太宰治のレビュー一覧

  • おしゃれ童子

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    やけくそのおしゃれを通じて内面の苦悩を描いているように読める。「外面の瀟洒と典雅」だけに縋る様は道化のようだ。

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    2021年10月16日
  • 喝采

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    「幸福クラブ誕生」の会での講演にしては暗くて地味な話をするのが面白い。中村地平との交友話だし、もしかしたら走れメロスのような友情論の類なのか。

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    2021年10月16日
  • 走れメロス

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    ある小説で、「メロスを邪魔した黒幕は誰なのか」という話が出てきたので久方ぶりに再読。たしかに王はメロスが帰ってくるわけがないと思っているので邪魔するわけがない。未解決ミステリのような薄暗さを感じる。

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    2021年10月15日
  • 太宰治全集(4)

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    ★4.0 佐渡
    ★3.5 きりぎりす、ろまん燈籠、服装について、令嬢アユ、新ハムレット、誰

    「新ハムレット」のハムレットの最後のセリフについて考えている。

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    2021年09月04日
  • きりぎりす(新潮文庫)

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    日中戦時下に書かれたとは思えない、不思議な明るさというかユーモアを含んだ作品が多い。
     太宰治自身の経験にも重なるはずなのに、滑稽に心中失敗をえがいた姥捨、犬に嫌われる自信をもって実際犬がキライで生きているのになぜか子犬に好かれてしまいハッピーエンドな畜犬談、吹き出物に悩む肌自慢の妻の憂いと妻を思いやる夫のやりとりが素敵な皮膚と心、中国戦線から慰みで投稿される兵隊たちの小説を読みながら平穏な場所に住む自分の存在をおしの鳥になぞらえて自虐する鷗、百姓女に押し売りで買わされた薔薇が値段の割にはかなりの良い出来だと褒められ当惑する善蔵を思う、売れない画家の夫が不本意にも売れて俗物になりかえって没落を妻が望むようになったという少し歪んだでも皆目理解できないわけでもない価値観のきりぎりす、佐渡島を何も見る価値がないとバカにしてかかったが実はという佐渡、綴り方を絶賛されたことでかえって創作を怯えるようになった女性文体の千代女、お金持ちの女性にお追従でおべっかをならべて絵を書かせその女性の人生を台無しにしてしまったことの象徴であるよくできた水彩画を破った水仙、日本最初の保険金殺人と称されている日大生殺し事件をモチーフに親による子供の偽装殺害事件をそれほど暗くもなく描いた日の出前、こんな感じだが、どれも太宰治の短編群の中では水準以上の出来だと思う。

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    2021年08月29日
  • 人間失格 3巻(完)

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    ネタバレ

    父親が死んだことで解き放たれるのではなく
    より引きずり込まれていく描写が悲しい。
    どうにかならないのかと思うが
    結局ここまでくると周囲がなんとかしてやるしか
    方法もなかろう。
    それも、病院などプロの手に委ねるしかなく
    素人の手に負える範囲ではもはや無い。

    堀木の微妙な悪意の描写も気分が悪く
    髪を切ってしまった佳乃も痛々しい。

    翻案の仕方が面白かったし、小説も読み返したくなった。

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    2021年08月22日
  • さよならを言うまえに

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    ネタバレ

    言葉を紡ぐレベルが違うのは勿論だが、ああわかる、と思ってしまう様な考え方の近似があるのだと思う。だから読んでしまう、面白く思ってしまうのだと思う。

    「お前たちには、苦悩の能力がないのと同じ程度に愛する能力に於いても、全く欠如している。お前たちは愛撫するかもしれぬが、愛さない。」

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    2021年08月21日
  • 人間失格 1巻

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    ネタバレ

    太宰治の人間失格をベースに、現代に置き換えて
    アレンジが加えられている。
    古屋さんの絵と人間失格の世界観も合っていて、引き込まれる。
    気怠く空恐ろしく思いながら、ついついページを捲ってしまう。

