あらすじ
最後の貴婦人である母、破滅への衝動を持ちながらも“恋と革命のため”生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。没落貴族の家庭を舞台に、真の革命のためにはもっと美しい滅亡が必要なのだという悲壮な心情を、四人四様の滅びの姿のうちに描く。昭和22年に発表され、“斜陽族”という言葉を生んだ太宰文学の代表作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
個人的にすごく良かったです。太宰治さんが著した小説の中では比較的明るい方だと聞いて初挑戦した小説だったので若干思い出補正もかかってますがご了承ください。ネタバレは省きますが、どろりとした恋模様を繊細な文で見事に表現していて、太宰さん特有の世界観に惹き込まれます。ただ最終章あたりで登場人物が自 殺したり、不倫したりなどのまぁなかなかに非道徳的なシーンが多々あるのでそういうのが苦手な人にはオススメ致しません。
凄く良い作品でしたので、ご興味あればご一読ください。
Posted by ブクログ
文豪の読みにくい文章も、女性の告白帯だと何故か読みやすい。全ての登場人物の心情に絶妙に共感出来ない感じが面白かった。世界史で習った色んな哲学者や小説家の名前が出てきて、それらの本も読んでみたくなった。昭和20年代の日本に着いてもっと知りたい。正直、なにか大層な事を得られたかと言われるとまるでないけど良い読書体験だった。
Posted by ブクログ
貴族が没落していく様を描いた作品。私はこの作品を(いけないことだが)ザマアミロ七光がと思いながら読んだ。好きな作品ではある。しくじった。惚れちゃった。
Posted by ブクログ
太宰治が『斜陽』で言いたかったことを一つに絞るなら、「滅びゆく古い倫理の中で、それでも生きるためには、汚れてでも新しい生命を抱えるしかない」ということかもしれない。
母は最後の貴族として品位があり、優雅で滅びにふさわしい美しさを持っている。けれどその美しさは未来を作らなかった。直治もまた古い階級の終末を背負いながら堕落し、薬物に逃げ、革命や思想を語りながらも結局は生の側へ踏みとどまれない。かず子だけが違った。かず子は上原に恋し、既婚者である彼の子を望み、望み通り妊娠する。
しかし、かず子の妊娠は明るい希望としてだけ描かれているのではなく、貴族階級の没落、母の死、弟の自死、上原という男の堕落、既存の結婚倫理の破壊、すべてを通過した後に残る、かなり乱暴で、倫理的に危うく、しかしそれでも生きる側に属するものとして置かれている。
つまり太宰が『斜陽』で描いたのは、「滅び」と「救済」ではなく、「滅びきった後に救済とは別の形で生命が残ること」。救済ではない。幸福でもない。倫理的な勝利でもない。それでも、生きる側へ引き戻すものがある。かず子にとってそれが子供だった。
Posted by ブクログ
太宰文学の代表作との謂れも高く、気になり手に取った一冊。恋と革命のために生きようとするかず子と、物憂げな「お母様」、そして麻薬中毒に苦しむ弟の直治に、作家の上原。話自体は少し支離滅裂な感じもあるものの、日本語の美しさが全てを上回る。昔の日本文学の言葉の美しさには、時々本当に惚れ惚れとする。
「私は電燈を消した。夏の月光が洪水のように
蚊帳の中に満ちあふれた」
Posted by ブクログ
「人間は、みな、同じものだ」
(身分や育ち関係なく自分の力でなりたいものになれるなら)そうであってほしいと思うし、(平等を前提とするなら、努力でどうにもならなければその努力は何だったのかという意味で)そうであってほしくないとも思う
恋と革命のために、人をいい意味で顧みずに自分のために生きるかず子の姿がかっこいいと思ったが、直治にとっての阿片、上原さんにとっての酒も同じで、生きるために必要なものだった。みんな何かに依存して生きてる
登場人物みんな魅力的だった
Posted by ブクログ
母親の死が近づくにつれて
かず子は新しい自分になっていく。
母親が生きていることが、没落しても貴族だと思える所でもあり、かず子の自由な人生の縛りになっているとも思いました。
親の目が黒いうちは...
