小説 - 講談社作品一覧

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  • 東京博覧会 70年代グラフィティ
    -
    意外な東京を探してみると、見おとしてきた大東京の街並みとそこに彩る愉快な人間像が。軽妙な筆致で描くイラスト・エッセイ。「レトロ・トウキョー」の素顔を公開! ――変貌する街並み、消えゆく下町情緒、物価高の大東京をタイム・スリップして、70年代の路地裏に足を踏み入れると、意外や意外、人間喜劇のどよめきが聞こえてくる。いちばん小さい国の大使館、不満バンクの電話口、中国拳法の町道場、ラーメン学教室など、見おとしてきたパビリオンと、そこを彩る愉快な人間像を描く、イラスト・エッセイ。
  • 短い夜の出来事 奇妙で愉快なショートショート集
    3.0
    不思議なことは真夜中に起こる! 独自のユーモアと一瞬の技で描く怪作集。星新一氏が絶賛した鬼才のベスト・コレクション――夢か幻か? いやいや、そんなはずは……。不思議なことは、いつも真夜中に起こる。平凡な日々を生きるあなたの眠りに、突如闖入してくる怪しい隣人、懐かしい記憶、そして仮想現実をかすめとる驚異の出来事。星新一氏が絶賛したショートショート界の鬼才が、一瞬の技にかけた珠玉の全47篇!
  • 女の食卓
    -
    全日本独身者連盟、すなわちゼンドクレンが、周囲から好奇の視線を浴びつつ、結成された。若い幹部の奈々子、かおる、ミカは、高校以来の親友。彼女たちは、女の自立をめざして奮闘する。しかし、タテマエとは違って、身近かに何となく心をひかれる男が存在して……。適齢期の娘心を可憐に描いた、恋愛ユーモア長篇。
  • 室町抄
    -
    酒色に溺れ政治に無力な足利将軍と、奔放に御台政治を貫く日野富子を活写。義政夫人の威力に破れた男たちの声――何もしない文人将軍・足利義政に嫁いだ日野富子が、天性の資質で幕府を牛耳り、応仁の乱を切り抜けて、強大な御台政治を貫く面白さ。酒色に溺れ、滅んでいった、足利家の男たちの文化の素晴しさ。権勢の近くにうごめく武将たちの、凄絶な闘い。富子を中心に、刺激と活気にみちた室町時代を縦横に描く、傑作小説。一族の野望をになって足利家に送りこまれ、室町幕府に権勢をふるった日野富子の生涯。美しく、わがままで、強い女の魅力とその時代。
  • 空間密室
    -
    白昼の広場で突如殺人が! 奇妙にも凶器や犯人が見当らない! 円熟の本格推理作品集。いかにして空間密室殺人は成功したか? ――白昼、病院に付属する運動場の真中で、一瞬にして惨殺劇は起きた。女性とフリスビーに興じていた大学生が、のどを切られて死んだのだ。相手の女性も、周囲にいた子供たちも、犯人はもとより、凶器も目撃していない、不可解な殺人。犯人も凶器も消えた! 新聞はそれを、空間密室殺人と名づけたが……。この空間密室殺人の真相は? 本格推理のベテランが、それぞれに趣向をこらした秀作集。
  • 管理職の叛旗
    -
    会社は誰のものか! ついに決起す。ワンマン経営者に叛旗を翻した管理職たちの勇気あるたたかいの行方は……。綿密な社内改革の作戦が練られる! ――会社は誰のものか! 30年近くトップの座に君臨してきた会長の妄執と横暴に、ついに怒りが爆発。叛旗を翻した管理職たちは、社内改革に綿密な作戦計画をたてる。一方、ワンマン経営者は人事権を乱用して、切りくずしにかかる。不気味な沈黙の日が続くが、覚悟の対決は目前に迫る。<『人事権執行』改題作品>
  • 映画館が学校だった わたしの青春記
    -
    恋。友情。悲劇のヒロイン。映画に惹かれ、映画の中で人生を考えた。映画を愛しすぎてしまった男の青春感動自伝――田舎町の電電公社に勤めていた少年は、気がついたら興奮して、映画館のスクリーンを夢中で見つめていた、懐かしいあの頃。恋、友情、力強く生きる正義の男たち。悲劇のヒロイン……。こんなにも美しい女のひとがこの世にはいるという新鮮な驚き。映画に惹かれて、映画の中で人生を考え、やがて映画評論家になってしまった男の、映画を通じた青春自伝。懐かしい名画の数々が甦る感動の人生記録。
  • ほのかに白粉の匂い 新・女が愛に生きるとき
    3.8
    女の人生の充実とは何かを考えるエッセイ。いい女になるための手引き、男たちとのつきあい方…女の一生に起こるさまざまな問題を面白く味わい深く語り、女の心のひだを深くする! ――お嫁にいくのも大事だけれど、もっと多様な生き方も、探してみたい。慕わしい先輩にめぐりあい、女であることのときめきを、受け継いでいきたい。ものを考える力がついたとき、女は色あせない魅力を持ち、そのとき、視線はあるがままの男に、やさしく注がれるでしょう。女の人生の充実を語る、楽しいエッセイ。
  • ブルーフィルム殺人事件
    -
    大学の映画研究部の後輩たちが、ある映画を自主製作するらしい、と知って、私の心は動揺する。その映画には、性交渉の場面が必要だし、ヒロイン役は、私がひそかに好意を寄せる佐伯翠だったのだ。彼女は、はたして、その役を引きうけるのだろうか。そして現実は、私が怖れる方向にすすみ……。練達の著者による推理秀作集。
  • ふじこさん
    3.8
    離婚寸前の両親の間で自分がモノのように取り合いされることにうんざりしている小学生のリサ。別居中の父が住むマンションの最上階から下をのぞき、子供の自殺について考えをめぐらせることがもっぱらの趣味。ある日きまぐれに父の部屋を訪れると見覚えのない若い女の人が出迎えてくれて……。ほか二編。(講談社文庫)
  • おんな商売
    -
    男はでんと坐って、貫禄を見せねばならぬが……。勝ち目の少ない亭主の、切なさ辛さ! 男の権威、女の実績 女の横暴、男の我慢――亭主の鼻面引き廻して、ごろ寝の女房はいいたい放題。女世帯で迫害される、気弱な亭主が蒸発した。男の胸には、一つの理想がくすぶっていた。腹の立ったときにいっぺん、食卓をひっくり返してやりたいのである。飄然と辿り着いた山の宿では、折しも老夫婦が……。という標題作のほか、いつの間にか微妙に入れかわる、男女の不思議なかかわりを描く、快作全9編を収録。
  • エバリーン夫人のふしぎな肖像
    4.0
    次々に登場するユニークなおばあさん。ふしぎで楽しい話がいっぱいのファンタジー集――魔女がかいた肖像画からぬけだして、わがままばかり言うおばあさん(「エバリーン夫人のふしぎな肖像」)、雪深い温泉宿で起こる奇妙な光景を見ようと、露天風呂に出かける月子のおばあちゃん(「ふしぎな忘年会」)など、ふしぎなおばあちゃんやおじいさんがいっぱい登場する、柏葉幸子のファンタジック・ワールド。楽しくてユーモアあふれる12の短編を収録。
  • 若妻舞衣子の秘密
    -
    若妻に漂う色香が男たちを惑わす。若い男を次々につまみ食い長編官能ロマン! 中年の夫では満足できない。不動産会社社長、夫の部下…いろんな男を攻め落とす。若妻に漂う色香が男たちを惑わす! ――「あーん。なめて……。手抜きしないで」……若妻の舞衣子は、今日も密会の真っ最中だ。長松部長は、日本舞踊家の彼女を後妻に迎えた。だが、舞衣子はまだ若く、女盛りである。当然、夜の生活で、60ちかい夫に満足しない。夫の部下、不動産会社の社長など、次々に他の男をつまみ食いしていく。二人はどうなる? 官能ロマン。
  • なぞ解き歳時記
    -
    読めば黙ってられない!! 歳時記のホントの意味。「梅の雨」「土用の丑」……忘れかけていた旬や季節の言葉の意味の由来を解きあかす――土用の丑の日に、なぜウナギを食べる? 花火は、いつから夏の風物詩? 秋ナスは、どうして「嫁に食わすな」というの? 日々の暮らしにとけこんだ、季節の旬のさまざまな意味を、わかりやすく解きあかす。日本人が忘れかけていた自然の力や、うけつがれてきた心を思い出させる、雑学歳時記。読んだら、誰かにしゃべりたくなる!?