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    2021年08月18日
  • お伽草紙(新潮文庫)

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    こぶとりじさん、浦島太郎、カチカチ山、舌切り雀を太宰流にアレンジしてユーモアたっぷりに仕上げた短編集。浦島さんとカチカチ山がよかった。
    新解釈諸国噺など読み応えがあるものが多い。なかでも清貧譚という短編が良かった。

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    2021年07月24日
  • 太宰治全集(1)

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     読書力読書7冊目。

     ちくま文庫の全集、太宰治です。全10巻。芥川同様、いろいろな本も読みながら、ゆっくり読んでいきます。

     1巻の収録作品は以下。
    晩年
     葉
     思い出
     魚服記
     列車
     地球図
     猿ヶ島
     雀こ
     道化の華
     猿面冠者
     逆行
     彼は昔の彼ならず
     ロマネスク
     玩具
     陰火
     めくら草子
    ダス・ゲマイネ
    雌について
    虚構の春
    狂言の神

     本書も発表順に収録されていますが、最初の『晩年』(「葉」から「めくら草子」までの15篇)は第一創作集であるため、初版本の編成順のまま収録したそうです。

     おもしろく読んだのは、「道化の華」、「彼は昔の彼ならず」、「ロマネスク」、「ダス・ゲマイネ」、「狂言の神」でした。

     太宰治の作品は、かつて国語の教科書に載っていたものに授業で触れた程度で、ほとんど自主的に読んだことはなかったように思います。正直、読んでもよくわからなかった。なんか暗いし、文章がいつも唐突で、全然ピンと来なかった。でも今回読んでみたら、まったく暗く感じなかったし、えも言われぬ哀愁に、これでもかと打ちのめされました。またしても、芥川同様、大人になった今、読んで良かったとつくづく思います。私の、太宰治の読みどきは、間違いなく今だったのだと確信しています。

     ちょうどいい言葉が見つからなくてもどかしいのですが、一言一句、惹きつけられます。どのページをパッと開いてみても、文字の並びが美しく、何度でも読みたくなる。漢字とひらがなの割合が絶妙なんですよね。文学とはことばの芸術作品なのだと、実感しました。

     どれも小説ではあるものの、すべて太宰自身のことが描かれているようにしか思えませんでした。本書を一冊読んだくらいで太宰を語る気なんてさらさらないけれど、本書を読んで感じたのは、太宰治というと死のイメージが強かったのですが、実はものすごく生きたかった人なのではないか、めちゃくちゃ全力で生きていた人だったのではないか、だからこそ人一倍苦しかったのではないか、ということでした。

     読んでいると、すごく危うい感じがします。ふらふらと、今にも足を踏み外しそうに歩いているけど、なんとか道の上に踏みとどまっているような、危なくて目が離せない感じ。この放っておけない危うさこそが太宰の魅力なのかな、と思ったりもしました。

     これからどんな太宰に会えるのか、2巻以降を読んでいくのが楽しみです。

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    2021年07月20日
  • 人間失格 グッド・バイ 他一篇

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    ネタバレ

    文ストに最近ハマって、太宰治が気になりこれを読みました。

    、、。重いですね。
    女の人との絡み。
    最後は恋人と入水するようですが、幼少期から感情が豊かで頭が良くてその中での苦しみ、葛藤が沢山あったのが良く分かりました。
    太宰治が幸せと感じることはどのくらいあったのでしょう。
    酒に溺れ薬も中毒に、致死量程度の睡眠薬を服用
    全て女の人が関わっています。
    人はみな孤独を嫌い救おうとするからこうなるのでしょうか。

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    2021年07月18日
  • 新樹の言葉(新潮文庫)

