すべての高評価レビュー
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Posted by ブクログ
この本を食べ物に例えると風邪の時に食べる手作りおじや。(いきなり本を食べ物に例えるなよという気もするが) これからの人生で絶対何度も読み返す物語だと確信している。
こんなに読んでいて安心する小説を読んだのは初めてかもしれない。大体のストーリーを言うと母の元から独立を決めた姉妹2人の独立の物語。心温まる話は他にもたくさんあると思うが、この物語がいいなと思うのは相手からの小さな良心をきちんと救って描写されている点にあると思う。
この物語には大きな事件や宝くじに当たるなどの大きな幸運はもたらされない。ただ淡々と日常が語られるのみだが、その日常の中にもこんなに自分は周りから気にかけられ、支えられているんだなと感じることができる。ご近所づきあいが煩わしいとされる昨今でも人とのつながりは大切だなと読んでいて気付かされる作品だと思う。
また、物語に描かれていない余白を残すのが上手いと感じた。10年ごとに区切られて物語は進んでいくが、描かれていない間登場人物はどんな暮らしで何を考えていたんだろうと読みながら想像するのが楽しかった。
孤独を感じて辛い人にぜひおすすめしたい一冊。 -
Posted by ブクログ
子どもの頃に何度も何度も読み返した、ミステリ好きになった理由の一つ。audibleにあるのを見つけて再読。
冒頭である意味根回しをしているとはいえ、その犯人はちょっとずるくない?と当時も思ったしまあ今も思う。雰囲気づくりがうまい。繰り返し読んだだけに、謎解きのポイントが仕込んである部分はだいたい全部覚えていた。
30年近く年を取ってから読むと作中の大人が子どもに向ける目が優しくて温かくていいなあと思う。当時と自分にとってはハイスペックで大人びたお姉さんだった亜衣たちを本当にかわいらしく感じてしまう。そして子どもの心を残した大人に向ける目も同じく温かさがある気がする。これから作品増えていくのかな、楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
AIのおかげで人が仕事をしなくても良くなった社会で、AIが「仕事とは?」を考えるお話
社会のあらゆる領域がAIによって運用されるようになり、人類が義務的な労働から解放されている2205年
趣味で心理学を学んでいる内匠成果(ないしょうせいか)の元に「仕事」の依頼が来る
世界に12基ある「知能拠点」(タイタン)の管理局からの強引な依頼により「働く」事になる
12基のタイタンの内、2番目に作られた「コイオス」が謎の機能低下を起こしているという
その原因を探るべく、コイオスに働きかけで人格を可視化し、内匠はカウンセリングを行う仕事を任される
「彼」と対話した内匠は、彼が仕事の不調による「うつ病」であると診断する
他11基のAIでは人類の現在の生活を維持することができない
1基倒れただけで負荷が他のタイタンにも分散され、カスケードが起こって人類の生活が崩壊してしまう
果たして、コイオスの不調を解消する事ができるのか?
序盤のアレ
気分としては「立った立ったコイオスが立った」と喜ぶかのような興奮だったな
タイタンというネーミングと各名称はギリシャ神話のタイタン12神からだけど
この展開ありきの設定だったのだろうな
タイタンは必要な事だけに専念し、確認が必要な事は先回りせずに人に判断を任せる事に逆戻りという状況
うーん、システム運用の安全性としては、何でもかんでもシステムに任せるよりは安全なのだけどね
全てを任せるのではなく、本当に必要な意思決定のワンステップだけ人間がやるのがいいんじゃないですかね?
シリコンバレーの企業看板
Google、Yahoo!はともかくMetaは廃れたのか
あと、個人的にはパロアルトとかウケる
一般の人はそこまで知らないんじゃないですかね
人類の命運がおねショタに託される展開
ラノベ的にはアリなのだけど
お偉いさん達の危惧も、ですよねーと頷ける
12号基のフェーベ
前フリ的に、結婚するかと思ったけど違ったね
まぁ、その結果に近いような結末ではあるのだけど
終盤のシーンは「進撃の巨人」っぽくもある
英語訳は「Attack of TITAN」だしね
もしくは、ゴジラVSシリーズかな
人知を超えた存在同士のバトルというものは何故だか胸熱な気分にさせてくれる
結局、仕事についての結論
最近読んだ「古くてあたらしい仕事」では、人から必要とされること
と定義していたけど
この応えもそう違わない気がする
「やりがいのある仕事」や「いい仕事」という表現
森博嗣のエッセイでは
「~~がいがある」は「しにくい」の意味で
それをするのが好きでやってる事なので気にする必要なしというような事を書いてたな
現代人にとって仕事とは生きるためのお金を稼ぐ行為であって
そこに目的としての意義が根底にはない
でも、中にはやりがいや使命感を感じながら仕事をしている人もいる
そこから繋がる、最後のアノ存在
もし以前から存在するとしたら、コイオスの機能低下やその後の混乱の説明がつかないんだけど?
もしかして、最初からAIのシナリオ通りなのではなかろうか?
それにしても、タイタン同士でも情報を秘匿できるものなのか?
