小川洋子のレビュー一覧

  • アンネ・フランクをたずねて

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    小川洋子さんの文と吉野朔実さんの絵ということで借りる。
    本書は小川さんの『アンネ・フランクの記憶』をもとに児童向けに新たに編み直したものとの巻末の注記。
    吉野さんの絵は表紙と人物紹介の頁の他、カットが数点で期待してたのとはちょっと違った。
    1994年に小川さんがアンネ・フランクの親友ジャクリーヌさんとアンネ一家の隠れ家生活の手助けをしたミープさんを訪問し、アウシュヴィッツを見学したことが記されている。収容所を見学する記述では、やはり胸が苦しくなる。
    特に展示室を埋め尽くす靴を前にして、心の中で「無数ではない」と繰返し自分に言い聞かせる小川さんの述懐が胸に迫る。

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    2019年03月19日
  • 刺繍する少女

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    「刺繍ってそんなにおもしろいかい?」
    ー「おもしろいかどうかは、よく分からない。一人ぼっちになりたい時、これをやるの。自分の指だけを見るの。小さな小さな針の先だけに自分を閉じ込めるの。そうしたら急に、自由になれた気分がするわ」(本文より)

    短編集。題名にもなってる「刺繍する少女」がいちばんお気に入り。

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    2020年06月04日
  • やさしい訴え

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    小川洋子さんにしては珍しい文庫本一冊分の長編。短編のように不思議不思議した世界ではなく、普通の現実の中の話しなのに、どっか異世界感があるのは文体の為せる技だろうか?

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    2019年02月23日
  • ボタンちゃん

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    3歳9ヶ月の娘へ読み聞かせ

    物への想いって
    ほんと大切にしたい
    けれども
    断捨離もしたいというジレンマ

    ということで
    ちょっぴり複雑だったのだけど


    のおかげで
    成長していくあんなちゃん
    という点では
    心に響く

    あなたのおかげで〜
    って言ってるボタンちゃん
    最高っす

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    2019年02月19日
  • 世にも美しい数学入門

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    数学者でエッセイストの藤原正彦と、『博士の愛した数式』の著者である小川洋子が、数学をテーマに語りあった対談を収録しています。

    『博士の愛した数式』についても多少は言及されていますが、多くの部分では、小川が聞き手にまわり、数学の美しさと、それに憑かれた数学者という人種について藤原が語るというスタイルで進んでいきます。

    おそらくは「数学」と「美」を結びつけることなど思いもよらないというような若い読者に、数学の美しさに目を開かせることを目的としているのかもしれませんが、数学の世界についてのとりとめのない印象がつづられていて、すこし内容が薄いようにも感じてしまいました。

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    2019年02月19日
  • ホテル・アイリス

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    少女と老人の恋。浪漫や耽美が一切感じず、読み終えるのに苦労した。老いとSMの組み合わせは想像しようにも脳が嫌がる。唯一の救いは作者が女性であること。(小川洋子氏は少し狂いがある(褒))
    もし男性の書いた本なら壁に投げつけていたと思う。

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    2019年02月05日
  • 博士の本棚

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    あまり読書傾向が似ていないんだけれど、クラフト・エヴィング商會関連が載っているだけでうれしくなりますね。読んだ感想も割と似ているし。
    他に紹介されている本もけっこう読んでみたくなる感じでした。
    偶然だけど、この前読んだ女性作家のエッセイ「帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。」と同じように、というか、お葬式関係のエッセイがあって、その空気感が似ていることにびっくりしました。

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    2018年11月12日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    ネタバレ

     小川洋子さんのエッセー集は初めて。
     本のことや、当時飼っていたラブラドールのラブのこと、岡ノ谷先生の研究のことや、ご自身の作品のことなどがふれられていて、楽しく読めた。
     特に、執筆するときに小説の世界に浸るというか、その世界の様子を見て聴いて感じたことを<描いて>いるだけなので、私自身のものではないと言うところが小川洋子さんの作品の世界観(自分が勝手に思ってるだけ)だなと。ツバキ文具店だったり、リトルアリョーヒンだったり、標本士だったり、ミーナだったり、どの小説の主人公も彼・彼女らだけのオリジナルの世界を持っているからこうも惹かれるのかなとか思った。

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    2018年11月10日
  • いつも彼らはどこかに

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    短編で、終わりが「え?ここで?!」という話が多かった。よく分からない話も多かった。
    でも、作者の世界観は好きだな。あと、丁寧な言葉遣いの文体が好きです。

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    2018年11月02日
  • 博士の本棚

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    ほとんど読んだことのない本ばかり。手のとってみたくなる本が多かったが、とりあえず、「アンネの日記」は読んでみよう。

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    2018年10月21日
  • まぶた

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    どんよりとした曇り空、じっとりと湿った空気、しんと静かな街、ひやりとした手触り。
    ちょっとだけぞくりとするものが垣間見えるような。