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    随分長い時間を掛けて読みました。
    「葉桜と魔笛」が大好きで、繰り返し繰り返し、10回以上読みましたが、何度読んでも飽きることがありません。
    麻薬中毒と自殺未遂の日々からなんとか、平凡な小市民として生きようとする太宰の中期初め頃の作品集。
    どれもこれも苦しんで苦しんで書いているのが痛いほど伝わるけれど、それが余計に滑稽で可笑しくて、多分太宰は苦しみながらもそこまで分かって、如何にも大真面目振って書いているのがやっぱり笑ってしまう。
    「二度言った」「三度言った」って、もうええわ!って大真面目な彼に突っ込んでしまいそう。

    しかしそれでも全編を通して太宰の本音や心情、故郷や母、姉への憧憬、愛、それら全てが一種の煌めきのように散りばめられていて、読後感は非常に爽やかだ。
    「火の鳥」は、未完であることが本当に惜しい。きっと代表作のひとつになっていたと思う。
    「新樹の言葉」私小説のような物語は故郷や乳母、様々な人への太宰の愛情、思いが美しい文体で描かれていて、作品として秀逸。
    「誰も知らぬ」どうして太宰はかくも女の心をあっさりと代弁してしまうのか。誰もが心に秘めて他言しないようなことを。

    作品としては破綻していたりスッキリとしないものも含まれているが、それも含めてこの時期の太宰の決心のようなものが生き生きと迫る。

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    2021年07月14日
  • 二十世紀旗手(新潮文庫)

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    ネタバレ

    声に出したくなるようなとても心地の良いリズム。
    歌のよう。
    「苦悩高きが故に貴からず。」で始まる序章、"神の焔の苛烈を知れ"
    「 罰だ、罰だ、神の罰か、市民の罰か、困難不運、愛憎転換、かの黄金の冠を誰知るまいとこっそりかぶって鏡にむかい、にっとひとりで笑っただけの罪、けれども神はゆるさなかった。
    君、神様は、天然の木枯らしと同じくらいに、いやなものだよ。
    峻厳、執拗、わが首すじおさえては、ごぼごぼ沈めて水底這わせ、人の子まさに溺死せんとの刹那、せめて、五年ぶりのこの陽を、なお念いりにおがみましょうと、両手合せた、とたん、首筋の御手のちから加わりて、また、また、五百何十回目かの沈下、泥中の亀の子のお家来になりに沈んでゆきます。」

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    2021年06月03日
  • 富嶽百景・走れメロス 他八篇

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    戦前から戦後にかけて活躍した日本を代表する文豪の一人、太宰治の短編集。
    太宰治として作品を発表した最初期から、戦争が始まる前までに書かれた10篇が取り上げられていて、その中には、『富嶽百景』、『女生徒』、『走れメロス』と、読むべき名著が複数抑えられています。

    なお、この10篇の短編が発表されるまでに間に、太宰治は女性を変えて2度の心中騒動と一度の自殺未遂を起こします。
    また、私生活を川端康成に批判され第一回芥川賞を落選したり、鎮痛剤のパナピール中毒になったりと、周囲から見るとかなりお騒がせな時期でした。
    ただ、その後、井伏鱒二の紹介によりささやかな結婚式を行い、甲府に移り住んでからは安定し、名作を次々発表します。
    本作収録作品も、その頃に書かれた作品が多く収録されていて、氏の序盤からある意味で最盛を誇った時期までの作品を時系列で追うことができるため、とても良い作品集だと思いました。
    読みながら「この頃の太宰治は」と、巡らせてみるのも面白いと思います。

    各作品の感想は下記の通りです。

    ・魚服記 ...
    太宰治の最初期の作品。
    デビュー作の"列車"発表からほどなく本作も同人誌『海豹』に掲載されたので、ほぼデビュー作と言っていい作品だと思います。
    青森県にある"ぼんじゅ山脈"内にある、とある滝壺を舞台とした作品で、一見して意味が通らないが、密かなメッセージ性を感じる内容です。
    この滝壺の近くで営業をしている茶店の娘「スワ」が主人公で、彼女は山の中でのびのび育っていましたが、ある日、毎日変わりないように見える滝の流れは、実は日々異なっていることに気づきます。
    父に「なぜ生きているのか」と暴言を吐き、そして最後は、驚きの展開になります。
    検索すると、父子相姦を暗喩しているという意見が多かったですが、私はシンプルに、この娘が成長したのだろうなと思いました。
    デビュー作と思えないほど読みやすく、面白い作品です。

