太宰治のレビュー一覧

  • 富嶽百景

    購入済み

    太宰はやっぱり只者でない

    何十年も前の高校教科書掲載の記憶が薄っすらと残っている。超名文句「富士には、月見草がよく似合ふ」のくだりは、心に沁み入って未だに色褪せない。🏔️とはいえ、改めて全文をよく読むと、デカダン太宰らしさに苦笑を禁じ得ない。冒頭から富士山をディスりまくりだし、兎にも角にもいい加減で財布も落とすし、結末では若い娘らに対して随分なことをやっている。こんな話だったっけ。🏔️それにしても、誰しも賛嘆する富士山の美しさを、すんなりとは受け入れない太宰の只ならぬ感受性には、恐れ入った。🏔️

    #深い

    0
    2025年12月26日
  • 人間失格

    Posted by ブクログ

    上ではなく下を見るための小説。
    面白いとは思わないけどこの作品を好きといえる大人になってしまったよ。

    0
    2025年12月21日
  • 人間失格

    Posted by ブクログ

    人と関わることへの恐怖や自己否定の感情が、痛いほど率直に描かれていると感じた。
    主人公は常に他人の顔色をうかがい、道化を演じることで社会に適応しようとするが、その姿は次第に自分自身を追い詰めていく。

    有名なフレーズ、「恥の多い生涯」という言葉に象徴されるように、主人公が自分を許せず、社会からも切り離されていく過程は、弱さや醜さを隠さずにさらけ出す語り口でやや不快ですらあるが、その正直さゆえに強い説得力を持っており、それに惹かれ読み込んでしまう。

    暗く救いのない物語でありながら、人が人として生きることの難しさを突きつける作品である。
    読む側の心の状態によって、共感にも拒否にも変わる点が、何度

    0
    2025年12月21日
  • ビルディング(乙女の本棚)作品集(乙女の本棚)

    Posted by ブクログ

     乙女の本棚シリーズから、ねこ助さんの「ビルディング 乙女の本棚作品集」です。収録されてるのは、新見南吉『赤とんぼ』、中島敦『山月記』、太宰治『魚服記』、堀辰雄『鼠』、夢野久作『ルルとミミ』のイラストの中から、ねこ助さん自身が選んだ作品です。このほかに描き下ろしとして、夢野久作『ビルディング』が新たに収録されています。

     これまでの「乙女の本棚作品集」(しきみさん、ホノジロトヲジさん)と同様、『ビルディング』以外の作品については本編を読むことはできません。イラストを眺めながら、あぁ…そうそう、こんなストーリーだったなぁ…と、思い出す感じですので、本編を読まれてからこの作品週を手にしたほうがよ

    0
    2025年12月18日
  • 人間失格

    Posted by ブクログ

    久しぶりの再読で、人間失格とJOKERってむちゃくちゃ色んなものが通底するんやなと思った

    世間と個人
    喜劇と悲劇
    他人の評価
    道化という仮面

    一方で、演じる道化に対する他人からの評価の違いで、葉蔵とアーサーのその後どう振る舞うのかは異なっていく。自らを破滅させるか社会を敵対視するか。

    0
    2025年12月14日
  • 斜陽 アニメカバー版

    Posted by ブクログ

    文章がずっと綺麗。
    最初はかず子の母親への想いに共感して、女性で通じるものも多くてかず子な気持ちで読み進めていたが、最後に『ちゃうわ、私は直治や。』てなりました。

    0
    2025年12月11日
  • 津軽

    Posted by ブクログ

    私の大好きな小説
    太宰治という小説家の魅力と津軽の魅力が濃縮して詰め込まれている傑作。人間失格などの閉塞的な作風の後に読んでほしい1冊

    0
    2025年12月10日
  • 晩年(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    太宰治の第一創作集。

    太宰治をして「私はこの本一冊を創るためにのみ生まれた」と言わしめる一冊で、初期の作品が並び、その後の太宰治の色々な作品の種になるような短編が15入っている。

    この『晩年』は太宰治が27歳のときに刊行され、それぞれの短編が書かれたのは太宰治が22〜23歳頃。

    そんな若者が書いたとは思えないような、人生や人間の生々しい部分がえげつなく書かれている。

    でも、どこかちょっと爽やかさもある。

    短編の多くは、創作の苦しみ、世間の冷たさ、無常感のようなものが描かれている。

    太宰治がそれまでの人生の中で感じていたことだろう。

    この本の中に「私は散りかけている花弁であった。す

    0
    2025年12月10日
  • 斜陽 アニメカバー版

    Posted by ブクログ

    太宰らしい作品といえば『斜陽』か『人間失格』ではないかと思うくらいには、太宰らしい文章だったと思う。
    厭世主義の弟・直治、夢見がちな姉・かず子、没落貴族のお母様。それぞれの方向を向きながら生きていく人間の様を書くことができているのは、ひとえに太宰の人間観察力が優れているからではないかと思う。
    二十歳の節目にこれを読んだが、歳を重ねるごとに抱く感想も変わっていくのだろうか。

    0
    2025年12月06日
  • 人間失格

    Posted by ブクログ

    自分のようだと思った。
    世間の人と感覚のズレがあって、色々迷惑をかけたりして最終的に廃人になる。
    こういう人は一定数やはりいるんだと知れてよかった。

