くどうれいんのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
今作は、パートナーであるミドリさんとの生活を中心としたエッセイ。
過去作にも度々登場するミドリ氏との結婚報告には、知り合いでもないのに図々しくも「おぉ…!」と声が漏れた記憶。
くどうれいんのエッセイには多くの人が登場し、さまざまな人間関係を見ることができるのだけど、今回は一歩踏み込んだ関係や生活が感じられる。夫婦だし、そりゃそうか。
半回りくらい年下の著者の経験は、懐かしさや甘酸っぱさ、切なさ、そして少しの羨ましさを抱かせる。
でも、総じて「あぁ〜なんかいいわぁ」に行き着く私は単純だろうか…
食エッセイも良いけど、本作は個人的くどうれいんランキングでは上位に入る。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んだきっかけはくどうれいんさんのエッセイ本が好きなので小説も読んでみたくて、なのだけれど、裏表紙に書かれたあらすじにある「被災県に住むものの被災者とは言えない自分の立場に葛藤」という言葉が気になっていた。
以前、宮城県に住む知人も同じことを言っていた。読んでみて、その私の知人が言っていたことがその当時多くの人が思ったことなのだと知ることができたように思う。あとがきにある、「震災のあった人生」以外を選ぶことができない、という言葉が印象に残った。
文章はいつものくどうれいんさんって感じで読みやすかったです!ますます好きになりました。未読のエッセイ等も読みたいな〜。 -
Posted by ブクログ
都会に憧れつつも生まれ育つ地元を愛している描写が、田舎出身の自分にささる所が多かった。
どれも読みやすく面白かったけど、その中でも
『「んぎ」と「んだぎ」』は声をあげて笑った。
幸いにも読んでた場所が、外ではなく家だったので、よかった。
違う意味で面白かったのが『ホワイトアウト』。
自分には経験したことのない、ひやっとする体験が綴られていたけど、頭の中で情景が浮かびあがって、怖さもあり、夢中になって読んだ。
『佐渡旅行』のタクシーの運転手さんを筆頭に、優しい人たちがたくさん出てくるけど、そんな風に登場する人たちを、味わい深く描けるくどうさんも、優しい人なんだろうなと、想像しながら読み終え -
Posted by ブクログ
30歳。女性にとっては令和の今でも節目を感じる年齢だ。
仕事、恋愛、そして人生。気にしていないつもりでも、心に湧き立つ波風。
その渦中にある女性たちの揺れる心を描いた短編集。
◇
〈さあ集合です〉
〈婚約白紙になりました〉
そんな怜香のメッセージがグループLINEに送られてきたのは日曜の夕方のことだ。
休日出勤していたわたしは、しばし驚いたあと、プレゼン資料の作成を諦めるや、すぐに怜香たちを自宅に招く算段を始めた。
冷蔵庫にある食材でできる酒肴と、何を買って帰ればいいかを考えつつ〈今夜うち来ますか〉とメッセージを送る。怜香からはすぐ
〈絵美ならそう言ってくれ -
Posted by ブクログ
くどうれいんって、なんて愛らしい人なんだろう。
どのエピソードもワクワクに満ち溢れている。それでいてたまに訪れる切なさも効く…。どれもこれもおもしろい。
意外にも早歩きで、
なんだかいつも美味しそうな話してる…。
『帰路はサボテン』が特に好き。お土産を抱えすぎて、サボテンのように立っていることしかできないって話。『自分の欲望に自分自身が蝕まれている。なんて愚か。』あーよくわかる!欲の塊になってしまうあの気持ち、その欲望を素直に書き、その後感じる自己嫌悪や情けなさみたいなものも、隠すことなく文章に書かれているので、もう共感の嵐だ。
そんなエピソードがみっちりつまった、移動にまつわるエッセイ -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分の食に対する思いが、ここまで正確に言語化されていることが、とても嬉しい。
そう!それ!そういうこと!と沢山頷いた
くどうれいんさんと食に対する思いがちょっとでも一緒であったのが嬉しい。
「私が最も欲しているものをいちばん上手に再現できるのはいつだって私の菜箸なのだ」
この章で、自炊は調律だと書かれていた。
私も作ることが好きだと思っていたけれど、実は心の調律をしていたのかもしれない。
自分の好きなものを作り、自分のペースで自分のやり方で作っていく。誰にも邪魔されず、たまに独り言を呟きながら、そうやって自分を調律していたのかも、と思った。
「一日に夕食が一回しかないことがこころから悔しい -