太宰治のレビュー一覧
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2回目
序編はつまらなさすぎて閉じようかと思った。だが、本編に入って小説が始まった。
「ね、なぜ旅に出るの?」
「苦しいからさ。」
この書き出し、かましすぎてやばい。ここから最高の小説が始まった。ほんとに色んな人にすすめたい。
基本は「である」調で、穏やかな印象がある。津軽を行脚しながら、N君やSさん、たけなど、自分の愛する人たちに会っていく。津島修治という人間が、自分を形づくってきた人たちに会い直していくドラマのように感じた。
好きなのは、N君の家でのアトフキと、最後にたけを探しに行く場面。うまく話せず、ふてくされたようになり、照れたり意地を張ったり。その感じがものすごく人間くさい。
とい -
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ネタバレシェイクスピアの『ハムレット』を題材にした中編が収録された、充実の短編集。
クローヂヤスさんは山羊のおじさんかあ。可愛い名前。山羊のおじさん山羊のおじさんって懐いてるハムレットは愛嬌がある。でもこんなホワホワだとオフィリヤちゃん、……。
オフィリヤちゃん、すげぇよかったね。「これからは/考えている事をなんでもぽんぽん言おうと思うの」このセリフすげーーいい。シェイクスピアの『ハムレット』でも、オフィリヤちゃんって自己主張できてない印象あったから。
シェイクスピア作品の日本語訳に携わった翻訳家、松岡和子さんは某所で「シェイクスピア劇の女性はたいてい強い。唯一の例外がオフィリヤ(=オフィーリア) -
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魅力たっぷりの短編集。
『風の便り』、「作者は例外なく、小さい悪魔を一匹ずつ持っている」という言葉が印象深い。まさかあの作家さん、この作家さんの中にも悪魔が……!?「真の尊敬というものは/遠い距離を置いて寂しく眺め合う事なのでしょうか」この言葉の持つ寂しさも考えるものがあった。
ところで。大正〜昭和初期の文学ってカタカナ語は「ー(伸ばし棒)」をほぼ使わないイメージだったんだけど、全部が全部ってわけじゃないのね。「ノオト」「ジャアナリズム」とかは伸ばし棒なし。でも「モーゼ」「アパート」「コーヒー」「オーライ」このあたりは伸ばし棒あり。どういう言葉は伸ばし棒でどういう言葉はそうじゃないとかある -
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ネタバレ印象深いのはやっぱり直治の最後の手紙。下品を装っていても、本当は、……。
あとはお母さまが庭でお花を折る(婉曲表現)シーン。気品とは対極のことをしているのに、妙に品を感じる。これぞ最後の貴婦人。
最後に明かされた、M・Cの本当の意味……!
お母さまと上原ってなんかちょっっっっとだけ似てない? 気のせい??
5章まではお母さまお母さまだったかず子が6章から上原上原になるのが気になって。お母さまの気品って、骨つき肉にかぶりつくとか庭でお花を折る()シーンとか酒があれば寝れる発言とか、野蛮そうな行動によって強調されている気がする。上原の不良的なところに惹かれてるのって、何だか、その悪さの中にお母さ -
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ネタバレ魅力たっぷりな短編集。
『犯人』がすっごい引きこまれる話だった。ハラハラした。志賀直哉はオチが見え見えだと言って作品を徹底的に否定らしいが、私はまったくオチが分かりませんでした。ただ森ちゃんとの関係性の瑞々しさが失われていくの寂し〜とか、犯行後の犯人の心理描写が生々しくてゾクゾクしたりしていた。「闇屋さん、闇におどろく」ってセリフを見て、やっぱり太宰は喜劇寄りな作風だよな〜と思った。虚しさを伴う自嘲めいた喜劇。これぞマイ・コメディアン。
太宰の小説は「ぐらぐらめまいした」みたく助詞を抜いた喋り言葉がときどき地の文に出るよね。『犯人』は喜劇でなくシリアス寄りの話だと思って読んでたから、このラフ -
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ネタバレ太宰治というと句点が多いイメージを勝手に持っていたが、『ロマネスク』はむしろ句点が少ない。
『人間失格』ではカッコ書きが多かったし、『新ハムレット』は戯曲風だし。作家は色々試作しながら書いてるんだなーと改めて思った。
『猿面冠者』に主人公(太宰自身?)が『書きだしに凝るほうであった』と書いてあったので、収録作の書きだしだけもう一度拾って読んでみた。たしかに太宰は書きだしに凝る人だなと思った。『晩年』以外でも『駈込み訴え』の一段落目とか本当、すごい。主人公が冒頭から落ち着いてない。なのに登場人物の関係性がちゃんと分かる。あれはすごい。書きだし一段落目選手権があったら『駈込み訴え』を私は推したい -
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ネタバレ珠玉の短編集。
『浦島さん』この話めっちゃ好き。竜宮城の描写がいい。独特の空気感とどこか退廃的にも思える美しさ。聖諦という言葉はよく似合っている。相手が子どもだから助けたんだろうという亀の鋭い批判と、何もかもが許される竜宮城の対比もよき。温かい無言が広がっている。オチも好き。太宰だからこその視点で見出されたハッピーエンド。乙姫さまの柔らかな足の裏の描写は大変ドキドキいたしました。素晴らしいところに注目してくださった。
『義理』(新釈諸国噺)「人間も空を飛んだり、眠りながら移動できたらいい」それ旅客機ぃ〜!
新釈諸国噺は出家オチが多いな~と思ったけど、最後の『吉野山』で出家後の楽じゃない感じを -
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ネタバレ表題作の『ろまん燈籠』は私が偏愛しすぎている小説です。
その気になれば一気読みもできる長さ……なのですが。
中盤に推しが出てくるので、私は一気読みできませんw
推しを見た後って謎に元気を持っていかれませんか?
それでその推しと言うのは、金持ち一家に仕えている女中の子で、超ピュアで超真剣で超真っすぐなところがめちゃくちゃ愛おしくて、庇護欲をかき立てられて、心から彼女を可愛いと思っているんです。仕様のないほど好きなんです。
もう本当幸せになってくれ。
次男くんの顔ファンっぽい? が、勇気出してものすごいことを言う。それをスルーされると照れ隠しに笑う。このことをひとりになって悲しもうとしたが…… -
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「弱虫は、幸福をさえおそれるものです。綿で怪我をするんです。幸福に傷つけられる事もあるんです」という言葉、わかる〜。
幸福な出来事のあとに悪いことが起こるなら、それならいっそ幸福ごと最初から回避してまおうとすることが自分にもよくある。
そうすれば幸福と不幸の落差に落胆する分が減るから。
この誰かと共感しづらい微妙な心の機微を、なんと細かく適切な言葉で表すのかと感動した。
おそらく同種の人間が読めば響くし、そうでない人にはよくわからないとしか評されないであろう、人間の、というか太宰治本人の心の芯に触れるような作品。
人間失格じゃない人間なんていないんじゃないか。
どこか欠けている部分があるか