  • あの戦争から何を学ぶのか
    4.0
    私たちの「歴史感覚」を鍛えなおすための「保阪昭和史」の集大成。教訓いまだ尽きず! ――緒戦の勝利での空疎な熱狂、情報と科学技術の軽視、偏狭なセクショナリズム、責任追及における主体性の欠如……。あの戦争で露呈した日本人の錯誤を、再び繰り返さぬためにはどうすればよいか? 凡人は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ。体験の風化を前に、ぜひ繙くべき「保阪昭和史」の集大成。
  • あやしい遊園地 奇妙で愉快なショートショート集
    4.0
    星新一氏絶賛! 鬼才が放つベスト・コレクション。人生の喜怒哀楽を一瞬の技で描く怪作集。人生のスパイス、70編! ――平凡なサラリーマンのささやかな願いが、ふとしたきっかけで日常の亀裂に飲み込まれる恐怖を描く名作『地下鉄御堂筋線』をはじめ、ショートショート界の鬼才が放つ選りすぐりの怪作70篇。一読、ほろ苦いユーモアに心くすぐられ、時に背筋がゾクッとする快感に酔うワンダーランド!
  • 金融夜光虫
    -
    売国奴の正体を暴く! ――夜の六本木。高層ビルの一室に、金融担当大臣ら要人たちが集まり、ある銀行の破綻処理について、互いの腹を探り合った。その直後、大手銀行と監査法人の争いが勃発。監査法人のエリートが、失踪してしまう。彼はなぜ消えたのか? 金融界に蠢く男たちの「暗部」を描きだす、迫真の経済ミステリー。 ◎「外資に銀行を売り渡す男が政権の中枢にいる! 衝撃の問題作だ」<佐高信氏>
  • 不意の声
    4.3
    孤独な内奥の世界を追究。読売文学賞受賞の名篇――「チチキトク」の電報を受け取った時、女は父の幻影を見た。父の死後に結婚した夫とは、諍が絶えず、しばしば現われる父の霊に励まされながら、陰惨な殺人を重ねる。意識の底からつき上る、不気味な想念。愛憎渦巻く夫婦生活を背景に、現実と非現実の交錯する、妖しく孤独な内奥の世界を苛烈に描く衝撃作。読売文学賞受賞作品。
  • 箱の話・ここだけの話 現代日本のエッセイ
    -
    混迷を生き貫く思考の発条。花田清輝の秀抜の遺著――『乱世今昔談』をどうしても『ここだけの話』と改題希望した著者の遺志を実現し、遺著『箱の話』と合わせ、花田清輝の常にインターナショナルな、発見的思考の持続を顕彰し、混迷する思想・時代状況を生き、貫いて行く根源力を提示。今日さらに重要な意味を加え続ける、花田清輝の貴重な1冊。
  • 新編映画的思考 現代日本のエッセイ
    -
    「映画的思考」とはなにか? 常に新しく鮮鋭な精神――19世紀末の象徴主義者の音楽的思考が、20世紀前半期における超現実主義者や抽象芸術家の絵画的思考や幾何学的思考に席をゆずったとすれば……。アヴァンギャルド芸術の否定の上に立つ、新しいレアリストは、映画的思考の持主かもしれません。「映画」やその周辺を語ることにより、真に新しい思考を導く、常にインターナショナルである著者の、鮮鋭な名エッセイ。
  • コチャバンバ行き
    4.0
    安穏・安全な「生」とは何か? 読売文学賞受賞の明篇――湘南で多少の土地を持ち、家を貸して自適生活する主人公。妻は仕事で不在がち。「安全な生活」とは何か……。元上司との様々なやりとりのあと、上司は妻を失う。南米・ボリビアでのバスの乗客の、何の苦痛もない死……。ささやかな生活の描写の中に、人生の哀歓をつむぎ出す、永井龍男独自の「美学」の結晶。『皿皿皿と皿』を併録。読売文学賞受賞作品。
  • 新入社員 船木 徹
    4.0
    会社で生きることの意味を問う企業小説! 談合入札、部内派閥……競争原理の中で新人は苦闘し、上司は葛藤した。「企業人」の育て方とは? ――建設資材メーカー新入社員・船木徹は、S市の新庁舎建設をめぐり、指導社員の高田に、接待術から談合入札まで、徹底的に叩き込まれる。だが、新人ゆえのミス、同期との心理戦、部内派閥、恋のトラブルなど、会社の荒波が襲いかかる。社会人・企業人として生きることの意味を問う、長編企業小説。<『新入社員』改題作品>
  • 成熟と喪失 ―“母”の崩壊―
    4.4
    「成熟」するとは、喪失感の空洞のなかに湧いて来るこの「悪」をひきうけることである(本文より)――「海辺の光景」「抱擁家族」「沈黙」「星と月は天の穴」「夕べの雲」など、戦後日本の小説をとおし、母と子のかかわりを分析。母子密着の日本型文化の中では、「母」の崩壊なしに「成熟」はありえない、と論じ、真の近代思想と日本社会の近代化の実相のずれを指摘した、先駆的評論。
  • 枯草の根/炎に絵を
    -
    1巻1,540円 (税込)
    乱歩賞受賞作と初期の傑作長編推理――乱歩賞受賞の処女長編でありながら、中国人名探偵・陶展文の活躍を、清新かつ簡潔で乾いた文体、独得のユーモア、優しく成熟した人間認識で描き、大人(たいじん)の風格を漂わせる『枯草の根』。余命いくばくもない異母兄の依頼で始めた父親の汚名晴らしに、産業スパイやドンデン返しを織りまぜて、完全犯罪を明らかにする、爽やかな『炎に絵を』。人間と人間の織りなす綾で読者を魅了する長編傑作推理2編。
  • シンジケート[新装版]
    4.1
    1巻2,398円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 伝説のデビュー歌集、31年目の新装版。1990年に第一歌集『シンジケート』で鮮烈なデビューを果たして以来、新世代の旗手として短歌ブームを牽引してきた穂村弘。現代短歌を代表する人気歌人にして名エッセイストの著者が描いたピカピカの恋のうたが、人気画家ヒグチユウコの絵と名久井直子の装丁で新たに生まれ変わります。解説・高橋源一郎。
  • 叶うならば殺してほしい ハイイロノツバサ
    3.9
    1巻2,717円 (税込)
    深夜、吉祥寺で発生した住宅火災。死者3名、重傷者1名。死者のうち1名は片手錠をかけられた女性だった。唯一の生存者でその家に住む17歳の少年・仁科徹は当初完全黙秘。  現場の様子から警察は、男4人による女子高生集団監禁事件と判断し、捜査を開始する。  ほどなく死者3名の身元は判明し、2週間にわたって被害女性に加えられた凄惨な虐待も明らかになるが、瀕死の重傷者は身元不明のまま。  警視庁捜査一課管理官の箱﨑ひかりは、突然供述をはじめた仁科がかけがえのない何かを守るために虚偽を述べていると感じ、被疑者、被害者それぞれの背景を調べ始める。 元警察官僚・古野まほろが描く、胸を穿つ警察ミステリ。
  • SL銀河よ飛べ!!
