くどうれいんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ読んだきっかけはくどうれいんさんのエッセイ本が好きなので小説も読んでみたくて、なのだけれど、裏表紙に書かれたあらすじにある「被災県に住むものの被災者とは言えない自分の立場に葛藤」という言葉が気になっていた。
以前、宮城県に住む知人も同じことを言っていた。読んでみて、その私の知人が言っていたことがその当時多くの人が思ったことなのだと知ることができたように思う。あとがきにある、「震災のあった人生」以外を選ぶことができない、という言葉が印象に残った。
文章はいつものくどうれいんさんって感じで読みやすかったです!ますます好きになりました。未読のエッセイ等も読みたいな〜。 -
Posted by ブクログ
30歳。
女性にとっては令和の今でも節目を感じる年齢だ。仕事、恋愛、そして人生。
気にしていないつもりでも、心に湧き立つ波風。その渦中にある女性たちの揺れる心を描いた短編集。
◇
〈さあ集合です〉
〈婚約白紙になりました〉
そんなメッセージが怜香からグループLINEに送られてきたのは、日曜の夕方のことだ。
休日出勤していたわたしは、しばし驚いたあと、プレゼン資料の作成を諦めるや、すぐに怜香たちを自宅に招待する算段を始めた。
冷蔵庫にある食材で作れる酒肴を考え、何を買って帰ればいいかを思案しつつ、
〈今夜うち来ますか〉
とメッセージを送る。怜香からはすぐ、
〈絵美ならそう言ってくれると信じてた〉
と返信があり、さらさからも参加可能とのメッセージが入ったのを見て、帰路に着いた。
18時半になり、ほどなく2人が到着すると早速酒盛りが始まった。
高校の華道部時代から30歳になった今でもゆるゆる続くわたしたち3人の親交。よく飲みよく食べ言いたいことを言う。
適度に酔いが回った頃、さらさが
「そうだ。この間、酔って穴掘ったんだよ」
と、うきうきとした口調で話し出した。
「穴?」「どこに」
突拍子もないさらさのことばに、怜香とわたしは思わず前のめりになって……。( 第1話「スノードームの捨てかた」) ※全6話。
* * * * *
30歳。
大人としてはまだまだ人生の序盤であるのに、周りからは大人の振る舞いを求められるという、なかなか厄介な年齢です。
仕事でプライベートで、世間で言うところの「スタンダード」を気にさせられる局面も多くなります。
例えば、表題作である第1話の3人。
怜香、さらさ、主人公の絵美。高校の華道部で出会って以来、15年に渡る付き合いです。
美容師のさらさは、進学、就職、結婚、出産と、希望どおりの「スタンダード」な人生です。
看護師の怜香は、どういうわけか恋人と長続きしないため独身ですが、強い結婚願望を持っています。
ところが絵美の場合は、2人とは事情が異なります。怜香と同じく独身ではあるのですが、結婚したくないというわけではないけれど、どうしても結婚したいというほどでもないのでした。
なぜかと言うと、想像できる「結婚生活を送る自分」と現実の「独身生活を満喫する自分」とを天秤にかけてみても、どちらかに大きく傾くことはないため、わざわざ婚活という手間のかかることをする気にならないというわけです。
この感覚は、男女を問わず共感できる人が多いのではないかと思います。
本作で興味深いのは、「婚約破棄」という強烈な痛手を負った怜香だけでなく、幸せな「結婚生活」を送っているはずのさらさにしても、気楽な「独身生活」を満喫しているように見える絵美にしても、現状に対する屈託を抱えているというところです。
この設定が効いていて、怜香が別れた彼氏からもらったスノードームを捨てることで失恋の痛手を葬り去る、という直線的なストーリーにさらさと絵美の心の解放を絡めた、膨らみのあるお話になっています。
全編を通して、「アラサー女性」と「捨てるという行為」について描かれるのですが、「あーこういう感覚わかる気がする」というふんわり系のものから「うわっ」というホラーっぽいものまで、お話が各種ジャンルに渡っていてなかなか楽しめる短編集です。 -
Posted by ブクログ
話題作、人気の作家たちによる"新しい法律ができた"の一文から始まる短編集。同じような短編集の5冊目。めくる度にうわっ、今度はこの人か~とワクワクしながら読めます。個人的に一番良かったのは五十嵐律人さんの憲法のお話でした。
殺人や男女関係のエピソードあり、中学校から。
金子礼介「ルパちゃん」
日野瑛太郎「推し活制限法」
朱野帰子「日本国民に英語の勉強を義務づけへ」
阿部智里「つるべを取られて」
真下みこと「こんにちは、チャッテー」
須藤古都離「虚法」
嶋戸悠祐「国家殲滅フットボール法」
多崎礼「復讐者は振り向かない」
風森章羽「コロシヤとユキオンナ」
名倉編「Touch law if you can」
真梨幸子「ある死刑囚の回顧録」
東川篤哉「『ラ禁法』ディストピア」
霜月流「忘却加害」
矢樹純「密室の獣」
高田崇史「御首塚の風」
潮谷験「ネーミング」
献鹿狸太朗「試み」
高田大介「魔法罪」
大沼紀子「もう、ディストピア」
矢部嵩「自転車武装条例」
柾木政宗「ありがとう、虎太郎」
くどうれいん「ショートケーキの夜」
白井智之「ぜんぶミステリのせい」
赤川次郎「帰り道の行先は」
五十嵐律人「革命夜話」
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Posted by ブクログ
楽しみにしていた、くどうれいんさんの短編集。文章がみずみずしくって、繊細な心が表現されていました。短歌もエッセイも小説も絵本も書いているれいんさん。言葉の扱い方が上手なので自然に引き込まれました。そして、何かを捨てる出来事をうまく切り取って表現している短編集でした。物語の始めと終わりではすっかり変わっている心境の変化が、とても興味深かったです。
「スノードームの捨てかた」
自分の意思と違った別れの始末の付け方。誰かに何かがあればすぐに集まってくれる友人たちとの時間。子どもみたいなことをやっているうちに、心が落ち着くことってあるような気がしました。余計な気遣いせずにいられる関係は大切にしたいですね。
「鰐のポーズ」
ヨガ教室で親しみやすくなんでも話せそうな人は、自分の思うままに生きている人でした。自分の気持ちをそのまま伝えても、実は思うように伝わらないのかもしれないと思いました。
「川は覚えている」
捨てたい指輪。拾っているマッチ。夜の川で出会った二人はこれからどうなるのか、気になりました。最後の一文が、とてもよかったです。
「背」
自分の骨が下から積み木のように重なるところを想像しながら立つわたし。見続けることよりも見られ続けることの大変さ。好感をもっていた人だからこそ、簡単に言ってほしくなかった気持ちが、すごく伝わってきました。
「湯気」
彼女の書くしんにょうが変な形で気になっている彼氏。彼女に思わぬことを言われ、この後どうなったんだろうと、とっても気になりました。
「いくつもの窓」
心身が病む前にやめた仕事。その後にめぐらす思い。祖父のちぎり絵を額装したあとにめぐらす思い。何かをつかむきっかけになることは、意外なところにあるのかもしれないと思いました。