小川洋子のレビュー一覧

  • まぶた

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    8つの作品が収録された短篇集で、幻想的で奇妙な出来事を交えながらも、人間という愛らしい存在を感じられたのが、印象的でした。

    また、奇妙な出来事を体験した後で、自らの人生を見つめ直すような展開が多いことに、人生とは、何をきっかけにして突然変わるか、分からないものだなとも思えました。しかし、不自然さは感じずに共感できたのは、小川さんの、上品でいて飾らない文体にあるのかもしれません。

    こういった上品な奇妙さと、私の人生観には、精神的な距離を隔てているのを感じ、逆に、読んでいて気楽な心地良さがあって、何となく旅行時に持って行きたい本だなと思いました。

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    2021年03月26日
  • 言葉の誕生を科学する

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    鳥やクジラに見られるような、求愛の時に行われる歌のような声から言語が始まったという仮設は面白と思うし、納得感がある。
    しかし、それなりに長い対談の中で刺激的な話題が他にはあまりなかったのが残念。
    対談というのもは基本的にしゃべったままを記録するものなので、あまり内容が詰まったものにはなりにくいのかな。

    発声というのは本質的には呼吸を制御することであるというのは目から鱗が落ちる思いだった。鳥のように上空を飛んだり、クジラのように海に深く潜ったりするためには、意図的に呼吸を制御する必要があり、その副産物として多彩な歌を歌うことができる。他の動物は無意識的な呼吸のみを行っているのだろう。人間は呼吸

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    2021年01月23日
  • 不時着する流星たち

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    美しくて、そしてゾワゾワとくる、まさに小川洋子さんワールドでした。
    例えるなら、大人のための童話かな。

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    2021年01月20日
  • 余白の愛

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    冬生まれが冬に読みたい物語。誰もまだ踏んでいない真っ白な雪原は、いつだって静かだ。そこに足跡をつけるかなしみとよろこびを知っている。

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    2020年12月30日
  • 小箱

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    子どもたちがいなくなった世界で、彼らの遺品の入った小箱を管理しながら暮らしている女性を描いた野間文芸賞受賞作。

    語られない何らかの理由で、子どもたちが次々に亡くなった世界には、当然希望も未来もない。滅び行くそのなかで、親たちは廃園となった幼稚園を訪れて、管理されている小箱を開けて子どもの成長を夢想する。なんとも悲しく、やりきれない。
    たとえばこの作品を手に取ったのが昨年であったなら、死者たちと寄り添って暮らす人たちの静謐な世界を、情緒的で美しいものとして受け入れたかもしれない。でも、世の中はコロナ禍、息が詰まるような現実に加え、今年近しい人の死に立ち会った私にとって、この作品は重すぎる。

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    2020年12月17日
  • 小箱

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    小川さんらしいとても不思議な世界が描かれていました。
    好き嫌いはあると思います。私は傍から眺めるのは良いけれど、その世界では暮らせないと思いました。

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    2020年12月09日
  • 妖精が舞い下りる夜

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    あの「博士の愛した数式」を書いた作者の駆け出しのころのエッセイ。
    どんな風に言葉を紡いて小説を書くのだろうと思って読んでみました。
    真摯に言葉に向き合うひたむきな姿勢と、書くことが好きという想いが伝わってきた。
    印象に残ったのは「小説は言葉によってしか表現できないものだが、それだけですべてを表現しつくしてしまうことも、またできない。言葉が持っている目に見えない模様を見せたい」。そう、小説って言葉で表されているもの以上にその裏に感じる情景や思いや手触りといった諸々のものを感じさせる。私は一読者としてそれらを感じられる読書が好き。
    あと印象的だったのは、出産した時に感じた哀しさの話。産声に切ない哀

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    2020年12月08日
  • 凍りついた香り

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    亡くなった彼の真実を探す旅。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…幾つかのキーワードから死者を訪ねる謎解きが始まる。
    小川洋子さんの作品は、五感を研ぎ澄まして読むとより一層楽しむことができる。全ての物に対して存在を認めることが、この世界の入り口のチケットでもある。だから体調不安の時は馴染めない。

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    2020年11月23日
  • 偶然の祝福

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    作家である「私」が、息子や愛犬のこと、昔の思い出などを描いた短編集で、「私」を中心に、それぞれの話はどこかで繋がっている。
    タイトルに"祝福"とあるわりには、どの話もわかりやすい幸せな感じはないため、個人的には少しモヤモヤが残ったが、一見不幸そうな中にわずかに温かさを感じる部分もあり、それが"偶然の祝福"なのかもしれない。

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    2020年10月30日
  • ホテル・アイリス

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    少女と老人のお話
    究極のエロティシズムに期待して読んでみました
    老人はただのエロじじいだし
    少女もなぜに彼に引き寄せられたのか・・・