    -
    N大を卒業後、新卒でRエレクトリックに入社した働く城戸、岡田、小松。二年後、彼らにアメリカ出向のチャンスが訪れる。志願した3人だったが、三代に渡る家系について調査義務が課せられ、さらにSL特急「銀河」への招待状が届く。次第に明らかになる、三人の知られざるルーツとは? N大を卒業後、新卒でRエレクトリックに入社した働く城戸、岡田、小松。 二年後、彼らにアメリカ出向のチャンスが訪れる。 志願した3人だったが、三代に渡る家系について調査義務が課せられ、 さらにSL特急「銀河」への招待状が届く。 次第に明らかになる、三人の知られざるルーツとは?
  • 猫狩り族の長
    4.3
    今まで虚構を描いてきた。 初めて本当に思っていることを書きました――麻枝准 *** 『CLANNAD』『Angel Beats!』『神様になった日』―― 話題作を作り出し続けるカリスマの内心が初めて明かされる処女小説、緊急刊行 *** 海辺で出会った彼女は、美しく饒舌で世界で誰よりも――死にたかった。 猫が戯れるのを眺めていた女子大生・時椿は、断崖絶壁に立つ女性に声をかける。 飛び降りようとする黒髪の美女・十郎丸は、多くのヒット曲を手がける作曲家だった。 彼女は予想に反して、雄弁で自信に満ちた口調で死にたい理由を語ってのける。 人生で初めて出会った才能豊かな人間が、堂々と死のうとしている事実に混乱する時椿。 なんとかその日は十郎丸を翻意させ、下宿に連れて帰ることとなる。 なぜか猫に嫌われる死にたい天才作曲家と、何も持たない大学生。 分かりあえない二人の、分かりあえなくもあたたかい6日間が、始まった。 麻枝 准の生きている世界はこんなにも苦しくて、理不尽なものだった――。 「泣ける」ことだけにこだわり創作してきた彼が純粋に書きたいものを初めて書いた処女文芸作品。
  • 牟田刑事官事件簿
    -
    自由に捜査活動のできる特権をもつ熟年警察官・牟田を通して描かれた、出色の警察小説集。人生の光芒をとらえた警察小説の決定版――殺人現場に立っていた少年は、現行犯として逮捕された。彼は自白を始めたものの、肝心の部分にくると黙秘である。取調官は焦りはじめた。アドバイザーの立場から現場写真をみた牟田は、ふと疑念を抱く。犯罪捜査のエキスパートとして自由に活動できる熟年警察官を主人公にした、異色のポリス・ストーリィ。ドラマ化もされた名作。
  • 中国発掘物語
    -
    1~2巻660円 (税込)
    北京原人化石、殷墟発見など地中の夢を探る――北京原人、50万年前のヒト。第二次大戦時、その「遺骨」はどこへ消えたのか? ついに実在が証明された殷王朝、ではその前の夏王朝は? 20世紀に入り、中国では次々と新しい遺跡が発見され、発掘された。奴隷王朝の実態、青銅時代の流転、さまざまな墓陵の謎……。地中からの歴史の響きを詳細にさぐる。
  • 世間知らず
    4.0
    ハイミスほど女を深く知る年代はない、いわば女の分別ざかりだ。熟年の女心を描く秀作――この年代でひとり旅をすると、宿でうさんくさく扱われる。自殺志願か、いや道ならぬ恋の片割れかもしれへんでェ……。若さがいつしかあせた女が独りで生きるとき、彼女は人生をいやというほど知らされる。そして、女の人生の深みを増してゆく。ハイミスは、女の分別ざかり。彼女たちの変幻自在な姿を巧みに描いた秀作集。
  • 小説 国際プラント・ビジネス戦争
    -
    複雑な世界エネルギー情勢のなか、熾烈をきわめるプラント争奪戦を描く経済情報小説。波乱万丈、手に汗を握る争奪の内幕! ――「メキシコ沿岸でソ連原潜が事故」というベタ記事を追った商社マン・今田総吉は、メキシコ政府が秘かに進める天然ガス開発計画を察知。プラント受注に動きだしたとたん、米国メジャーの不可解な介入が強まり、イスラム過激派はサウジ油田を爆破する。複雑な世界エネルギー情勢のなか、熾烈をきわめるプラント争奪戦の内幕を描いた、経済情報小説。
  • 寺町三丁目十一番地
    -
    仁少年をはじめ、一家16人もの大家族の心意気と、たえまないさざめきの日々、そして、大火被災の受難。昭和10年代に、地方都市で写真館をいとなむ福っつぁん一家をめぐる、日常と波乱の生活記録。児童文学のジャンルに、清新な一石を投じた話題作で、厚生大臣賞およびサンケイ児童出版文化賞の受賞作品。
  • 視線
    -
    強盗にピストルを突きつけられたとき、その銀行員は、隣席の同僚に視線を走らせたという。そのために、同僚は、非常ベルに手をかけつつ射殺された。なぜ、彼は視線を走らせたのか。刑事が抱いた疑惑の到達点には何があったか。人間の微妙な心理、悪の衝動を、練達の手腕で描いた日本推理作家協会賞受賞作の表題作と、そのほか6編。
  • 香港マーケット
    -
    香港返還を機に熾烈な市場争奪戦。アジア衛星、香港第二空港計画は何を狙う? 世界の巨大資本が展開するビッグビジネスの内幕! 参入に立ち遅れるな! ――ビクトリアの丘に、風は吹きすさぶ。香港の中国返還を機に、世界のビッグビジネスの激しい闘いが始まった。アジア衛星、香港第二空港計画……香港マーケットを狙って、思惑が入り乱れる。中国をいかにコントロールするか。日本、アメリカ、イギリスの巨大資本が、香港を舞台に展開する、熾烈な市場争奪戦!
