【感想・ネタバレ】斜陽のレビュー

あらすじ

最後の貴婦人である母、破滅への衝動を持ちながらも“恋と革命のため”生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。没落貴族の家庭を舞台に、真の革命のためにはもっと美しい滅亡が必要なのだという悲壮な心情を、四人四様の滅びの姿のうちに描く。昭和22年に発表され、“斜陽族”という言葉を生んだ太宰文学の代表作。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「人間は、みな、同じものだ」
(身分や育ち関係なく自分の力でなりたいものになれるなら)そうであってほしいと思うし、(平等を前提とするなら、努力でどうにもならなければその努力は何だったのかという意味で)そうであってほしくないとも思う

恋と革命のために、人をいい意味で顧みずに自分のために生きるかず子の姿がかっこいいと思ったが、直治にとっての阿片、上原さんにとっての酒も同じで、生きるために必要なものだった。みんな何かに依存して生きてる

登場人物みんな魅力的だった

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2026年06月15日

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印刷された字体や文体の古さが心地よく、言葉の気品やしなやかさに惹かれた。かず子の「人間は他の動物と本質的に違わない」という考え方は、自分が普段感じていることと重なった。昔の女性たちも困窮の中で力仕事をしていたのだと思うと、現代だけが女性活躍の時代ではないのだと感じた。太宰治は人間の弱さや世界の醜さを鋭く描きながら、その奥にある孤独まで見抜いている作家だと思った。

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2026年06月03日

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母親の死が近づくにつれて
かず子は新しい自分になっていく。

母親が生きていることが、没落しても貴族だと思える所でもあり、かず子の自由な人生の縛りになっているとも思いました。
親の目が黒いうちは...
なんていうのが、今よりもずっと重んじられていた時代だったのかなと思うと、かず子の人生は母親の逝去によって自由になれたと。

直治が一番辛かったと私は思いました。
貴族に批判を持ちながら、自分も貴族で、一般に馴染むことができずに、薬物・酒・女で自分を壊してしまった。
きっと、染み付いた礼儀や行儀の良さが抜けずに
肩身の狭い思いをしたんだろうと。
貴族からは品がない奴と言われたかもしれない
一般の友達からは、坊っちゃんが悪ぶってると言われたかもしれない。

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2026年06月08日

Posted by ブクログ

読みながら本の角を折ってできたドッグイヤーの数や計り知れず、どの描写、台詞、手紙や遺書、本当に文学の寵児なんだなと納得するしかない素晴らしい描写ばかりで、よくこんなもの書けるなと感動しました。
家族、恋や不倫、病気、中毒やテーマとして何を書いてるかはっきり際立ってるけど、同じことを太宰治以外の人が書いたらこんなには心打たないんじゃないかと思うくらい感情を剥き出しに書く才能がすごい。とにかく人の様子を美しく文章にする才能がすごい。唯一無二の文章だと思った。
私が好きなサリンジャー、カポーティ、村上春樹、そして今太宰治加わっちゃいますが、「ストーリー」が面白いとかじゃなくて(いや面白いんだけど)、読み終わりたくなくないって思うくらい読み心地が良いというか、どんな表現するんだろうってドキドキさせる魅力があるのが共通点なんだなと気づきがありました。
でも偏見だけど、太宰治好きって村上春樹好きっていうより何かカミングアウトし辛いですね。


引用
この世の中に、戦争だの平和だの貿易だの組合だの政治だのがあるのは、なんのためだか、このごろ私にもわかって来ました。あなたは、ご存じないでしょう。だから、いつまでも不幸なのですわ。それはね、教えてあげますわ、女がよい子を生むためです。
------
もう一度、お逢いして、その時、嫌ならハッキリ言って下さい。私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。私ひとりの力では、とても消す事ができないのです
------
僕が早熟を装って見せたら、人々は僕を、早熟だと噂した。僕が、なまけものの振りをして見せたら、人々は僕を、なまけものだとした。僕が小説を書けない振りをしたら、人々は僕を、書けないのだと噂した。僕が嘘つきの振りをしたら、人々は僕を、嘘つきだと噂した。僕が金持ちの振りをしたら、人々は僕を、金持ちだと噂した。
僕が冷淡を装って見せたら、人々は僕を、冷淡なやつだと噂した。けれども、僕が本当に苦しくて、思わず呻いた時、人々は僕を、苦しい振りを装っていると噂した。
どうも、くいちがう。