なんていうのが、今よりもずっと重んじられていた時代だったのかなと思うと、かず子の人生は母親の逝去によって自由になれたと。
直治が一番辛かったと私は思いました。
貴族に批判を持ちながら、自分も貴族で、一般に馴染むことができずに、薬物・酒・女で自分を壊してしまった。
きっと、染み付いた礼儀や行儀の良さが抜けずに
肩身の狭い思いをしたんだろうと。
貴族からは品がない奴と言われたかもしれない
一般の友達からは、坊っちゃんが悪ぶってると言われたかもしれない。
Posted by ブクログ
読みながら本の角を折ってできたドッグイヤーの数や計り知れず、どの描写、台詞、手紙や遺書、本当に文学の寵児なんだなと納得するしかない素晴らしい描写ばかりで、よくこんなもの書けるなと感動しました。
家族、恋や不倫、病気、中毒やテーマとして何を書いてるかはっきり際立ってるけど、同じことを太宰治以外の人が書いたらこんなには心打たないんじゃないかと思うくらい感情を剥き出しに書く才能がすごい。とにかく人の様子を美しく文章にする才能がすごい。唯一無二の文章だと思った。
私が好きなサリンジャー、カポーティ、村上春樹、そして今太宰治加わっちゃいますが、「ストーリー」が面白いとかじゃなくて(いや面白いんだけど)、読み終わりたくなくないって思うくらい読み心地が良いというか、どんな表現するんだろうってドキドキさせる魅力があるのが共通点なんだなと気づきがありました。
でも偏見だけど、太宰治好きって村上春樹好きっていうより何かカミングアウトし辛いですね。
引用
この世の中に、戦争だの平和だの貿易だの組合だの政治だのがあるのは、なんのためだか、このごろ私にもわかって来ました。あなたは、ご存じないでしょう。だから、いつまでも不幸なのですわ。それはね、教えてあげますわ、女がよい子を生むためです。
------
もう一度、お逢いして、その時、嫌ならハッキリ言って下さい。私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。私ひとりの力では、とても消す事ができないのです
------
僕が早熟を装って見せたら、人々は僕を、早熟だと噂した。僕が、なまけものの振りをして見せたら、人々は僕を、なまけものだとした。僕が小説を書けない振りをしたら、人々は僕を、書けないのだと噂した。僕が嘘つきの振りをしたら、人々は僕を、嘘つきだと噂した。僕が金持ちの振りをしたら、人々は僕を、金持ちだと噂した。
僕が冷淡を装って見せたら、人々は僕を、冷淡なやつだと噂した。けれども、僕が本当に苦しくて、思わず呻いた時、人々は僕を、苦しい振りを装っていると噂した。
どうも、くいちがう。
Posted by ブクログ
この問題で一ばん苦しんでいるのは私なのです。
この問題に就いて、何も、ちっとも苦しんでいない傍観者な、帆を醜くだらりと休ませながら、この問題を批判するのは、ナンセンスです。
人間の生活には、喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、いろいろの感情があるけれども、けれどもそれは人間の生活のほんの一パーセントを占めているだけの感情で、あとの九十九パーセントは、ただ待って暮らしているのではないでしょうか。
幸福の足音が、廊下に聞こえるのを今か今かと胸のつぶれる思いで待って、からっぽ。
Posted by ブクログ
面白かった
太宰治さんの作品をもっと読んでみたくなった
斜陽というタイトルはどういう意味なんだろうと考えながら読んだ。斜陽族の話だったが、一瞬の美しさみたいな意味もある気がした。
かず子が母も弟も亡くなったのに前向きに話が終わっていて、斜陽ではなく朝日が昇ったような気持ちに彼女はなった。それは彼女の新しい人生がまた始まった、再スタートしたということだと思う。太宰治さんの暗いイメージが払拭された終わり方だった。
Posted by ブクログ
人間は、恋と革命のために生まれてきたのだ。
このセリフに触れたいがために読んだ。
太宰が何を伝えたいかあまりわからなかった。
病的なほどの愛をか?