  • 紅水仙
    -
    1巻660円 (税込)
    何も語らずに逝った母の人生を辿る長篇小説。母が残したわずかな写真と叔母の話をたよりに、雪深い新潟山平村から秩父、浅草、安倍川、天川原、市谷富久町そして葛飾白鳥へ、足を運ぶ。わずかに探りあてた手懸かりには、悲しいことばかりが映しだされていた。薄倖な越後の女の生に捧げる感動のレクイエム。
  • 景徳鎮の旅 中国やきもの紀行
    -
    「やきもの」のもつふしぎな魅力。その魅力の謎をとく、陶磁の街そぞろ歩き。陶磁のふるさとに歴史の水脈を探る――中国の「やきもの」の歴史は古い。なかでも景徳鎮は、1000年も前から現在に至るまで、連綿と陶磁の製作生産をつづけている。芸術品から生活品まで、盛衰を経ながらも脈打ちつづけるその伝統と技術の跡を追って、歴史の水脈をさぐり、人々の美意識を、生活の変様を探索する。「やきもの」の街=景徳鎮そぞろ歩き。
  • 愛の幻滅(上)
    4.0
    1~2巻660円 (税込)
    恋のホンモノを手に入れたあと、もう気の抜けたニセモノの恋では満足できない! 結婚のできない恋は本物ですか? ――眉子、28歳。妻子ある男・東野と、恋の真っ最中。勤務先で、同僚の稔からアプローチされるけれど、そんなのはまったく目に入らない。「夫婦やない男女の仲ほど、面白いもんはない」と東野は言う。わからない。夫婦というものになったことがありませんから! と拗ねつつも、大人の恋にはまっていく。傑作恋愛長篇。<上下巻> ◎「私の好きな田辺さんの恋愛小説のベスト3」(山田詠美)
  • ミステリー映画館
    -
    従来軽視されてきたミステリー映画を秀作の鉱脈に変えた、映画人たちの成果を熱く語る。思い出深い内外のミステリー映画――文芸作品に比べて、とかく低く見られがちなミステリー映画だが、ヒッチコックや黒澤明などの努力もあって、いまや秀作の大鉱脈になっている。本書は、推理作家と映画批評家を兼ねる著者が、裏窓・サイコ・黒い画集など、内外の思い出深い名作50本を選んで語ったエッセイを中心にして、映画にちなむ密室短編1作を収めた。
  • 美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星
    3.7
    十年前に一度だけ見た星を探す少女――私立指輪学園中等部二年の瞳島眉美。彼女の探し物は、学園のトラブルを非公式非公開非営利に解決すると噂される謎の集団「美少年探偵団」が請け負うことに。個性が豊かすぎる五人の「美少年」に翻弄される、賑やかで危険な日々が幕を開ける。青春ミステリーの新機軸! 2021年4月10日~TVアニメ放送開始! ABC テレビ・テレビ朝日系列全国 24 局ネット(『ANiMAZiNG!!!』枠) 毎週土曜 深夜2:00 CAST 瞳島眉美:坂本真綾 双頭院 学:村瀬 歩 咲口長広:坂 泰斗 袋井 満:増田俊樹 足利飆太:矢野奨吾 指輪創作:佐藤 元 麗:七海ひろき 札槻 嘘:鳥海浩輔 STAFF 原作:西尾維新 キャラクター原案:キナコ 総監督:新房昭之 アニメーションキャラクターデザイン:山村洋貴 監督:大谷 肇 アニメーション制作:シャフト
  • 俳優修業
    3.0
    「虚実皮膜」の間を飛翔する花田清輝の精神の冒険――東洲斎写楽の役者絵についての精妙な分析にはじまり、「芸」という虚と実の「皮膜」の「遊び」から、「役者」という虚にして虚ならず実にして実ならざる追求者に話を展開し、沢村淀五郎の芸談だとする『四徳斎雑記』を補助線として、独自な精神を奔放に飛行させる、花田清輝の世界。転形期をしたたかに生きる、不撓不屈の諧謔の精神。常に精神の前衛でありつづけた著者の代表的作品。
  • 呪い禍 古道具屋 皆塵堂
    3.8
    料理屋・福芳で修行するも、やむを得ない事情から店を辞めることになってしまい、途方に暮れていた麻四郎。 困って街を歩いていると、古くからの知り合いである千右衛門に声を掛けられ、皆塵堂を紹介される。 どうやら人手が足りないらしく、ひとまず十日ほど試しに働いてみることに。 麻四郎が店番を手伝っていると、呉服屋の弥平という男が訪れ、やけに綺麗な壺を「ただで引き取ってほしい」という。 おかしな話だが、峰吉の巧みな交渉によって、壺数個を買うことを条件に、綺麗な壺を引き取ることに。 だがその晩、麻四郎がふと目を覚ますと壺の口から人の手が出てきていて……!? その幽霊の正体とは? そして、麻四郎の不運の本当の理由とは。 大人気シリーズ、3年ぶりの待望の新刊!
  • マチのお気楽料理教室
    3.6
    シリーズ累計92万部 『居酒屋ぼったくり』の著者、最新刊! 元ツアコン・万智の 絶品「郷土料理」教室は 「思いやり」に溢れている…… お題は『どんどろけ飯』『トンテキ』『冷や汁』etc. ざっくりだけれど、楽しく、美味しく、親切に。 ツアーコンダクターとして15年間、国内外を旅してきた常磐万智(ときわまち)は、 義母の介護のため退職。旅先で料理について学んだ経験を生かし、 義母の死去後、自宅で料理教室を営むことに。 珍しい郷土料理を扱う教室には、亡き妻を偲び、あるいは両親のため、 老若男女の生徒たちが通ってくる。そして万智の家庭にもある事情が……
  • 詩礼伝家
    5.0
    哀惜の想いで描いた恩師・阿藤伯海への鎮魂歌――川端康成とは東大同級で、上田敏令嬢への恋に破れたためか、生涯独身の漢詩人・阿藤伯海。法政教授時代は斎藤磯雄に、太平洋戦争下の昭和16年から19年まで旧制一高教授時代は、著者・清岡を初め、若き三重野日銀総裁、高木中央大学学長らに、多大な影響を与えた、高雅な人格と美意識を生きた文学者。痛切な哀惜の想いで描かれた、清岡卓行の恩師への「鎮魂歌」。
  • すみれ荘ファミリア
    4.2
    愛ゆえに、人は。 『流浪の月』『滅びの前のシャングリラ』本屋大賞受賞&二年連続ノミネートの著者が描く、家族の物語。 すみれ荘のその後を描く「表面張力」を収録した完全版。 下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに、芥と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼いころに生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。真っ直ぐで言葉を飾らない芥と時を過ごすうち、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が露わになっていく。 愛は毒か、それとも救いか。本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。
  • 深い河 新装版
    4.3
    愛を求めて、人生の意味を求めてインドへと向かう人々。自らの生きてきた時間をふり仰ぎ、母なる河ガンジスのほとりにたたずむとき、大いなる水の流れは人間たちを次の世に運ぶように包みこむ。人と人のふれ合いの声を力強い沈黙で受けとめ河は流れる。純文書下ろし長篇待望の文庫化、毎日芸術賞受賞作。
  • 中国詩人伝
    3.5
    日本人にも親しまれている中国詩の巨星たち。最初の詩人・屈原から、中国革命の星・魯迅まで、明快に面白く描く詩人伝の決定版。熱気と自省、真情溢れる詩魂を語る――中国最初の詩人・屈原(くつげん)から、中国革命の星・魯迅(ろじん)まで、日本でも親しまれている中国詩の巨星たちの、詩と人生を語る名著。深い考察を、平明に面白く伝える著者の筆から、鮮やかに立ち現れる詩人たちの姿と心。激動の中国史に燦然と輝く詩魂が、現代の日本人の胸にひびく、詩人伝の決定版。李庚(りこう)が描く肖像画入り。
  • 恥部の思想 現代日本のエッセイ
    -
    低俗視されていた映画などB級文化の優性の発見――単行本刊行時「恥部を軽蔑するな! 恥部こそ生産的だ!」という挑発的な名コピーで、活字文化信仰を震撼させた快著。映画、演劇、ミュージカル、演歌、浪曲などを低俗と見なす風潮に敢えて抵抗し、溌剌とした批評精神と快適極まる説得力で、「B級文化」を「合法化」した先駆的なエッセイ群。常に既成価値を転倒し、未来性を追求する著者の強靱な力業。
  • 私の『マクベス』
    -
    画期的と世評の高い翻訳と原作の真髄を説く評論――生の深奥に潜む根源の暗黒を描くシェイクスピアの名作を、改訳に改訳を重ね、画期と評される木下順二訳で収める。原文の台詞がもつ旺盛なエネルギーとイメージの喚起力を、いかに日本語に定着させるか。原作と翻訳の間に必然的に介在する「訳し得ぬもの」を、自からの翻訳体験を通して詳密に語り、『マクベス』理解の最良のアプローチとなった長篇評論「なぜシェイクスピアが訳せないか」を併録。
  • 紺野機業場
    -
    芸術選奨受賞の聞き書長篇。淡々と綴る浄福の世界――北陸の海端の、さびしい河口の町。快活で研究心に富み、情に厚く飾り気のない人柄の、小さな織物工場を営む老主人・紺野友次。家族の消息やありふれた日常の中に、年中行事、信仰、習俗などにささえられた、100年にも及ぶ一族の歴史が描かれ、懐かしい日本の原風景が刻される。地方に生活する人々の真情を淡々と綴る浄福の世界。芸術選奨受賞作品。
  • いのちがけ 加賀百万石の礎
    4.1
    前田利家の忠臣・村井長頼が命を懸けて貫いた武士の本分。 加賀藩の祖・前田利家が流浪した若きころから大名になった後まで付き従った、股肱の臣・村井長頼。桶狭間、長篠、賤ヶ岳、……名だたる戦場を駆け抜け、利家の危難を幾度も救う。主君の肩越しに見た、信長、秀吉、家康ら天下人の姿。命懸けでで忠義を貫き通し、百万石の礎を築いた男を端正な文体で魅せる傑作。 『高瀬庄左衛門御留書』で話題の著者、鮮烈デビュー作!
