くどうれいんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
p186
わたしはずっと、わたしのことを救いたかったのだ
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会場をまんべんなく見渡して高校生たちと目を合わせながら、おかしいと思っていた。いない。座っているはずの、高校生の時のわたしがいなかった。高校生の時の自分と目が合って、わたしはわたしを救うはずだった。
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そうか、もしかしたらいつの間にか、17歳のわたしはわたしの中からいなくなっていたのかもしれない。わたしはもう、彼女の機嫌を伺わなくても書けるようになったのかもしれない。それはさみしいことだけれど、来るべき別れのようにも思う。彼女はわたしの気づかないうちに救われて、もういないのだ。私はすでに、自分が思うよりずっと身軽に書いている。書くことの楽しさだけで、書くことができている。
作家みたい。
p194
はずみだから、みーんな。
球をポンっとやってあっちに戻れない、みたいな。人生ははずみだよ。いまはずむときなんじゃない。決断って選ぶことじゃなくて、選んでそれでよかったって思えるようにしていくことだって言うし -
Posted by ブクログ
特別ではない日々にスポットライトを当てて、愛おしいものに変えてくれるエッセイ集。
著者が兼業から専業作家へと舵を切り始めた頃の作品。
新しい環境にまだ慣れない様子や葛藤が率直に描かれていて、
「どんな人でも水面下で足掻いているんだ」
「かっこ悪いのは自分だけじゃないんだ」
と救われるような気持ちになった。
まるで物語のように鮮やかな一編もあり、
「日常って物語になるんだ。自分も物語の中を生きているんだ」
と気づかされた。
変わり映えしない自分の日常も、少し俯瞰して、親愛を持って見つめることで、まったく違った景色が見えてくるのかもしれない。
そう思わせてくれる、愛おしい一冊。 -
Posted by ブクログ
活字が苦手で本と向き合う私にはやはりくどうれいんさんは優しくて手に取りやすい
氷柱の声は震災の話を綴っているけど、震災と言いきれないような被害しか受けてない私はあまり躊躇いなく手に取ってしまった
この本に限らず、くどうさんの本に出てくる登場人物をみんな愛することができる
あの人あの後どうなったんだろう、あの人とくどうさんはまだ繋がりあるのかな、と気になることがある
そういう風に出てくる人物たちを読み手が愛せるように書けるのもくどうさんの素敵なとこなんじゃないかと私は思う
震災を体験した、と言い難い私は、そういうかんじなんだ、そういうこともあるんだ、やっぱり大変なんだなあ、と思った
言葉にすればすごくペラペラな感想だけど、本当にそう思った
特に中鵜の記事は胸がぎゅっとなったし、蝋燭や海の話も心が痛くなった
無理に克服する必要は無いと思うけど、そうやって日常で時折苦しくなるんだな、と
震災の時にも辛い思いをして、その後も思い出す度に心が重くなるのは、なんというか、言語化が難しいけど、震災って災害だから仕方ないのにトラウマにもなり得て、うーん、震災を体験したと言えない程度の私はやはり言葉にすると薄くて、言葉にしていいと思えないな
でも、中鵜の話は本当に胸がぎゅっと苦しくなった
鴨しゃぶにでてくる松田も好き
トーミがぱかっと笑うのも好き
くどうさんから投げられた『 マイボール』を私はぎゅっと抱きしめました -
Posted by ブクログ
くどうれいんさんのユニークな日常を綴ったエッセイ。
物事に対しての視点がとても独特で、その世界観を覗けるのが楽しい。くどうれいんさんの本を読むのは2冊目だけど、やっぱり友達にはなれないタイプ(わたしは萎縮してしまうと思うし、あちらもわたしみたいなタイプには興味ないだろうと思うから)だなと思うと同時に、彼女の感性と言語力に毎度感銘を受ける。ご自身も言っている通り「ちょっと捻くれている」ところがまた面白い。
眉間から血が出た話なんて、凡人にとっては小さなことだけど、あんなに壮大で面白い話に持って行ける筆力。声出して笑ってしまった。
ひとつの話の中にいくつか関連するエピソードが詰まっていたりして飽きずに読める良質なエッセイ。しんどいときにも笑わせてくれる。