心のこもった指言葉を使う。
    リリカは無言でいるもののために歌う。
    長い時間を丁寧に綴った静かな物語はとても繊細で美しかった。

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    2025年12月05日
  • 人質の朗読会

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    ネタバレ

    異国を旅行中、ゲリラの人質になってしまったツアーの参加者達の朗読会。

    他人からみたらどうでもいいような出来事が、本人にとっては忘れられない大切な思い出であり、今まで生きてきた軸であったりする。

    話の最後にその人の職業と、どういった理由でツアーに参加したのかが書かれていた。朗読した出来事からツアーに参加するまでどんな風にその人が生きてきたのかが想像できるようだ。

    命の補償はない過酷な状況の中であるからこそ更に美しく輝くお話だった

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    2025年06月24日
  • 博士の愛した数式

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    美しい物語 
    博士と家政婦さんとルート。穏やかな時間が流れる。私は大学で数学を学んだが、素数が美しいなんて考えたこともなかった。泣ける。

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    2025年12月05日