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2026年04月29日

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この問題で一ばん苦しんでいるのは私なのです。
この問題に就いて、何も、ちっとも苦しんでいない傍観者な、帆を醜くだらりと休ませながら、この問題を批判するのは、ナンセンスです。

人間の生活には、喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、いろいろの感情があるけれども、けれどもそれは人間の生活のほんの一パーセントを占めているだけの感情で、あとの九十九パーセントは、ただ待って暮らしているのではないでしょうか。
幸福の足音が、廊下に聞こえるのを今か今かと胸のつぶれる思いで待って、からっぽ。

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2026年04月25日

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ネタバレ

面白かった
太宰治さんの作品をもっと読んでみたくなった

斜陽というタイトルはどういう意味なんだろうと考えながら読んだ。斜陽族の話だったが、一瞬の美しさみたいな意味もある気がした。
かず子が母も弟も亡くなったのに前向きに話が終わっていて、斜陽ではなく朝日が昇ったような気持ちに彼女はなった。それは彼女の新しい人生がまた始まった、再スタートしたということだと思う。太宰治さんの暗いイメージが払拭された終わり方だった。

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2026年04月10日

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読むのが辛くて、読み飛ばしてしまいたくなるような気持ちになる物語でした。嫌な気持ちになる人もいるかもしれないのですが、自分は人間の悲哀とか欲望とか、負の感情が一見ぐちゃぐちゃなのに、自然の摂理に向かってめっちゃきれいにまとまっているストーリーに感銘を受けて、面白いと思いました。

備忘録的に書くと…
「僕の心のヤバいやつ」というアニメのOPがヨルシカの「斜陽」で、僕ヤバはめっちゃ好きな作品なのに、「斜陽って確か太宰の作品で、この作品から斜陽って言葉に没落とかそういう意味が付与されたんじゃなかったけか〜、なんでいい歌のタイトル斜陽なん?」って思ったのがきっかけで「斜陽」が頭から離れなくなってルーツを覗きに行った感じ。
作品を読んでみたのと楽曲には関係はなさそうやったけれど、暮れを惜しむ気持ちにさせる力が斜陽という単語にはあるような気がしてならないです。

作品については…
なんでこんなに辛いことを立て続けに起こらせるストーリー思いつくんかねって気持ちになります。
そして、なんだか出自や血は争えないような、人生観に対する無気力感も帯びていて、そうなんじゃないかと気付くと登場人物の退廃は自然の摂理で、直次が「自然死です」と遺書にしたためたことも。涙ながらに受け入れらなくはないかなと思います。

p.s.書いた後に気になって斜陽をググってみたら、作品と楽曲の関係性について考察しているnoteを発見した。丁寧に考察されているようだったが、まとめると関連性が強い、ということだと思う。
確かに歌詞を読んでみると、楽曲の方って結構グロテスクに取れる表現もあったり。革命のための美しい滅亡、みたいにとれる表現もある?のか。じっくり考察している人には自分の浅はかな感想を見せられない。

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2026年03月02日

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何度も読み返してしまう。
壁にぶつかったとき、自分がどうしようもなく嫌いになってしまった時、何もかも捨ててしまっていいやと思った時、救ってくれるのは太宰治の作品なんだよなあ。

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2026年03月02日

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何十年も前の作品なのにスラスラと読めるところに彼の言葉の新鮮味を感じた
上原は一体どんな人だったんだろうなと想像してみたり。

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2026年06月03日

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今更ながら太宰治の文章って綺麗で読みやすいなと…一つ一つの描写をどうしてこんなに豊かに描くことができるんだろう。「貴婦人らしさ」の表現が巧みで印象的。スープを食べている場面とか。

