小川洋子のレビュー一覧
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ネタバレ偏愛と孤独を友とし生きる人々を描く、8編の短編小説。
「一つの歌を分け合う」が一番印象的だった。
従兄弟が亡くなってしばらくしてから、伯母が舞台俳優を亡くなった我が子だと思い込み、主人公と一緒に観劇に行く話。
「劇場では誰も泣いている彼女を不思議がったり、奇異な目で見たりしなかった。理由を取り繕う必要はないのだ。伯母は好きなだけ泣くことができた。」
という、帰り道のシーンがよかった。
夫の祖母の葬式のときに、子供を亡くした叔母さんの話を聞いてから、それと重なって思いを馳せてしまった。
「かわいそうなこと」「盲腸線の秘密」も、子供ながらの世界を表していてよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ不気味で残酷な話と、ただ残酷な話と、切ない話が散らばっていた。
特にアリアが印象的で、年に一度、誕生日に訪れ、贈り物専用棚に毎年1個ずつ品は増えていく。そしてお返しに叔母さんはオペラを披露する。年に1日だけだろうと、わざわざ誕生日にプレゼント片手に訪れてくれるのだから有難いのかもしれないが、叔母さんの方も人を持て成すことに慣れておらず、毎年大量の料理やデザートを用意して待ち構えている。
オペラで成功せず、化粧品売りになった叔母。
今では唯一披露するのがこの誕生日かもしれない。
「どうぞお元気で。また、来年」と帰っていく。
窓からじっと目を凝らして、彼の姿が見えなくなるまで見送る。
そして冷たく -
Posted by ブクログ
ゴリラの専門家(霊長類学者)の山極寿一さんと、小説家の小川洋子が、ひたすら対談する。対談集なので、徹底的に突き詰めるというより、ふわっと終わった感がある。学者は、霊長類のゴリラの特性から、人間との共通点、違う点、なぜ違いが出たかについて語る。小説家は、なぜ人間界にだけが戦争や暴力や強姦が起きるのかを考えている。山極さんは『言語』、それによるメタファー、そして死の記憶等の、他の動物にはない人間特有の特性だとする。それは人間が文明を築き上げた源でもあり、それがまた、戦争、暴力をも引き起こす源でもあるのか。個人的には、ゴリラの子殺しの話が興味深い。自分の子どもを殺した男ともつながれる。それは死の記憶
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Posted by ブクログ
作中ではブラフマンは「謎」という意味だけが出てくる。それゆえに、その姿が我々が名前を知っている何かに当てはまる必要はないのだろう。
とはいえ、造語ではなく元よりある言葉なだけに、その意味から作中の抽象が何を表現しているのか解釈したくなってしまう。
高校の倫理を履修した人なら覚えているかもしれない。"ウパニシャッド哲学"なんて言葉と一緒に出てくる「ブラフマン」とは、宇宙の根本原理をさす。
つまり、全てのものの根源がブラフマンであり、「宇宙の創造主」とも言われる。
とすると、作中のブラフマンという存在は、芸術家たちが活動する〈創作者の家〉が、あるいはその創作が、生んだもの