  • ピットフォール
    4.1
    消えた女。 友の死。 華やかな成功の陰で、暗い《落とし穴》(ピットフォール)が口を開ける街、大都会ニューヨーク。 二つの謎を追う探偵を待ち受けるのは――。 一九五九年、ニューヨーク。 元刑事で探偵のジョーは、役者志望の女性の行方を捜してほしいと依頼を受ける。 その矢先、衝撃的な知らせが。 黒人の探偵仲間ウィリーが殺されたというのだ。 残忍な手口は、女性ばかりを狙う連続殺人事件と同じだった――。 ハードボイルドの美学が詰まった傑作!〈文庫オリジナル〉 解説 林家正蔵(落語家)
  • ものみな歌でおわる・爆裂弾記 現代日本の戯曲
    -
    『復興期の精神』の著者の代表的戯曲3篇を収録――虚実交錯する二元的批判構図を持ち、特異な発想と構想で、常に戦後文学に先鋭な問題を提起し続けた『復興期の精神』の著者・花田清輝の、代表的戯曲3篇。明治18年、自由民権運動を背景に、女壮士・新聞記者・講釈師・演歌師などを配して、その過激な運動の壊滅までの顛末を描いた諷刺喜劇「爆裂弾記」のほか、「ものみな歌でおわる」「首が飛んでも――眉間尺」を収録。
  • 目撃
    4.0
    1巻1,078円 (税込)
    吉川英治文学新人賞受賞『地の底のヤマ』著者の快作! 目撃者・“見立て屋”刑事・殺人犯。 絡み合った三者の思惑が弾ける衝撃の結末! 電気メーターの検針員の戸田奈津実は、夫とは離婚調停中で、幼稚園に通うひとり娘を育てている。検針担当区域で、ストーカー立てこもりや殺人事件が発生してから、彼女は何者かに見られている確信を持つ。奈津実の相談を受けた一匹オオカミ刑事の穂積は、密かに罠を仕掛けるが……。緊迫のサスペンスノベル。
  • 本郷
    -
    本郷に生れ今も住む著者の半世。わが内なる本郷――鴎外、漱石をはじめ、本郷に住んだ文人たちや伯父・佐々醒雪、父母のこと、個人的な体験など、本郷を中軸に据え、そこにかかわる様々を語りながら、時代を生き生きと甦らせ、半生を映し出して行く。私が本郷を所有するのか、本郷が私を組み込むのか。本郷に染着する文化を見事に描ききる、『夕鶴』の作者の限りなき本郷愛着の記。
  • 二葉亭四迷伝 ある先駆者の生涯
    -
    明治の黎明期に、近代小説の先駆的な作品『浮雲』を書き、「言文一致体」を創出した文豪・二葉亭四迷の、46年の悲劇的な生涯を、全17章から成る緻密な文体で追う。最終章は、ロシアからの帰途の船上で客死する記述に終り、著者「あとがき」に、「これは彼の生活と時代を再現することを必ずしも目的としたのでなく、伝記の形をとった文学批評だ」とある。評伝文学の古典的名著。読売文学賞受賞作品。
  • 東京物語考
    -
    2020年に逝去した作家・古井由吉が、明治、大正、昭和の「東京」を描いた徳田秋聲、正宗白鳥、葛西善蔵、宇野浩二、嘉村磯多、谷崎潤一郎、永井荷風らの私小説作品をひもとき、浮遊する現代人の出自をたどる傑作長篇エッセイ。長らく入手困難となっていた名作を文芸文庫で。解説・松浦寿輝。
  • 脳男 新装版
    3.4
    猟奇的な連続爆弾犯のアジトで発見された、心を持たない男・鈴木一郎。逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが……。そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。 あらゆる感情が欠落した男。男の正体の解明に挑む精神科医と共に事件の核心にたどりついた刑事が見たものとは。 全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。2000年週刊文春ミステリーベスト10 第1位。
  • 夢ざめの坂(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    ある男の失踪。その軌跡の果てに浮かぶ謎は!? ――「文化教室」を営む浦上隆志を訪れた初対面の女性・杉坂房子は、こともあろうに、失踪した夫を探してくれと、隆志に頼む。その夫・伊庭潤は、1年前、水墨画教室に在籍したのだという。隆志の奇妙な失踪人探しが始った……。いつかおちいる房子との恋。その語らいの中に浮びあがる隆志の生いたち。滋味溢れる推理長編。<上下巻>
  • 柊の館
    -
    神戸異人館で青春を過した女性が語る恋の思い出、奇妙な殺人劇……。情趣あふれる連作推理――柊の樹に包まれ、神戸でも異彩を放つ「とんがり屋敷」は、イギリス系船会社の宿舎だった。そこに17歳で勤め、多くの外人たちと共に青春の充実したときを過した日本女性。彼女が語る古き良き昔の恋や奇妙な殺人劇、それは時代、人種をこえた愛憎ドラマとして清新に今よみがえる。異色の構成による、連作推理小説
  • 東眺西望 歴史エッセイ
    -
    寄せては返す歴史の波。営々とはてしのない悠久の流れ。古今東西人類万歳! 生ある地球を語り救う思想と人物! ――古今東西、人類は果てしない歴史の営みを継続してきた。秦の始皇帝陵のおびただしい兵馬俑、草原に展開する遊牧と定住のドラマ……。文明の波は全世界に寄せては返し、人間存在の重みを証明している。過去・現代・未来への流動と息づきを、地球規模で展望し、人の英知と歴史の知恵を模索する名エッセイ。
  • 長安の夢
    -
    長安の春秋、唐代の人間模様。夢結ぶ花の都、ローマと並ぶ最大の都の全容。華やぐ長安。さんざめく最大の都! ――長安には、春がふさわしい。漢の時代から、長安は、はなやいだみやこであった。そして唐代には、ローマと並ぶ最大の都だった……。日本にも馴染の深い白居易、李白、杜甫、王維らの詩眼を通して、いにしえの夢のみやこの全容を浮きぼりにする。「西域巡礼」「三蔵法師の道」を併録し、シルクロード、天竺への道をも紹介。
  • 太平天国(一)
    5.0
    1~4巻660円 (税込)
    太平天国の興亡を描く傑作大河小説。15年にわたり清朝を震撼させた争乱の発端――アヘン戦争から7年後、小乱が続き匪賊が横行する、物情騒然たる中国で、洪秀全が頭角を現わしてきた。エホバを天父と仰ぎ、清朝を排して世直しをめざす、拝上帝会の創始者である。信仰と理想に燃えて広西省金田村に決起した一党は、多彩な勢力も併合して、遂に、太平天国という「国」を樹立するに到った。<全4巻>
  • 新ビジネスエリートの理論武装
    -
    今こそ必要な9つの実戦セオリー。生活や仕事の発想を大胆に変えよう! ――「KKニッポン」の常識は、国際社会には通用しない。バブル経済の崩壊をみよ。「カローシ」をみよ。今こそ常識をくつがえせ。生活や仕事の発想、会社内での身の処し方、国際感覚など、ラディカルに提言する、9つの実戦セオリー。国際派経済記者が、グローバルな視点から、あなたに贈る未来へのパスポート。
  • 妾宅・本宅 小説・人生相談
    3.0
    僕が結婚するとき、お袋は別居を宣言した。もの分りがいい、と喜んだが成行きは大違い。買ってくれたクルマや電話がすべて、僕をひんぱんに呼びつけるための小道具だった。僕にとってお袋の家が本宅、女房のいる家は妾宅並み……。人生相談形式で、ドッキリするような人生、男女の機微を軽妙に描いた、出色の連作。
  • 三色の家
    -
    海岸通りでひときわ目立つ三色の建物は、海産物問屋の同順泰公司である。ここの3階にある干し場で、コックの杜自忠が殺された。出入口2ヵ所には家人がいたのに、全然気付かぬという。杜の人生は苦難に満ちていた。公司の主人の親友である陶展文の鋭い推理と調査が始まる。神戸を舞台にしてのびやかに描く長篇推理。
  • 英雄ありて
    -
    中国史の英雄に出会う旅。史記、三国志、唐詩、西遊記、水滸伝に登場する魅力的な人物とその舞台を語る好著。中国史上の雄大な人間ドラマを活写――史家や軍略家が主命を奉じた苦難の旅、皇帝の大旅行、飢えと非礼の中の亡命者の旅、刺客の悲壮な旅、詩人たちの異郷の旅……。中国史上の英雄たちの旅の現場を辿り、雄大な歴史と風土を目のあたりにする好著。天下を争う人々の興亡を俯瞰し、人間の悲劇に対する深い洞察を読む、興趣尽きない歴史エッセイ集。史実の重みと自由な空想の醍醐味を味わう!