貴族の滅亡。物語に登場する貴婦人(母)は、かぼそく今にも崩れ落ちそうな存在である一方、斜陽のような明るさだ。どことなく芯に強いものが感じられるのは、彼女が滅びることが避けがたいものとして受け入れているから。


以下は書評にあった文章抜粋。まさにこれだよね、という感じにまとめてくれていて分かりやすかった。
太宰治の生と文学は下降指向のそれと言ってよい。悪しき秩序、権力とたたかうためには、まず自分の中にあるそれらとたたかわねばならぬ。徹底した自己否定、自己破壊によってのみ、はじめて根源から秩序、権力を批判、否定することが可能になる。太宰はそうじ、それを生かけて実行した。立身出世はもとより、自己完成、自己確立も、安息した幸福にひたることも自らに禁じた。えらくなりたい、高められたい、立派になりたい、という上昇指向的モラルや感性は結果的に悪しき秩序に迎合し、それを強めるだけであり、そういう上昇指向によっては真の反逆は不可能だと見抜いていたのだ。そのためにまず自己を破壊する下降指向に徹したのである。自己の欠如感覚を埋めることなく、逆に深めた。

太宰は繊細すぎる。だけど今の私には刺さる。

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2026年06月01日

Posted by ブクログ

「しくじった。惚れちゃった。」という言葉を見たいがために読みました。思っていたより読みやすく、理解しやすく、良いなと思う言葉がいくつかありました。
でもたまに、読み飛ばしたくなる言葉の羅列があります。

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2026年05月31日

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「不良とは、優しさのことではないかしら」
「破壊思想。破壊は、哀れで悲しくて、そうして美しいものだ」

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2026年05月04日

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太宰作品2作目。
かず子が上原に送るラブレターが重すぎて笑った。現代でいうメンヘラだな〜と思ったが、上品な口調の中にユーモアがあるから流石。読者に直接語りかけるような口調だから尚面白い!「あなたが私の恋を点火したのだから、あなたが消していってください」
とか、めっちゃ粘着質だな!!と笑った。

上原を訪ねるために東京に出てきたかず子が、住所を頼りに手当たり次第に人を頼るという描写があったが、時代を感じさせられてとてもよかった。
恋焦がれる人に会いたくて、心細く涙しながら人に道を聞くなんて、現代では経験し得ぬことだ。

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2026年05月02日

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旧い価値観の崩壊と新しい生き方の模索
死ぬ覚悟と、生きる覚悟
何かの終わりは、何かの始まりかもしれないと感じた。

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2026年04月27日

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生きることとか恋のつらさの表現が良い
かず子のあなたの赤ちゃんを産みたいという鬼気迫る思い、破滅感情が心に残る
貴族の没落に共感できるわけじゃないけど心の拠り所がない辛さは痛いほどわかる、弟の最後の手紙が良かった

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2026年04月17日

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きっとあたしはさぁ、この時代に生まれていたら太宰治を好きになっていたと思うんだ。
だって罪な男でメロいもん。
太宰をメロいという言葉で片付けては良くないけどね。

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2026年04月14日

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お母さまがスープを飲んで「あ」と言う
おじさまたちがお酒を飲んで「ギロチンギロチンシュルシュルシュ」と言う

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2026年04月13日

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太宰が晩年、戦後の思想や社会を憂い、自己批判・内省を通して書いた作品、「斜陽」。初読の感想としては美しかったということである。戦後において貴族が、緩やかに滅亡へと足を運んでいく。しかし、その滅亡へのカウントダウンが始まっていくにあたり、不安や屈託のようなものは感じられず、どこかそれを1歩引いた冷めた目線で見ることができた。