    ・ロマネスク ...
    1934年11月 同人誌『青い花』に掲載された作品。
    巻末の井伏鱒二氏の解説では、本作が尾崎一雄氏により取り上げられ、太宰治は文壇上で著名になった様子です。
    内容は3章に分かれていて、それぞれ主人公が異なり、各々の個性的な物語を繰り広げ、最後に三者が偶然出会って会合する話となります。
    仙術を身につけ女子にモテるためイケメンに変身しようとする"仙術太郎"、喧嘩の達人になる修行を極めるがその機会がないまま風格だけでのし上がってしまった"喧嘩治郎兵衛"、嘘の達人である生き方に嫌気が差した"うその三郎"が各章の主人公で、三名共に非常に個性的で、またついつい笑いが出てしまうほどユーモラスな作品でした。

    ・満願 ...
    『ロマネスク』という小説を書いている「私」が、友人の医者の元に遊びに行ったときにそこに通っていた患者の話。
    3ページほどの超短編ですが、太宰治自体をモデルにしたと思われる私が、夏の三島で出会った夫婦の念願が叶う様を描いた、すっきりとした物語となっています。
    作中、患者の男性は肺を悪くしていて、医者は女性に"もう少しの辛抱だ"と叱責します。
    ちょっと奇妙なのが、本作について調べてみると、念願叶うのは夫婦の性生活であるという意見が多いです。
    普通に難病から回復し、未来に光がさした夫婦の話と読んだのですが、何か、実は作者自身の解説などがあるのだろうか。

    ・富嶽百景 ...
    太宰治の代表作の一つ。
    井伏鱒二の滞在する御坂峠の天下茶屋に逗留した3ヶ月の経験を書いた随筆的小説で、そこからは風呂屋の壁画のようなわざとらしい富士山が見える。
    当初、気に入っていなかったそこから見える富士山だが、そこであった人々や経験から少しずつ富士山に対する思いが変わっていくという話です。
    読点の多い文章が少し気になりましたが、飾らない太宰治のそのままの気持ちが書かれているように感じました。
    本作の後、太宰治は名作を数々発表します。そのきっかけが書かれている、太宰治を読む上では必須の一作と思います。

    ・女生徒 ...
    井伏鱒二の紹介でお見合い結婚をした後、太宰治は"富嶽百景"を始め優れた短編を多く発表したのですが、本作もそのときに書かれた一作。
    太宰治の代表作として挙げられる内の一作で、本作は川端康成に激励され、文壇上のポジションを築きます。
    14歳の女学生が、朝目覚めてから就寝するまでの一日を、その女学生目線で描いた作品で、女学生の独白という形となっています。
    「有明淑」という女性読者が太宰治の元に送った日記が原作で、若い女性らしい軽い文体で綴られています。
    元の日記をかなり研究したのだろうなと思いました。
    文体もですが、内容も14歳という多感な年頃のコロコロ変わる心境の変化が良く表現されていて、朝の目覚めに感動したり、キュウリの青みに悲しさを感じたり、少し前まで憎々しく写っていた母の姿が、次の場面では愛しくてたまらなくなったりと、結構忙しいです。
    そんな、事件というほどの事件も無いけど、色々大変なある非凡な一日を描いた内容となっています。

    ・八十八夜 ...
    女生徒よりさらに4ヶ月後に発表された作品。
    若い頃は新しい作風を持っていて、反逆的だともてはやされていたが、妻子を持ち、お金のために通俗小説を書いている「笠井一」という男が主人公。
    俗化してしまった自分を奮い立たせるため、上諏訪に懇意の女将のいる旅館に訪れるが、という話。
    軽快でつい笑ってしまうような作品です。
    結果として、笠井さんの冒険は成ったのですが、ひどく情けないオチが楽しい作品でした。

