太宰治のレビュー一覧
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文庫版解説によると、本作は位置付け的には太宰治の中期的作品となるらしく、表題作と「正義と微笑」は、ともに30代で中年を迎えた太宰治の年下の友人の日記やそれに類する文章にインスパイアされて書かれた姉妹的作品であり、そして「青春文学」に分類される作品なのだという。
中年を迎えた太宰治が、自らのこれまでの人生を織り込みながら、あくまでも10代後半、二十歳の書き手の視点で綴られた文章は、『晩年』や『人間失格』のような初期および後期の作品とは異なる「明るさ」な「軽さ」がある。他者の日記などを換骨奪胎しているが故に自己言及の度合いは希薄で、破滅的な太宰とは異なる顔を見せている。これらが戦時中、そして戦後 -
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ネタバレ
・世間、って世の中ではなくて個人
・同じ穴の狢だと思ってた堀木が自分とは違い何一つ失っていないと知った時、自分のことを見下していたことに気づいた時
・何があっても自分を信頼してくれていたヨシ子が、その純粋な心ゆえに人に騙されてしまうこと、それによって2人の関係性も破綻してしまうこと
・あとがきのマダムのことば「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした」
そんな人がかかえる内側の苦悩
高校生の時に読んでなにもわからなかったけど、今読み返して良かった -
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ネタバレ太宰の自伝的小説。葉蔵の偏屈で冷め切っており、妙に謙って且つプライドの高さが感じられる作品。
(自分に重なる部分が多々あり苦しくなりました。
道化を演じていたり、論争ができなかったり、友人を馬鹿にしていたり)
子供の時から何にも興味がなく、食にも金にも。只、普通を演じる為、選んだ道が道化だった。
それは家族の前でもであった。
唯一、中学時代の冴えない竹一という親友には、全てを曝け出せ、
女にもてる いい画家になる が彼が私に対する予言でした。(後に前者は当たりますが、後者は微妙な漫画家止まりでした)
鎌倉の高校を行ったりサボったりしている間に堀木雅雄と出会います。内心見下した形でつるんでいまし -
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流石、面白過ぎた。
太宰治の限りなく自伝に近いフィクション。
〈あらすじ〉
「恥の多い生涯を送ってきました。」という冒頭から、男は自身の人生を告白し始める。幼少期から人間に対し強い恐怖心を抱き、道化師を演じることでのみ家族や友人含む他人と関わってきたこと。勉学の才能に恵まれたにも関わらず裕福な出自に甘え酒や女遊びに堕落していく学生時代のこと。心中未遂の後に女の住まいを転々とするも薬に手を出し病棟に入れられたこと。その言葉の通り恥の多い彼の人生に人の生きづらさや不完全さが描かれている。
前半は高尚な文章で「僕は裕福な家に生まれ勉強もでき人間関係は苦手だったがコツを掴み人気者で女にもモテる」っ -
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太宰治が『斜陽』で言いたかったことを一つに絞るなら、「滅びゆく古い倫理の中で、それでも生きるためには、汚れてでも新しい生命を抱えるしかない」ということかもしれない。
母は最後の貴族として品位があり、優雅で滅びにふさわしい美しさを持っている。けれどその美しさは未来を作らなかった。直治もまた古い階級の終末を背負いながら堕落し、薬物に逃げ、革命や思想を語りながらも結局は生の側へ踏みとどまれない。かず子だけが違った。かず子は上原に恋し、既婚者である彼の子を望み、望み通り妊娠する。
しかし、かず子の妊娠は明るい希望としてだけ描かれているのではなく、貴族階級の没落、母の死、弟の自死、上原という男の堕落、 -
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読書に少しづつ魅了されていた時に出会ってしまった、私にとって薬でも毒でもあるような一冊でした。
本屋でこの題名を見た時、きっと私はこの本を読まないといけないだろうというような感覚に支配され、気がつけば買ってすぐに読破してしまったのを覚えています。
普通とは相容れない主人公、葉蔵が人間臭く落ちぶれていくストーリー展開、読者という視点で葉蔵という人間を見ていなければ、きっと同情することも魅力を感じることもなかったでしょう。
この一冊を読んでしまったが故に同情し、魅了されてしまいました。
読み終わった後の余韻と、なにかこの本が自分の価値観や世界観に影響を及ぼす恐怖感が今でも鮮明に思い出されま -
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昭和19年という大戦末期に突入する時代、36歳の太宰治がこの作品を残したということに大きな意味を感じる。『お伽草紙』と同じく大戦の最中に、このように生き、文章を残すことのできたことに自分は太宰治という小説家の真価を見てしまいたくなる。クライマックスの、たけとの再会の場面は本当にぐっとくるし、解説の亀井勝一郎氏が太宰治の本質を本作に見ていることに深く、深く同意する。
資料に詳しくあたって書かれたが故に注釈が多く読みにくかった点を除いて(それは仕方のないことではあるのから全くいいのだが)、35歳の今の自分にとって太宰治で一番好きな作品かもしれない。