    ずっと気になっていた本を、物語の役割をきっかけに読む。
    私の好きなテイストの小川さん。

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    2018年08月19日
  • ボタンちゃん

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    ネタバレ

    小川洋子さんの良さをそのままに絵本にしている。ガラガラにもエプロンにもぬいぐるみにも、いろんな意味を込めて描かれています。ただ絵本ならではの良さという意味ではそこまで強く感じられませんでした。小川洋子さんは小説だからこそつくれる世界観があるのだと思います。

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    2018年08月09日
  • 沈黙博物館

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    ネタバレ

    何かでお勧めされてた本。
    博物館というキーワードに惹かれて。

    誰も駅に降りないような村で、博物館を作りたいという依頼主に会うためにやって来た博物館技師の僕。
    未成熟な輝きを持つ少女と、どうみても親とは思えない位、年が離れた依頼主の老婆。
    そこから沈黙の博物館と称した、老婆が集めた形見の展示の準備から、村で起こった死人の形見の収集(窃盗…)まで行うことになる。

    読んでいくと、時々現れる不釣り合いなキーワードに意味があるのか考える。
    持参した親の形見のアンネの日記、兄から譲られた顕微鏡、沈黙の行を行う沈黙の伝道師の存在。
    人形劇やお祭りが娯楽の、へんぴな村っぽいのに、爆弾事件や猟奇的な殺人事件

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    2018年08月01日
  • 言葉の誕生を科学する

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    人間が言葉を生み出した謎に小説家と科学者が迫る。言葉の原型をもとめて人類以前に遡る対談形式の入門書。
    言葉とはコミュニケーションの最たるものなのか。自分の気持ちを伝えるための進化か退化か。ただひとつ言えるのは、言葉から派生した文章表現には美しさが伴うということ。

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    2018年07月10日
  • まぶた

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    高校の国語の授業で「バックストローク 」
    をやって面白いと思って読んでみた

    ちょっと難しい
    本質には直に触れない感じ

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    2018年07月08日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    ダイジョウブ! あなたのことを見ていてくれる人がきっといます-。作家・小川洋子による、泣きたいほど優しい気持になれる、愛に充ちたエッセイ集。『Domani』連載に書下ろしを加えて書籍化。

    優しい気持ちになれる本。
    私もなかなか大人になれない…。

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    2018年06月14日
  • 凍りついた香り

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    ネタバレ

    自殺した調香師、弘之のこれまでの人生をたどる恋人の涼子の話。

    ただただ静かな時間が流れる小説だった。引き込まれるでもなく、でも文字を目で追うのが心地良い感じがした。小川洋子さんの読んだ作品は博士の愛した数式に続いて二作目だが、どちらも愛しいという言葉がピッタリの小説だった。
    調香師なんて職業があるんだ…

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    2018年03月10日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    小川さんの優しさや温かさにあふれたエッセイ集。
    タイトルだけ見て借りたのだけど…なぜ表紙が犬のしっぽではないのか?というところに、大いなる疑問が残る。

    愛犬ラブちゃん、阪神タイガース、ご家族、著書「博士の愛した数式」やアンネ・フランクへの追憶…テーマがまとまっているような、いないようなパートもあるんだけども、そのひとつひとつから小川さんの人となりが感じられる、優しい文章とお話。
    祖父のお話の構成で、最後に「最近、死んだ人のことを思い出すことが多くなった」というような言い回し(うろ覚えでごめんなさい)を持ってくるところで、ものすごく切なさを誘われた。なんとなく、本文の冒頭や途中に出てくるのであ

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    2018年02月27日
  • 科学の扉をノックする

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    再読本。
    数年前は楽しく読んでいたような気もする。改めて読んでみると、著者が言うように興味あるものを気の赴くままに書き綴ったインタビュー本である。なので科学のこの分野を知りたい!と読むとがっかりするかも。
    著者によって擬人化された諸々の表現や、安易な可愛い発言が目についてしまって残念。恐らく私には合わなかっただけなのだろう。

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    2018年02月24日
  • やさしい訴え

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    この静かで残酷な世界に浸りました。
    新田さんと薫さんの完璧に閉じられた世界に入り込んだ瑠璃子さんの、感情をふたりにぶつける様は痛々しいものがありましたが、彼女を嫌いになれるはずがありませんでした。
    皆、心に抱いた傷をこの森で癒していて、瑠璃子さんがただ少し早く癒されただけだと思いました。
    新田さんと薫さんの日々が、これからもずっと永遠に続いていきそうだなとわたしも感じました。
    お話の筋とは離れていると思いますが、カリグラフィーの先生の言葉が心に響きました。「それ、謙遜のつもり?自分の能力を低く見積もっておいた方が、あとで楽ですもんね。」「できないと思ったらできないの。できると思ったら何とかなる

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    2018年02月15日