太宰治のレビュー一覧

  • 太宰治全集(9)

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    ネタバレ

    自分でお話を書き始めてから、周囲の書き手さんが読まれているらしいと気が付いた太宰治を、自分も読んでみたいと思って買った全集の9巻。

    この年になるまで、読んだことがなかったのもなかなか恥ずかしいことかもしれないけれど、この年にならないと読んでも分からなかっただろうから、いい時期に読んだのだろうと思う。

    巻を進むにつれて、「生きることのつらさ」が実感として痛みに変わっていく。9巻はそれが特に強くて、ついに「死んでいく人は美しい」がはっきりと現れてきた印象がした。

    人間失格は有名で、その一文にある、
    (それは世間がゆるさない)
    (せけんじゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)
    が、とても私

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    2017年06月10日
  • 走れメロス 富嶽百景

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    良くわからないけど、
    生き方、あり方について、強く訴えかけられているように感じた。

    もう少し後になってもう一度読んでみたい本

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    2017年05月23日
  • グッド・バイ

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    ネタバレ

     漫画の後に収録されている未完の小説を読んでみたら、漫画以上に漫画っぽいところが多々あり、漫画の方はずっといろいろと漫画的なところを削ぎ落としていることが分かった。しかし、小説のコミカライズではなく、あくまで小説は原案であり、小説を元に作った現代を舞台にしたフィクションであるので、別に小説の通りにする必要は全くない。力強い絵で持っていく感じは小説にはない漫画ならではの文学性みたいなものがあったように思った。

     小説は未完の遺作とのことで、大長編かと思っていたら短かった。この後大長編になる感じもしなかった。遺作と言うには気楽な楽しい雰囲気の漫画みたいな小説だった。

     このように感じることもこ

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    2017年04月07日
  • ヴィヨンの妻

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    ネタバレ

    『パンドラの匣』
     終戦とともに、無理な気取りを捨て、命を燃やす決意をした青年。結核を治すべく、「健康道場」に入門する。そこでの生活が、彼から友人に向けた手紙で浮かび上がる。
     当時重篤な疾患だった結核だけど、その暗い側面に一切光を当てていない。健康道場での生活は、小さな恋があったり、おかしな綽名で呼び合ったり、ちょっと楽しそう。かなり笑えた。森見氏の「恋文の技術」はこの話から着想を得たのかしらん。

    『トカトントン』
     トカトントン。その音が聞こえた途端、無気力になる。仕事も恋も夢も欲も、トカトントンで無に帰す。トカトントンが悪いのではなく、本当はやる気もないのにトカトントンを言い訳にしてる

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    2017年02月27日
  • ヴィヨンの妻

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    太宰作品は人間失格しか読んだことがなかったので暗いイメージしかなかったんですがこのヴィヨンの妻に収録されている5編ともがなんだか明るく軽快な作品でイメージが変わりました。
    特にグッド・バイの田島とキヌ子のやりとりというか駆け引きが可笑しくて未完なのが残念でなりません。是非とも続きが読んでみたかったです。
    あと眉山は最後ちょっと切ない気持ちになりました。太宰はやっぱり奧が深いなぁって思いました。

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    2017年01月07日
  • 太宰治全集(7)

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    文芸イベントでよく見かける「太宰治」、しっかり読んだことがないので、太宰治を読んでみたい、読むなら全集を買ってしまおう、ということで第七巻。
    津軽、惜別、御伽草子(瘤取り、浦島さん、カチカチ山、舌切雀)
    いや、純文学というから難解なんだとずっと思っていたのだけれど、巻を増すごとに太宰治のユーモアにくすりと笑ってしまう。たまにおいおいなんてつっこみつつ。
    肩ひじ張らず、お堅いことを言わず、楽しんで読んでいいんじゃないか、純文学。何を純文学というのか知らないのだけれど。

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    2016年11月02日
  • 津軽通信(新潮文庫)

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    黄村先生のシリーズには笑った。
    特に「花吹雪」がお気に入り。
    それにしても、太宰を読むのは久し振り。
    他の作品は学生の頃一通り読んだけど、何となく自分が太宰より歳上になって作品を読むとは思ってなかったから。

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    2016年09月13日
  • 人間失格 グッド・バイ 他一篇

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    この本を読んだ後、非常に戸惑いました。
    私はこの本から一体何を感じ取ったのか、頭の中で整理しようとしても、何故かうまくできません。この物語の主人公はただ、「人間」という到底理解できるものではない存在に対して、怯え、暮らしていただけなんです。それだけなのに、得体のしれないモヤモヤが胸に引っかかります。きっとこれも「人間」の仕業なのでしょう。

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    2016年07月15日
  • 津軽通信(新潮文庫)

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    中期の安定してい時期から死の間際までの太宰の短篇を収録。死の近づいた時期の作品「酒の追憶」はそれを感じさせないほどユーモラスである。連作「短篇集」の「ア、秋」は詩情豊かな作品だ。「秋ハ夏ノ焼ケ残リサ。」なんてそりゃカブれます。「リイズ」がかなり胸キュン。女性にはぜひ読んでもらいたい。「黄村先生言行録」は風変わりな老人黄村先生の行動がおかしい。三編とも好きだ。「チャンス」は「恋愛はチャンスなんかではない。意志だと思う」に始まり据え膳食わない太宰がかわいい。太宰の短篇巧者ぶりが軽く楽しめる好著だ。