コイオス以外のタイタンは知っていたと仮定すると、やはり最初から仕組まれたものな気がする
人類の行く末が心配ではあるのだけど、ストーリー上ではその先まで描かれていて、社会的に不備無く回ってる感じ
でも、人々の思考や嗜好も、AIに上手い具合に誘導されているのでは?という疑問も残った
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今日も働く、人類へ
至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥った
タイタンのカウンセリングだった――。
アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。
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Posted by ブクログ
調律師が出てくる本、3冊目。
冒頭からうっすら目に涙の膜が張り、乾かないまま読み終える、私にとってはそんな本。
主人公の外村くんは北海道の山育ち。彼のなかには山があり、北の森の景色と音と光がある。春先に木の芽が潤ってひかる。カササギやエゾシカもいる。
ピアノも音楽も知らないまっさらな彼が、高校生になって「調律」に出会い、こつこつ、こつこつ、努力と気づきを重ねていく。先輩、顧客たち。道標となる原民喜の言葉。
限りなく地味な題材のお仕事小説でありながら、探し求める音色や音楽を描く言葉は詩的なくらいに美しい。
久し振りに読み返して気づいたこと。
作中には、具体的な曲名がほとんど出てこない。これって実は、すごいことなのでは…
音楽ものの創作では、実在の曲名を使うことで読み手に曲を脳内再生させ、イメージを補完するという手法(というのかしら)がある。例えば「のだめ」も「蜜蜂と遠雷」も、そうして世界を膨らませてきた。どっちも音大生の物語だから、どんどん学んで知識を膨らませていくのは、物語的にも全然ただしい。
でも、外村くんは音楽を知らない。一生懸命吸収しつつはあるけれど、うんちくを振りかざすような境地にはいない。作中ではっきり聴き当てたのは小犬のワルツと結婚行進曲くらい。
私たちも彼の視点で、わからないまま森へ誘われる。こつこつと読み進め、心の中で耳を澄ませ、想像するしかない。
定番の「膨らませ方」に頼らずに音を描く、物語を組み上げていく力量のすごさ…も、勿論感じる。けれどそれよりも、そう描くことによって、私も外村くんの無垢な歩みを体感できる気がすること。今更そうはなれないからこそ、それがとってもうれしい。
検索すれば答えなんてすぐわかる、知識と情報で補強しないと自信を持てない、AIに土台をやってもらって仕上げだけ自分で整えればオッケー…そんな今どきのモノの知り方に不安を抱いたとき、またこの森の入口に立とう、そう思わせてくれる本。
あとは余談。
先輩の柳さんがステキ。技術も仕事への意識も高く、外村くんを導いてくれる頼れる兄貴。ドラムも叩けてバンドやってて、綺麗な彼女がいて、でも裏側には、胸に刺さるような過去もある。今俺かっこいいこと言わなかった?ってかっこ悪いこと言ってくれるところまでかっこいい!笑
調律師、子供の頃に憧れた仕事。でも、動作が雑でよく物を壊す自覚があったので、自分にはピアノなんて繊細なものを扱う資格はない…と諦めてしまったっけ。
勝手な憧れを壊さないまま、その世界の豊かさを、深いところまで掘り下げて見せてくれる本。しかも、心に馴染んだ北海道の景色と結び合わせてくれるなんて。
感謝します。 -
Posted by ブクログ
プロローグからいきなりガシッと心を鷲掴みにされます。
行確の相手は妻。公安が隠しカメラを駆使して映し出したのは、なんと妻の不倫現場。その相手は…
そこでは分からないまま、時代は現代に。
そして、元警官が殺された事件をきっかけに、その殺人犯そっちのけで、刑事部と公安部のネタの奪い合いが始まる。
何でそんなに仲が悪いのか?何で同じ警察官なのに足の引っ張り合いをしているのか?
少しずつだけど事件の進展をみせる中、2人目犠牲者が出てしまう。それも同じ元警官が。
2つの部署の関係はさらに悪化してしまう。
一体全体何が起こっているのか。
時折、話は過去になり、これまで何があったのか、登場人物たちのエピソードが挿入され、少しずつ全体像が鮮明になってくる。
この確執の元凶は何なのか?
ただただ犯人を追い詰めるミステリーではなく、刑事部と公安部、2人ずつ計4人の複雑に絡まる生き方、その人物たちの生のリアルな物語に重点を置いた作品。
その濃厚で濃密な、それでいて謎めいた話の作りにどんどんどんどんハマっていってしまう。
その謎を知りたくて止まらなくなってしまう。
前に読んだ『震える牛』も衝撃的だったけど、これも鳥肌ものです。
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Posted by ブクログ
ネタバレマカン・マランシリーズの次に手に取った古内一絵の本『東京ハイダウェイ』。マカン・マランシリーズの時にも思ったが、古内一絵の短編はキャラクターが紋切り型ではなく、しっかり練り込まれていて、それを軸に物語が展開するので読み応えがある。あっという仕掛けや大きな事件がなくても、主人公が抱えている事情を知っていくだけでも面白くてページをめくる手が進む。ひとつひとつは長くないのに、こんなふうに丁寧に作り込まれた物語に触れると、読書をしていてよかったなあ、という気持ちになる。
好きなのは『星空のキャッチボール』と『眺めのよい部屋』。
『星空のキャッチボール』は堅実な仕事を積み重ねていく桐人が主人公。ひどい不眠症に悩まされているが、同僚の女性が通うプラネタリウムで昼休みを過ごすことによって、不眠症の原因だった亡き父への思いに気づく。読後、じわりとあたたかい気持ちが胸に広がった。小説を読むことの醍醐味、人と関わることの醍醐味、それを静かに噛みしめて元気が湧いてきた。 -
ネタバレ 購入済み
王子に解雇されたアレク。
先輩のことを思いながら、国を去る。
そして、学生時代の仲間に誘われて、グループn。
アレクの顔が少し晴れてきた気がする。
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