一読目では咀嚼できない重厚なストーリー。
太宰の作品を複数読んだわけではないので、考察に欠けるが、もっと読んでみたいと思った。

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2026年03月19日

Posted by ブクログ

青空文庫にて。
過渡期の犠牲者達として様々描かれる人物、しかしその人間達に等しく降り注ぐ「生きること」に対する慈しみの目線。恥ずかしながら太宰を読んだことがなかったのだが、(走れメロスは除く)するすると引き込まれるような文を書く。
かの有名な「しくじった。惚れちゃった」というフレーズ、なんとなく女性の発した台詞なのかと思っていたが,老猿のような小説家の台詞だったとは。

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2026年03月09日

Posted by ブクログ

恥ずかしながら、初太宰。
文体も読みやすく、どんどん読める。
でも、理解したかと言われれば、我ながら懐疑的。
太宰の、死や死に方に対する執着は、
この一冊を読んだくらいではわからないと思うけど、
もっと読みたいと思うきっかけにはなった。

にしてもこの時代の人たちの知性はすごいな。
文中に出てくる『読んでいる本』で知を感じる。

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2026年03月03日

Posted by ブクログ

没落貴族という現代で忘れ去られた歴史を味わえる。そもそも貴族ってなんや。冒頭、今まで住んでいた家を棄てて別荘に行くときの葛藤がよく描かれている。資産を切り崩す優雅な生活から凋落するのはさぞ辛かろう。

後半、カズ子の決断。決断はえらいのだけれど、少しずれているのも貴族ぽさを感じる。

没落貴族という存在は、先祖代々の莫大な資産があるから働かなくてもいいという慢心からくるのだろう。これを産み出さないために、相続税や株式会社が産まれたのだろう。

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

戦後の没落貴族話
儚くも強い、過渡期の犠牲者

生涯温床育ちの優雅で世間知らずの母、それでも母としての健気さにまじで胸打たれて泣いた
かずこちょっとやりすぎと思いつつ、アウトサイダーの自分がそんな涼しいこと思うのは無責任すぎるんじゃないか、とも

貴族。持ってた側、というか持って生まれちゃった側の人間が、生きてるうちにどうやら再び幸せにはなれなさそうと悟った時に、どんな気持ちになるんだろうみたいな文章かなりくらった
どんな気持ちになって、どういう行動に移せば正解なんだろう。
こういうどうしょうもない時代に書かれる人間の反抗心的な読み物がありがたい
リスペクトを知り、謙虚になれる
近代作品の真髄ってそこにあるんじゃねえかと思った。リアルで経験してる人間の思想を知れる。今は一見衣食住余裕ご時世、10年後、20年後、50年後振り返ったら果たしてそうなのか

めっちゃ読みやすいし、人間失格よりこっちの方が太宰入門として推したいです
というか太宰関係なく、日本文学はそれこそ近年の芥川賞もコンビニ人間くらいしか読んでないが、日本文学の入門として推したいな

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2026年02月20日

Posted by ブクログ

2022年放送のドラマ「雪女と蟹を喰う」で彩女さんが教会で読んでいた本。どのような内容が気になって、難しいかもしれないけど読んでみよう!と思い手に取りました。実際難しかったし全部理解はできていないけれど、人間の在り方を考えさせられました。2026年もういちど読んでみようかな。

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2026年02月13日

匿名

購入済み

良くも悪くも丁寧に繊細に人間が描かれていると感じました。太宰治の小説は初めて読みましたが、明るい話ではないのに、文章が美しくて何だか不思議な魅力を感じました。

#深い

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2022年11月11日

Posted by ブクログ

「人間失格」に続いて「斜陽」を再読。大学生の時が初読だから時間が経ち過ぎて、「こんなに美しい文章だったのね…」と幾度も嘆息しながら耽読。

この「斜陽」という言葉、辞書的解釈ではなく、今では「落ちぶれていく」と言った意味で理解され、「斜陽産業」なんて普通に使われ浸透している。「タイトルが決まれば小説は半分できあがったもの…」と言う作家もいるぐらいだから、タイトルの果たす役割は大きい。三島由紀夫の「永すぎた春」も、今や出所が三島であることなんて知らない人の方が多いんじゃないかな。鈴木京香と長谷川博己を指して、「あのふたりは永すぎた春だったんだね…」なんて使うもんね。