    ・駈込み訴え ...
    イスカリオテのユダが、イエス・キリストに対する感情、彼の非道なところを訴える、独白形式の作品。
    『新約聖書』に書かれた物語が元になっていて、ユダがキリストの会計係だったこと、キリストがユダが裏切ることを知っていたこと、マリアがイエスに香油を浴びせたことなどが、ユダの視点で語られます。
    『新約聖書』と比較して読むと、ユダによる異なる目線では、"こう見えていた"可能性が提示されていておもしろかったです。
    本作は太宰治の口述を妻の美知子が筆記して作られたことでも有名で、「全文、蚕が糸を吐くように口述し、淀みもなく、言い直しもなかった」という証言があります。
    これだけの名作をスラスラと作り出せる、氏の非凡さが感じられる一作だと思います。

    ・走れメロス ...
    太宰治の代表作として、恐らく最も有名な作品と思います。
    テンポが良く、ストーリー展開が明快で印象に残りやすく、いろんな作品でパロディにされていることで一般常識レベルで多くに人に知られている作品です。
    原作はピタゴラス派の教団員デイモンとピシアスの、同教団の結束の強さを示す逸話で、走れメロス以前に鈴木三重吉が日本に紹介していたことも有名ですね。
    冒頭の「メロスは激怒した」から始まり、結びの"勇者は、ひどく赤面した"など、短編にも関わらず名シーンも多数あります。
    何度読んでも"色褪せない名作"と呼ぶにふさわしい名作だと思います。

    ・キリギリス ...
    『駈込み訴え』のように、主人公の独白形式で語られる作品です。
    主人公は、売れないが愛しい画家を夫に持つ女性です。
    彼女は、夫である「あなた」の描いた作品に感動し、周囲の反対を押し切って結婚を決意します。
    貧乏だが、そんな生活に満たされていたのですが、ある日、「あなた」の作品は、高い評価を受けて、たちまち流行画家になっていきます。
    生活は豊かになったが、変わってゆく夫に対する妻の心情の変化が画かれていて、切ないというよりも悲壮感が感じられる作品でした。

    ・東京八景 ...
    今年32歳の「わたし」の自伝的作品。
    主人公のモデルはもちろん太宰治本人で、フランス語を知らぬまま東京帝国大学文学部仏文学科に入学し、上京したH(小山初代)と同棲を始めたところからの日々を赤裸々に記載しています。
    共産主義運動を行い留置所に入り、小山初代に裏切られて心中未遂事件を行い、大学が卒業できないことを知っていたが仕送り目的で黙っており、卒業シーズン間近に来年こそは卒業するからと泣きつく、後に『人間失格』を執筆する太宰治の、非常にらしい姿があると思いました。
    ラストは、まだ未来への希望を感じさせます。
    過去の自分を自戒の意味を込めて書き記し、今の自分を見つめ直すような、とても前向きな作品だと思います。

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    2021年05月28日
  • ろまん燈籠(新潮文庫)

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     太宰治 (1909-1948) は、中学時代から芥川文学に魅せられ、後に短編小説の名手となった。現代文学の先駆的作品が多く、長く新鮮さを失っていない。第一回芥川賞候補となったが、結果は次席。選考委員である川端康成に「作者、目下の生活に厭な雲ありて、才能の素直に発せざる憾みあった」と私生活を評された。太宰はこの選評に憤慨抗議した。彼にはマイナス思考の作品が多く、川端はそれを危うんだのではないだろうか。
     『雪の夜の話』(1944) は、「少女の友」に発表した作品である。少女の目から、東京の戦時下の風俗を描いている。次の文は、その一節である。