きっとこの先読み返すことになる作品なのだとは思う。
Posted by ブクログ
かず子と直治の対照的な結末が印象的。
かず子の上原への一直線なアプローチ。
狂気すら感じる一方で、その逞しさにも惹きつけられました。
時間を置いて読み返すと、また違った感想が出てきそうです。
Posted by ブクログ
皆の堕ちていく様を描いているのに終始美しい。
最初のスウプのシーンがこの作品のトーンを設定していて秀逸。その場面からすでに3人の人となりが見えてくる。誰にも共感できないのに、なぜか気持ちがわかってしまうから嫌いになれない。3人に限らず、すべての登場人物の言動やエピソードが細かく、本当にそういう人がいた、こういうことがあったかのように思えてくる。物語の没入感はどれだけ読者を信じ込ませられるかにかかっているので、これはさすがとしか言いようがない。
太宰治の人間への解像度の高さに気付かされる作品。
Posted by ブクログ
今更ながら太宰治の文章って綺麗で読みやすいなと…一つ一つの描写をどうしてこんなに豊かに描くことができるんだろう。「貴婦人らしさ」の表現が巧みで印象的。スープを食べている場面とか。
貴族の滅亡。物語に登場する貴婦人(母)は、かぼそく今にも崩れ落ちそうな存在である一方、斜陽のような明るさだ。どことなく芯に強いものが感じられるのは、彼女が滅びることが避けがたいものとして受け入れているから。
以下は書評にあった文章抜粋。まさにこれだよね、という感じにまとめてくれていて分かりやすかった。
太宰治の生と文学は下降指向のそれと言ってよい。悪しき秩序、権力とたたかうためには、まず自分の中にあるそれらとたたかわねばならぬ。徹底した自己否定、自己破壊によってのみ、はじめて根源から秩序、権力を批判、否定することが可能になる。太宰はそう信じ、それに生をかけて実行した。立身出世はもとより、自己完成、自己確立も、安息した幸福にひたることも自らに禁じた。えらくなりたい、高められたい、立派になりたい、という上昇指向的モラルや感性は結果的に悪しき秩序に迎合し、それを強めるだけであり、そういう上昇指向によっては真の反逆は不可能だと見抜いていたのだ。そのためにまず自己を破壊する下降指向に徹したのである。自己の欠如感覚を埋めることなく、逆に深めた。
太宰は繊細すぎる。だけど今の私には刺さる。
Posted by ブクログ
「しくじった。惚れちゃった。」という言葉を見たいがために読みました。思っていたより読みやすく、理解しやすく、良いなと思う言葉がいくつかありました。
でもたまに、読み飛ばしたくなる言葉の羅列があります。
Posted by ブクログ
太宰作品2作目。
かず子が上原に送るラブレターが重すぎて笑った。現代でいうメンヘラだな〜と思ったが、上品な口調の中にユーモアがあるから流石。読者に直接語りかけるような口調だから尚面白い!「あなたが私の恋を点火したのだから、あなたが消していってください」
とか、めっちゃ粘着質だな!!と笑った。
上原を訪ねるために東京に出てきたかず子が、住所を頼りに手当たり次第に人を頼るという描写があったが、時代を感じさせられてとてもよかった。
恋焦がれる人に会いたくて、心細く涙しながら人に道を聞くなんて、現代では経験し得ぬことだ。
Posted by ブクログ
生きることとか恋のつらさの表現が良い
かず子のあなたの赤ちゃんを産みたいという鬼気迫る思い、破滅感情が心に残る
貴族の没落に共感できるわけじゃないけど心の拠り所がない辛さは痛いほどわかる、弟の最後の手紙が良かった
Posted by ブクログ
きっとあたしはさぁ、この時代に生まれていたら太宰治を好きになっていたと思うんだ。
だって罪な男でメロいもん。
太宰をメロいという言葉で片付けては良くないけどね。
Posted by ブクログ
