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Posted by ブクログ
ネタバレママ友同士のいざこざを通し、「息子はなんていい子なんだろう」と読者に愛着を持たせた上で「返してほしい」という事件を持ってくるあたり、一枚上手だ。ついつい、感情移入してしまう。
特別養子縁組の説明会での団体代表・浅見さんの言葉には、一つ一つ心がこもっていた。ただの物々交換のように捉えさせず、勧めるわけでもなく、「よく考えてほしい」というニュアンスを丁寧に伝え、その熱意がしっかりと伝わってきた。「皆さん普通の子が欲しいと言いますが、普通の子は普通の家庭に行くんです」という言葉も強く心に刺さった。
脅迫してきた相手に対し「朝斗のお母さんではないですよね?」とはっきりと伝えた場面では、本当にその通りなのだろうと思った。根拠に信憑性があり、まだ何も知らない段階でも「産みの母親はきっと素敵な人なのだろう」と感じさせた。
ところが、これが本当に片倉ひかり本人だったのだから驚いた。
しかし、その後語られる産みの親・片倉ひかり視点での物語は残酷で衝撃的なものだった。大好きな彼氏との間に子どもができ、親同士に引き離され、出産後に久しぶりに会った彼は今までの優しさが嘘のように冷たい態度をとってくる。
ただでさえ苦しい状況の中、本当の地獄はここからだった。珍しく心を開けた同僚に借金の保証人にされ、借金取りから逃げ回る日々。助けを求めようにも頼れる人はおらず、実家にも居場所はない。そうして「赤ちゃんを返せ」と脅迫するに至る。彼女はただただ、お金が必要だったのだ。
ところが、「あなたはこの子のお母さんとは別人だ」と言われ、信じてもらえない。なんて苦しいのだろう。最後の最後、報われたと言っていいのかは分からないけれど、少し救われる終わり方で良かった。
苦しい展開も多かったけれど、それが私にとっては引き込まれる面白さがあり、読んでいて楽しかった。やっぱり辻村さんはいい本を書くなあ〜
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