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    2016年05月21日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    太宰中期の作品の中でも最も骨太で知的な作品が多いような印象を持った。収められている作品は海外文学に取材した作品が目立ち、かなり知的な太宰を味わうことが出来る。「新ハムレット」はハムレットをよく知らない私が読んでも面白かった。登場人物があまりに太宰的でちょっと笑えた。ハム(レット)にレヤチーズにポローニヤス…なんだか美味しそうである。本作のハムレットはかなり中二病をこじらせているが原典でもそうなのだろうか。「乞食学生」はまんまと騙されてしまう作家がカルピスを飲むラストがかわいい。あざとい。

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    2016年05月21日
  • 新樹の言葉(新潮文庫)

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    太宰が麻薬中毒から立ち直り数多の佳作を残した初期から中期への移行期の短編集。意外なほど読み易かった。「葉桜と魔笛」が最高。物悲しくも美しい希望と余韻のある読後感だ。「新樹の言葉」は乳母の子供たちとの再会を想像して書かれたものだがこんな風に太宰は心温まる交流をしたかったのだろうな…と考えると切ない。「春の盗賊」はユーモアを織り交ぜつつ小市民的な生活と再び破滅に身を委ねたいという葛藤が伝わり強烈だ。「もういちど、あの野望と献身の、ロマンスの地獄に飛び込んで、くたばりたい!できないことか。いけないことか。」

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    2016年05月21日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ハムレットはシェイクスピア派。ポローニアスがしゃべりすぎ。

    乞食学生を初めて読んだとき、「熊本くんにも、佐伯くんにも欠点があります。僕にもあります。助け合って行きたいと思います。」という文章にどきっとした。一番好きなとこ。

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    2016年04月16日
  • 人間失格 グッド・バイ 他一篇

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    今まで太宰といえば『人間失格』で、暗いというイメージだったしあまり読みたいと思わなかったけれど、試しに読んでみようと思って手に取りました。思った以上に読みやすい。でも内容はずっしりきた。太宰もこういう気持ちで人生を過ごしていたのかと衝撃をうけました。そしてまったく異なるグッド・バイ。未完なのが残念、続きはどうなる予定だったんでしょう。書かれているところはとても面白いし太宰にしてはさくさく読めるなあという感じでした。如是我聞、かなりざくざくと書いていてすごい面白い。こちらも未完なんだ…

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    2016年02月10日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

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    未読の「 葉桜と魔笛」「駆込み訴え」、青空文庫にもあるようだけれどせっかくなのでまとめて。葉桜、は妹が姉の耳元で・・・派です。

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    2016年01月10日
  • 太宰治全集(4)

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    4巻目にして、だんだん面白くなってきた、肩ひじ張らず、娯楽として読むようにしているのだが、それでいい気がする。

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    2015年12月05日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

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    【斜陽】
    この世には、美しいものと醜いものとが混在していて、もちろんそれは明確に線引きされてこっちは美でこっちは醜だという風にはなっていません。むしろ、美醜は同一のモノやコトに同居していて、見るとき、見る者によってどちらの面も発現しうるものであるのだ、ということを徹底的に謳った物語のように感じました。
    話の大筋だけを捉えると、旧貴族の凋落を描いたどうしようもなく暗い話です。暴力はありませんが、全体が死の気配で満ちています。
    嫌悪、疾病、泥酔、困惑、貧乏、没落。そういうネガティブなものが充満する中にあって、可愛らしさや純粋さがところどころで突然に顔を出します。小さく容易に壊れてしまいそうなもので

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    2015年11月23日
  • 新ハムレット(新潮文庫)

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    一区切りずつ、丁寧に読むのが味わい深い短編集。太宰治の、緊張しきった鋭利な文章が目を覚まさせる。

    『古典風』散文調が現代ではツイートと呼ばれる、様に思われた。てると十郎については少々思い当たる節がある。

    『女の決闘』作中の作品とされるものの空気はまるで映画のよう。澄み切った文体で時は冬に違いないと感じた。ただ、舞台はロシアで水溜りは凍ってはいないが。ドキッとしたところを抜き出しておきたい。「真実は、家庭の敵」「念念と動く心の像のすべてを真実と見做してはいけません」「薄情なのは、世間の涙もろい人たちの間にかえって多いのであります」「『女は、恋をすれば、それっきりです。ただ、見ているより他はあ

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    2015年11月05日
  • ヴィヨンの妻

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    「眉山」が良かった。「ヴィヨンの妻」も良かった。
    ユーモアにあふれた太宰が実にいい。私は分かった。
    彼の云う「死」は私の思う「死」とは異質なのだ。太宰の
    「死」は「退屈だな。なにか愉快なことないかな?そうだ
    死んでみるか!どんな気分だろうな?どうであれ、今よりは良かろう」

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    2015年07月01日
  • ろまん燈籠(新潮文庫)

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    短編集。
    戦争に突入していく厳しい時代だからこそ立ち昇る
    人間臭さに太宰はどうしようもなく惹かれたのだろう。
    「佳日」と「散華」が好きだった。
    どの話もタイトルが秀逸。

    小説だけでなくてエッセイ的な文章もあり、
    特に「服装について」は元祖こじらせとも言える
    自意識過剰のぐるぐるっぷりが面倒臭いなと思いつつも、共感できてしまう。

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    2015年02月21日
  • 女生徒

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    内容はどうということはないですが、太宰治はどうしてそんなに女子の気持ちがわかるんだ、という思いになります。

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    2015年01月04日