【感想・ネタバレ】斜陽のレビュー

あらすじ

最後の貴婦人である母、破滅への衝動を持ちながらも“恋と革命のため”生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。没落貴族の家庭を舞台に、真の革命のためにはもっと美しい滅亡が必要なのだという悲壮な心情を、四人四様の滅びの姿のうちに描く。昭和22年に発表され、“斜陽族”という言葉を生んだ太宰文学の代表作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった
太宰治さんの作品をもっと読んでみたくなった

斜陽というタイトルはどういう意味なんだろうと考えながら読んだ。斜陽族の話だったが、一瞬の美しさみたいな意味もある気がした。
かず子が母も弟も亡くなったのに前向きに話が終わっていて、斜陽ではなく朝日が昇ったような気持ちに彼女はなった。それは彼女の新しい人生がまた始まった、再スタートしたということだと思う。太宰治さんの暗いイメージが払拭された終わり方だった。

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2026年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

欠けたものに対して抱かれる倒錯的な美を描き出す作品だと思う。一般に、完全ではないものに美を見出すこと自体は決して不自然ではない。しかし本作においては、その美意識がどこか倒錯的であり、居心地の悪さを覚えさせる。

作中の人物は、自らが幸福になることをどこかで拒みながらも、他者からの肯定を強く求めている。この自己矛盾的な在り方は、人間の本質的な弱さや屈折を示しているように感じた。主人公であるかず子の恋も大きく屈折している。かず子の恋に限って言えば、自己を消耗させることで意味を見出そうとするようだったし、他の物語の登場人物も徹底してどこかが破滅的だ。

一方で、そうした屈折の理由を彼らの内面性だけに押しやることもできないのだろうと思う。かず子たち一家は没落貴族であり、大きな時代の転換の中で、時の流れに取り残されるかたちで居場所を失っていった。新しい価値観に適応しようとしても、過去を完全に捨てることはできず、その結果として宙吊りの状態に置かれている。かず子のいう、「犠牲者。道徳の過渡期の犠牲者(p.201)」という表現がそっくりあてはまると感じた。

そして、この「過渡期の犠牲者」という表現は、登場人物にとどまらず、作者である太宰治自身にも妥当するのかもしれないとも思う。解説も併せて読むと面白かった。初めての太宰作品だったが、「好き嫌いが分かれる」の意味がわかった気がする。私は後者寄りだけれども、後世の人にここまで鮮烈な感情を植え付けるところに、この作品の並外れた魅力があるのだと思う。読んでよかった。

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2026年04月17日

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