     「おれの眼は、二十年間きれいな雪景色を見て来た眼なんだ。おれは、はたちの頃まで山形にいたんだ。しゅん子なんて、物心地のつかないうちに、もう東京へ来て山形の見事な雪景色を知らないから、こんな東京のちゃちな雪景色を見て騒いでいやがる。おれの眼なんかは、もっと見事な雪景色を、百倍も千倍もいやになるくらいどっさり見て来ているんだからね、何と言ったって、しゅん子の眼よりは上等さ。」
     私はくやしくて泣いてやろうかしらと思いました。その時、お嫂さんが私を助けて下さった。お嫂さんは微笑(ほほえ)んで静かにおっしゃいました。
    「でも、とうさんのお眼は、綺麗な景色を百倍も千倍も見て来たかわりに、きたないものも百倍も千倍も見て来られたお眼ですものね。」

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    2021年05月13日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

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    斜陽(2020/10/20)
    文豪・太宰治の作品。小説を読むのは数年振りかもしれない。
    終始暗いストーリーで、読んでて寂しくなった。難しい言葉が多く、海外の作家や作品も多く登場していて、作者自身の知性をすごく感じた。昔から読み継がれて今でも残っている作品だけあって凄かった(小並感)。

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    2021年04月29日
  • ヴィヨンの妻

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    表題作ヴィヨンの妻他四作品!

    伊坂幸太郎のバイバイブラックバードを読み、どうしても本作収録のグッドバイを読みたくなり購入!

    グッドバイを読んで、作者に死んでほしくなかった事と伊坂幸太郎がNICEな解釈と適度なアレンジでバイバイブラックバードが時空を超えた作品に仕上がっていたと思えた。

    他の作品で手紙形式のパンドラの箱 読むに連れて登場人物達がくっきりしてきて輪郭がハッキリしたところで終了!これももう少し読みたかった!
    結核患者のサナトリウム?小説

    ヴィヨンの妻はダメな夫に腹立つものの皆んなが幸せなら良いのかなぁ?とも思ったり思わなかったり・・・

    眉山は主人公達に金払えと言いたくなる!

    トカトントンは主人公に気になるな考えるな働けと言いたくなった!

    比較的にダメな主人公達に共感するのは難しいものの読んでて面白い!

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    2021年04月10日
  • 人間失格

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    最初の1文から一気に魅了されてとても面白かった。
    中学の時に何気なく買ったが、太宰治や夏目漱石なども読むようになったきっかけの本。

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    2023年10月25日
  • 惜別(新潮文庫)

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     太宰治の新潮文庫にある作品のうちこれだけ読んでなくて、死ぬまでには読まないとと思いながら、ずっと手が出なかった。これを読んだらもう新しい作品には出会えないと怖かったので。
     しかしこのご時世いつ死ぬか分からないからと、読む決意をしたのであった。

    「右大臣実朝」は「鉄面皮」で多く引用されていたので、読まないといけないと思ってた。しかも熱意をかけて書いていたことを知っていたから余計に。思ってたよりも難しくなくて、実朝の人間性の移り変わりがドラマチック。「駆け込み訴え」に似た感じと解説にはあったけど後半は特にそう思う。そして最後の引用で締め括るとこまで手を抜いているように見えて、全然いない(少し贔屓目に見てるとこもあるけど
    鎌倉での描写はちょっとドキッとした。作者の影が少し。

    「惜別」は一昨年の日本近代文学館での展示で仙台での取材の資料を見ていたので、作品自体何となく知っていたけど、読んでからまたあの資料見たら違う風に見えるんだろうなとちょっと後悔(特別展だったので
    国策?で書いたという異例の作品だけれど、思い通りに書いてやるものかー!っていつもの感じになっていて流石無頼派、そういうとこ好き。周さんの転換に少し悲しみを思いながら、魯迅の「藤野先生」を読もうと思った。

    また改めて読み直したら印象変わるかもしれない。

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    2021年01月23日
  • きりぎりす(新潮文庫)

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    現代の24歳と言えば遊び盛りであろうに。昔の人は大人だなあと感じる。今の若者は子供が背伸びしてるからませてるって言われるわけだ。どっちにしても、24歳で世の中を語るには早すぎるのではなかろうか。おわかれは別として。

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    2021年01月19日