太宰が晩年、戦後の思想や社会を憂い、自己批判・内省を通して書いた作品、「斜陽」。初読の感想としては美しかったということである。戦後において貴族が、緩やかに滅亡へと足を運んでいく。しかし、その滅亡へのカウントダウンが始まっていくにあたり、不安や屈託のようなものは感じられず、どこかそれを1歩引いた冷めた目線で見ることができた。
一読目では咀嚼できない重厚なストーリー。
太宰の作品を複数読んだわけではないので、考察に欠けるが、もっと読んでみたいと思った。
匿名
良くも悪くも丁寧に繊細に人間が描かれていると感じました。太宰治の小説は初めて読みましたが、明るい話ではないのに、文章が美しくて何だか不思議な魅力を感じました。
Posted by ブクログ
「人間失格」に続いて「斜陽」を再読。大学生の時が初読だから時間が経ち過ぎて、「こんなに美しい文章だったのね…」と幾度も嘆息しながら耽読。
この「斜陽」という言葉、辞書的解釈ではなく、今では「落ちぶれていく」と言った意味で理解され、「斜陽産業」なんて普通に使われ浸透している。「タイトルが決まれば小説は半分できあがったもの…」と言う作家もいるぐらいだから、タイトルの果たす役割は大きい。三島由紀夫の「永すぎた春」も、今や出所が三島であることなんて知らない人の方が多いんじゃないかな。鈴木京香と長谷川博己を指して、「あのふたりは永すぎた春だったんだね…」なんて使うもんね。
余談はさて置き、本書。
戦前までは社会的地位を保っていた貴族階級が敗戦により華族制度が撤廃となり、邸を売り払い田舎へ移住、わずかな財産を頼りにする暮らしは逼迫を極めた。その様子を太宰は、あたかも陽が落ち、辺りが徐々に暗くなっていく斜陽のごとく静かに落ちぶれていくとなぞらえた。
社会的地位の失墜を、粛々と努めて明るく受け容れる母、降りかかる運命に抗い「恋と革命に」生きようとする長女かず子、放蕩の限りを尽くしても貴族としてしか生きられず薬物依存の弟 直治、翻弄されていく流行作家の上原…。
今作が傑作と評される所以は、没落貴族を生んだ戦後の時代を借景に、太宰の生い立ち(津軽の大地主の子息)、左翼活動に身をやつした経験、女性遍歴、幾度の自殺未遂、麻薬中毒…という自身の体験を絡め、四人四様に太宰の心情を語らせているところ。この絶妙の配分が“貴族の滅び”を際立たせ、その描写は実に儚げで美しく、「退廃美」と賛辞を贈る文芸評論家もいるほど。
またまた余談ではあるけど、「恋と革命に」生きたかず子のモデルとなったのは不倫関係にあった太田静子。その子供が現役作家の太田治子。言わずもがな太宰治の娘である。
そうそう言っとかないといけないのは、太宰作品は決して暗くないということ。私小説作家に見られる一種の開き直りにも似た、「さらけ出し」や「赤裸々」とは一線を画し、「実」の中に「虚」を巧みに挟み入れエンターテイメントに昇華している。
今回はるか昔に読んだ不朽の作品を再読している最中に気づいたのは、いつもの読み方とは違うなぁってこと。骨太の小説に出会うと、これまでの経験とか読書遍歴なんかが入り込み、行きつ戻りつしたゆっくりとした読書となり、「自己省察」の時間までもたらしてくれる。確かに痛快エンタメ小説は楽しい。ドライブ感も手伝い読書量が落ちてる時には最適だけど、たまには腰を落ち着けて、純文学活字の世界に没入するのもいいもんです。次は、これまた久々の三島の世界に飛び込むとしますかね。
Posted by ブクログ
まさに、斜陽。タイトルセンス良。物語よりも、生きることや死ぬことに対する考えを優先した作品のような気がした。わたしは素人なのでなんにもわかってないけど。でもだから個人的には、物語としてはときどき飛躍するというか、「エッ、アッ、そんなかんじ?」って思うことが何度かあって、でもこの作品を通して書きたいことは明確な感じがした。生への諦念、死への羨望。生が汚く、死が尊い。それはやっぱり、生きているからそう思うのよね。死んでみたら、生が尊くなるかもしれない。
Posted by ブクログ
うまく書くことができない。書きながら私が感じたことは何か探ってみよう。
