くどうれいんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「恋愛ドラマをあまり見ないよね」と、つい最近、指摘されたばかりだ。
今クールのドラマはなにが面白いか、という会話をしているところで、苦手なんですよね、と返した。
恋愛モノが嫌いなわけではない。
ベッタベタに恋をしている少女漫画も読むし、もう少し「大人の恋」にステップアップした感じの漫画も好きだ。
恋愛は、大人になればなるほど、人生や生き方と大きく絡んできて、大人になればなるほどつかみどころがなくなるのに、実写のドラマになると、なんだかそれが急に境界線がはっきりしすぎる気がしてしまう。
もっとこう、人の思考や気持ちや恋愛って、白だったり黒だったり、グレーだったり、白に近いグレーかと思ったら突然「これはほとんど黒でしょう」みたいなところがあったり、それが広大なグラデーション、というよりは、まだらに混ざっていて、一歩ふらついて足を踏み出すだけで色が変わってしまうような、そんなものだったりするはず。
いいなーと思ってた人が、ふとした瞬間に、「あ、絶対無理」ってなったりもするじゃないか。
何が言いたいかというと、そういうドラマにはなかなかであわないけれど、本は意外と出会えるよねという話で、単に私のセンサーが発達しているだけかもしれないけれども、この本はそういう雰囲気が全編通して漂っていて、とても好きです。
境界線はあいまいで、ふわふわした捉えどころのない思考が描かれているようでありながら、それこそがリアルのような。
誰かの考えをそっと覗いているような背徳感。
この空気感は、なかなか読書以外で出会うのは難しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んだきっかけはくどうれいんさんのエッセイ本が好きなので小説も読んでみたくて、なのだけれど、裏表紙に書かれたあらすじにある「被災県に住むものの被災者とは言えない自分の立場に葛藤」という言葉が気になっていた。
以前、宮城県に住む知人も同じことを言っていた。読んでみて、その私の知人が言っていたことがその当時多くの人が思ったことなのだと知ることができたように思う。あとがきにある、「震災のあった人生」以外を選ぶことができない、という言葉が印象に残った。
文章はいつものくどうれいんさんって感じで読みやすかったです!ますます好きになりました。未読のエッセイ等も読みたいな〜。 -
Posted by ブクログ
30歳。
女性にとっては令和の今でも節目を感じる年齢だ。仕事、恋愛、そして人生。
気にしていないつもりでも、心に湧き立つ波風。その渦中にある女性たちの揺れる心を描いた短編集。
◇
〈さあ集合です〉
〈婚約白紙になりました〉
そんなメッセージが怜香からグループLINEに送られてきたのは、日曜の夕方のことだ。
休日出勤していたわたしは、しばし驚いたあと、プレゼン資料の作成を諦めるや、すぐに怜香たちを自宅に招待する算段を始めた。
冷蔵庫にある食材で作れる酒肴を考え、何を買って帰ればいいかを思案しつつ、
〈今夜うち来ますか〉
とメッセージを送る。怜香からはすぐ、
〈絵美ならそう言ってくれると信じてた〉
と返信があり、さらさからも参加可能とのメッセージが入ったのを見て、帰路に着いた。
18時半になり、ほどなく2人が到着すると早速酒盛りが始まった。
高校の華道部時代から30歳になった今でもゆるゆる続くわたしたち3人の親交。よく飲みよく食べ言いたいことを言う。
適度に酔いが回った頃、さらさが
「そうだ。この間、酔って穴掘ったんだよ」
と、うきうきとした口調で話し出した。
「穴?」「どこに」
突拍子もないさらさのことばに、怜香とわたしは思わず前のめりになって……。( 第1話「スノードームの捨てかた」) ※全6話。
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30歳。
大人としてはまだまだ人生の序盤であるのに、周りからは大人の振る舞いを求められるという、なかなか厄介な年齢です。
仕事でプライベートで、世間で言うところの「スタンダード」を気にさせられる局面も多くなります。
例えば、表題作である第1話の3人。
怜香、さらさ、主人公の絵美。高校の華道部で出会って以来、15年に渡る付き合いです。
美容師のさらさは、進学、就職、結婚、出産と、希望どおりの「スタンダード」な人生です。
看護師の怜香は、どういうわけか恋人と長続きしないため独身ですが、強い結婚願望を持っています。
ところが絵美の場合は、2人とは事情が異なります。怜香と同じく独身ではあるのですが、結婚したくないというわけではないけれど、どうしても結婚したいというほどでもないのでした。
なぜかと言うと、想像できる「結婚生活を送る自分」と現実の「独身生活を満喫する自分」とを天秤にかけてみても、どちらかに大きく傾くことはないため、わざわざ婚活という手間のかかることをする気にならないというわけです。
この感覚は、男女を問わず共感できる人が多いのではないかと思います。
本作で興味深いのは、「婚約破棄」という強烈な痛手を負った怜香だけでなく、幸せな「結婚生活」を送っているはずのさらさにしても、気楽な「独身生活」を満喫しているように見える絵美にしても、現状に対する屈託を抱えているというところです。
この設定が効いていて、怜香が別れた彼氏からもらったスノードームを捨てることで失恋の痛手を葬り去る、という直線的なストーリーにさらさと絵美の心の解放を絡めた、膨らみのあるお話になっています。
全編を通して、「アラサー女性」と「捨てるという行為」について描かれるのですが、「あーこういう感覚わかる気がする」というふんわり系のものから「うわっ」というホラーっぽいものまで、お話が各種ジャンルに渡っていてなかなか楽しめる短編集です。