  • カーラリー殺人事件
    -
    宗谷岬から出発し、佐多岬まで走りつくす、画期的な日本縦断カーラリー。この催しの背後には、さまざまな野望と悪とが、隠されていた。視力に障害を持ちながら、天性の勘と頭脳をもつ田浦二郎は、純粋な競技心で、運転補助者としてラリーに加わる。しかし、故意ともみえる落石事故が襲って……。卓抜な設定による、名手の推理長篇。
  • 新宿少年探偵団
    3.8
    1~6巻680~827円 (税込)
    希望と絶望、あらゆる欲望が交錯する混沌都市・新宿に出現した、「θ(シータ)」と呼ばれる怪物体。不思議な磁場に引き寄せられるように集まった、4人の少年たち。魔物を自在に操り、次々と猟奇殺人を犯す「髑髏王」の目的とは!? 恠しく邪悪な意志に対峙する「少年探偵団」。読みだしたら止まらない、傑作冒険譚!
  • 近代の超克 現代日本のエッセイ
    -
    近・現代をいかに超えるか? 著者の代表的エッセイ――〈前近代的なものを否定的な媒介として近代を超える〉……著者の生涯を貫ぬいて実践された主題に添って書かれた「柳田国男について」は、柳田国男の現代的な再発見を促がし、フォークロアや口承文芸、〈近代〉から排除されたB級文化話芸などが、教養主義的価値観から解放され陽の目を見た。活字中心の価値観に、根柢的改変を迫った、衝撃的エッセイ。
  • カレンダーの余白 現代日本のエッセイ
    -
    四季おりおりの自然、自己とその周囲、今と昔、生の哀しみ、日常生活の襞。生粋の都会人の冷徹な目と繊細な詩人の感性横溢する、簡潔化されたエッセイの世界。「鴉」「天気予報」「桃の節句」「夜涼身辺」「歯のこと」「小唄」「酒について」「水のあと」ほか、短篇の名手・永井龍男が、多彩な題材で軽妙に描いた、82篇の名文。
  • アカシヤの大連
    3.8
    美しい港町、アカシヤ香る大連。そこに生れ育った彼は、敗戦とともに、故郷を喪失した。心に巣喰う癒し難い欠落感、平穏の日々の只中で、埋めることのできない空洞。青春、憂鬱、愛、死。果てない郷愁を籠めて、青春の大連を清冽に描く、芥川賞受賞の表題作。ほかに『朝の悲しみ』『初冬の大連』『中山広場』『サハロフ幻想』『大連の海辺で』の、全6編を収録。
  • 妖のある話
    -
    中国史を彩った美女の魔力。美女に迷って暴走する男たちの本性と、女の妖態を軽快につづる女性論エッセイ。女の「妖しさ」はどこからくるのか? ――美女には、時代によって、はやりすたりがあり、好みにも個人差がある。男心をかき立てる「妖女」の魅力とは何? 少女が見せる妖、男装の女武人の倒錯美、愛らしい醜女の心根、病身美人の抗しがたい良さなどなど、男を刺激し翻弄する、妖しくも愛すべき女。博識のフェミニストが軽快に、女性の魅力を語るエッセイ集。
  • 北京の旅
    4.0
    首都の輝き、首都の威厳。北京千年の歴史、文化、風俗を伝える魅力の旅行記。千年の歴史を秘める中国首都を探訪――中国の首都として、千年の歴史を秘める北京。そこは時の流れの風化、人の世の変転のなかで、いまなお首都の輝き、首都の威厳を失わない。まちには人々の精気が、活気がみなぎっている。歴史の遺跡をたずね、文明の源流を求めて雄大な王城の地をくまなく逍遙し、肌で感じた北京のすべてを伝える好紀行。
  • 風よ雲よ(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    明朝末期のマカオ、美丈夫の野心家・鄭芝竜と、豊臣の遺臣・安福虎之助との運命の出会い。風雲児の生涯を描く壮大なロマン――東に虎視眈々と機を窺う満洲族、西に流賊・李自成軍が迫る明朝末期、中国南部の港町・マカオで、二人の男が運命の出会いをした。美丈夫の野心家、生れながらの統領の器、鄭芝竜と、大坂落城時、脱出して蘇州の大商人の用心棒となった長身の浪人、安福虎之助である。壮絶な乱世に、南海制覇の野望に燃える男と、夢と生き甲斐を大陸に求めた男の人生の軌跡を描く、歴史長編。<上下巻>
  • 敦煌の旅
    -
    大らかなロマンを秘める敦煌千仏洞。その偉容を訪ね中国史の奥行きを探る。中国西域の歴史。大佛次郎賞受賞作――シルクロードの途上にあるまち、敦煌。かつて、天竺にむかって三蔵法師玄奘や法顕がたどり、ラクダの隊商が往来した西域のまち、敦煌。大らかなロマンと悠久の歴史を秘めて息づく莫高窟。念願かない、その地を訪れることのできた著者が、胸を燃やしその胸の炎の輝きを情熱こめて綴る旅行記。第3回大佛次郎賞受賞作。
  • 相思青花(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    青花とは染付の中国名。美しい焼き物に秘められた人間の愛と宿命、日中の歴史の謎。時空を超えて展開する雄大なロマン、アジアの大戦史を舞台に展開する恋愛長編――不思議な物語は、イスタンブールのトプカピ・サライ博物館から始まった。10年間の結婚生活の後、商社員の夫がロンドンで急死した奈美。ハネムーンの地で中国陶磁器の前にたたずむ奈美に、端正な中年の紳士が話しかけてきたのである。夫の急死から立ち直ろうと、実家に伝わる青花(染付)の謎を追う奈美に、その男・林輝南は、清朝末期の青花にまつわる愛の秘話を教え、二人は調査を進めてゆく。<上下巻>
  • 戦国海商伝(上)
    3.0
    1~2巻660~691円 (税込)
    時代を動かす海の男の物語。海洋歴史小説――戦国乱世の日本。天下を狙う群雄が、軍資金づくりの密貿易にはしっていたころ、中国には明朝打倒に燃える豪商の集団があった。彼らは水上生活者に身をやつし、倭寇と組んで着々勢力を扶植する。奇しき人生を生きる毛利の落し子の運命を軸に、中国と日本をむすぶ戦国の水脈を描く、海洋歴史ロマン。<上下巻>
  • 弓の部屋
    -
    夏の夜の神戸を彩る生田神社の花火。それを、異人館のボウ・ルーム(弓の部屋)から眺める男女の間で、突如、殺人が……。被害者は、メイド・光子の夫の山中。彼は、電灯を消した一瞬にすり替えられたコップを口にして、毒殺された。捜査の進展につれ、居合わせた人々の過去が、次々にあばかれて……。神戸情緒あふれる、本格ミステリ。
  • 闇の金魚
    -
    日本への留学を終えて帰国した童承庭は、政商・永源昌の店で働きながら、反体制運動のレポ役も果していた。が突如、妻が何者かに拉致された……。陰謀錯綜の歴史の裏を暴く長編ミステリ――妻が拉致された。その報をもたらした男が示す紙片には、「とらわれたが拷問には屈しない」とある。確かに妻の筆蹟だ。反体制運動のレポ役・童承庭は、ふるえた。誰が何のために仕組んだ罠なのか? 清朝が倒れ、孫文らの革命勢力が勃興する中国、多様な主義思想の錯綜する歴史のヒダに、推理のメスを鋭く入れる長編。
