小川洋子のレビュー一覧

  • 刺繍する少女

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    とても怖いはずなのに恐怖よりも違う感情が湧きあがってくる。美しすぎる作品は恐怖を薄めてしまうのだろうか。それとも誰もが隠し持っている狂気だからだろうか。不思議な作品であることは間違いない。
    あらすじ(背表紙より)
    これは記憶の奥深くに刺さった棘。そこから始まる、愛と死の物語――終末期を迎えた母の入院先のホスピスで、僕は12歳のひと夏を高原の別荘でともに過ごした少女と再会する。彼女はそこで刺繍をしていた。小さな針先に自分を閉じ込め、虫を一匹一匹突き刺すように――表題作ほか、日常のすぐ隣にある死、狂気、奇異を硬質な筆致で紡ぎだした、震えるほどに美しく恐ろしい十の「残酷物語」を収録。解説・飯島耕一

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    2016年05月23日
  • いつも彼らはどこかに

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    本質とは全く関係ないのだが、初っ端の『帯同馬』で若干のつまずき。ピカレスクコートは現地で重賞二着とか、その後日本でも重賞ウィナーであるとか、その筋の人間からすると名も知らぬ馬ではないだけに、微妙な違和感からスタートしてしまったのが運のつきかもしれぬ。
    まぁそれはさておき、ちょっと質が落ちるかな?幾つかは流石と思わせるし、この作家独特の死の匂いは感じさせてくれるのだが、何と言うかゾクゾク感に欠けるかな、この作品集は。

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    2016年05月15日
  • ホテル・アイリス

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    日本のはずなんだけど、どうにも日本ぽくないどこかの海岸沿いの観光地のホテルにおける従業員の主人公と、行きずりの少し変わった性癖を持つ、自称翻訳家の哀しい恋愛。

    非常に小さい町の中で、ほぼホテルとF島の翻訳家の家だけで進行するストーリーなのだが、ホテル側は意地悪な母親とアルバイトのおばさんという、童話的な登場人物、翻訳家はつかみどころのない感じで、あえて言うなら「大人の童話」として楽しめなければ、これという話でもない。

    唐突に出てくる性表現が、現実のものか、それとも想像か、はたまた精神的な抽象化されたものなのかわからないのだが、実は現実というあたりは、幻冬舎文庫らしい部分だ。エロを入れんとい

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    2016年04月20日
  • 心と響き合う読書案内

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    既読は16冊だった。「モモ」「銀河鉄道の夜」「家守綺譚」「星の王子さま」は大好きで購入した本なので載っていて嬉しかった。いろんな本の紹介を読むと、どんどん読みたい本が増えていく。嬉しいような大変なような。知ってる本の紹介も、小川さんはこういう風に読んだんだな、とわかって面白い。

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    2016年04月09日
  • 原稿零枚日記

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    どこからが現実で、どこからが夢なのか。はたまた、小川さんの眼前に広がる世界そのものなのかも。
    少し不穏で甘く、少し浮いてるようで沈んでいる。
    見た目の差は少なくとも、隔たりが大きい。
    水族館の水槽ガラスみたい。

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    2016年03月07日
  • 原稿零枚日記

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    ネタバレ

    小川洋子作品は「博士の愛した数式」ぐらいしか読んだ覚えがない。この本はなんとなく関西在住(小川さんは確か芦屋在住)の作家さんが書いたエッセーを読みたくなって手に取ってみたのだが…。

    純粋なエッセーというより、日記文体を使った現実と非現実の境をフラっとさまよう、的な奇譚小説という体。この手の作品はそういう気分で読まないと、リズムに乗り損ねてしまう、そして残念ながら完全に乗り損ねてしまった。

    小川洋子さんをもっと良く知っているファンであれば、その知識や作品を読んできた蓄積で、乗り損ねを取り返すことも出来るんだろうけど、俺にはちょっと無理だったみたい。
    もうちょい読みやすい小川洋子入門的な作品を

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    2016年01月07日
  • ボタンちゃん

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    ネタバレ

    アンナちゃんが成長するにともない忘れたものたちのおかげでいまのアンナちゃんがあるんだなって温かい気持ちになりました。

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    2016年01月04日
  • 偶然の祝福

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    ほぼ内容忘れちゃった。
    ただ、小川さんって
    読み終えて気持ち良かった
    ってのだけ残ってる…