    0
    2025年12月04日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

    Posted by ブクログ

    まず、ラインナップがよかった。
    太宰には名作、傑作と呼ばれる作品がたくさんあるが、本書に収められたのはその中でも選りすぐりばかりで、太宰を今まで触れてこなかったような人でも、太宰文学のエッセンスを感じ取ることができるし、太宰特有の暗さ、ニヒルを与えすぎない。
    私は太宰のニヒリズム全開の小説は好きではない(むしろ嫌い)なのだが、そうしたものはこの本には入っていない。ラインナップがいい。
    この中だったら、特に「斜陽」「人間失格」は本当に良いと思う。どちらも中高生の頃に読んだが、当時は全く違う読み方をしていたと言わざるを得ない。大学生になってから読んで良かった。

    前に書いた太宰の新潮文庫の方にも感

    0
    2025年12月03日
  • パンドラの匣

    Posted by ブクログ

    ふたつともだいすき。女生徒も斜陽も正義と微笑も、表題のパンドラの匣も、太宰治は人の日記を作品にするのがうますぎる。
    正義と微笑のR大の同級生への描写、中学の先生についての考え、本当に好き。これをいいな、かっこいいーと思って影響受けちゃって学校で大浮きした。この状況も作品中の孤立派という言葉で正当化できちゃうんだから、なんという学生狂わせ!!「なんじら断食するとき、偽善者のごとく悲しい面容をすな。」これを大切に、大切に、生きていきたいと思う。何事も知識をひけらかさず、淡々と努力できる人になりたい。これも良くないか、まあ現実で会う誰もこのページ見てないし。でもこれを心に決めて生活すると本当に苦しい

    0
    2025年12月01日
  • 文豪死す

    Posted by ブクログ

    表紙や作者の紹介ページで使われるイラストがとても美しい。適度に服装、髪型は本人の雰囲気を残しつつ、完璧に美化されていてイラストレーターの腕の良さにたまげる。

    文豪たちの最後の作品を集めた本で、まとめて読むとその文豪らしさがよく感じられて良い。
    芥川の「歯車」 私も偏頭痛持ちだからこの現象(閃輝暗点)よくわかる!と共感するとともに、精神病になりやすい家系の人なんじゃないかと邪推してしまった。

    太宰の「グッド・バイ」 女性関係の華やかな作者の理想の別れ方を描こうとして、結末までいかなかったのは収集つかなかったのかな、と思った。

    梶井「のんきな患者」 若い頃から結核を患ってたから、今回の主人公

    0
    2025年11月30日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    坂口安吾、織田作之助との対談で乞食女と恋愛したいと言っていたが、グッドバイはそれを表現したのではないかと思う。続きが読みたいなあ。

    0
    2025年11月29日
  • 人間失格

    Posted by ブクログ

    人と違うことを考える主人公に対して、共感する部分が多々あった。
    自分の中の幸せを1つ持てるようにしたい。

    0
    2025年11月26日
  • 斜陽 アニメカバー版

    Posted by ブクログ

    本当に本当に面白かったです。
    生きるとはなにか、死ぬとはなにか、思想とは、恋愛とは……
    考えさせられると同時に気味が悪く、とても面白く、とても奇妙な本でした。
    場面の移り変わりも驚かされてばかりで、思わず声が出てしまう場面も多かったです。

    0
    2025年11月23日
  • 人間失格

    Posted by ブクログ


    初めての太宰さん、初めての『人間失格』。
    こんなに読みやすかったんだ!
    これについて多く語る必要があるのか?!ってのはあるけど、語れるだけ語らせていただきたい。(自分のために)

    主人公には自分というものがなく、空腹もあまり感じず、食べ物を美味しいとも思えず、人間が怖いが故に、人にどう見られるかを気にするが故に、幼い時からずっと道化を演じて、何とか世渡りしてきたというところで、「これ、村田沙耶香さんの作品の主人公たちに通じるものがある!」とびっくりしました。

    少しずつ違ってくるのは、『人間失格』の方の主人公は、画家になってやるって願望を抱いてみたり、人を愛したいと切望したり、人に図々しくな

    0
    2025年11月21日
  • 乙女の本棚 女生徒

    Posted by ブクログ

    「太宰治の作品を初めて読んだのは、多分、現代文でやった『羅生門』だと思う。
    ロングスリーパーな私にとっては、ほとんど子守唄のような時間だったけれど、なんとなく、太宰治特有の人間のドロドロした部分を描いていたような気がする。

    そう思っていたからなのか、今回の作品を太宰治らしくないかも?と思った。
    でも、女生徒が毎日、何を思い何を見て何を感じ、悩み傷つき、悶々とひとりで考えているのか。そしてその一連の思考が、私も同じように感じていたことがあったことに懐かしく感じた。

    10代だからといって、侮るなかれ。
    彼女たち、現代ならば彼らたちは、我々大人より遥かに重く、解決しがたい悩みや葛藤を抱えている。

    0
    2025年11月19日
  • お伽草紙(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    見栄とか、世間体とか、プライドとか、そう言ったものにどうしても自分で自分の首を絞める現代人にはピッタリじゃないでしょうか。なるほどこう展開するのかな?と思っている方向にいかずバッドエンドもあれば、昔話をこう解釈したのか!という驚きも楽しめます

    0
    2025年11月17日
  • お伽草紙(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     読むのは2回目だが、面白かった。今まで読んだ太宰治の中でもトップクラスに面白い物語ばかりだった。
     新釈諸国噺とかお伽草子とか既にあるものについて空想を巡らして、自分のスタイルにすると言うのはとても面白い。特にお伽草子カチカチ山の兎と狸を16歳の処女と37歳の中年大食男にしているのが痛快だった。男として恐ろしくなるようなことではあったけど。
     新釈諸国噺は全て楽しく読めたが、中でも「義理」という作品が印象的だ。武士の義理の悲しさがよくわかる。西鶴がベースとのことだが、西鶴は読んだことがないので、元になった話も読んでみたい。

    0
    2025年11月15日