余談はさて置き、本書。
戦前までは社会的地位を保っていた貴族階級が敗戦により華族制度が撤廃となり、邸を売り払い田舎へ移住、わずかな財産を頼りにする暮らしは逼迫を極めた。その様子を太宰は、あたかも陽が落ち、辺りが徐々に暗くなっていく斜陽のごとく静かに落ちぶれていくとなぞらえた。

社会的地位の失墜を、粛々と努めて明るく受け容れる母、降りかかる運命に抗い「恋と革命に」生きようとする長女かず子、放蕩の限りを尽くしても貴族としてしか生きられず薬物依存の弟 直治、翻弄されていく流行作家の上原…。

今作が傑作と評される所以は、没落貴族を生んだ戦後の時代を借景に、太宰の生い立ち(津軽の大地主の子息)、左翼活動に身をやつした経験、女性遍歴、幾度の自殺未遂、麻薬中毒…という自身の体験を絡め、四人四様に太宰の心情を語らせているところ。この絶妙の配分が“貴族の滅び”を際立たせ、その描写は実に儚げで美しく、「退廃美」と賛辞を贈る文芸評論家もいるほど。

またまた余談ではあるけど、「恋と革命に」生きたかず子のモデルとなったのは不倫関係にあった太田静子。その子供が現役作家の太田治子。言わずもがな太宰治の娘である。

そうそう言っとかないといけないのは、太宰作品は決して暗くないということ。私小説作家に見られる一種の開き直りにも似た、「さらけ出し」や「赤裸々」とは一線を画し、「実」の中に「虚」を巧みに挟み入れエンターテイメントに昇華している。

今回はるか昔に読んだ不朽の作品を再読している最中に気づいたのは、いつもの読み方とは違うなぁってこと。骨太の小説に出会うと、これまでの経験とか読書遍歴なんかが入り込み、行きつ戻りつしたゆっくりとした読書となり、「自己省察」の時間までもたらしてくれる。確かに痛快エンタメ小説は楽しい。ドライブ感も手伝い読書量が落ちてる時には最適だけど、たまには腰を落ち着けて、純文学活字の世界に没入するのもいいもんです。次は、これまた久々の三島の世界に飛び込むとしますかね。

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2026年06月12日

Posted by ブクログ

うまく書くことができない。書きながら私が感じたことは何か探ってみよう。

まずは女性が主人公だということに驚いた。「人間失格」がそうだったから、勝手に男性主人公しか太宰は書かないと思っていた。
戦後の「道徳の過渡期」が舞台。
主人公かず子の母親はいつも「淋しそうに笑う」。
南方から帰還した弟の直治(なおじ)も生きる気力がなさそう。
かず子は病気で母親を失うと、弟と同様に生きる気力を無くす。
通底している宗教観はキリスト教。
没落した貴族の出身ということで、直治は「貴族に生まれたのは、僕たちの罪」かと遺書の中で問うたり、かず子はかず子でずっと恋焦がれていた人に拒否を食らうも、結局はその人と子供を孕む。

テーマは、時代は変わるけれども出自を変えることはできない。それは、アイデンティティは揺るがないともいえる。
人間に現在をもたらした象徴の「蛇」は、死の象徴として出てくる。

「人間は恋と革命のために生まれて来たのだ」
このセリフが後半の主人公の軸となる考えだと思う。

本書には、いろいろな含意があると思う。
それを濃く感想に残すというのは、まだ私にはできない。ただ活字ばかりを追って、内容理解までたどり着けない。

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2026年06月11日

Posted by ブクログ

最近はZ世代という言葉をよく聞くけど、私自身Z世代として大人の昭和から続く常識、価値観に対して居心地の悪さを感じる。戦後の貴族の苦悩とは性質が違うし、現代では昔よりも新しい価値観が受け入れられやすいと思うけれど、世間の常識に馴染めない不快感は少し分かるなと思った。