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    2020年09月21日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    捻れた恐怖を感じさせる短編集。
    その怖さはあからさまなものではない。
    真夜中に自分の部屋でふと目覚め、クローゼットの扉が細く空いているのに気がつく。きちんと締めなかったせいだ。大したことじゃない。なのになぜかそこから目が離せない。人の身体を借りた闇の獣が、息を殺してこちらをずっと覗いているのを感じる。
    そういった恐怖だ。

    タイトルの『夜明けの縁』というのは、人間の正気と狂気の境目だとわたしは考える。
    この9つの短編集に出てくる人たちは皆、その縁を覚束ない足取りでさ迷っている。そしてこちらに戻ってくる人もいれば、あちら側に落ちてしまう人もいる。
    すべて現実味のない話のはずなのに、じわじわとその

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    2020年09月21日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    エッセイをあまり読んでこなかった私。
    小川洋子さんの作品もいくつかしか読んだことがないのだけれど、『作品』じゃなくて『作家その人』が好きになるってあんまりなかった体験。
    着飾らなくて、なんだかぬけてて、なんて自信のない方なんだ…!と驚いたりしながら楽しく読めました。
    これは日記か?というような文章もあったりして、こんな小川さんがちょっとダークな世界を描いたりしてるのかと思うと、作家さんってすごいな…と改めて感じたりしました。

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    2020年09月21日
  • 小箱

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    すでにこの世にはいない子供たちへの祈りなのか、果てしない鎮魂の話なのか?
    読み進めていくうちに「想像ラジオ」を思い出していた。やるせないファンタジー。

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    2020年09月15日
  • ホテル・アイリス

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    ネタバレ

     昔途中まで読んだけど、積読していた本。なんとなく、久しぶりに本を読んだ。1日で読み終わった。
     読み始めてなぜ途中で読むのを止めたのか思い出した。登場人物の男(翻訳家)の第一印象がキモかったからだ。このキモいおっさんと、主人公との恋愛物語とか見たくないわーと思ったんだろう。今回読んでも同じ印象で同じ感情を抱いたが、読むのは止めなかった。
     この小説で印象的だったのが、舞台となる町の風景だ。海沿いの町で城壁があり、離小島があるらしい。その描き方が美しかった。調べたところ作者さんはある地域をモデルとしているらしい。自分の中ではなんとなく、逗子や真鶴辺りを想像した。
     登場人物の「翻訳家」は最初か

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    2020年09月13日
  • 心と響き合う読書案内

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    本を紹介する本が好きで、また自分が読んだ本をプロの作家はどのように評価したり感じたりしているのか知ることができてなかなか面白かったです。
    今後の読書の参考にできる本でした。

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    2020年09月10日
  • 小箱

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    ネタバレ

    小川さんの作品の魅力は、優しく不思議な世界観なのだけど、この作品は感情移入しにくかった。
    いつもは現実の中に見えてくるファンタジーな部分を楽しむのだけれど、今回はそれがあまり見えなかったのと、死を扱ったことが要因かもしれない。

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    2020年09月06日
  • いつも彼らはどこかに

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    ブロンズ製の犬、cheater、蝸牛、竜の落とし子‥それぞれの主人公のそばには動物たちがいる。
    ここではない何処かで繰り広げられる、不思議かつユーモラスな8つの物語。

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    2020年08月30日
  • 小箱

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    小川さんの作品はどうしていつもこうハラハラさせられ落ち着かない気持ちにさせられるのか。なのにどうしていつも小川さんの作品に引き寄せられてしまうのか。

    子供たちがいなくなってしまった町には、元幼稚園に住み続ける主人公の「私」、子どもを亡くした親たち、その親たちを慰める人々がいる。

    親たちは元幼稚園の講堂にずらりと並んだガラスの小箱の中で亡くした子供の成長を見守り、風の吹く丘の上で子供の遺品で作った楽器を耳にぶら下げ自分にしか聴こえないその音に耳を傾ける。
    子供を亡くし心を病んで入院中の女性は判読不能なほど小さい文字の連なりで綴られた手紙を恋人に送り、恋人のバリトンさんはその解読を「私」に託す

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    2020年08月17日
  • ホテル・アイリス

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    ネタバレ

    ヨーロッパの方の映画みたいな感じだった。
    全体的に乾いて、影が多くて、黒い感じの画面。登場人物の心も皆、乾いている感じがする。
    小川洋子にしては、現実味がある世界なんだけど、やっぱりさらっと、俯瞰している感じがする。
    世界の片隅で、誰にも気にかけられない人たちのいとなみ。いそうもないけどいるかも知れない。絶対いないとは言い切れない。

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    2020年08月14日
  • 不時着する流星たち

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    実在するモデルを元に作られた10篇の短編集。
    氏の小説は久しぶりに読んだが、彼女の感性を共用するには、私は少々歳を取り過ぎたのかもしれない。美しい言葉で語られるが、どの物語にも狂気を感じ、途中で読むのが辛くなった。
    美しいが、落ち着かない感じ。
    それがタイトルの『不時着する流星たち』へと繋がっているのかもしれない。

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    2020年07月31日