あらすじ
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俵万智、推薦!
「素晴らしすぎて、恋の歌を引退しそうになった。言葉の奥に、もどかしい生身の息づかいが聞こえる」
追う恋、待つ恋、甘い恋、怖い恋、苦しい恋…
あなたに贈る恋のショート・フィルム。
作家くどうれいんと歌人の染野太朗がタッグを組み、恋の短歌に挑んだ雑誌『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』の短歌連載「恋」に書き下ろしを加え書籍化。
誰も置き去りにしないシンプルな言葉から驚くほど深い情景が浮かび上がる。音や匂い、湿度まで感じられるような体験はまるで映画を観ているかのよう。短歌初心者でも大丈夫。椅子に座り、それを眺めるだけであなたの恋のことを想うはず。
【目次】
I.テーマ別の恋
ふたりが短歌5首を送り合うメインパート。
1日1テーマ読むような楽しみ方も。
ふれる/Yellow/DENIM/Sea/日曜日/嫉妬/Chiristmas/やさしさ/会話/東京/3/水族館/キッチン/KISS /永遠
Ⅱ.臨場感あふれる即興 ※書き下ろし
贈答歌として実際にふたりが喫茶店で1時間で詠みあった短歌を収録。
Ⅲ.贅沢な新作30首!※書き下ろし
読み応えたっぷりの30首の連作。二人がたどり着いた「恋のすべて」とはーー。くどうれいんと染野太朗の恋の短歌の真骨頂。
・くどうれいん『川面』
・染野太朗『蛍』
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この本を知った瞬間に
読みたい、買おう
そう決意
読んだらやっぱり良くて、とんでもなかった
いやぁぁぁ~
なんて本を抱えて足をジタバタしたくなる短歌がたくさん
恋愛小説はあまり読まないのに、恋愛をテーマにした短歌は本当にときめいてしまう
短歌の魅力だなって思います
Posted by ブクログ
#染野太朗 #くどうれいん
短歌教室でご指導くださってる染野太朗先生とくどうれいんさんの恋愛に関する連作が掲載。
忘れていた恋の断片や泣きたくなるような苦痛を伴う記憶が鮮明に浮かぶよう。
誰かと恋愛について語りたくなる、もしくは秘密をのぞき見しているような衝撃的な歌もあったりする。
生活雑貨や日常場面がドラマチックに詠まれていて、まねしたいけどまねできない美しさ。
好きな歌を抜粋
今世をあなたは先にあきらめてどこで待っても自転車で来る
この恋は海に行きたくない恋だ もういい、深いのもとおいのも
どこへでもいけるだなんていわないであなたと行けるかを聞いてるの
くしゃくしゃに笑うあなたとぱんぱんに笑うわたしで上る階段
紙袋の中身はカフェラテと紅茶そのためだけのふたつの仕切り
くどうれいん
きみをおもえば心が海のようになるひかりをはじくふかいふかい海
公園に犬を引く人多くいて日曜だねとあなたが言った
きみの部屋のローテーブルに置くときの車の鍵の音が嫌いだ
きみはぼくのことばも呼吸も奪うのにさびしさに指いっぽん触れず
もう だから でも とつぎつぎさえぎってひとりでわらう恋もあったな
加湿器の湯気の向こうにきみがいて加湿器に足す水汲んでいる
永遠はいたるところにあるのだと知ったあの日の海に来ている
恋なんてすべてまぼろし テーブルの21番に水をください
イヤフォンでラジオ聴きつつ包丁と俎板と皿二枚を洗う
染野太朗
Posted by ブクログ
捲っては戻り捲っては戻り。ゆっくり読み進めた。
きらめきも穏やかさも愛しさもどろどろも切なさも。もっと言葉にできないことも。いろんな恋があった。
いくつかの句にものすごく掴まれた。
Posted by ブクログ
歌人のくどうれいんさん、染野太朗さんのお二人の往復歌集。
内容は「恋」一色。
タイトルも『恋のすべて』
ⅠとⅡ、二つのパートがあり、Ⅰは始まったばかりの恋から恋の最中。
Ⅱは終わってしまう恋。
歌集中程にはお二人が同じものをテーマに贈り合う贈答歌もあります。
くどうれいんさんはまだお若い歌人の方で「きゃー」と何だか顔を赤らめたくなるような恋心の歌がたくさんありました。
気持ちや情景が想像できるわかりやすい歌が多かったです。
ーーーーーーー
Ⅰ
真実はいくつもあっていいと思ういちども触れずに選ぶアボカド くどうれいん
だきしめられてお湯だった思いだすわたしお湯だった、どうしよう くどうれいん
おもうだけではあなたはぼくになってしまう触れたいのだと何度も気づく 染野太朗
あなたの手が触れることなどないけれど厚く乾いているぼくの手は 染野太朗
この恋は海に行きたくない恋だ もういい、深いのもとおいのも くどうれいん
公園に犬を引く人多くいて日曜だねとあなたが言った
染野太朗