まずは女性が主人公だということに驚いた。「人間失格」がそうだったから、勝手に男性主人公しか太宰は書かないと思っていた。
戦後の「道徳の過渡期」が舞台。
主人公かず子の母親はいつも「淋しそうに笑う」。
南方から帰還した弟の直治(なおじ)も生きる気力がなさそう。
かず子は病気で母親を失うと、弟と同様に生きる気力を無くす。
通底している宗教観はキリスト教。
没落した貴族の出身ということで、直治は「貴族に生まれたのは、僕たちの罪」かと遺書の中で問うたり、かず子はかず子でずっと恋焦がれていた人に拒否を食らうも、結局はその人と子供を孕む。
テーマは、時代は変わるけれども出自を変えることはできない。それは、アイデンティティは揺るがないともいえる。
人間に原罪をもたらした象徴の「蛇」は、死の象徴として出てくる。
「人間は恋と革命のために生まれて来たのだ」
このセリフが後半の主人公の軸となる考えだと思う。
本書には、いろいろな含意があると思う。
それを濃く感想に残すというのは、まだ私にはできない。ただ活字ばかりを追って、内容理解までたどり着けない。
Posted by ブクログ
最近はZ世代という言葉をよく聞くけど、私自身Z世代として大人の昭和から続く常識、価値観に対して居心地の悪さを感じる。戦後の貴族の苦悩とは性質が違うし、現代では昔よりも新しい価値観が受け入れられやすいと思うけれど、世間の常識に馴染めない不快感は少し分かるなと思った。
Posted by ブクログ
欠けたものに対して抱かれる倒錯的な美を描き出す作品だと思う。一般に、完全ではないものに美を見出すこと自体は決して不自然ではない。しかし本作においては、その美意識がどこか倒錯的であり、居心地の悪さを覚えさせる。
作中の人物は、自らが幸福になることをどこかで拒みながらも、他者からの肯定を強く求めている。この自己矛盾的な在り方は、人間の本質的な弱さや屈折を示しているように感じた。主人公であるかず子の恋も大きく屈折している。かず子の恋に限って言えば、自己を消耗させることで意味を見出そうとするようだったし、他の物語の登場人物も徹底してどこかが破滅的だ。
一方で、そうした屈折の理由を彼らの内面性だけに押しやることもできないのだろうと思う。かず子たち一家は没落貴族であり、大きな時代の転換の中で、時の流れに取り残されるかたちで居場所を失っていった。新しい価値観に適応しようとしても、過去を完全に捨てることはできず、その結果として宙吊りの状態に置かれている。かず子のいう、「犠牲者。道徳の過渡期の犠牲者(p.201)」という表現がそっくりあてはまると感じた。
そして、この「過渡期の犠牲者」という表現は、登場人物にとどまらず、作者である太宰治自身にも妥当するのかもしれないとも思う。解説も併せて読むと面白かった。初めての太宰作品だったが、「好き嫌いが分かれる」の意味がわかった気がする。私は後者寄りだけれども、後世の人にここまで鮮烈な感情を植え付けるところに、この作品の並外れた魅力があるのだと思う。読んでよかった。
Posted by ブクログ
お母様のスウプシーンからアンニュイな世界へ一気に持っていくのは才能過ぎる。
あれ?これ、オジサンが書いてるよね?と目をゴシゴシw
斜陽から入ると、他の作品がキマってるときだったり、廃人になってるときだったりで、あまりの方向のバラバラ具合に困惑する。
Posted by ブクログ
本格的に始めて純文学を読んで見たんですが、感想を書こうにも難しいといったところでした。特に、最後のシーン(直治が、ある女の人に産んでもらった赤ん坊を奥様に抱いて欲しい)といった箇所が良く分からなかったのですが、ネットで調べたりしてなんとなく腑に落ちました。また、直治の遺書に書いてあった「人は、みな、同じだ」についてです。庶民になろうとしたができなかったという内容を現代で例えるならば、陰気な人が陽気になろうとそういう人たちとつるむようにしたが、ボロが出てしまって、結局は陰気のままなんだということなんですかね?