  • インド三国志
    3.5
    インド帝国はなぜ滅亡したのか? インドは「我が青春の一部」と語る著者が、東インド会社に屈した謎を描く――生き残る王子はたった一人。流血が王位継承の伝統であったムガル帝国に、東インド会社を尖兵としたイギリスの魔手が迫る。アヘン戦争、明治維新へと続く歴史の前哨戦として、300年を越えるムガル王朝滅亡のひき金をひいたのは誰か……。インドは「我が青春の一部」と語る著者が、熱き思いをこめて描く長編歴史小説。
  • 中国五千年(上)
    3.0
    1~2巻712円 (税込)
    歴史の要点は、政権(王朝)の興亡にある。どのような人物が王朝をたて、どう政治をしたか。有徳と暴虐の交替、文化の差が政権を変える有様を、明快平易に語る史書。三皇五帝の神話時代から、祭政一致の神意国家、地方分権の封建制社会、秦の始皇帝による天下統一。再びの動乱、隋による再統一まで。<上下巻>
  • からっぽ男の休暇
    4.0
    忘却の旅に出て知る忘却する快楽!! 休暇中のからっぽ男のように南の島で読んでください。あるいは暑い日に!! 南の島の木陰で紡ぎだす曖昧な童話――陽光に照らされた風が動きはじめて、椰子の森がささやいて揺れる。終わりのない休暇を南の島ですごす僕。美しいティパワンやクリッサナたちとのひととき、忙しかったころには思い出しもしなかった童話を話したくて仕方がない。でも、ちょっと変!! そんな曖昧でこんがらがってしまった不思議な15のお話。
  • バリの魂、バリの夢
    3.0
    バリが失ったもの、守り続けているもの。この島は、何故かくも旅人のこころをからめとるのか!? 究極のバリ島読本。バリの迷宮をさまよう――目も醒めるような青い水田、耳に優しいガムランの音。小さな遺跡を訪ね、ウブドのアートや市場の喧騒に酔いしれる日々。バリは、何故かくも旅人の心をからめとるのか? 暮らし、食べ物、祭り、舞踊、言葉、暦……。バリ島の魅力に深くふれた名著『バリ島 不思議の王国を行く』に書き下ろしを加えた、究極のバリ島読本。
  • 山河在り(上)
    4.0
    1~3巻785円 (税込)
    戦争前夜の日本と中国、荒波を生きる青年! 25歳の華僑青年・温世航は、関東大震災で被災。失踪した仲間を追う。巨匠が描く日中近代史――華僑貿易商の一族として、上海に生まれ日本で育った温世航(おん・せいこう)。25歳の時、関東大震災に遭う。未曾有の天災に、緊張状態にあった日中関係も良好になるかと思われた。だが朝鮮人虐殺の報は、両国関係に再び暗い影を落とす。仲間の青年の失踪事件を追って、世航は旅立つ。日中十五年戦争前夜を描く大河小説! <全3巻>
  • 石川啄木歌文集
    4.0
    明星派の詩人として出発し、三行書きの短歌で歌壇に新風を吹き込み、〈大逆事件〉との出会いにより現実を凝視、明治という時代を考察して、結核と貧窮のうちに夭折した、天才詩人・石川啄木。非凡な才能で先駆的思想を所有した彼の歌集『一握の砂』『悲しき玩具』などから短歌200首、「性急な思想」「時代閉塞の現状」などエッセイ6篇、「はてしなき議論の後」「飛行機」ほか詩12篇を収録。
  • げんじものがたり
    値引きあり
    4.5
    1巻1,270円 (税込)
    “今”の京都の声でよみがえる、源氏物語! 「紫式部が隣でおしゃべりしているかのように綴られる、 若き日の「光君」の物語に、ぐっと引き込まれました」 ―本上まなみ(俳優・エッセイスト) 「桐壺」帖から「葵」帖までの9帖を原文に忠実に訳した、 作家・いしいしんじによる平安京の大ベストセラー恋愛物語。 京都新聞に連載され大反響を呼んだ「げんじものがたり」が、 大幅に加筆されて、ついに出版! どちらの帝さまの、頃やったやろなあ。 女御(にょうご)やら、更衣(こうい)やら……ぎょうさんいたはるお妃はんのなかでも、そんな、とりたててたいしたご身分でもあらへんのに、えらい、とくべつなご寵愛をうけはった、更衣はんがいたはってねえ。――― 平安の都で書かれた、文学史上の傑作と称される『源氏物語』。本来「京ことば」で書かれたであろうこの大長編は、昭和初期、与謝野晶子と谷崎潤一郎がほぼ同時期に訳して以来、ほとんどすべて現代標準語で書かれてきました。かつて山折哲雄(宗教学者)が嘆き、司馬遼太郎と徳川宗賢大阪大学教授(御三卿の田安徳川家出身で国語学者、言語学、方言学)が未来に託すほど、『源氏物語』の「京ことば」訳は難しいとされてきました。 実現不可能と言われてきたこの難題に挑戦したのが、ことばに対して真摯に向き合い続ける作家・いしいしんじが抄訳した『げんじものがたり』です。紫式部が今を生きる京都のおねえさんになって、ご近所さんに語り聴かせをしているような、あるいは「完璧なイケメン」光源氏と、彼に関わっていくお姫様たちとの噂話を聞いているような、不思議な感覚。原作に忠実に、かつ「今」を映す瑞々しい言葉で綴られることで、平安貴族たちが夢中になったありのままの「物語」を堪能することができます。 光源氏が誕生する「桐壺」帖から、のちに最愛の女性となる紫の上が登場する「若紫」帖を経て、正妻・葵の上のもののけによる死が描かれる「葵」帖(源氏23歳頃)まで、9帖を抄訳して収録。光(ひかる)君(くん)の若き日の成長譚と、さまざまな姫君たちとの華麗な恋愛絵巻が描かれます。 源氏物語に詳しい人はもちろん、読むことを敬遠してきた人へ。令和に蘇る平安の宮中恋愛劇を、ゆるりとお楽しみください。
  • FRaU SDGs MOOK WORK 今日から始める、私の働きかた改革。
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 コロナ禍を経て、世界的に問われる働き方のこれから。私たちはどう「仕事」に向き合って生きていくのかを考える1冊。注目されている、ワーケーション、二拠点生活、田舎暮らしでのお仕事なども研究します。
  • 【無料版】「ブックキーパー 脳男」試し読み 特別書評付き
    無料あり
    5.0