日曜にあなたと会うとへんになるあまりにそれが日曜すぎて くどうれいん
はじめからきみにはぼくじゃないひとがいるから、だから香水贈る 染野太朗
きみはぼくのことばも呼吸(いき)も奪うのにさびしさに指いっぽん触れず 染野太朗
まだなにもかなしいことはないけれど起き抜けに出る涙のとろみ くどうれいん
手を握るようにうなずいてくれるのがわかる真冬のスマホの向こう 染野太朗
知ることは待つことだけど待てなくてときどき声がビー玉になる 染野太朗
きみのどんなことばも星座みたいだよ冬の夜空は果てなく澄んで 染野太朗
はつなつの花降る林の行き止まりで笑ったキスはこもれびまみれ くどうれいん
Ⅱ
枯れる前に捨ててしまったチューリップ 枯れてしまうよりいいと思った くどうれいん
行き止まりのようにあなたを思い出す檸檬買おうとしただけなのに くどうれいん
川になりたい 草になりたい 蛍舞うようにこころが広がりやまず 染野太朗
たましいが何なのかわからないけれどきみのたましいを壊そうとした 染野太朗
Posted by ブクログ
恋の海に溺れてしまいそう。
一つの言葉をテーマに繰り広げられる短歌の世界。男性、女性、それぞれの歌人の思いを読むことができる魅力。工夫された装丁。言葉のテーマが変わるごとに、ページのデザインが変わる。この変化が、別世界に読者をいざなうきっかけにもなっている。色調はモノトーン。なんて素敵なんだろう。
恋愛中の感情は、本当に複雑。それを31文字で凝縮させてしまうことの不思議。読むことで、込められた思いが溶け出すようで、幸福感に浸れました。
くどうれいんさん、1994年生まれ。染野太郎さん、1977年生まれということで、少しばかり時代の空気感の違いも感じられました。
実際にお二人が喫茶店で詠みあった贈答歌もあり、ドキドキです。
いいなあと思う歌がたくさんあって、付箋がひらひら華やいでしまう状態でした。その中で、とびきり気に入った歌を一首ずつ選びました。
ふりかえるあなたを撮った
ながいながい銀杏並木の夕焼けだった
染野太郎
あなたの筆跡の字幕でとんでもない大恋愛の映画を観たい
くどうれいん
Posted by ブクログ
本当に本当にすばらしかった。恋の楽しさ苦しさままならなさが詰まった短歌はもちろんのこと、本そのものの作りもとてもこだわりが感じられて、ページをめくるごとにうっとりする。どこを切り取ってもドラマのワンシーンのよう。まさに"恋のショート・フィルム"な短歌集。
どうしてこれが恋のうたとして詠まれたんだろう?と思うような短歌もあったけれど、日常のどんな一部分でも恋の場面でありえるんだということに気がついてたまらなくなった。35文字の奥にある匂いや想いをたくさん想像させてくれます。
おもうだけではあなたはぼくになってしまう触れたいのだと何度も気づく
スカートを買ってひろがるこのきもちこの何だって叶えるきもち
晩夏、地下 あなたは指を絡ませずわたしの手首を掴んで進む
どこへでもいけるだなんて言わないであなたと行けるかを聞いてるの
とても旧いさびしさなのにたまに手を沈めてしまうあたたかいから
Posted by ブクログ
途中で紙の色合いが変わるオシャレさ、天安カット、こだわり抜かれた恋の短歌集。
なかなか言葉にできない心の動きを、こんなふうに紡げたら楽しいだろうなぁ。そして歌集を読むたびに思う、日本語ってすてきだということをまた味わった。
Posted by ブクログ
まず装丁がおしゃれ。天アンカット、色合い、質感全てに心が奪われる。そして帯にある俵万智さんのキャッチコピーが素敵。こんなこと言えるのも言われるのもかっっっこよすぎる。
れいんさんと染野さんのトークショーに参加したが、二人がどのような思いで携わり、こだわり、出来上がったものなのか知られてよかった。
一緒に短歌を読みながら、「うー」と唸れて最高だった。人生にこんな瞬間をもっと増やしたい。
読み返したくなり、サラダ記念日を読んだ。「二十四歳が生み出した」と裏表紙にあり、言葉を失った。
Posted by ブクログ
恋っていいな、短歌っていいなという気持ちで満たされている。
飾らない言葉で詠まれた短歌は、こんなにもすっと心に入ってくるのかと感心してしまった。
特に好きだったのは、Ⅱの贈答歌のパート。
お二人が喫茶店で1時間かけて歌を詠みあったのだとか。どんなに素敵な時間だったことだろうと、そのシーンが目に浮かぶような気持ちで読んだ。
もし短歌が詠めるなら、好きな人と歌を贈り合うなんてことをしてみたかったなぁ。うーん、残念。
Posted by ブクログ
男性目線、女性目線両方の恋する瞬間、素敵な日常を味わうことができた1冊。しんみりと切なくなる歌もあれば顔を抑えてしまうほどきゅんとする歌もあって色んな感情が生まれた。装丁やページのデザインにも工夫があって1冊まるごとどっぷり楽しめた。