    失踪者たちの王国
    盗作
    キリコさんの失敗
    エーデルワイス
    涙腺水晶結石症
    時計工場
    蘇生

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    2015年12月13日
  • やさしい訴え

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    心の中の出来事なのかなあ、と思われる物語でした。

    皆それぞれに、林の中にとどまり

    自分自身を癒していく。

    言葉にならない思いを抱えながら、静かに

    生きてゆく。

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    2015年12月03日
  • 原稿零枚日記

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    ネタバレ

    日常のような非日常のような、紙一重のあちらとこちらを行ったり来たり。
    苔や骨や深海魚、イトトンボのネイルに時計草…私の好きなモチーフが随所に散りばめられていて、耽読してしまいました。

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    2015年11月19日
  • 偶然の祝福

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    ネタバレ

    なんとも言えない。
    とても読ませる文章だし、気持ちになにか残ってるけど言葉に出来ない。
    注意深く読まないと章が変わった時どこにいるのか分からなくなる。
    アポロが助かって良かった。

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    2015年10月18日
  • 刺繍する少女

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    登場人物に若い女性がいたら、きっと黒髪でロングまたはセミロングで、色が透き通るように白く、ほっそりとして、目には力がなく、表情が乏しい、怪しいおとぎ話またはホラーに出てくるような、昭和の美女じゃなかろうか。引きこまれる~。

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    2015年10月08日
  • 偶然の祝福

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    ネタバレ

    読んだ時の環境も影響しているのかもしれないが一貫性が感じられなくて読んだ後があまりすっきりしなかった。

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    2015年09月12日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    ネタバレ

    普通の日常がきれいな日本語で書かれている。
    特段凄いことはなにもないのだが、何故か読み進めてしまう辺り小川さんはやはり凄い方なのだと思いました。

    大御所とは思えないへりくだった文章も、個人的には好印象でした。

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    2015年07月27日
  • やさしい訴え

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    夫から逃げ、森の奥の別荘に隠れ住むカリグラファー業の女性。偶然出会ったチェンバロ作りの男性とその女弟子。三人の不思議な関係と挫折を描く愛の物語。
    早速、YOUTUBEで♪やさしい訴えを聴きました。この物語のイメージどおり、哀しく切なく、でも優しい音色でした。舞台でもある森の美しさが、人の悪魔的本性を引き出してしまうのも、このメロディに合っていました。

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    2015年05月31日
  • ホテル・アイリス

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    物事は、最初と最後が殊更に重要で象徴的になるが、
    マリは、一生のこの余韻だけで生きて行くんじゃないかと思う。

    痛めつけられ嬲られ、辱められながらも、
    それでも乞い、悶え、濡れるさまは、艶めかしく官能的。
    ともすると鼻につくぬめった匂いがしそうだが、
    小川さんの筆にかかると、こんなにも静謐で
    さらりとして、直接的な固有名詞の登場さえ、
    いやらしさを伴わない。

    不意に、ルコントの「仕立て屋の恋」を思い出した。

    全体に散りばめられた猥雑なエッセンスは小川ワールドそのものだが、ここまでの性愛表現は小川作品では初めてだったので新鮮だった。
    どこの国のいつの話か判然としない印象も、不穏で素敵だ。

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    2015年02月05日
  • ホテル・アイリス

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    病的。
    文学的には非常に美しいのだろうけど、私はちょっと困った。

    小川洋子の作品は、無国籍のようなどこにもない場所の物語ような感じがする。
    そして、いつも、何かが欠けている、欠落感、喪失感に包まれている。

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    2015年04月13日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    何か特にあるというわけではないが,安心するというかほっこりした.
    日常の大切さとでも言うのかな?

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    2014年11月11日
  • 世にも美しい数学入門

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    博士の愛した数式」から友愛数や完全数の話が出てくる。
    読者に数学に興味を持ってもらうためには良書だと思う。
    藤原氏は、真理=美と考えているので、正しい定理は美しいと解く。
    数学は役に立たないから、すばらしいといっているのだが。

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    2014年08月27日
  • 刺繍する少女

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    ぜんまい線の話と寄生虫図鑑の話が印象的。

    ストーリーは若干取りとめもない感じがするけど、何と言っても文章が秀逸。本当に好きだ。

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    2014年07月28日