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2026年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

欠けたものに対して抱かれる倒錯的な美を描き出す作品だと思う。一般に、完全ではないものに美を見出すこと自体は決して不自然ではない。しかし本作においては、その美意識がどこか倒錯的であり、居心地の悪さを覚えさせる。

作中の人物は、自らが幸福になることをどこかで拒みながらも、他者からの肯定を強く求めている。この自己矛盾的な在り方は、人間の本質的な弱さや屈折を示しているように感じた。主人公であるかず子の恋も大きく屈折している。かず子の恋に限って言えば、自己を消耗させることで意味を見出そうとするようだったし、他の物語の登場人物も徹底してどこかが破滅的だ。

一方で、そうした屈折の理由を彼らの内面性だけに押しやることもできないのだろうと思う。かず子たち一家は没落貴族であり、大きな時代の転換の中で、時の流れに取り残されるかたちで居場所を失っていった。新しい価値観に適応しようとしても、過去を完全に捨てることはできず、その結果として宙吊りの状態に置かれている。かず子のいう、「犠牲者。道徳の過渡期の犠牲者(p.201)」という表現がそっくりあてはまると感じた。

そして、この「過渡期の犠牲者」という表現は、登場人物にとどまらず、作者である太宰治自身にも妥当するのかもしれないとも思う。解説も併せて読むと面白かった。初めての太宰作品だったが、「好き嫌いが分かれる」の意味がわかった気がする。私は後者寄りだけれども、後世の人にここまで鮮烈な感情を植え付けるところに、この作品の並外れた魅力があるのだと思う。読んでよかった。

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2026年04月17日

Posted by ブクログ

お母様のスウプシーンからアンニュイな世界へ一気に持っていくのは才能過ぎる。
あれ?これ、オジサンが書いてるよね?と目をゴシゴシw

斜陽から入ると、他の作品がキマってるときだったり、廃人になってるときだったりで、あまりの方向のバラバラ具合に困惑する。

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2026年04月02日

Posted by ブクログ

本格的に始めて純文学を読んで見たんですが、感想を書こうにも難しいといったところでした。特に、最後のシーン(直治が、ある女の人に産んでもらった赤ん坊を奥様に抱いて欲しい)といった箇所が良く分からなかったのですが、ネットで調べたりしてなんとなく腑に落ちました。また、直治の遺書に書いてあった「人は、みな、同じだ」についてです。庶民になろうとしたができなかったという内容を現代で例えるならば、陰気な人が陽気になろうとそういう人たちとつるむようにしたが、ボロが出てしまって、結局は陰気のままなんだということなんですかね?

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2026年03月27日

Posted by ブクログ

暗さの中に一筋の西陽が。夕暮れは確かに影が濃いけれど、明るさも濃い。子供は希望

後書きがよかったな、お陰で太宰文学の解像度があがって暗くなさそうな話もあると知れた。
夕方の太陽は「静かなふかい喜び」がある。

なんか良いなと思った文など
・「トマトも毎日5つくらいは召し上がるのよ」「うん、トマトはいい」
・ご無事で。もし、これが永遠の別れなら、永遠に、ご無事で。バイロン
・私は生きて行かねばならないのだ。子供かもしれないけども、しかし、甘えてばかりもおられなくなった。
・生きていること。生きていること。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。

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2026年02月14日

Posted by 読むコレ

恐らく初読。
女性として(当時の時代背景から鑑みる)通り一遍の幸福を得ることが出来なかった30歳直前の主人公が、最後の貴族と評される母親の時代の移り変わりや病に翻弄される姿を目の当たりにし、型通りの女性像から脱却の為の「最後の戦い」を決意し挑むまでの心の流れが描かれています。
氏の後期の作品と知っているだけに、登場人物がすぐに死にたくなるのと、新しい女性の価値観がダメダメ作家を赦すという展開についつい穿った見方をしてしまって反省しきり。
素直に読めば古いしきたりからの脱却は年代不変のテーマで大変面白かったです。

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2014年04月14日

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