    乱歩賞史上最強のダークヒーローが帰ってきた! 特別書評2本付き第一章「無料お試し版」! 驚異的な知能を持ちながら「心」のない男と、警察庁の華麗なるエリート警視が頭脳対決! 警視庁で開発中の異常犯罪データベースによって遠く離れた場所で相次いだ三件の殺人事件にはすべて拷問の痕があると判明し、続いて愛宕市でも氷室財閥当主が犠牲者に。異常犯罪のエキスパートとして現地に急行した警察庁の若き女性警視・鵜飼縣は茶屋警部を従えて捜査にあたる。一方、同市の鞍掛署は秘かに謎の老人の行方を追っていたが、発見した途端に鈴木一郎=脳男が現れて妨害する。鞍掛署にはまた署をあげての交通事故隠蔽疑惑があり、真相を探ろうとした茶屋のかつての部下が殺される……。 鍵を握る「ブックキーパー」とは何者か? 残虐な連続殺人事件の真相とは? そして神出鬼没の脳男=鈴木一郎が戻ってきた理由とは? 『指し手の顔』から十四年、乱歩賞受賞最大の問題作「脳男」シリーズがさらにパワーアップして登場。総勢六十名以上の人物を見事に描き分け、テンポよく切り替わる場面に目が離せない、エンタメの王道を行く超弩級サスペンス巨編。

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  • 中学時代
    -
    ぼくらの2Dに、「和」と「団結」のことばを贈り、クラスをいつも爆笑させてくれた担任のモンキー。ぼくたちは、先生がすきだ。でも、先生はまちがっている。先生、教師をやめてください! ――新しく変わった世の中で、自分たちの道を切り開いていく、男女共学第1期生の中学生活を「学級日誌」の形でつづった問題作。
  • 妙竹林話 七偏人(上)
    4.0
    顏そろえたる7人ののらくら者。さて、しでかすはヘマばかり。傑作滑稽本の初校注書。笑いうずまく傑作滑稽読物、初の校注本――花のお江戸のめでたい正月に、竹林の七賢のむこうを張って、顔をそろえた7人衆。ただしこちらは、妙竹林の七偏人で、することなすこと、人を食ったおかしなことばかり。半可通の大愚をからかって、こののらくら者の面々が、さて、どんな大騒動をまきおこすやら……。笑いの宝庫、江戸期滑稽本の傑作。<上下巻>
  • 北京悠々館
    -
    時は清末、日露の風雲急を告げる明治36年、初秋の北京に、ある任務を帯びて下り立つ美術商・土井策太郎。露清撤兵協約の再締結! 批准? 対露開戦の大義名分を失うのを恐れる日本は、巨額の金で清朝要人の買収を工作、舞台は「悠々館」。だがパイプ役は、完全密室で殺害、同時に金も消失し……。腐敗と無策を孕む国家の末期症状で、事件は謎を深める。本格推理と歴史小説が見事に結合結晶した会心の作。
  • 姉貴の尻尾 向田邦子の想い出
    4.5
    姉に似た達意の筆で弟が描く作家の素顔。好奇心が強くお転婆で、おだてに弱くせっかちで、やさしい人。生き生きと甦えるなつかしい面影――好奇心旺盛でお転婆で、おだてに弱くせっかちで、人には見せない地道な努力家、家族思いのやさしい長姉……。実弟が遠慮なく、あたたかく語る、素顔の向田邦子像。いきいきと甦(よみがえ)る、早世した稀有な作家の、なつかしい面影。姉に似た達意の文章で、もの書きという愉快な変てこ人間を描く、しみじみ楽しい好著。
  • 孔雀の道
    -
    英国人を父、日本人を母として生まれたローズ・ギルモアは、13年ぶりで日本を訪れた。彼女が幼い頃、神戸の自宅で謎の焼死を遂げた母のことを知りたかった。戦前の日本でスパイ事件に関与したことのある父は、なぜか母について沈黙を続け通して他界した……。国際色豊かな現代史ミステリ。日本推理作家協会賞受賞作。
  • 花暦八笑人(上)
    4.0
    登場いたしまするは、花のお江戸の道楽者8人衆。飛鳥山の花の盛りに花見の客をおどろかそうと、あれこれ趣向をこらし、工夫を仕込んでの茶番劇。ところが、何をやらせてもドジな面々のこと、とんだ騒動が持ちあがって……。駄洒落の連発、地口のかけ合い、息もつかせぬ怒濤の笑い、一気に読ませる江戸期滑稽本の粋。<上下巻>
  • 影を裁く日
    5.0
    その日、外務省のキャリア組は震え上がった。TOKIOサミットが終了した晩、ホテル・ニューオークラで開かれていたパーティーの会場から、朝倉外務省欧州局長の姿が忽然と消えた。ほどなく、死体が中庭の池に浮かんだ。元外交官の著者が、一見はなやかな外務省内部に秘められた、キャリアとノンキャリアの確執、権力の腐敗を描き、人間性の本質に迫る傑作ミステリー。
  • ワールドカップ全記録
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 歴史と伝統の闘い 完全保存版初登場! 1930-98本大会・全516試合の記録。これぞ「世界の祭典」W杯サッカー! ――世界の祭典・サッカーW杯は、1930年に、第1回大会がウルグアイで開催された。以来、世界中の人々を熱狂させた歴史と伝統の名勝負に名選手。本大会の全516試合得点経過つき全メンバー表、全大会全地域予選全結果、日本代表全戦歴……、公式データをもれなく満載したファン必携の1冊。読まずしてW杯は語れない!
  • よそ者の目
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    外国からどう見られているかに過敏な日本人を、同じアジア人の視点であえて語る快著。中国的立場から作家の目で見た日本人論――よそ者(外国人)が日本について発言するとき、たいてい強い反撥を喰う。放っておいてくれ、というわけだ。そのくせ、外国からどういう目で眺められているか、日本人はひどく気にする。島国からくる過敏性であろうか。中国的なものの考え方から、同じアジアの日本人の動向を綿密にとらえる、深甚なるエッセイ集。
  • シルクロードの旅
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    ロマンの香り溢れる西域の秘境の旅路。西欧と中国、さらには日本にまでつながるシルクロ-ド。厳しい自然と闘いながら、先人たちが営々と築いたこの東西交流の道をたずね、いにしえ人の夢と憧憬のあと、歴史の息吹きをたどる――中国西域。広大な自然と厳しい環境の織りなす天然の神秘。シルクロードは、そのまっただなかを延びている。西欧と中国、さらには日本にまでつながり、文化と風俗と人情と……あらゆる人間の営みを交流させたシルクロード。先人たちが営々と築いた秘境の旅路をたずね、いにしえ人の夢と憧憬のあとをたどる。
  • そこなし森の話 佐藤さとるファンタジー童話集1
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    「コロボックル物語」の著者・佐藤さとるのファンタジー短編集。日常の世界の向こうにある奥深い神秘の世界を、ちらりとのぞかせてくれる珠玉の短編。「龍宮の水がめ」「四角い虫の話」「不思議なおばあさん」「鬼の話」「掌編三話」「そこなし森の話」「夢二つ」「椿の木から」「きつね三吉」「不思議な不思議な長靴」「わすれんぼの話」「龍のたまご」など収録。

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